【夜会話】カイナ(マグナVer.)

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にゃんこ様

第11話 処刑台の騎士

カイナ
「ここのみなさんは 本当にいい人たちばかりですね
トライドラへ向かう道すがら、色々な人が私に話しかけてくれました
きっと黙ってる私を心配してくださったんでしょうね・・・」
マグナ
「うん、そうだと思うよ なんだかんだいってみんな、優しい連中ばかりだからさ
・・・って、俺が言ったら、説得力がなくなるかな?」
カイナ
「うふふ、そんなことはありませんよ
ちょっと安心しました ねえさまが、貴方たちみたいな方々と一緒に過ごしていたことに」
マグナ
「え?」
カイナ
「私が知っている場所とよく似たあたたかさがこの場所にはあるから」
マグナ
「カイナさん・・・」
カイナ
「私も・・・ みなさんのお仲間に入れてもらえますか?
外から来たお客様じゃなくて、みなさんとおつきあいさせてほしいんです」
マグナ
「うーん・・・? 俺たちはとっくにそのつもりだったんだけど・・・」
カイナ
「でしたら、これからは私のことも、カイナと呼んでくださいませ
「さん」づけじゃ他人行儀ですよ?」
マグナ
「あ、ひょっとして気にしてた?」
カイナ
「・・・ちょっぴり」
マグナ
「ごめん、ごめん それじゃ、これからはそうさせてもらうよ カイナ?」
カイナ
「ええ、あらためて よろしくお願いします マグナさん」
マグナ
「(って、自分は「さん」づけなのな・・・)」
まあ、いっか? カイナは、もともとこのしゃべり方が普通みたいだし・・・

第12話 絶望の先へと

カイナ
「無念です・・・ 私の力が至らなかったばかりに・・・
シャムロックさんにあのような、つらい役目をさせてしまって」
マグナ
「カイナが責任を感じるようなことじゃないよ
キュラーのやり方が それだけこうかつだったってことなんだろ?」
カイナ
「あの者の使った邪鬼をヒョウイさせる術の恐ろしさは・・・
とりつかれた相手を 時と共に、鬼そのものに変えてしまうというところです
それを防ぐには 心に一点の闇すらもたずにいることなのですが・・・」
マグナ
「そんなこと、普通はできっこない、か」
カイナ
「ええ、私でも無理です
ですから、くれぐれもあの者には用心してください
人の心が完全なものでない以上、あれほど恐ろしい術はないですから・・・」
見かけが派手な召喚術よりもずっと危険だってことか・・・

第13話 祭りの夜

カイナ
「お祭りですか?」
マグナ
「うん、よかったら一緒に見に行かないか?」
カイナ
「ええ、私でよければ喜んで
ところで・・・ これから行くお祭りはなんの神様のものなのでしょうか?」
マグナ
「は?」
カイナ
「ですから、祭られる神によっては、色々と準備が必要でしょう?
みそぎの方法とかお供えの品とか」
マグナ
「あのさ、カイナ・・・」
カイナ
「はい?」
マグナ
「その、カミサマってなんなんだ???」
カイナ
「・・・あ!?
申しわけありませんっ
私ったら、ついシルターンにいた時のつもりで、お話をしてしまって・・・」
マグナ
「じゃ、シルターンではその「カミサマ」のために、お祭りをするわけか・・・」
カイナ
「マグナさんたちは召喚獣として鬼神や龍神たちを呼びますよね?
その中でも、特に力が強い存在たちは・・・
シルターンでは神様として、人々にあがめられてるんです」
マグナ
「なんか、ピンとこないけどなあ・・・? 召喚獣をそんなふうにあがめるなんてさ」
カイナ
「そこが私たち「鬼道」の使い手と、貴方たち「召喚師」の違いかもしれませんね・・・」
マグナ
「ま、難しい話はいいや
それより、せっかくのお祭りなんだからさ 楽しもうよ?」
カイナ
「ええ、私もこちらでの祭りは初めてなので 色々と教えてください」
マグナ
「よし、それじゃあばっちり案内してあげるよ!」
マグナ
「どうだった?」
カイナ
「ええ、とても楽しかったです」
マグナ
「それなら、よかったよ」
カイナ
「あ、花火・・・」
マグナ
「祭りも、そろそろおしまいってことか」
カイナ
「マグナさん」
マグナ
「ん・・・?」
カイナ
「今日は、誘ってくださってありがとうございます」
マグナ
「はははっ、そんな改まって感謝することじゃないって?」
カイナ
「いいえ・・・ 私はミコですから祭りの時は、いつも儀式に参加していて
屋台や出し物をゆっくり見て回ったのなんて、小さな頃しかなかったんですよ
ですから、今日は本当に楽しかったです 子供に還ったみたいで 本当に・・・」
マグナ
「カイナ・・・」
カイナ
「・・・たーまやぁ!」
マグナ
「は!?」
カイナ
「シルターンでは 花火があがった時にこうやってかけ声をかけるんですよ?
ほらっ マグナさんもご一緒に!」
マグナ
「は、はあ・・・?」
カイナ
「・・・さんっ、はい!
たーまやぁ!」

第14話 確かな想い

カイナ
「アメルさんの出生に あのような秘密があったなんて・・・」
マグナ
「うん、だけど聞いていて疑問に思ったんだ
こんなことを言うと その、アメルには悪いと思うんだけど・・・
あんな悪魔がいる森で小さな赤ん坊が、無事でいられるものなんだろうか?」
カイナ
「よほど強力な守護や結界に守られていたとか、いくつか理由は考えられますけど
一番ありえそうなのは 彼女が無意識のうちにあの奇跡の力を使っていたということです」
マグナ
「(そういえば、アメルはガレアノとの戦いで屍人を退ける光を放ったっけ・・・)
あの力は、いったいなんなんだろう?召喚術やストラとは違うみたいだけど」
カイナ
「もし、アメルさんのあの力が生来のものであるというなら・・・
心当たりがひとつだけあります」
マグナ
「え?」
カイナ
「私は以前、人間と鬼神の間に生まれた少年と知りあったのですが
人の姿でありながら 彼は、鬼神に匹敵する怪力をもっていました」
マグナ
「それじゃ、カイナはアメルが召喚獣と人の混血だっていうのか?」
カイナ
「あくまでも推測にしか過ぎませんが・・・
あり得ない話ではないことだけは、おぼえておいてください」
たしかにそう考えればあの不思議な力にも説明がつくけど、でも・・・

第16話 縛鎖を断つもの

カイナ
「私が、エルゴの守護者として、この世界に遣わされた時にも
鬼神さまから聞かされたことがあります
リィンバウムの民は許されない罪を犯した者たちなのだ、と
きっと、このことだったんですね」
マグナ
「だろうね・・・」
カイナ
「これは、こじつけかもしれませんが・・・
いずれ、エルゴの王の手によって、この世界は結界に閉ざされていたんです
それまでずっと異界の者たちの力に頼り続けていたのなら もしかすると・・・
リィンバウムはこれほどまでには発展できなかったのかもしれません
これもまた、ひとつの可能性だったとは考えられませんか?」
マグナ
「うん・・・」
ありがとう・・・ カイナ・・・

第17話 影は歌う

カイナ
「黒の旅団の顧問召喚師 あの者は、はっきりとそう言いましたね?」
マグナ
「それがどうかしたの? カイナ」
カイナ
「トライドラで出会った鬼神使いキュラーは言っていました
彼ら三人は、デグレアに雇われている召喚師なのだと・・・」
マグナ
「まさか!?」
カイナ
「ええ、そうです もしかして、3人に指示を与えていたのは
あのレイムという者なのかもしれません」
マグナ
「たしかに、顧問召喚師なんて地位だったら そういう可能性もあるけど・・・でも!?」
カイナ
「私にも、はっきりと見極めれないんです ですが・・・
あの者の言葉には得体の知れない力がありました
なのに・・・
虚ろなんです あの人の言葉には感情がこもっていない
こんな感覚、今まで感じたことありません
それが不気味で・・・ おそろしい・・・」
マグナ
「そんな・・・ エルゴの守護者の君が怖がるなんて・・・」
カイナ
「すいません・・・ こんな、みっともない姿を見せてしまって」
マグナ
「いいんだよ!? 俺のほうこそ、変なこと言っちまってゴメン・・・
不安な時に助けあうために、俺たちは一緒にいるんだからさ」
カイナ
「マグナさん・・・
・・・はい」
エルゴの守護者である以前に カイナだって女の子なんだからな

第18話 誰がための剣

マグナ
「ケイナは、このまま記憶が戻らなくて構わないって言ってたけど・・・
カイナは、それでもいいの?」
カイナ
「はい・・・
ねえさまの考えを聞かされて、私なりに納得できましたから
たしかに、ねえさまが私やにいさまたちとの思い出をなくしているのはさびしいですよ
でも、思い出だったらこれから新しく作っていくこともできると思うんです
もう二度と会えないと思っていたねえさまに会うことができただけ 私は幸せなんです
本当に、鬼神さまに感謝しないと・・・」
マグナ
「カイナ・・・」
カイナ
「それに、ねえさまは私のことが好きだって言ってくださいました
私もねえさまのことが好きです・・・
今のねえさまも 昔のねえさまも 同じくらい好きだって言えます
だから、今のままでも私は平気なんです」
マグナ
「そっか・・・」
二人がそれでいいなら もう、俺が心配する必要はないよな?

第19話 デグレアの闇

カイナ
「やはり、あの三人はただの召喚師ではないようですね・・・」
マグナ
「うん、正直 ここまでの相手だとは思ってなかったよ
いったい、あいつらはどういう目的であんなことしてるんだろう?」
カイナ
「私にも、皆目見当がつきません
ですが、これでまたはっきりしたことがあります」
マグナ
「え?」
カイナ
「前の戦いで、レイムは自分が元老院議会の代行者だと、はっきり口にしていました
だとすれば、やはり彼はなんらかの形であの三人と関わりをもっているはずです」
マグナ
「!!」
カイナ
「ただ、わからないのはその関わりの形です」
マグナ
「そうだな・・・
(レイムさんだって だまされている可能性もあるんだし・・・)」
カイナ
「とにかく私は、一度ギブソンさんに相談をすべきだと思います
彼ならばきっと、あの三人の正体を知るための手がかりを見つけてくれるでしょう」
マグナ
「それが一番いい方法かもしれないな」
遺跡の文書のこともあるし ゼラムには一度戻ったほうがよさそうだな・・・

第20話 知の略奪者

カイナ
「エルジンくんたちから なにが起こったのかは聞かせていただきました・・・
あの邪鬼使いたちはやはり、人外の化生だったのですね?」
マグナ
「カイナは、気づいていたのか?」
カイナ
「はっきりと感じとっていたのではありません
ただ、以前にお話したように、私たちはかつて悪魔と戦ったことがありますから
どこか、引っかかるものは感じていました」
マグナ
「そうだったんだ」
カイナ
「ですが、どうやらその悪魔たちは私たちが知っているそれよりも・・・
はるかに、力のある存在のようですね」
マグナ
「先輩たちや、エルジン エスガルドでさえも圧倒されていたもんな」
カイナ
「とはいえ、このまま捨てておくことはできません
及ばずながら、私も戦わせていただきます
この世界と・・・ 私にとって、大切な貴方がたを守るために」
頼りにしてるよ カイナ・・・

第21話 メルギトスの嘲笑

カイナ
「もしかすると、これも悪魔たちの計画だったのかもしれませんね」
マグナ
「え?」
カイナ
「武術というものは 身体だけでなく心を磨くものです
鍛えられた心は 邪悪なものをはねのけ よせつけません
ですが、どんな人間も深い絶望を感じた時 心は無防備になってしまう・・・」
マグナ
「キュラーはそれを狙って、黒の旅団の兵士を鬼に変えたっていうことか!?」
カイナ
「はい・・・ メルギトスが正体を明かしたのも、それが狙いでしょう」
マグナ
「くそ・・・っ! どこまで、人間の心を利用したら気が済むっていうんだ!?」
カイナ
「落ち着いてください マグナさん
それこそが、あの者の狙いなのですよ」
マグナ
「あ・・・!」
カイナ
「どんなにつらくとも苦しくとも、惑わされてはなりません
そういう心にこそ 鬼は、宿るのです」
マグナ
「わかる・・・ だけど、俺はカイナみたいに強くないから」
カイナ
「私だって・・・
私だって悔しいです! 悪魔たちのやり方になにもできなかった自分が・・・っ!!」
マグナ
「カイナ・・・」
カイナ
「エルゴの守護者なんて呼ばれていても なにもできない自分が不甲斐なくて・・・
だから・・・っ 私・・・っ」
マグナ
「ごめん・・・ 俺、ひどいこと言った
カイナの気持ち考えてやれなかった ごめん・・・」
カイナ
「う・・・っ、 ううっ うく・・・っ」
悔しくないはずがなかったんだ カイナだって・・・

第22話 真なる罪人

カイナ
「エルジンくんから さきほど、連絡がありました
街道を西へと向かって デグレアの大軍団が移動していると・・・
彼らの目的はおそらくサイジェントの街なのでしょう」
マグナ
「なんだって!?」
カイナ
「心配はいりません 私の仲間たちがきっと食い止めてくれます
ですが・・・」
マグナ
「そんな状況じゃこっちに加勢をしてもらうのは無理だってことか・・・」
カイナ
「もうしわけありません」
マグナ
「そんな、カイナが悪いわけじゃないよ!」
カイナ
「メルギトスはおそらく 私たちのとる行動をよんでいたのでしょう
本当に恐ろしい敵です でも・・・」
マグナ
「でも?」
カイナ
「私、不思議と不安を感じていないんですよ
それはきっと、貴方がここにいるから」
マグナ
「カイナ・・・」
カイナ
「魔王と戦った時も同じでした。不吉な予感はしているのに・・・
それ以上の大きな力が私たちを包んでいた 守られてるって、肌で感じられたんです
だから、きっと 私たちは勝てますよ
マグナさん 貴方が、勝ちたいと思い続けるのなら
それがきっと、私やみなさんの力になってくれるはずですから」
マグナ
「ありがとう、カイナ」
カイナ
「一期一会、という言葉をご存知ですか?」
マグナ
「え?」
カイナ
「一生に一度の出会い それを大切にするという、シルターンの言葉です・・・
マグナさん 私と貴方の出会いはきっと、一期一会
だからこそ私は 今この時を、悔いの無いようにします」
マグナ
「カイナ・・・」
カイナ
「貴方と出会えてよかったと、心から思えるように・・・」
マグナ
「そうだね・・・
俺もそうするよ 悔いの残らないよう精一杯、最後までがんばろう?」
カイナ
「はい・・・」

エンディング

戦いは終わった・・・
源罪の嵐によってリィンバウムに混乱と破壊をもたらそうとしたメルギトスの最後の企みは
彼女の命がけの行動によって完全に潰えたのだ・・・
禁忌の森に隠されていた忌まわしき召喚兵器たちは永遠に抹消されて
そこには、今・・・一本の巨木がそびえている
聖なる大樹
人々が、その樹のことをそう呼ぶようになってから
二度めの季節が・・・巡ろうとしていた・・・
~聖地の森~
カイナ
「・・・マグナ?
また、あの時のこと考えていたんですね」
マグナ
「うん・・・ ごめんな せっかくカイナが遠くから来てくれたっていうのに」
カイナ
「いいんですよ 私もまだ、時々思い出してしまうんですから・・・
一番につらい思いをされた貴方だったらなおさらですもの」
マグナ
「・・・・・・」
カイナ
「すこし、森の空気を吸いにいきませんか?
私、まだ彼女に挨拶していませんし」
マグナ
「うん、そうだな・・・」
カイナ
「早いものです・・・
あれから、もう季節がふたつも巡ってしまったんですね」
マグナ
「サイジェントの様子はどうなの?」
カイナ
「はい、おかげさまで みなさん、元気にしています
以前に、貴方が尋ねてくださった時より 街もずいぶんと復興しましたし・・・」
マグナ
「あの時は無理を言ってカイナやエルジンたちには、本当に迷惑をかけたよなあ
こんなところまで 彼らを、呼びつけたりしちゃったし・・・」
カイナ
「あの方も、ずっと気にしていましたよ
自分の力でも どうにもできなくてすまない、って・・・」
マグナ
「いいんだよ 望みがあるんだってわかっただけでうれしかったんだし
アメルは生きている この木の中で眠っているだけだって・・・
それがわかって俺、本当に救われた気がしたんだ」
カイナ
「だから・・・ こうして、この森で大樹の護人になると決めたのですね
目覚める時は 永遠に来ないのかもしれませんよ」
マグナ
「・・・・・・
うん、わかってるんだ 本当はこんなこと いつまでもしてちゃいけないって・・・
ネスみたいに 俺も、前向きになって生きないとさ
アメルだって・・・ 悲しむもんな」
カイナ
「ええ、そうですよ きっと・・・」
聞こえるかい、アメル
君の愛したこの世界は今もこうして息づいているよ
相変わらず、俺たちは不器用な生き方ばかりしかできてないけど・・・
でも、君は言ってたよね
人間は自分自身の力だけで変われるんだって・・・
そんな人間のことが愛しいって・・・
だから、俺も信じるよ
いつかきっと・・・誰も悲しまずにすむ未来がこの世界におとずれるって
だから・・・ずっと、ずっとこの場所から、俺たちを見守っていてくれるかい?
なあ アメル
カイナ
「そう言えば・・・ ケイナねえさまとフォルテにいさまから
久しぶりに、手紙をもらったんですよ」
マグナ
「へえ・・・ あの二人、今は北の闘戯都市なんかに行ってたんだ?」
カイナ
「なんでも報酬の全額を にいさまが、賭けで負けてしまって・・・
こっちに戻って また、地道に稼ぐことにするそうです」
マグナ
「あはははははっ! 相変わらずだよなあ あの二人らしいよ」
カイナ
「うふふふ、本当にそうですよね
帰ってきたら、一緒におみやげ話を聞かせてもらいましょうね」
マグナ
「ああ、そうだな」
カイナ
「そろそろ戻りましょう 風がまた、強くなってきましたし・・・」
マグナ
「なあ、カイナ・・・」
カイナ
「はい」
マグナ
「きっと、いつかは幸せになれるよな みんな・・・」
カイナ
「ええ・・・
だって、そのためにあの人は、この世界を 人間を守ってくれたんですもの・・・」
幸せになりましょう 貴方も そして私も
カイナ “かしこみかしこみ”

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