スターライト様
第12話 黄昏、来たりて
- フレイズ
- 「まるで、悪魔のような所行ですね
世代を経た今でも 彼らは、やはりなにも変わらない・・・」 - アティ
- 「返す言葉もありません 本当に・・・」
- フレイズ
- 「貴方が気にすることではありませんよ
しかし、気になるのは どうやって、彼らがこの島に来たのかということです」 - アティ
- 「イスラが、手引きをしたからじゃないんですか?」
- フレイズ
- 「ですが、それだけでは 結界が消滅したことの説明がつきません」
- アティ
- 「たしかに・・・」
- フレイズ
- 「封印の剣は、本来2本でひとつのものです
そのひとつ、碧の賢帝は貴方に継承されました ですが・・・
紅の暴君は・・・ 未だ、行方がしれない」 - アティ
- 「・・・まさか!?」
- フレイズ
- 「碧の賢帝の力でできることは 当然、紅の暴君にもできる
そう考えれば、つじつまが色々とあってくるのです」 - アティ
- 「だけど、もう一本の剣は嵐のせいで、海に・・・
・・・!?
沈んだとは・・・ 限らないんじゃ・・・
私が、剣に喚ばれた時と同じように・・・
もし、誰かが・・・ 導かれていたなら・・・」 - フレイズ
- 「どうやら、余計な心配事を与えてしまったようですね すみません・・・」
- アティ
- 「あ、いえ・・・」
- フレイズ
- 「やはり、私の心も平静ではないのかもしれません
無色の派閥が、またこの島にやってきたことが 正直、おそろしい・・・」 - アティ
- 「フレイズさん・・・」
- フレイズ
- 「私も全力を尽くしてファリエルさまをお守りしますが
もしもの時は どうか、よろしくお願いいたします」 - フレイズさんがこんなこと言うなんて・・・
第13話 断罪の剣
- フレイズ
- 「感じていた胸騒ぎが・・・ 当たってしまいました・・・」
- アティ
- 「・・・・・・」
- フレイズ
- 「たしかに、疑問を感じてはいたのです・・・
剣のみを手に入れても 使いこなせる者が存在せねばなんの意味もない
にも関わらず、敵は貴方を排除して、剣だけを獲得しようとしていたのですから」 - アティ
- 「全ては、イスラが使い手として存在していたから・・・」
- フレイズ
- 「立ち回り方次第では 和平の取引にももちこむことも可能だったでしょうが
これでは、もう本当に交渉のしようもない」 - アティ
- 「ですね・・・」
- フレイズ
- 「それにしても不可解なのはイスラの挙動ですよ
剣を手にしながら、どうして彼は今まで、それを用いてこなかったのでしょう?」 - アティ
- 「それは、派閥の仲間の到着を待って・・・」
- フレイズ
- 「遺跡の確保が目的なら、わざわざ戦わずとも、いくらでも機会はあったはずです
まして、彼は最初からあの剣を手にして、この島に乗り込んでいるのですよ
策士を気取っている人間のやり方としては どうにもズサンすぎる」 - アティ
- 「言われてみればたしかに・・・」
- フレイズ
- 「用心してください アティ
彼の目的は、もっと別のところにあるのかもしれない」 - だとしたら、いったいイスラの目的ってなんなんだろう?
第15話 ひとつの答え
- フレイズ
- 「まずは、今日の勝利 おめでとうございます
無色の者たちも、これでおいそれと、貴方を敵には回せないでしょう」 - アティ
- 「ありがとう、フレイズさん
でも、勝てたのは私一人の力じゃないよ
みんなが力を貸してくれたから、支えてくれたから勝つことができたんです」 - フレイズ
- 「確かにそのとおりです ですが・・・
みんながそうしたいと願ったのは、貴方という人間を信じたからこそ
ですから、やはり この勝利は、貴方が自分でつかんだものなんですよ」 - アティ
- 「あ、あははは・・・ やめようよ? なんだか、こそばゆくなるし・・・」
- フレイズ
- 「ははは・・
あとは、イスラの手から紅の暴君キルスレスを取り戻すだけですね?」 - アティ
- 「そうですね・・・」
- フレイズ
- 「封印の剣は、使い手の心を具現する刃・・・
継承した者を倒さない限り完全に活動を止めることはできない」 - アティ
- 「正直に言えば、荷が重いです
イスラを説得することができたら、一番いい解決方法になるんだろうけど」 - フレイズ
- 「できますよ、きっと」
- アティ
- 「え・・・」
- フレイズ
- 「気休めではありません 天使である私にはわかるのです
貴方の剣、ウィスタリアスには、それを為すだけの力が秘められていることがね」 - アティ
- 「フレイズさん・・・」
- フレイズ
- 「砕かれたはずの心を より強いものに変えて貴方は立ち上がってきた
貴方が証明したんです 再生の力が、破壊の力を上回るということを」 - アティ
- 「!」
- フレイズ
- 「この戦い、間違いなく貴方も、イスラも、大きな傷を負うでしょう
ですが、貴方なら きっとそこから、新たにはばたくことができる
より強く、より大きく 仲間たち全てを包みこむ強い輝きを放ちながら!
だから、私はおそれません 最悪の結果が待っていても
貴方なら、きっと くつがえしてみせると信じていますから」 - アティ
- 「そっか・・・
ありがとう、フレイズさん」 - フレイズ
- 「最後までお手伝いしますよ 貴方の願いが、現実に負けてしまわないように
それで、戦いが終わった後はどうなされるおつもりです?」 - アティ
- 「一度は、帝国に戻らなくちゃいけないって思ってる・・・
ベルフラウのこと 逃げ出したままになってる村のみんなのこと
それを終わらせてから 改めて、この島の一員になりたいと思うんです」 - フレイズ
- 「なるほど・・・
それでは、私はこの島で 貴方の帰りを待っていればよいということですね」 - アティ
- 「え?」
- フレイズ
- 「私は今まで、ずっとファリエルさまの輝きだけを見つめ続けてきました
護衛獣として そして、堕ちたとはいえど一人の天使として
あの方を守ることだけを考えて、行動してきました」 - アティ
- 「うん・・・」
- フレイズ
- 「私は、ずっと人間のいう恋というものに、憧れてきました・・・
愛する者を守るために だまされていると承知でその身を捧げてしまった
豊穣の天使アルミネ
最初の堕天使と呼ばれる彼女に、憧れていたのです
それほどの熱い想いに身を焦がすことができれば どれほど素敵だろうかと」 - アティ
- 「だから、フレイズさんはファリエルを・・・」
- フレイズ
- 「そのつもりでした
けれど、どうやらそうではなかったのです」 - アティ
- 「え・・・」
- フレイズ
- 「ファリエルさまに向ける私の想いに、今も偽りはありません
ですが、それは一方的に与えたいという気持ち
求める気持ちがない それは、恋とはまた違うものだと思うのです」 - アティ
- 「あ・・・」
- フレイズ
- 「それに気づいたのは アティ 貴方と出会ったからです
貴方の輝きに、私は魅かれています
それが、本当に恋と呼べるものなのかは、はっきりとわかりませんが・・・
あの人と同じくらい貴方のことも、私は守りたいと思うんです」 - アティ
- 「フレイズさん・・・」
- フレイズ
- 「貴方を待つ間、もう一度ゆっくりと考えてみます ですから・・・
帰ってきた時に、貴方の答えを聞かせてくれませんか?」 - アティ
- 「はい・・・」
エンディング
- フレイズ
- 「そうですか、無事に試験は終わりましたか・・・」
- アティ
- 「はい、おかげさまで ベルフラウは無事に合格できました」
- フレイズ
- 「おめでとうございます」
- アティ
- 「ありがとう・・・って がんばったのは、私じゃなくてあの子なんですけどね」
- フレイズ
- 「はははは・・・」
- アティ
- 「保護者として、入学式にも参列してきましたけど
あの子、新入生の総代として挨拶することを、私に内緒にしてて、驚いちゃって」 - フレイズ
- 「それは、それは・・・」
- アティ
- 「立派に挨拶を読みあげるあの子の姿を見ていたら
なんだか、昔の自分の姿を思い出して、ちょっとだけ泣けちゃいました・・・」 - フレイズ
- 「ぜひ、見てみたかったですね その晴れ姿を・・・」
- アティ
- 「長期休暇になったら こっちに遊びに来るからよろしくですって」
- フレイズ
- 「ファリエルさまも きっと、喜ぶでしょう
無論、私も楽しみですよ
あの年頃の子供は 短い間でも、驚くほど成長すると聞きますから
より強くて、まぶしい魂の輝きを見せてくれることでしょう」 - アティ
- 「そうですね・・・」
- フレイズ
- 「限りある時間を生きてこそ 魂の輝きは、はかなくて美しい
私たちも、それを忘れずに 常に、まぶしい光を放ち続けていたいものですね?」 - アティ
- 「ええ・・・」
- フレイズ
- 「思えば、貴方たちと出会ったことによって、我々の生き方もずいぶんと変わりました
過去に縛られ、止まったままの時間を、貴方は再び動かしてくれた・・・
本当に、感謝していますよ」 - アティ
- 「そんな、私はただ自分がやりたかったことを勝手にやっただけだよ」
- フレイズ
- 「そう・・・ ただ、夢想するだけではなく本当にやりとげたんです
見守ることしかできなかった私とは、そこが大きな違いです」 - アティ
- 「フレイズ・・・」
- フレイズ
- 「情けないですね・・・ 結局、最後の最後まで貴方に頼りっぱなしだった」
- アティ
- 「そんなことないよ!
貴方が後ろで守っていてくれたから、安心して私は走っていけたんです
貴方の言葉が背中を押してくれたから、ここまでこれたんだよ」 - フレイズ
- 「アティ・・・」
- アティ
- 「私の力だけじゃ、絶対にこんな未来は描けなかった
そうでしょう?」 - フレイズ
- 「そう、ですね・・・
お互いさまだった・・・ということにしましょうか?」 - アティ
- 「ええ・・・」
- フレイズ
- 「ところで、話はがらりと変わりますが・・・」
- アティ
- 「はい?」
- フレイズ
- 「私と正式に、おつきあいしていただけませんか?」
- アティ
- 「・・・ええ~っ!?」
- フレイズ
- 「そんなに驚かなくてもいいでしょう・・・
話しておいたはずですよ? 私は、貴方に恋をしているかもしれないと・・・」 - アティ
- 「それはそうですけど・・・ でも・・・ってことは・・・
つまり、フレイズさんは私のことが・・・」 - フレイズ
- 「いえ、残念ながらはっきりとした答えは出せませんでした」
- アティ
- 「・・・はい???」
- フレイズ
- 「ですから、おつきあいをして確かめたいと思うんです この気持ちが本物なのかを
人間の男女は、そうやって恋に落ちていくのでしょう?」 - アティ
- 「は、はあ・・・ まあ・・・」
- フレイズ
- 「でしたら・・・ まずは、お友達からはじめてはいただけませんか?」
- アティ
- 「はい・・・ そういうことなら・・・」
- フレイズ
- 「ありがとうございます」
- ゆっくりと楽しみましょう 二人の魂が、伴侶として結ばれる日まで・・・
- 「貴方に幸あれ」
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