母と子と

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スターライト様
ミスミ
「ならぬと行ったらならぬ!!」
スバル
「どうしてだよ!?」
アティ
「(え・・・? いったい、なにが)」
ミスミ
「そなたのような子供が出る幕ではないわ! 戦いは、遊びではないのじゃぞ!?」
スバル
「言われなくたって おいら、それぐらいわかってらい!
わかって言ってるのに なんで、母上は勝手に決めつけんだよ!?」
ミスミ
「決めつけてなどおるものか! 本当のことを言うておるだけじゃ・・・」
アティ
「これは・・・」
ゲンジ
「ま、見てのとおりじゃ
よくある、母と子のケンカじゃな」
アティ
「よくある、って・・・
どうして止めないの キュウマさん!?」
キュウマ
「今回ばかりは、自分が口を挟める話ではないのですよ」
ゲンジ
「スバルがな、自分も戦いに加わりたいと言ってきたんじゃよ」
アティ
「!?」
キュウマ
「いつもでしたらミスミさまが一笑されて、それで終わりになっていました
ですが、今日に限ってスバルさまが、一歩も引かなくて・・・」
ゲンジ
「そけだけ、小僧も真剣なんじゃろうな」
スバル
「父上だって おいらの歳の頃にはもう、戦に出てたって言うじゃないか!?
だったら、おいらにもできるはずだろ!?」
ミスミ
「うぬぼれるでない!!」
(バシッ!)
スバル
「・・・っ」
ミスミ
「あの方は特別なのじゃ 周りが止めるのも聞かず、勝手に戦にもぐりこんで
結果を出したからこそ認められただけじゃ 普通の者が真似できることではない!」
スバル
「だったら、おいらも結果を出してやる!
母上が許してくれないのなら、勝手に戦に出て おいらが強いってことを証明してやるっ!!」
(バシッ!)
スバル
「あ・・・っ!」
ミスミ
「できもせぬ大口を叩くでないわ!
敵に捕らわれてびーびー泣いておったひよっ子の分際で」
スバル
「う・・・っ
母上なんか・・・っ 母上なんか、もう大っ嫌いだあっ!!」
アティ
「スバルくん!?」
(どしよう・・・?)
  • スバルくんを追いかける
    アティ
    「待って、スバルくん!」
    キュウマ
    「・・・っ!」
    ミスミ
    「よい! 放っておけ!」
    キュウマ
    「ですが・・・」
    ゲンジ
    「まあ、あの若造がついておる限り無茶はさせぬだろうさ
    それよりも・・・ ミスミ殿
    今のは、いささか言葉がすぎたのではないのかな?」
    ミスミ
    「わかっておる・・・
    じゃが、じゃがっ! わらわは・・・っ!」
    キュウマ
    「ミスミさま・・・」
    ゲンジ
    「とりあえず・・・ 茶でも飲んで落ちつくとしようか
    説教は、それからじゃ」
    アティ
    「ここにいたのね スバルくん
    足が速いから 追いかけるのも大変だったよ」
    スバル
    「・・・」
    アティ
    「よいしょ、っと」
    スバル
    「・・・連れ戻しに来たんじゃないの?」
    アティ
    「また逃げられちゃうと追いつれるか、自信はないんですけど・・・
    逃げずにいてくれるんだから、慌てなくても私の話は聞いてくれるのかな、って・・・」
    スバル
    「む・・・」
    アティ
    「私たちと一緒に戦いたい、って思ってるんだよね?」
    スバル
    「うん・・・
    悔しかったんだよ イスラに捕まって 郷を荒らされて
    あの時、おいらはなんにもできなかった 先生にも、あんな無茶させて・・・」
    アティ
    「気にしてないよ そんな・・・」
    スバル
    「先生が許しても おいらは、おいらが許せないんだよ!
    前に、先生 おいらに言ったよな?
    強くなるためには あきらめないことが大切だって
    だから、おいらは今の気持ちをごまかしたくない!
    戦いたいんだ! 母上を、みんなを守るために、戦いたいんだよ!」
    アティ
    「スバルくん・・・」
    スバル
    「ワガママだけ言ってるんじゃないんだぞ ちゃんと稽古もしてる
    キュウマだって これなら、自分の身を守れるって、ちゃんと言ったんだ!
    なのに、母上は許してくれない
    おいらが子供だって決めつけて、なにもわかってくれない」
    アティ
    「(・・・・・・)
    わかってないのはミスミさまだけかな?」
    スバル
    「え?」
    アティ
    「自分の気持ちをミスミさまがわかってくれないってスバルくんは言うけど
    そのスバルくんはお母さんの気持ちを本当にわかってるっていえるかな?」
    スバル
    「あ・・・」
    アティ
    「君のお母さんはね 学校を作る話をした時 私に、こんなことを言ってたよ・・・
    遠い将来、子供たちが大人になった時
    この世界で生きるための力を、学ばせたい、って」
    スバル
    「・・・」
    アティ
    「君のことを大事に思っていなかったら そんなこと、きっと言わないと思う
    さっきだって同じ 君のことが心配だから つい、あんなふうに言っちゃったんだよ」
    スバル
    「わかってらい・・・ それぐらい・・・
    母上は、いつだっておいらのことを一番に考えてくれるんだ
    でも、でもさ・・・
    それを考えちゃったら おいらのしたいことはどうなるのさ!?
    母上の言うとおりに 先生も、戦いには出るなって言うの!?」
    アティ
    「言わないよ」
    スバル
    「え・・・」
    アティ
    「スバルくんがよく考えて、そうしたいって願ったことなんだもの
    だったら、先生は止めたりなんかしない」
    スバル
    「でも・・・」
    アティ
    「自分の気持ちを相手にわかってもらうには 相手の気持ちだって知らなくちゃいけない
    私は、それを君が忘れちゃってないか確かめたかったの」
    スバル
    「!」
    アティ
    「誰にでも、ゆずりたくないことって、絶対にあると思う
    大人とか、子供とか そんなこと関係ないよ
    真剣に思っていることだったら・・・
    無理にあきらめさせることなんて、誰にもできないって、先生は思ってる」
    スバル
    「先生・・・」
    アティ
    「でもね、スバルくん 君に負けたくないくらい相手が真剣だったらどうする?」
    スバル
    「それは・・・」
    アティ
    「ゆずれない、ってぶつかってばかりじゃ いつまでたってもきりがないよね?」
    スバル
    「・・・・・・」
    アティ
    「ちゃんと話を聞いて お互いの気持ちを知れば、わかりあえるかもしれない
    ケンカしちゃうより そのほうが、ずっとよくないかな?」
    スバル
    「そう、だよな・・・
    キライだ、って言いきっちゃうのはすごく簡単だけど
    そればっかりじゃ 誰とも仲良くなんてできないもんな」
    アティ
    「うん、そうだよね」
    スバル
    「言い返すんじゃなくて あの時、おいらがちゃんと母上の話を聞いていたら・・・
    ちゃんと順番に おいらの気持ちを話していたら・・・」
    アティ
    「それがわかっから どうすればいいのかもう、わかるよね?
    帰りましょう? 帰ってスバルくんの気持ちを、お母さんにちゃんと伝えようよ」
    スバル
    「・・・うん!」
  • ミスミさまをなだめる
    アティ
    「ミスミさま!? 今のは、ちょっと言い過ぎじゃ・・・」
    ミスミ
    「うるさい、うるさい!
    そなたに言われずとも そんなこと、わらわが一番わかっておる!
    わかって・・・っ おるの、じゃ・・・っ」
    アティ
    「(ミスミさま・・・)」
    ゲンジ
    「小僧は、キュウマが追いかけていきおった 心配はあるまい
    とりあえず、茶でも飲んで落ちつくとしようか
    それから、改めて彼女の話を聞いてやれ
    女であるお前のほうが ワシよりは、奥方の気持ちをくむこともできるじゃろ」
    アティ
    「・・・わかりました
    さあ、ミスミさま?」
    ミスミ
    「・・・っ」
    ミスミ
    「すまなんだな みぐるしいところを見せてしもうて」
    アティ
    「だいたいのところは聞きました
    スバルくん、戦いに参加したいと言ってきたそうですね?」
    ミスミ
    「イスラがこの郷を襲撃したことがきっかけになったようじゃ
    あの一件があって わらわは、そなたらと共に戦うことを決めた
    ならば自分も、と考えたのじゃろうな」
    アティ
    「なるほど・・・
    で、それをミスミさまは反対された・・・」
    ミスミ
    「あの子に、戦はまだ早すぎる!」
    アティ
    「それは、どういう意味でですか?」
    ミスミ
    「え?」
    アティ
    「戦うだけの力がないということなら それを指摘してやればすみます
    さっきのように 言葉で強引に押さえつける必要はないんじゃありませんか?」
    ミスミ
    「それは・・・」
    ゲンジ
    「それができないから ああするしかなかった
    そういうことだろう ミスミ殿?」
    ミスミ
    「・・・っ」
    ゲンジ
    「キュウマは、小僧に味方したんじゃよ
    今の力量ならば 戦の足手まといにはならぬはずだとな」
    アティ
    「キュウマさんが・・・」
    ミスミ
    「そんなこと承服できるものか!
    わらわは、あの子を立派に育て上げると 良人の墓前で約束したのじゃぞ
    あの人の代わりに守ってみせる、と なのに・・・
    なぜ、わざわざあの子を危険の中に放り出さねばならぬというのじゃ!?」
    アティ
    「ミスミさま・・・」
    ミスミ
    「こわいのじゃ あの子が、戦で命を落とすのが・・・
    あの人が遺したスバルまで失ってしまったら・・・
    わらわは・・・っ」
    アティ
    「気持ちはわかります
    だけど、ミスミさま 貴方のとった手段はやっぱり、間違いだと私は思います」
    ミスミ
    「っ!」
    アティ
    「貴方は今、こわいと言いましたよね
    その気持ちをそのまま、あの子に伝えるべきだったんですよ」
    ミスミ
    「あ・・・」
    アティ
    「それに、こわいのは貴方だけじゃないはずです
    かつて、身重の貴方が 戦いに向かうリクトさまを案じていたように
    貴方の背中を見ながらきっと、今のあの子も同じ気持ちを感じているはずなんです」
    ミスミ
    「・・・・・・」
    アティ
    「私、スバルくんから聞いたことがあります
    早く、強くなって 父上の代わりに貴方を守りたいって
    貴方が泣かなくてすむように・・・」
    ミスミ
    「あの子が、そんなことを・・・」
    アティ
    「だから、スバルくん 必死だったんじゃないでしょうか?
    大好きな貴方に認めてもらいたくて 必死に考えたんじゃないでしょうか?」
    ミスミ
    「そうか・・・ わらわは、あの子が自分の知らぬ間に
    変わっていてしまうことを、認められずにいただけかもしれぬな」
    ゲンジ
    「うむ・・・」
スバル
「ははうえ!」
ミスミ
「スバル・・・」
スバル
「母上・・・ おいら、本気だよ
遊び半分じゃない! 父上や母上の真似をしたいんじゃない!!
自分のしたいことを できることを、本気で試してみたいんだ!!」
ミスミ
「・・・わかった
ついてきやれ・・・ スバルよ・・・」
キュウマ
「お二人とも、準備はよろしいですか?」
ミスミ
「いつでも構わぬ」
スバル
「・・・っ」
アティ
「まさか、親子同士で戦うなんて・・・」
ゲンジ
「元服・・・鬼人族のしきたりだそうだ
子が親に挑み その力を示すことで一人前として認められる
本来なら、父親の役目らしいがな」
アティ
「だからって・・・」
キュウマ
「・・・はじめッ!」
スバル
「うおぉぉぉっ!!」
ミスミ
「・・・遅い!」
スバル
「ぐあっ!?」
ミスミ
「もたもたするな! 起きるまで、敵は待ってはくれぬぞ!」
スバル
「く・・・くそぉっ」
ミスミ
「召鬼・・・風刃っ!」
スバル
「ううっ! うあっ! うあああぁぁっ!?」
ミスミ
「この程度の妖術をはねのけることもできぬのか!?」
スバル
「くそ・・・っ くそおおぉぉっ!」
アティ
「・・・っ!」
キュウマ
「手出しは無用です アティ殿」
アティ
「だけど、あれじゃあスバルくんが・・・」
キュウマ
「よく、御覧なさい お二人の顔を」
スバル
「ぐぅぅぅぅっ!」
ミスミ
「・・・っ」
ゲンジ
「ワシらが立ち入る場所は、ありはせん
だだ、信じて見守ってやろうではないか・・・」
アティ
「(スバルくん・・・っ)」
ミスミ
「どうした? 亀のように縮こまってばかりでは、らちがあかぬぞ!」
スバル
「・・・っ」
ミスミ
「動けぬのなら・・・ これで、終わりにしてくれるわ!」
アティ
「!!」
スバル
「負けない・・・っ
ここで、負けたら おいら、うそつきになっちゃう・・・
決めたんだ・・・
強い男になるって 母上のことを守れる父上のような、強い男になるって・・・
だって・・・っ」
ミスミ
「スバルぅぅぅっ!!」
スバル
「おいらは・・・ 父上と、母上の息子なんだあああぁぁぁぁぁぁっ!!」
ミスミ
「ふふ・・・ やはり、そなたはあの人の子じゃな
見事な・・・ 雷じゃったぞ・・・」
(バタッ)
アティ
「!」
スバル
「ははうえ!?」
ミスミ
「心配するでない ちょっと、はりきりすぎただけじゃ」
スバル
「ごめんよ・・・っ おいら、夢中で だから・・・」
ミスミ
「わかっておる だから、泣くでない
そなたは、もう 一人前なのじゃから」
スバル
「う、うん・・・っ」
アティ
「ミスミさま・・・」
ミスミ
「のう、先生・・・ そなたの言うとおりじゃったな?
あの子は強ようなった わらわの腕の中に抱えこんでおけぬほど、大きくなった
さびしいが・・・ これで、よかったのじゃろう?」
アティ
「ご立派です・・・」
ミスミ
「うむ・・・」
キュウマ
「ご立派でしたよ スバルさま」
スバル
「キュウマ・・・」
キュウマ
「今日からは、戦場においても、貴方は自分の主君です
共に、戦いましょう」
スバル
「うん、キュウマ おいら、がんばる
父上に恥ずかしくないように!」
アティ
「よろしく頼みますね スバルくん?」
スバル
「おう!」

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