天壌無窮様/不断様
第6話 疑惑と不審の、黒いヤツ
- ライ
- 「さて・・・明日にそなえて 早いとこ寝るかな
おやすみなさーい」 - エニシア
- 「ライさん!」
- ライ
- 「よう、エニシア」
- エニシア
- 「よかった・・・また会えました」
- ライ
- 「友達になるって 約束したもんな
ただ、自分の意志でここに来られないのはキビシイけどな」 - エニシア
- 「いいんです、それでも
こうして、お話できる相手ができただけでもうれしいんだもの」 - ライ
- 「おいおい、話し相手の一人ぐらいは、現実の世界にもいるだろ?」
- エニシア
- 「いることはいるけど気楽におしゃべりができる人じゃないの
ギアンは、あくまで私の世話係なんだって言ってるから・・・」 - ライ
- 「(・・・ギアン?)」
- エニシア
- 「それよりも、ねえ 貴方が暮らしている場所のお話を聞かせて」
- ライ
- 「そんなもん、別に面白くもないぜ?」
- エニシア
- 「いいの! 普通の人が暮らす、普通のお話が聞きたいんだもの
ねえ、お願い」 - ライ
- 「ったく・・・しょうがねーなぁ
つまんなくったってしらねーぞ?」 - エニシア
- 「うんっ♪」
- ライ
- 「(竜を拾う前の話なら別に問題ないよな?)」
- エニシア
- 「すごいなあ・・・宿屋さんだなんて
私も、貴方の作ったお料理食べてみたいよ
おいしんだろうなあ きっと・・・」 - ライ
- 「食いたかったらいつだって食わせてやるって
ここじゃ無理だけど遊びにきてくれれば腕をふるうぜ?」 - エニシア
- 「うん」
- ライ
- 「リシェルやルシアンもきっと、お前のこと歓迎してくれるさ」
- エニシア
- 「うん・・・」
- ライ
- 「エニシア?」
- エニシア
- 「ありがとう・・・でも、無理なの・・・」
- ライ
- 「どうして!?」
- エニシア
- 「夢の中で、こうして会うことはできても
本当の私は、ずっと遠い場所に居るの それに・・・
役目があるから そこから、離れることもできないの」 - ライ
- 「!」
- エニシア
- 「だから・・・ごめんね・・・」
- ライ
- 「(そうか・・・だから、あんな話を聞きたがって・・・)
おい、エニシア 泣くなってば!?」 - エニシア
- 「そ、そうだったよね
泣かないって約束をして、友達になってもらったんだもの
約束は守らないとね」 - ライ
- 「エニシア・・・」
- (ドクン・・・)
- ライ&エニシア
- 「!?」
- ライ
- 「っち、時間切れかよ」
- エニシア
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「しけた顔すんなって
次も絶対、会いにきてやるからさ!」 - エニシア
- 「ライさん・・・」
- ライ
- 「話してないこともまだまだ、たっぷり残ってるしな
だから、楽しみにして待っててくれよ!」 - エニシア
- 「はいっ、待ってます! 私、わくわくしながら待ってますから!!」
第8話 流れ三味線、はぐれ弾き
- ライ
- 「さて・・・明日にそなえて早いとこ寝るかな
おやすみなさーい」 - エニシア
- 「なにか・・・ あったんですか?」
- ライ
- 「え、別に・・・」
- エニシア
- 「ウソをついてもダメ
顔を見たらわかります いつもの元気が全然ないんだもの」 - ライ
- 「まいっちまったな ははは・・・」
- エニシア
- 「ねえ、私じゃあ 貴方の相談相手にはなれないですか?」
- ライ
- 「え?」
- エニシア
- 「やっとできた大切なお友達なんだもの
困っているのなら 力になりたいよ」 - ライ
- 「エニシア・・・
(なんか心配させてるみたいだし・・・
差しさわりのない程度だったら、相談してもいいよな?)」 - エニシア
- 「大切な人たちを 危険な目にあわせてしまった・・・
それで、元気がなかったんだね」 - ライ
- 「ああ、自分じゃ気づいてなかったみたいだけどな」
- エニシア
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「エラそうに守るとか 絶対責任はとるとか言ってたくせにさ
結局、周りに迷惑をかけちまってんだ
ああ、情けねえ・・・」 - エニシア
- 「そんなことないです!
ライは情けなくなんかない」 - ライ
- 「エニシア・・・」
- エニシア
- 「本当に情けない人なら 失敗した時、すぐに逃げ出そうとするよ
でも、貴方はちゃんと失敗に向き合おうとしてるじゃない?」 - ライ
- 「!」
- エニシア
- 「責任を感じているのはそれだけ、貴方が優しいからだよ
それがわかる人なら 絶対に貴方のことを責めたりしないはず
きっと応援してくれる だから、元気を出して」 - ライ
- 「・・・はははっ
不思議だよな・・・エニシアにそうやってはげましてもらうと
なんか、本当に元気になっちまう気がするよ」 - エニシア
- 「あ・・・え、えーっと・・・
ごめんなさい・・・つい、興奮しちゃって 勢いだけで・・・」 - ライ
- 「気にすんなって 勢いだけなのはオレも似たようなもんだし
そういう勢いってのが今のオレには、足りてなかったのかもな」 - エニシア
- 「うん、そうかも・・・」
- (ドクン・・・)
- ライ&エニシア
- 「!?」
- エニシア
- 「時間切れ、みたいだね」
- ライ
- 「わりぃ、オレのこと元気づけてもらうだけになっちまったな」
- エニシア
- 「ううん、いいの 貴方には、いつも笑顔でいてほしいし
そうすれば、私も ずっと笑顔でいられる そんな気がするから」 - ライ
- 「じゃあ、次は二人とも笑って過ごせるようにしなくちゃな?」
- エニシア
- 「うんっ♪」
第12話 キミの言葉が、悲しくて・・・
- 聞こえる・・・ あの笛の音が・・・
済みきっていてとても優しくて なのに・・・
どこか、さびしげで悲しそうな、彼女の笛の音が・・・
エニシア・・・っ! - エニシア
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「・・・エニシア?」
- エニシア
- 「ライさん? どうしてここに・・・」
- ライ
- 「笛の音が聞こえたから必死になって捜したんだよ
おまえに会いたいって思いながらな」 - エニシア
- 「そうだったんだ・・・うれしいよ・・・
私も、貴方に会いたいって思っていたの
でも、どうしたらいいのかわからなくて
だから、笛を吹いたの この曲が、貴方の所に届けばいいな、って」 - ライ
- 「ちゃんと届いてたぜ? だから、こうやってやって来れたんだ
おまえの笛が、オレを呼んでくれたんだよ」 - エニシア
- 「うん・・・本当に、そうだったらうれしいな・・・」
- ライ
- 「だけど、よかったぜ また、ここでこうして会うことができてさ
あれっきりだったらあまりにも、ひでえオチだもんな」 - エニシア
- 「うん、でもね・・・
私たちを取り巻く状況は、なにひとつ変わらないんだよ?」 - ライ
- 「・・・っ」
- エニシア
- 「もう一度だけ会いたかったのはね
きちんと、貴方とお別れがしたかったからなんだよ」 - ライ
- 「!?」
- エニシア
- 「貴方とお友達になれて本当にうれしかったよ
外の世界の楽しい話をいっぱいしてくれて、笑わせてくれて
とても楽しかったよ ずっと、夢が続いたらいいなって思ってた」 - ライ
- 「続くさ!? 終わったりなんかするもんかよ!?
醒めちまったって その時は、また夢の続きを見ればいい
それだけのことじゃねえかよっ!?」 - エニシア
- 「できないよ・・・楽しい夢を見ることはもう、できないの
つらい現実を、知ってしまったから・・・」 - ライ
- 「エニシア・・・」
- エニシア
- 「みんなのためにも 私は「姫」のままでいなくちゃいけない
貴方だってそうでしょう?
大切な人たちのために 私たちと戦わなくちゃいけないんでしょ?」 - ライ
- 「・・・っ」
- エニシア
- 「出会わなければよかったなんて思ったりしないよ
貴方との思い出は大切にとっておくよ 絶対に忘れない
だから、お願いだよ ライ・・・
このまま、笑ってお別れしてください お願いだから・・・」 - ライ
- 「エニシア・・・」
- わかった・・・
- ライ
- 「わかった・・・ わかったよ、エニシア
オレも絶対に忘れない お前と会えて、本当によかったと思ってる」 - エニシア
- 「ライさん・・・」
- ライ
- 「泣かないって、オレと約束しただろうが? そしたら・・・」
- エニシア
- 「は、はい・・・っ おともだちに、なってくれる、って・・・」
- ライ
- 「ああ、そうさ お前がこの先も約束を守ってくれるのなら
オレたちは、ずっと友達でいられるんだ
たとえ・・・ 敵味方に別れて、争うことになったってな」 - エニシア
- 「・・・うん」
- ライ
- 「それじゃ、エニシア 元気でな・・・」
- エニシア
- 「ライさんもお元気で・・・」
- ライ
- 「さよならだエニシア!」
- (エニシア)
ありがとう・・・ ライさん 貴方の笑顔が・・・
大好きでした・・・
- 絶対にイヤだ!」の場合
- ライ
- 「イヤだ・・・
そんなの、オレは絶対にイヤだ!! 認めねえッ!!」 - エニシア
- 「困らせないで ライさん」
- ライ
- 「知ったことかよ!? 困らせたって、イヤなもんはイヤなんだ!!
納得できねえことにうなずくなんて、ウソでもできねえよッ!
エニシアだって本当はそうなんじゃないのかよ!?」 - エニシア
- 「え・・・」
- ライ
- 「本当に、お前はオレとお別れしたいと思ってんのか・・・
心の底から納得してオレとお別れしようと思ってるのかよ!?」 - エニシア
- 「そんなこと・・・っ
そんなこと、あるわけないじゃないっ!!
私だって、本当は貴方とお別れなんかしたくないよっ!?
納得なんかしてない! せっかく、仲良しになれたのに・・・
ずっと、側にいたいよ ずっと・・・っ」 - ライ
- 「なら、あきらめるなよ 絶対、オレがなんとかしてみせるから」
- エニシア
- 「でも・・・っ」
- ライ
- 「だいじょうぶだ!
オレたちが、こうして仲良くなれたんだ
きちんと話をすることさえできれば、きっと戦わなくてもすむ
そういう方法が、絶対あるはずなんだ!」 - エニシア
- 「本当に・・・?」
- ライ
- 「ああ、だからエニシアも、オレに力を貸してくれ
お互いの仲間を説得して、戦わなくてもすむようにしよう
そうすれば、きっとうまくいくはずさ?」 - エニシア
- 「・・・うん」
- ライ
- 「困った時は、またここで相談をしよう
二人でがんばるんだ!」 - エニシア
- 「うんっ!」
第18話 はばたき、空へと突き抜けて
- ライ
- 「偶然の出会いだって今までは思っていた だけど、もし・・・
「響界種」の能力が二人の心をつないでくれていたのなら
(姿を見せてくれよ エニシア・・・
無事でいるんなら今すぐに、オレのこと呼んでくれよッ!!)」 - エニシア
- 「ひっく・・・っく、ひっく・・・」
- あーあ・・・やっぱ、予想どおり泣いてやがったな?
- ライ
- 「ったく・・・オマエって、やっぱ泣き虫だよなあ」
- エニシア
- 「・・・ライ?
ホントに、ホントのライなの?」 - ライ
- 「ああ、そうだぜ 前に約束したとおり
オマエが泣いてるから叱りにきてやったのさ」 - エニシア
- 「・・・っ!!」
- ライ
- 「お・・・おいっ!?」
- エニシア
- 「よかった・・・っ もう絶対会えないって思っ、てたのに・・・
きて、くれた・・・っ ライが・・・きてくれた・・・っ
うわああぁぁんっ!!」 - ライ
- 「エニシア・・・」
- ライ
- 「・・・落ち着いたか?」
- エニシア
- 「うん・・・ゴメンね、また約束破っちゃった・・・」
- ライ
- 「今回だけは特別だ 見なかったことにしといてやるよ
ともかく、無事でなによりだ」 - エニシア
- 「あれから、ギアンは私を部屋に閉じこめたきりだから・・・」
- ライ
- 「じゃあ、今の様子を知ることも、逃げることも無理か・・・」
- エニシア
- 「うん・・・だけど、なんとなく気づいてはいるの
ギアンは、きっと今 とても恐ろしいことを考えてるんだよね?」 - ライ
- 「・・・・・・」
- エニシア
- 「そう、なんだね・・・」
- ライ
- 「アイツは、自分自身を至竜へと変える儀式を行おうとしている」
- エニシア
- 「!?」
- ライ
- 「そうすることで幻獣界へと向かう門を開こうとしているんだ」
- エニシア
- 「どうして・・・そこまでして・・・」
- ライ
- 「・・・復讐のためさ
ギアンは、自分を見捨てた父親に復讐を果たすためだけに
今まで、ずっと生きてきたんだよ」 - エニシア
- 「ウソだよっ!? そんなの・・・」
- ライ
- 「ウソじゃない!! オレは直接、アイツの口から聞いたんだ!
オマエだって・・・うすうすとは気づいていたんだろう?
自分のことを話す時 ギアンは、笑みさえ浮かべるけれど
目だけは笑っていない 冷たく、とがった光を放っていることに」 - エニシア
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「それに・・・ギアンは、オマエも犠牲にするつもりだ」
- エニシア
- 「・・・っ!?」
- ライ
- 「「至竜」になったコーラルが教えてくれたんだよ
エニシアの能力なら幻獣界まで行くことはできるけど・・・
引き替えに、おそらく命を落とすことになる」 - エニシア
- 「そっか・・・
はじめから、無理な願いだったんだね?」 - ライ
- 「エニシア・・・」
- エニシア
- 「でもね、私はそれで死んじゃうかもしれないけれど・・・
ギアンの願いはかなうんだよね?」 - ライ
- 「な・・・ッ!?
なに、バカなことを考えてんだよッ!?
死んじまうんだぞ!! わかってんのかッ!?」 - エニシア
- 「わかってるよっ!?
でも・・・ギアンは、私の命の恩人なんだよ!?
私を牢から助け出してくれて、今までずっと守ってくれたんだよ」 - ライ
- 「だから、それはオマエの能力を利用するためで・・・」
- エニシア
- 「そんなんじゃない!!
ギアンは、優しくしてくれてたよ・・・っ
ウソじゃ、ない・・・それだけは絶対、ウソじゃないよ・・・」 - ライ
- 「エニシア・・・っ」
- (ドクン・・・)
- ライ&エニシア
-
「!?」
- (ドクン・・・)
- (ギアン)
ソウカ・・・ソウヤッテ、マタ・・・邪魔スル、気カ・・・
許さナイ・・・ユルサ、ないぞ・・・ - (バチバチッ)
- (ギアン)
これ以上、エニシアの心をかき乱すなァッ!! - (雷鳴)
- エニシア
- 「ギアン・・・っ」
- ギアン
- 「裏切らせないよ・・・君だけは、絶対に私を裏切らせない・・・
裏切れるはずないッ!
だって、そうだろう? 私は、常に君の望みをかなえてきたんだよ
いつでも、なによりも優先して、君の願いをかなえてきたんだ?
それを忘れたと、君は言うつもりなのか!? なあ、エニシアッ!」 - エニシア
- 「やめてえぇーっ!!」
- ライ
- 「やめろッ、ギアン!!
好意でやったことを恩着せがましく言うんじゃねーよッ!?」 - ギアン
- 「・・・なにィ?」
- ライ
- 「たしかに、テメエはエニシアを大事にしてきたのかもしれねえ
けどな、それは全部テメエが自分の意志でやったことだろ!?
そうしてほしいってエニシアに頼まれたんじゃねーだろッ!?」 - ギアン
- 「同じことだッ!!
彼女は望んだんだ! 願ったんだッ!?
だから、私はそれをかなえてやったんだ 言い出せずにいた
彼女の気持ちを察して 幸せでいられるようにしてやったんだ!!
どこがいけないッ!?」 - ライ
- 「オマエ・・・本気で、そう思っているのかよ・・・」
- エニシア
- 「もう、いいよ ライ
ギアンの言いたいこと 私は、よくわかるもの」 - ライ
- 「エニシア・・・」
- エニシア
- 「甘えていたんだよ 私は・・・
ギアンの優しさを 当然のものみたいに誤解したままで
ずっと、今日まで甘え続けていたの
今まで拒まずにいたこと自体が、きっとその証拠だもの
ごめんね、ギアン ずっと気がつかなくて その代わり・・・
今度は、私が貴方の願いをかなえるためにお手伝いするから」 - ギアン
- 「エニシア・・・」
- エニシア
- 「・・・行こう?」
- ライ
- 「納得いかねえ・・・
オレは、そんなんじゃ納得できねーぞッ!? エニシアッ!!」 - エニシア
- 「困らせないで・・・」
- ライ
- 「知ったこっちゃねーよ オマエが、それで納得したとしても・・・
オレは認めねえッ!! 絶対に、オマエを助けだしてみせる!!
嫌われたって 絶交されたって構うもんかよ
オマエが死んじまうのだけは、オレは絶対に認めねーからなッ!」 - エニシア
- 「ライ・・・っ」
- ライ
- 「ギアン・・・テメエも、よぉくおぼえとけよ?
必ず、オレがテメエのたくらみを止めてみせるからな
覚悟しやがれッ!!」
エンディング
- ルシアン
- 「ありがとうございます また、お越しください」
- ライ
- 「ギネマ鳥のオムレツにソレルクの甘辛煮込みあがったぜ!」
- リシェル
- 「はいはい、了解! お次は海賊風焼き飯ふたつ、よろしく!」
- ライ&リシェル
- 「つ・・・っ つかれたあぁ・・・っ」
- ルシアン
- 「二人とも、ほんとにおつかれさま」
- ライ
- 「おう、ルシアンもおつかれさん」
- リシェル
- 「にしても、最近のお昼時って、戦場そのものよねえ
ちょっと前まではお客が列を作るなんてありえなかったもん」 - ルシアン
- 「それはそうだよ! なんたって、今のライさんは
「ミュランスの星」が認めた、帝国最年少の有名料理人だもの
噂を聞いて、遠くから食べに来る人たちもいるくらいなんだよ」 - リシェル
- 「有名料理人ねぇ・・・」
- ライ
- 「そんなのは、他人が勝手に騒いでるだけさ
オレはただ、ずっとこの町でうまいメシを作り続けながら
もっと、みんなに喜んでもらいたいだけ それだけでいいんだ」 - リシェル
- 「けど、原因はともかく 人手不足は深刻よ!?」
- ライ
- 「たしかに、オマエらに手伝わせるのも限度があるしなあ・・・」
- リシェル
- 「そもそも、あたしたち無償で手伝ってあげてるんだからね?
これ以上、こき使うんなら、本当にお給金要求しちゃうわよ?」 - ライ
- 「ぐ・・・っ」
- ルシアン
- 「まあ、お給金の話は冗談ってことにしても
ねえさんも僕も毎日確実に手伝えるってわけにはいかないし
アルバイトを雇うのは考えたほうがいいかも」 - ライ
- 「うーん・・・わかっちゃいるけど でもなあ・・・
ウチの仕事はきついし 人間以外の常連だってたくさんいるから
募集をしたところで人が来てくれるか不安なんだよなあ・・・」 - エニシア
- 「・・・じゃあ、私を雇ってみませんか?」
- ライ
- 「え???
え、エニシアっ!?」 - エニシア
- 「えへへへ・・・ただいま帰りました ライ」
- リシェル
- 「ホントのホントにエニシアなの!?」
- エニシア
- 「ほんとのほんとにエニシアだよ リシェルさん」
- ルシアン
- 「だけど・・・貴方は、あの後 元の姿に戻った
ギアンたちと一緒に幻獣界へと旅立ったはずじゃあ・・・」 - ライ
- 「もしかして、途中でなんかあったのか!?」
- エニシア
- 「ううん、無事にメイトルパにはたどりつけたよ
カサスや子供たちも 仲間と再会できてすごく喜んでた」 - ライ
- 「お母さんとは・・・ちゃんと会えたのか?」
- エニシア
- 「うん・・・
半妖精の私は、掟で「妖精郷」に入ることはできなかったけど
ちゃんと、お母さんに会うことはできたよ
大きくなったね、って頭をなでてもらってうれしかった・・・」 - ライ
- 「そっか・・・」
- ルシアン
- 「願いをかなえたからこっちに戻ってきたってことなんだね」
- リシェル
- 「でもさ・・・そんなにもあっさり行き来できるワケ?
あんたとギアンとコーラルが力を合わせてさ
なんとか無事に門を開くことができたんでしょ?」 - エニシア
- 「帰る時は、お母さんが門を開いてくれたからずっと簡単だったの
もちろん、みんなの手助けがあったからなんだけどね」 - ライ
- 「・・・ってことは!?」
- コーラル
- 「恥ずかしながら・・・帰ってきました・・・」
- リシェル
- 「コーラルっ!?」
- セイロン
- 「あっはっはっは♪ 皆、息災のようでなによりだな」
- リビエル
- 「世界に最期が来てもこの人たちは、絶対生き残るクチですわ」
- ルシアン
- 「セイロンさん!? リビエルちゃん!?」
- クラウレ
- 「お前たち、少しは遠慮というものを考えてだな・・・」
- アロエリ
- 「気遣いは無駄というものです、兄さま
出戻りの時点でもうとりつくろいようもないんですから」 - セイロン
- 「うむ、勝手知ったる他人の家というヤツだ」
- クラウレ
- 「そ、そうか・・・」
- ライ
- 「うはははは・・・まあ、当然だよな この状況は・・・」
- コーラル
- 「この世界でやりたいことや、知りたいこと まだまだ、あるから
もう少しだけ、ボクを見守っててください お父さん・・・」 - ライ
- 「ったく・・・しょうがねーなあ オマエは・・・」
- リビエル
- 「そういう具合で 私たちも、同行してきたわけですわ
「守護竜」を補佐する「御使い」として、ね」 - アロエリ
- 「ああ、使命だからな オレたちは、全力でそれを果たすまでだ」
- リシェル
- 「そんなこと言ってさあ ホントは、リビエルもアロエリも・・・
帰ってこれて、結構ホッとしてるんじゃないのぉ?」 - アロエリ
- 「ななっ、なにをッ!?」
- ルシアン
- 「でも、これでまた ライさんの美味しいゴハンが
食べられるのは正直うれしいでしょ?」 - リビエル
- 「それはまあ・・・否定はしませんけど」
- アロエリ
- 「実際、くつろいでしまっているのは事実だし・・・」
- エニシア
- 「あ、あのぉ・・・」
- ライ
- 「おっと・・・わりぃな、エニシア 勝手に盛りあがって
もちろん、エニシアが手伝ってくれるのなら大歓迎だぜ?」 - エニシア
- 「うんっ、がんばるよ!」
- リシェル
- 「ちょっと待った!? まさかとは思うけど、ライ・・・
エニシアと一緒にこの家で暮らすつもりじゃないわよねえ?」 - ライ
- 「いいだろ、別に? 部屋は余ってるし」
- リシェル
- 「そーいう問題じゃあなくってさぁ!?」
- エニシア
- 「私もね、そのほうが本当はうれしいなあって思ったんだけど
保護者が・・・」 - ライ&リシェル
- 「保護者???」
- レンドラー
- 「住みこみで働くなど言語道断ですぞ!? 姫さまっ!!」
- ライ
- 「げげっ、レンドラーのオッさんっ!?」
- ギアン
- 「社会勉強のために働きたいという志は認めはしたが・・・
あくまで、自宅から通うのが約束だっただろう、エニシア?」 - ライ
- 「ギアン・・・オマエまで、戻ってきてたのかよ・・・」
- ギアン
- 「ふん、当たり前だ ボクは、エニシアの兄代わりだからな
彼女が幸せになるまで、責任をもって守らせてもらう
恩人とはいえども そこは、きっちりとさせてもらうぞ?」 - レンドラー
- 「場合によっては・・・わかっとるな、小僧?」
- エニシア
- 「もぉーっ、ギアンもレンドラーも、心配しすぎだってば!?」
- ライ
- 「う、うははは・・・っ」
- リシェル
- 「やれやれ・・・」
- ルシアン
- 「だけど、自宅ってどこに借りたの?」
- セイロン
- 「わざわざ、借りる必要などあるまい
我らにとっての家は この宿屋と、そしてもうひとつのみ!」 - ライ
- 「ま、まさか・・・」
- ライ
- 「ああ・・・やっぱり・・・」
- エニシア
- 「心配しなくても すぐに町の上からはどかしておくから」
- ライ
- 「いや、そーいう問題じゃなくてな・・・」
- グラッド
- 「こらぁーっ!! まーた、お前たちの仕業かぁーっ!?」
- ミント
- 「あ、エニシアちゃん やっぱり、帰ってきちゃったんだね」
- ポムニット
- 「姫さま・・・お帰りなさいまし」
- ライ
- 「ああっ、もう・・・なにがなんだか・・・」
- グラッド
- 「とにかく、さっさとあの物騒なシロモノをなんとかしろっ!?」
- エニシア
- 「はい、わかりました!
手伝ってくれるよね? ライ」 - ライ
- 「ちょ・・・っ!? え、エニシアっ!?」
- (エニシア)
はしゃいじゃってごめんね・・・
でもね、うれしくてうれしくて、たまらないの
こうやって、貴方と手をつないでいられるのが
夢の中だけじゃなくて これからは、すぐ近くで一緒に思い出を作っていける
それが、新しい私の願い なによりの幸せ・・・ - 大好きだよ、ライ
泣き虫の私に勇気をくれた王子さま
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