【夜会話】リシェル(ライVer.)

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パッチ様/sitora0602様

第3話 ドキドキ、はじめての御使い

リシェル
「そっか・・コーラルの親はもういないんだ」
ライ
「親元に帰してやるのは無理になっちまったな」
リシェル
「そうね
けど、だとしたらこの先どうするの?
あたしは、ずっと面倒みたっていいと思ってるけどさ
ポムニットやグラッドさんからしてみれば
話が違うってことになっちゃわない?」
ライ
「けど、だからって中途半端でほうりだすつもりなんてねえよ
すくなくとも他の御使いってのが見つかるまでは
面倒みてやるつもりさ」
リシェル
「よかった・・・」
ライ
「最悪、そいつらが出てこなかった時には
クソ親父の野郎をふんづかまえて責任とらせてやる
なんてったって諸悪の根元だからな!」
リシェル
「あははは・・・」
ったく・・・無責任な親をもつと苦労するぜ・・・

第4話 素敵な若さま、大暴走!

リシェル
「そっか・・・セクター先生に叱られたんだ
道理で、やたら素直に自分から謝ったワケね」
ライ
「あの先生にだけはどうしても頭があがらねーんだよなあ
ガキの頃からさんざん怒られてる相手だしな」
リシェル
「わかるなぁ、それ
あたしも先生の前じゃ自然に言葉づかいとか改まっちゃうしさ」
ライ
「二人そろってバケツもって立たされたもんな」
リシェル
「あの頃が、一番楽しかったなあ
毎日、どんなことして楽しく遊ぶか、そんなことばっか考えてさ
なんにも知らない子供だったから、泣くのも怒るのも自由だった」
ライ
「今はもう、そういうワケにはいかねーしな
中途半端に大人だから いまさら、ガキっぽくもしていられねえ
もしかすると、一番めんどくさい時期なのかもな、オレたち」
リシェル
「ま、偉そうにこんな話をしてる時点で、子供とはいえないわね」
ライ
「ははっ、そりゃそうだ」
それでも、多分まわりから見たらガキなんだろうな

第5話 今はもう、戻れない場所

リシェル
「あーっ、もおっ!なんなのよ、あの暴力女はっ!!」
ライ
「まだ怒ってんのかよ」
リシェル
「あったりまえよ!
偉そうな口を叩いたくせして、あっさり出戻っちゃってさ
あたしだったら、絶対恥ずかしくって、顔も見せられないのに」
ライ
「そんな恥をかぶってもあいつは戻ってくると決めたんだぜ
そんだけ、反省してるってことじゃねえか?」
リシェル
「それは・・・」
ライ
「カンベンしてやれよ」
リシェル
「わかったわよ・・・
でも、ポムニットにはちゃんと謝ってほしいものだわね
あの子、ものすごく心配してたのに」
ライ
「そうだな そのことはちゃんとアロエリに言うよ
けどお前って・・・」
リシェル
「な、なによ?」
ライ
「なんだかんだ言ってポムニットさんのこと大事にしてるよな
普段はあれだけ迷惑をかけまくってるくせに」
リシェル
「あ、あたしは特別っ! だって、あの子はうちのメイドなんだし
迷惑かけるのが義務でお世話をするのが権利なんだからねっ!?」
ライ
「ぐちゃぐちゃだぞ? お前の言ってる理屈」
リシェル
「うるさいっ、うるさい うるさあぁーいっ!?」
結局のとこ、こいつはポムニットさんに甘えてるんだよなあ

第6話 疑惑と不審の、黒いヤツ

リシェル
「ケガ人を置いてさっさと行っちゃうなんてさ
ホント、あいつらって身勝手すぎるわよね」
ライ
「そんな言い方するなよ
急がなきゃならない任務だから、仕方なくそうしたんだろ?」
リシェル
「任務だ、急ぎだ、ってそんなのは言いわけにしかならないわよ!
置いていかれる側からすれば、なぐさめにもならないわ・・・」
ライ
「リシェル・・・」
リシェル
「わかっちゃうのよ アルバの気持ち
いくら、うわべをとりつくろってもらっても納得したつもりでも
置いてけぼりにされたさみしさは、やっぱり消えたりはしないよ
あんただって、それは知ってるはずでしょ?」
ライ
「まあ、な・・
けど、ふてくされてもなんにも始まらねーし
わりきるしかねえって」
リシェル
「なによ、大人ぶってさ
どうせ、あたしはふてくされてばかりの子供ですよーだっ!」
ライ
「ったく・・・
けど、ある意味じゃあ たいしたもんかもな」
リシェル
「え?」
ライ
「そうやって、他人のために、腹をたててやれることがだよ
自分のことでさえ はっきりと不満を口にするのは
なかなか、できるもんじゃねーしな」
リシェル
「なによ、それ つまり、単純だっていいたいワケ?」
ライ
「からむなって これでも、ほめてるつもりなんだからさ
単純だから悪いってもんでもねーだろ?」
リシェル
「そりゃまあ・・・ そうだけど・・・
なんだか、ちっともほめられてる気がしないなあ」
ライ
「ったく・・・めんどくさいヤツだな オマエって・・・」
リシェル
「あーっ!? 今のは、間違いなくけなしたでしょ!?」
あいててっ!? こらっ、ひっかくな! おい・・・っ!?

第7話 お魚たずねて、秘密基地

リシェル
「まさか機械兵士まで出てきちゃうなんて思わなかったわよ」
ライ
「それなんだけどな 出くわした相手があんなんだったから
どうもイマイチ機械兵士のこわさってわからねーんだよな
あのグランバルドって なんか間の抜けたしゃべり方してたし
機械人形についても まあ、似たような感想なんだけど
ぶっちゃけ、お前が言うほど物騒なもんなのか?」
リシェル
「あーっ、なによ? 疑ってるワケ?
そりゃ、たしかにあの連中はちょっとぬけてたけどさ
でも、実際の話 機械兵士ってのは本当に恐ろしいのよ
王国時代よりも前に ある都市が機械兵士の軍団に襲撃されてね
ひと晩でガレキの山にされちゃったんだって」
ライ
「ホントかよ、それ?」
リシェル
「派閥の文献に書いてあったんだもん デタラメじゃないよ」
ライ
「しかし、そいつらどうやって退治されたんだ?」
リシェル
「勇敢な騎士たちが機械兵士を操ってた移動要塞に侵入して
制御装置を破壊して活動を止めたんだって
ただ、無事に帰ってこられてのは見習いの騎士一人だけで
他の騎士はみんな不思議な光に包まれて消えちゃったそうよ」
ライ
「うさんくさい話だな やっぱ・・・」
リシェル
「ホントだってば! ちゃんと、騎士団の名前も載ってたし!
たしか、エ・・・エストなんとかっていう名前のはずよ」
ライ
「わかった、わかった
なんにせよ、なめてかからないようには気をつけるさ」
リシェル
「うん、それが賢明ね」
ああいう連中だからなんとか勝ててるって部分もあるしな・・・

第8話 流れ三味線、はぐれ弾き

ライ
「しっかし、お前も無茶しやがるなあ
ポムニットさんがいくら心配だからって飛び出すなんてさ」
リシェル
「だって、本当に心配だったんだもん しょうがないでしょ」
ライ
「まあ、気持ちはよくわかるぜ 責める気もねえよ
でも、次もああしてうまく助けが入るとは限らねーからな」
リシェル
「だね・・・アルバとシンゲンには感謝しないと・・・」
ライ
「今日みたいなことが二度と起こらないようにするためにも
一刻も早く、残った御使いを見つけだすしかなさそうだな
コーラルが守護竜の力を全部継承しちまえば
あいつらだって手出しができなくなるだろうし」
リシェル
「でも、そうしたらあの子とは、お別れになっちゃうんだよね」
ライ
「リシェル・・・」
リシェル
「わかってるよ いつまでも、今のままじゃいられないのは
でも、やっぱりさびしいよ
こんな形じゃなくてもっと別の出会いならよかったのにね?」
ライ
「だな・・・」
それはありえないってわかってても、やっぱツライよな・・・

第11話 うつろなるもの、来たりしもの

ライ
「ロレイラルの機械で強化された兵士、か
まさか、先生がそんなものにされていたなんてな・・・」
リシェル
「うん、あたしもまだ信じられないくらいよ
先生のあのケガは軍人だった時のものだって聞いていたし」
ライ
「必死に隠し続けてきたんだろうな
杖をついてたのもそのための演技だったのかもしれない」
リシェル
「ううん、それは違うとあたしは思うんだ」
ライ
「え?」
リシェル
「機械は強力になるほどそのぶん精密になっていくものなのよ
定期的に整備しないと動作に支障が出るし壊れたりもするの
きっと、そのせいで本当に具合が悪くなってたんだよ」
ライ
「でも、戦ってるときは全然そんな様子には見えなかったぞ?」
リシェル
「復讐に向ける執念で限界を超えているのかあるいは・・・
壊れても構わないって覚悟してるとか・・・」
ライ
「バカ野郎っ!? お前、そんなことあるわけが・・・」
リシェル
「・・・」
ライ
「・・・くッ!!」
リシェル
「パパから・・・聞いた話なんだけどさ
何年か前に起こった「傀儡戦争」のことおぼえてる?」
ライ
「ああ、悪魔が侵略してきたっていうアレだな」
リシェル
「あの時、悪魔たちが本当に狙っていたのはロレイラルの技術で
召喚獣を機界の技術で戦闘兵器に作り替える方法だったらしいの」
ライ
「!?」
リシェル
「「ゲイル計画」って呼ばれてたんだって
先生が受けた処置がどんなものかは知らないけど・・・
目指していた目的は多分、同じだろうね」
ライ
「どっちにしたって許せないことには違いねえーよ・・・
命あるものを兵器に作り替えちまう技術なんてのはよッ!」
リシェル
「だよね・・・
「ゲイル計画」が間違っていたって気づいたから
昔の召喚師たちはその技術を封印して隠してきたんだもの
同じ間違いを繰り返すなんて、バカなことはしちゃダメだよね?」
ライ
「あったりまえだッ!!」
それじゃ、あまりにも救いようがなさすぎるじゃねえかよ・・・

第13話 思い願うこと、貫くこと

ライ
「結局、あれっきり先生は見つからずじまいか・・・」
リシェル
「仕方ないわよ偏光迷彩なんて使われちゃったら」
ライ
「なあ、それってなんなんだ?」
リシェル
「光を曲げることで姿を隠す、機界の偽装技術のことよ
人間の目じゃ、まず見つけることは無理なんじゃないかな」
ライ
「そっか・・・
なんか、そういう説明聞くと、イヤでも実感させられちまうよな
先生が、やっぱ普通の身体じゃないってことをさ」
リシェル
「だね・・・
だけど、あたしたちにとっては、やっぱり先生は先生だよね?」
ライ
「そんなの当たり前だ 考えるまでもねーよ」
リシェル
「あーっ、こんなことになるって前もってわかっていたんなら
機界の科学技術とかもっと勉強しとけばよかった!
そしたら、あたしが先生を治療してあげられたのに・・・」
ライ
「リシェル・・・
なら、今からそのぶん取り戻せばいいだけのことじゃねえか?」
リシェル
「え?」
ライ
「まだ、充分に間に合う・・・そうだろ?」
リシェル
「う、うんっ! そうだよねっ? 間に合うよね!?」
ライ
「とにかく、オレは力づくでも先生を引っ張り戻してくる
お前の出番はそれからだぜ?」
リシェル
「ふん、あたしのこと誰だと思ってるワケ?
金の派閥の幹部職 機界の召喚師ブロンクス家を
しょって立つ うるわしき紅一点リシェル様よっ!
ビシッと決めるからまっかせなさいっ!」
ライ
「おう、その意気だぜ!」
そのためにも、絶対に先生をここに連れてこないとな!

第14話 来訪者たち、彼方より

リシェル
「なんなのよ、もおっ ギアンのヤローめ!
角が生えてぴかーっと光ったら元通りだなんてさあ
反則よっ、反則っ! インチキするにもほどがあるわよ!!」
ライ
「まあ、アレには正直びびったけどもな」
リシェル
「はぐれ召喚獣に・・・「響界種」か・・・
今まで、あたしそういうことマジメに考えたことなかった
原因を作った召喚師の一人なのにね・・・」
ライ
「別に、オマエが責任感じる必要なんてねーだろうがよ」
リシェル
「ありがと だけど、やっぱり無関係じゃないよ
召喚師である以上知らんぷりできない問題だって思うの
ううん、きっと知っておかなきゃいけないことなんだ」
ライ
「リシェル・・・」
リシェル
「ポムニットやエニシア カサスさん、みんなつらい思いをしてる
クラウレとかギアンも そりゃあ、ムカつくし うっとおしいけどさ
そうなったのは、多分あたしたち人間のせいでもあるんだと思う」
ライ
「そうかもな・・・
でも、だからこそ どこかで止めなくちゃいけないんだ
ギアンがなにを望んでいるのかは、オレにもまだわからないけど
そのために、悲しい思いをしてるヤツらがたしかにいるんだ
オレは、そいつらを助けてやりたいんだ」
リシェル
「ライ・・・
まあ、エニシアだけは なんとしてでも助けてあげたいわよねー?
なんていったって かわいそうなお姫様だもんねー?」
ライ
「な、なに言ってんだよ オレは、そんなこと考えてなんか・・・」
リシェル
「なんで、そこで赤くなるかな・・・」
ライ
「なんだよ、おい? オマエこそ、なんでムッとするんだよ?」
リシェル
「べっつにーっ! なんでもないですよぉーっだっ!!」
ライ
「待てよ、リシェル!? おい、待てってば!?」
なんなんだよ・・・まったく・・・

第16話 相談イベント

第16話 相談イベントに掲載

第18話 はばたき、空へと突き抜けて

リシェル
「ふーん、やっぱ眠れずにいたんだ?」
ライ
「オマエ、なんでこんなところにいるんだよ?」
リシェル
「決まってるじゃない あんたが帰ってくるの待っててあげたのよ
どうせ、こんなことだろうって思ったから
わざわざ話し相手になりにきてあげたの 感謝なさいよね?」
ライ
「リシェル・・・」
リシェル
「あんたって、昔から人前じゃ平気で大口かましちゃうクセに
一人になった途端に色々と余計なことを考えちゃうのよねえ」
ライ
「それは、オマエだっておんなじだろーがよ?
その場の勢いとノリでとんでもないことを安請け合いしてさ
そのつじつま合わせにオレやルシアンは苦労しっぱなしだったぜ」
リシェル
「そんなの当たり前よ それが、あんたたちの役目なんだもん」
ライ
「ったく・・・」
リシェル&ライ
「・・・ぷっ、くくくっあっははははははっ♪」
リシェル
「ホント脳天気だよねえ あたしも、あんたもさ」
ライ
「ああ、まったくだぜ あれだけいろんなことさんざん経験して
そのうえ、今からその総仕上げの決戦に行こうってのにさ
オマエの顔みたら一発で緊張感なんかぶっとんじまったよ」
リシェル
「はいはい、それはなによりですこと」
ライ
「ありがとな、リシェル」
リシェル
「な、なによ? 急に改まったりして」
ライ
「なにって・・・ まあ、その、なんだいろいろだよ・・・
あの日、オマエらと一緒にリュームを拾ってからさ
ホントにいろんなことを経験したし、知らずにいたことも知って
オレなりに、気づいたことや考えたこともたくさんあってさ
まあ、とにかく・・・オマエに礼を言いたい気分になったんだよ
こんな時じゃなきゃ多分、言う気になんかなれそうにないしな」
リシェル
「ライ・・・」
ライ
「・・・なんだよ? なんか、調子狂うな
さっきみたいに「当然よ!」とか言わねーのかよ?」
リシェル
「いいでしょ、別に たまには、そういう気分の時もあるの」
ライ
「そういうもんかよ?」
リシェル
「そういうものよ」
ライ
「ふーん・・・」
(風の音)
リシェル
「ねえ・・・この先のこととか考えてるの?」
ライ
「この先?」
リシェル
「戦いに決着がついた それから先のことよ」
ライ
「そっか・・・そういうことは全然考えてなかったな」
リシェル
「なによ、それ・・・ 脳天気にも、ほどがあるんじゃないの?」
ライ
「へいへい、どうもすみませんでした
けどよ・・・改めて考える必要もないんじゃねーかな」
リシェル
「え?」
ライ
「たとえは悪いけどこの騒動は、お祭りみたいなもんだよ
バカみたいな大騒ぎの後は、いつもの日常が戻ってくるだけさ
いつか、オマエが返してほしがってた普通の毎日が、な」
リシェル
「ライ・・・」
ライ
「オレは、宿屋の雇われ店長に戻って、毎日うまい料理を作って
オーナーの小言に顔をしかめつつ、なんとか切り盛りして・・・」
リシェル
「おじいさんになるまでまっとうに人生を生きていく!
・・・だよね?」
ライ
「平凡で、退屈で年寄りくさいかもしれないけどな?」
リシェル
「でも、それが一番あんたらしいかもしれないよね」
ライ
「リシェル・・・」
リシェル
「まあ、アレよ? あたしも、あたしで思うとこもあってさ
そういう生き方もいいかも、なーんて思ったりしてるの」
ライ
「そっか・・・」
リシェル
「あんたと一緒だったら平凡で退屈なんてことなさそうだし・・・」
ライ
「は?」
リシェル
「あっはははっ♪ なんでもないないっこっちの話・・・」
ライ
「???」
リシェル
「なんにせよあんたはあたしの家来みたいなもんなんだから
せいぜい、これからもはげみなさいよね?」
ライ
「あのなあ・・・」
リシェル
「とりあえず、勝利のパーティでは、好物をたくさん作ること!
いいわね?」
ライ
「ったく・・・しょうがねーなぁ
そのかわり、死んでも無事に戻ってくるって約束しろよな?」
リシェル
「うん、あんたもね♪」

エンディング

ルシアン
「ありがとうございます また、お越しください」
ライ
「ギネマ鳥のオムレツにソレルクの甘辛煮込みあがったぜ!」
リシェル
「はいはい、了解! お次は海賊風焼き飯ふたつ、よろしく!」
ミルリーフ
「果物畑のパンケーキ 盛りつけできたよ」
ライ
「上出来、上出来 仕上げもできるか?」
ミルリーフ
「クリームとチョコを半分ずつに、ナッツを散らすんだったよね
まかせてっ♪」
ライ&リシェル
「つ・・・っ つかれたあぁ・・・っ」
ルシアン
「二人とも、ほんとにおつかれさま」
ライ
「おう、ルシアンもおつかれさん
ミルリーフもな?」
ミルリーフ
「えへへっ♪」
リシェル
「にしても、最近のお昼時って、戦場そのものよねえ
ちょっと前まではお客が列を作るなんてありえなかったもん」
ルシアン
「それはそうだよ! なんたって、今のライさんは
「ミュランスの星」が認めた、帝国最年少の有名料理人だもの
噂を聞いて、遠くから食べに来る人たちもいるくらいなんだよ」
リシェル
「有名料理人ねぇ・・・」
ライ
「そんなのは、他人が勝手に騒いでるだけさ
オレはただ、ずっとこの町でうまいメシを作り続けながら
もっと、みんなに喜んでもらいたいだけ それだけでいいんだ」
ミルリーフ
「それじゃ、ぐるめのオジサンとの約束はどうするの?
本格的に料理の修行にきなさいって、手紙で誘われてるでしょ?」
ライ
「ジイさんには悪いけど もうしばらく、待ってもらうつもりさ
あの騒ぎで壊れた町を元どおりにするために働いてる人たちに
うまいメシを食べて もっと、がんばってもらいたいからな」
ミルリーフ
「そっか・・・」
ライ
「まあ、とにかく今はひと休みにしようぜ
夜になったら、また大忙しなんだからな」
リシェル&ルシアン
「はーい・・・」
ライ
「ふわああぁ・・・っ」
リシェル
「でっかいアクビねぇ アゴ外れちゃうわよ?」
ライ
「いいだろ、別に 大あくびぐらいしたってさ
オマエ相手に今さら気どったって、仕方ねーだろが」
リシェル
「親しき仲にも礼儀ありっていう鬼妖界の格言 あんた、知ってる?」
ライ
「なんだそりゃ???」
リシェル
「はあ・・・ いいわよ、もう・・・
でも、最近の忙しさは ちょっと殺人的よね
そのぶん、もうかって パパは、ホクホク顔になっちゃってるけど」
ライ
「たしかに、注意はされても、怒鳴られることは減ったかな
それはそれで、なんか物足りない気もするんだけどな」
リシェル
「呼び出されるのが当たり前ってカンジだったもんねえ
でもさ、いいじゃん? それだけあんたのこと認めてくれてんだし
あたしとしても ひと安心、かな」
ライ
「一人前だぞって胸を張るにはまだまだだけどな」
リシェル
「お、謙虚じゃん?」
ライ
「そりゃあな・・・ 前は、認められたくてムキになってたけど
今はもう、不思議とそういう焦りは消えちまったんだよなあ」
リシェル
「ふーん・・・
きっと、それがさ 大人になったって証拠かもよ?」
ライ
「・・・そうか?」
リシェル
「多分、ね
ま、変に考えたりしなくても、別にいいんじゃない
ガキでも大人でも あんたはあんたに変わりないんだし」
ライ
「ははっ、そうだよな」
リシェル
「・・・・・・」
ライ
「けどさ・・・ 変わったのはオマエもだろが
ポムニットさんから教えてもらったぞ
オーナーと・・・ 親父さんと、仲直りしたんだって?」
リシェル
「べ、別にそんな大げさなことじゃないってば!?
ただ、無闇やたらに突っ張っていても疲れるだけだって
気づいて、バカバカしくなっちゃったから ヤメにしただけよ」
ライ
「ふーん・・・」
リシェル
「ポムニットめ・・・ 余計なこと言うなってクギさしとかなきゃ」
ライ
「照れるな、照れるな オレ、ちょっと感心してるんだからさ」
リシェル
「・・・え?」
ライ
「なんだかんだ言って オレはまだ、当分はバカ親父のことを
許せそうにないしな」
リシェル
「ライ・・・」
ライ
「だからさ、オマエとオーナーが仲直りしてくれたってことがさ
なんか、うれしいんだ 自分のことみたいでさ」
リシェル
「そっか・・・」
テイラー
「おい、本当に最後まで顔も見せずに行くつもりなのか?」
ケンタロウ
「ああ、親がなくとも子は育つ、ってな
アイツも、想像以上にいっちょまえに育ってやがったからなあ
オレ様がいなくたってなにも問題はねーさ」
テイラー
「だが、いくらなんでも薄情すぎやしないか?
次はいつ、戻ってこられるかも知れんというのに・・・」
ケンタロウ
「約束がよ、いまだに守れてねーんだよなあ
エリカの病気を治して 家族みんな、揃って一緒に暮らしていく
その方法を見つけるまでは、オレ様は帰れねえんだわ」
テイラー
「だが・・・」
ケンタロウ
「バカとかクソとかロクデナシってのは慣れちまったけどよ
ウソつき、って呼ばれるのだけはカンベンだからな」
テイラー
「そうか・・・」
ケンタロウ
「つーわけだからよ 悪いが、もうすこし世話を頼むわな」
テイラー
「ふん、言われずともわかっておるわ
あの人の居場所は二度と、誰にも荒らさせはせんよ
だから、とっとと約束を果たして戻ってこい!!」
ケンタロウ
「おうよッ!」
ライ
「ところでさ、リシェル 店を手伝わせといて言うのもなんだけど
召喚術の勉強のほうは問題ないのか?
派閥に正式に属するからには、色々と準備もあるんだろ?」
リシェル
「アンタねえ 誰に向かって言ってるつもり?
このリシェル様に抜かりはないわよ 次の定例考査で
ばっちり、華麗に派閥デビューしてあげちゃうんだから」
ライ
「ははっ、その調子なら ホントにだいじょうぶみたいだな」
リシェル
「心配しないでよ あたしは、やる時はやるんだからさ
可愛い弟の未来がかかってるんだから なおさら、ね」
ライ
「ルシアンの?」
リシェル
「そうよ、あたしが正式に金の派閥の一員になって
ブロンクスの家名を守れる立場になれば
ルシアンも安心して自分のやりたいことできるじゃない?」
ライ
「自由騎士になる夢、か・・・」
リシェル
「うん、最初はとんでもないって思ってたけどさ
本気みたいだからね 姉としては、やっぱ応援してあげなきゃ」
ライ
「だよな・・・
となると、今みたく いつでも会えるっていうワケには
いかなくなるよな」
リシェル
「心配いらないってば
あのコも、あたしも あんたの作る料理で育ってきたんだから
ほっといたって 味が恋しくなって顔を出すわよ」
ライ
「なんか、餌づけしてるみたいだな それって・・・」
リシェル
「近いものはあるかも
むしろ心配なのは この店の方ね
あんた一人でやってけるの?」
ライ
「なんとかするさ 元々は、一人でやってたんだし
それに今はミルリーフだっていてくれるしな」
リシェル
「うーん・・・ それでも、やっぱ不安だなあ・・・
よし、決めた!
派閥に入っても あたし、助っ人にきてあげるわ」
ライ
「え、でも・・・」
リシェル
「だいじょうぶだって 出来る範囲でしか無茶はしないから
ポムニットと相談して、かわりばんこに手伝いにくるわ
なら、文句はないでしょ?」
ライ
「・・・ったく 言い出したら聞かないもんな
・・・ありがとな?」
リシェル
「水くさいことは言いっこナシナシ なったって・・・
あたしの将来にも 無関係な問題じゃないし・・・」
ライ
「???」
リシェル
「と、とにかくっ そーゆーことで決定だかんね!
せいぜい、感謝しなさいよぉ?」
ライ
「自分から言っといて やたらエラそうだなオマエ・・・」
リシェル
「そりゃそうよ? だって・・・
あんたは、永遠にあたしの家来なんだから!」
ライ
「へいへい・・・ わかりましたよ ったく・・・」
リシェル
「えっへへへ♪」
わがまま言ってゴメンね
でも、ホントはいつも感謝してるんだよ
だから、ずっとあんたのそばにいてあげる
平凡で退屈な人生でもくっついてそばにいさせてね
大好きだよ

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