【夜会話】セイロン(ライVer.)

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第4話 素敵な若さま、大暴走!

セイロン
「なるほど・・・
そういった理由で御子殿が世話になっていたワケか
迷惑をかけたな」
ライ
「別に、感謝されるようなことなんてしてねえって
なりゆきで関わったから 最後まで面倒みないと気持ち悪い
そんだけだよ」
セイロン
「あっはっはっは! そうか、そうか
だが、我はそういう考え方は好きだぞ
鬼妖界でいうところの侠気というものだな」
ライ
「きょうき???」
セイロン
「かいつまんで言えば 困っている者を助けてやろうとする心だ
人間の、しかも童がこれをもちあわせておるとはな・・・
いやはや、この世界は本当に面白いものよ あっはっはっは!」
ライ
「面白いだって?
あんたは、この世界がイヤじゃないのか?」
セイロン
「とんでもない! 我は、自分から望んでこの世界に来たのだ
まあ、召喚獣にも色々といるということだな
あっはっはっは!」
リビエルの言うとおり やっぱ、セイロンって変わってる・・・

第5話 今はもう、戻れない場所

セイロン
「怒らないのかね?」
ライ
「なにが?」
セイロン
「アロエリがしでかした一連の出来事だよ」
ライ
「怒ったところで、すんじまったことだよ それに・・・
そうさせないためにあんた、先にあいつをぶん殴ったんだろ?」
セイロン
「あっはっはっは!
やれやれ・・・ しっかりお見通しか」
ライ
「なめるなっての!」
セイロン
「ニンゲンの言葉にはあやつも、ただ反発するだけだろうが
我の叱責であればいくらかはこたえるだろうと思ってな」
ライ
「でも、ちょっとやりすぎだったんじゃないのか?
女の子相手にグーはないだろ?」
セイロン
「そういう物言いは彼女にとっては逆に侮辱になるぞ
アロエリは、女であることよりも御使いであることを選んだ
それほどの覚悟をもって 彼女は使命にあたっていたのだよ
あの時・・・ 彼女は、罰せられることを望んでいた
だから、はっきりと目に見える形で罰してやったのだよ
ずっと引きずってきた自責の念から解放してやるために、な」
ライ
「よくわかんねえよ そういうのは」
セイロン
「まあ、御使いの中でも我は少しばかり特異な立場であるからして
冷めた目を持ち続けていられるのやもしれんな・・・」
ライ
「特異な立場?」
セイロン
「我は「ラウスブルグ」の住人ではないのだよ」
ライ
「!?」
セイロン
「ゆえあって、世話になっていた客人まれびとなのだ」
ライ
「ちょっと待てよ!?
なんで、よそ者が御使いなんて立場になってるんだよ!?」
セイロン
「先代から頼まれたのだ
御子殿が後継者となるまでの期限つきで、な」
ライ
「そうだったのか・・・」
セイロン
「約束が遺言となった今 違えるわけにはいかぬ
そして、願わくば先代の仇を討つ!
そうすることで たまわった恩義に報いたい・・・
今の我を動かしてるのは、そうした願いであるのだよ」
セイロンにとってはそれが、ゆずれない想いなんだ・・・

第6話 疑惑と不審の、黒いヤツ

セイロン
「武の技を磨き続ける者にとって、ケガは必ずついて回るものだ」
ライ
「セイロンも、やっぱケガとかしてたのか?」
セイロン
「ははっ、当然だとも
ただし、武闘家の我は、ストラによる回復術を会得していたからな
骨が砕けようともお構いなしで修行しておったぞ」
ライ
「無茶苦茶だな・・・」
セイロン
「それは当然だとも 人間である店主と龍人族である我では
身体のつくり自体がまるで違うのだしな」
ライ
「ああ、そっか・・・」
セイロン
「肉体は負荷にをかけることによって鍛えられてゆくものだが
過剰すぎる負荷は、逆に悪影響を及ぼすことになりかねない
育ち盛りの年頃ならば なおさら、気をつけたほうがいい
本来あるべき発育に不自然な影響が出たりしかねんからな」
ライ
「・・・・・・」
セイロン
「おや、どうした?」
ライ
「だったらさ・・・
歩きはじめた頃から、クソ親父に猛特訓をさせられたオレって
いったい、どういった育ち方してんだよ!?」
セイロン
「限りなく自然ではない発育をとげたことには間違いあるまいな
道理で不自然な強さを身につけておるはずだ あっはっはっは!」
ライ
「笑いごとじゃねえ!? ちっきしょおーっ!!」
ううっ、思い返したらなんか泣けてきたぞっ ちきしょお・・・っ

第7話 お魚たずねて、秘密基地

ライ
「セイロンは龍人なのに やたらと人間のことくわしいよな
ケガの手当てのこともそうだし、食べ物とか武術のこととかもさ」
セイロン
「あっはっはっは それは、鬼妖界にも人間が暮らすからだ
正確には、人間という種族そのものが例外で このリィンバウムと・・・
鬼妖界シルターンという、ふたつの世界に存在しているのだよ」
ライ
「例外なのか・・・」
セイロン
「ああ、珍しいな
異なる世界に同種族が存在するのは、人間と竜ぐらいのものだ」
ライ
「竜も?」
セイロン
「そもそも、真の竜とは魂の輝きが極限に至り 発現するものなのだ
姿形はそう見えずとも・・・
概念としてはどこにでも存在しうるのだよ」
ライ
「???」
セイロン
「ははは、すまぬ 難しすぎたようだな
店主らの常識とは異なる概念によって竜は語られるものだ
機会があれば、また説明することもあろう」
ライ
「あ、ああ・・・」
よくわかんないけど 竜って、とてつもなく難しい存在かも・・・

第8話 流れ三味線、はぐれ弾き

ライ
「珍しいよな セイロンからオレを呼び出すなんてさ」
セイロン
「きちんとした形で話をしておく必要があったのでな」
ライ
「え?」
セイロン
「すまぬ、店主よ
そなたらの好意に甘え あのような事態を招いてしまった
詫びのしようもないことだと思っている・・・」
ライ
「ちょっと、待ってよ!? 待ってってば!?
別にオマエらのせいでああなったワケじゃないんだしさ
それに言っただろ? オマエらはもうオレの身内も同然なんだよ」
セイロン
「そう言ってもらえたからこそ、なおのこと心苦しいのだよ
身内を危険に巻き込むことなど、誰だって望みはするまい」
ライ
「セイロン・・・」
セイロン
「だが、そうは思っても 我らには身をよせるあてが他にないのだ
今少しだけ、ここにとどまらせてほしい
二度とあのようなことが起きぬように、我も充分に気を配るゆえ
だから、頼む・・・」
ライ
「頭をあげろってば! セイロンらしくないぜ そういうのはさ
もっと、豪快に笑って図々しくしてないとさ、調子が狂っちまうよ」
セイロン
「ライ・・・」
ライ
「気がすんだら、もうこの話はオシマイだ
二度とすんなよ?」
セイロン
「・・・承知した」
そういう危険も承知で オレは、身内だって言ったんだからさ

第10話 想い、途切れることはなく

セイロン
「クラウレの言った秘密のことだがな あれは・・・」
ライ
「そいつは明日 みんなの前で話してくれよ
今は、ちょっと聞きたくないんだ」
セイロン
「そうか・・・」
ライ
「別に、おまえらに腹を立ててるからじゃないんだぜ?
まあ、ちょっとはムカついたけどさ
でも、それよりも今は、色んな事がいっぺんにあったせいで
アタマがぐちゃぐちゃになってて、ちょっとキツイんだよなあ
ポムニットさんとかアロエリのことも心配だしさ・・・」
セイロン
「さもあらん
我も、彼女の件にはド肝を抜かれた
悪魔の血を引く娘であろうとはな」
ライ
「見た目にはあんまり驚いてるようには見えねーぞ?」
セイロン
「それはおそらく 生まれた世界の違いのせいであろうな
鬼妖界では、妖怪と人が交わることなどさほど珍しくもない
場合によっては礼賛されもするし
そうして生まれた子が、英雄として名をあげた伝承もあるのだよ」
ライ
「へえ・・・」
セイロン
「願わくば、彼女もまたそのように大成してもらいたいものだな」
そうだな・・・ 結局は考えようってことなんだもんな

第11話 うつろなるもの、来たりしもの

セイロン
「とうとう、あの男まで出てきてしまったな
「魔獣調教師」・・・ 無色の派閥の召喚師 ギアン・クラストフ」
ライ
「はははっ、いよいよ親玉が登場ってワケだ」
セイロン
「いや、厳密には彼は親玉ではない
敵の頂点に存在するのは「姫」と呼ばれる少女なのだ」
ライ
「・・・少女だって!?」
セイロン
「うむ、年の頃は店主らと同じくらいか
もっとも、人間と仮定した場合での話だがな」
ライ
「てことは人間じゃないっていうのかよ?」
セイロン
「さすがにわからぬよ 一度きり、遠くから見ただけだからな
どうやら、普段からあまり表には出ずにすごしているらしい
まさに「箱入り娘」という言葉が似合いだな あっはっはっは!」
ライ
「茶化すなって・・・」
セイロン
「まあ、全軍の指揮を任されているのはあの男に違いない
まあ、見たとおりの なにかと得体の知れぬ人物なのだよ」
ライ
「ああ、召喚術の力をあんな風に消し去ってしまうなんて
それこそ、あいつのほうが人間離れしてる気がしたぜ」
セイロン
「まったくもって同感だ
あやつと比べたら「将軍」や「教授」の振る舞いのほうが
我には理解できるし 認められる部分もある」
ライ
「認められるって いったい、どこが?」
セイロン
「「姫」に対する忠義で行動している部分さ
先代に受けた恩義へと報いるため、仇討ちを志している我には
あの者たちの想いは自分のことのように感じとれるのだよ」
ライ
「だからって・・・
そのために命を捨てるなんて オレにしたらワケわかんねーよ
守るために戦ってるんだったら、ともかく・・・
あいつらは奪うために攻めてきてるんだぞ!
なのに、命まで捨ててしまえるなんて、絶対バカげてる・・・」
セイロン
「一面だけを見るのならそのとおりやもしれぬ しかしな・・・
もしかすると、それは別のなにかを守るためなのかもしれぬぞ?」
ライ
「え?」
セイロン
「あの老人に限ってのことならば、答えは明白と言ってもいい
おそらく、あの者は死に場所を求め続けておるのだろうな・・・
死によって、罪の報いを受けたいのだろうさ
だからこそ、復讐から逃げようとしなかった」
ライ
「そんな!?  いくらなんでも・・・」
セイロン
「年を重ねていくほどに人は、そう思ったりもするようになる
まあ、敵の事情を詮索したところでどうにもなるまいさ
戦いは避けられぬ そして、我らは負けるわけにはいかぬのだ
惑わされてしまえば 命をなくすことになりかねんぞ」
ああ、わかってるさ だけどよ・・・

第13話 思い願うこと、貫くこと

選択不可

第14話 来訪者たち、彼方より

セイロン
「我を、ひどいヤツだと思っているのではないのかね?」
ライ
「別に、そんなことは思っちゃいねーよ
立場だってあるし、なによりオマエらちは当事者だもんな
わだかまりがあるのも当然だろって思うし」
セイロン
「この立ち位置は・・・ 本当にきついものだな
クラウレが耐えてきた重みが、今さらながら骨身にしみているよ」
ライ
「クラウレ、か・・・
なあ、セイロン 御使いだった頃のクラウレってさ
どんなヤツだった?」
セイロン
「行動力と責任感をあわせもった 長にふさわしい男だった
私事を顧みることなく 郷のため、民のために働き続けていたんだ」
ライ
「優等生だったんだな」
セイロン
「だがな、真面目すぎて無理ばかりするせいで
側で見ている、我やアロエリは いつも心配させられたさ
手を抜け、休め、と我はいつもそう言ってばかりいたがな
今思うと、あやつは 背負った立場の重さに潰されないように
気を張ることで 抵抗していたのかもしれぬ
わかったところで 今となっては、もう手遅れだろうがな」
ライ
「セイロン・・・」
セイロン
「敵に回してためらいはない、などとは言えぬ
だが、あやつは今まで そうした感情を殺して長を務めてきたのだ
我だけが、客人面でその責任から逃げるわけにもいくまい
御使いとしての立場を、最後まで、しっかりと貫き通してみせる
それが我の覚悟であり かつての友への誠意なのだからな・・・」
セイロンの覚悟・・・ だけど、本当にそれでオマエはいいのかよ?

第16話 相談イベント

第16話 相談イベントに掲載

第18話 はばたき、空へと突き抜けて

ライ
「・・・・・・」
(コンコン)
セイロン
「開いておるぞ、店主殿 遠慮せずに入って来い」
(ガチャ)
ライ
「まいったな・・・
まるで、オレが来るの お見通しだったみたいじゃないかよ」
セイロン
「気配を感じたからな」
ライ
「気配???」
セイロン
「鬼妖界における武術は ことに精神鍛錬を重視するものでな
修行の果てに、説明のつかぬ不思議な力さえ体得できるのだよ
我ら龍人は、それが魂の持つ力だと解釈しているがな」
ライ
「魂の力・・・
じゃあ、もしかしてセイロンが、武術を学んだのは・・・」
セイロン
「そのとおり、これも「至竜」の境地に至る修行の一環なのだよ
なかなか、簡単には到達できぬがな?」
ライ
「あはははっ」
セイロン
「だからこそ、我はギアンと戦うのが正直、恐ろしい」
ライ
「え・・・」
セイロン
「こともなげに「竜」に至るのだと あの男は言うことができる
我にはできぬよ とても、そのような自身はないのだ」
ライ
「セイロン・・・
しっかりしろって!? いつものオマエらしくねーだろうがよ?」
セイロン
「ライ・・・」
ライ
「なんていうか、オマエは、いつも偉そうに笑っててさ
根拠のない自信に満ちあふれてるのが当然だったじゃんか」
セイロン
「それは、我ではなく店主殿のことであろう?」
ライ
「え?」
セイロン
「無理難題を前にして 引くことも、かわすことも潔しとせずに
正々堂々と正面からぶつかって 結局は乗り越えてしまう
そんな店主殿の姿を見て、我は心底感心をしておるのだぞ?」
ライ
「あれは・・・ただ、必死になってやってるだけだって
別に、立派な考えがあるワケじゃねーよ」
セイロン
「自然体だからこそ 感心しておるのだよ」
ライ
「買いかぶりすぎだと思うけどなあ
今だって、不安で眠れなくて ここにいるんだし・・・」
セイロン
「過程は問題ではない それは、そなたの持論のひとつであろう?」
ライ
「!」
セイロン
「おびえようが取り乱そうが いざという場面で
ためらわずに決断をし、行動できれば それで充分ではないか」
ライ
「そっか・・・うん、そうだよな
難しく考えたってなるようにしかならないもんな」
セイロン
「あっはっはっは それでこそ店主殿だぞ」
ライ
「それはこっちのセリフだって
そんなふうに陽気に笑ってるのが、一番セイロンらしいや」
セイロン
「うむ、笑う門には福が来るともいうしな
明日の決戦を最後に それぞれがそれぞれの日常を取り戻せれば
これほど、めでたいこともあるまいさ」
ライ
「ああ、そうだな」
セイロン
「そうすれば・・・我も、心おきなく旅立つことができる」
ライ
「旅立つって・・・ミルリーフたちも一緒なんだろ?」
セイロン
「いや、そうではない
我は、御使いの座を辞するつもりなのだ」
ライ
「!」
セイロン
「仲間たちには、もう理解してもらっておる」
ライ
「なんでだよ!? そりゃ、継承は無事に終わったけど・・・
ミルリーフにはセイロンの助けがまだ必要なはずだぞ?」
セイロン
「以前、話したであろう
我は、自らの意志でこの世界にやってきて
客人として、守護竜殿の世話になっておった その見返りに・・・
御子殿が一人前になるまで、御使いの役目を引き受けていたのだ
本来の目的を一時的に 棚上げして、な」
ライ
「本来の目的?」
セイロン
「我が一族が祭っている龍神イスルギさまが、この世界に遣わした
龍姫さまと呼ばれる御方を、鬼妖界に連れ帰ることだよ」
ライ
「龍姫ってことはつまり、その人も龍神ってことか?」
セイロン
「鬼妖界の静かなる龍神や鬼神は 霊界の天使たちと同様に
エルゴの王と、深い親交があったのだよ
彼の戦いが終わった後も 望んでこの地に残られた方もいる」
ライ
「龍姫さまってのもその一人ってことか」
セイロン
「ああ、本来ならば連れ戻す必要などなかったのだがな
彼女を祭っていた一族の血筋が絶えてしまったのでな
心配された龍神さまが我を迎えの使者として遣わされたのだよ」
ライ
「・・・って、おい! いいのかよ、ずっとほったらかしで!?」
セイロン
「失敬な、ちゃんとお捜ししてはいたぞ
ただ、いかんせん 手がかりがまるでないのだよ
龍神の谷の御屋敷はもぬけの空になってしまっておったし
どうやら、人里に出ていってしまわれたらしいのだよ」
ライ
「うへえ・・・」
セイロン
「まあ、龍姫さまはこちらの暮らしも長いであろうから
そう心配せずとも うまくやっていると思っておるよ
あの御方のように馴染みすぎていても困るがな・・・」
ライ
「あの御方???」
セイロン
「いやいや、別になんでもないぞ あっはっはっは♪」
ライ
「???」
セイロン
「まあ、そういう理由で我は旅に出るのだよ」
ライ
「うーん、それじゃ 仕方ないよなあ」
セイロン
「なぁに、案ずるな どれだけ時間がかかったとしても
役目を終えたあかつきには また必ず顔を見せるさ
店主殿は「響界種」であるから長生きをするであろうしな」
ライ
「オレは別にいいけど、でもルシアンやリシェルたちは人間なんだからな?
面倒臭がらないで顔を出してやれよ
これっきりなんて あんまりだからな」
セイロン
「ああ、そうだな 身内を心配させてはいかんしな・・・」
ライ
「約束しろよ?」
セイロン
「ああ、約束するとも」

エンディング

ルシアン
「ありがとうございます また、お越しください」
ライ
「ギネマ鳥のオムレツにソレルクの甘辛煮込みあがったぜ!」
リシェル
「はいはい、了解! お次は海賊風焼き飯ふたつ、よろしく!」
ライ&リシェル
「つ・・・っ つかれたあぁ・・・っ」
ルシアン
「二人とも、ほんとにおつかれさま」
ライ
「おう、ルシアンもおつかれさん」
リシェル
「にしても、最近のお昼時って、戦場そのものよねえ
ちょっと前まではお客が列を作るなんてありえなかったもん」
ルシアン
「それはそうだよ! なんたって、今のライさんは
「ミュランスの星」が認めた、帝国最年少の有名料理人だもの
噂を聞いて、遠くから食べに来る人たちもいるくらいなんだよ」
リシェル
「有名料理人ねぇ・・・」
ライ
「そんなのは、他人が勝手に騒いでるだけさ
オレしはただ、ずっとこの町でうまいメシを作り続けながら
もっと、みんなに喜んでもらいたいだけ それだけでいいんだ
まあ、とにかく今はひと休みにしようぜ
夜になったら、また大忙しなんだからな」
ルシアン&リシェル
「はーい・・・」
セイロン
「そうか、そうか 繁盛しておるのなら結構ではないか」
ライ
「他人事だとおもってのんきだよなあ
つーか、どうせなら忙しい時にやって来て手伝ってくれって」
セイロン
「それはできぬな こう見えて、我は我で忙しいのだよ」
ライ
「龍姫さま捜し、だろ?
すこしは手がかりとか見つかったのかよ?」
セイロン
「いや、それがまるでさっぱりなのだよ あっはっはっは♪」
ライ
「笑って言うようなことじゃねーだろっ!?」
セイロン
「失敬な、これでも足を棒にして捜してはいるのだぞ?
大道都市のほうまでひとしきり歩いて回ってきたし
旅人たちにもマメに話は聞いておるのだ」
ライ
「(ここんとこ、姿を見せないと思ったら
そんなところにまで調べに行ってたのか)」
セイロン
「結論から言えば、この近辺にはいないと考えるべきだろうな」
ライ
「じゃあ、やっぱり旅に出るのか?」
セイロン
「そのつもり・・・だったのだがな
ちょっとばかり事情が変わったのだ」
ライ
「は?」
セイロン
「店主殿が懇意にしていた・・・
ほれ、シャオメイとかいう占い師
彼女に事情を話したら協力してくれることになったのだよ」
ライ
「協力って・・・そりゃ、アイツはミョーに物知りだし
いろいろと不思議なこともやらかすけどさ7 だからって・・・」
セイロン
「彼女は「龍神」だよ おそらく、先代よりもはるかに永い歳月を
過ごされている御方だ」
ライ
「!」
セイロン
「店主殿も、薄々とは気づいておったのではないのか?」
ライ
「まあ、普通じゃないことは、わかっていたつもりだけど・・・
(そっか、アイツも「至竜」だったのか・・・)」
セイロン
「竜の道は竜に訊け! 調べてあげるからここで待ってなさい
・・・そう言われてしまった手前、待つしかあるまいて」
ライ
「ははは・・・」
セイロン
「商売仲間に、情報を扱う人物がいるとも言っておられたし
闇雲に捜すよりも、きっとそのほうがよかろうと思ってな」
ライ
「・・・ってことは それまでは、この町にいるってことか?」
セイロン
「ああ、そうなるな
とはいえ、まさか「隠れ里」に出戻るわけにもいかぬし
困ったものだよ あっはっはっはっは♪」
ライ
「・・・読めたぞ?
さては、オマエ また、ウチに厄介になるつもりだろ!?」
セイロン
「おお、さすがは店主殿 話の手間が省ける!」
ライ
「あのなあ・・・」
セイロン
「・・・ダメかね?」
ライ
「いいけどよ 別に・・・
その代わり、ちゃんと食わせてやるぶんは働かせるからな?」
セイロン
「無論、心得ておるとも
大船に乗ったつもりで任せてくれたまえ あっはっはっは♪」
ライ
「ったく・・・」
テイラー
「おい、本当に最後まで顔も見せずに行くつもりなのか?」
ケンタロウ
「ああ、親がなくとも子は育つ、ってな
アイツも、想像以上にいっちょまえに育ってやがったからなあ
オレ様がいなくたってなにも問題はねーさ」
テイラー
「だが、いくらなんでも薄情すぎやしないか?
次はいつ、戻ってこられるかも知れんというのに・・・」
ケンタロウ
「約束がよ、いまだに守れてねーんだよなあ
エリカの病気を治して家族みんな、揃って一緒に暮らしていく
その方法を見つけるまでは、オレ様は帰れねえんだわ」
テイラー
「だが・・・」
ケンタロウ
「バカとかクソとかロクデナシってのは慣れちまったけどよ
ウソつき、って呼ばれるのだけはカンベンだからな」
テイラー
「そうか・・・」
ケンタロウ
「つーわけだからよ 悪いが、もうすこし世話を頼むわな」
テイラー
「ふん、言われずともわかっておるわ
あの人の居場所は二度と、誰にも荒らさせはせんよ
だから、とっとと約束を果たして戻ってこい!!」
ケンタロウ
「おうよッ!」
リシェル
「なるほど・・・それで、あんたがここにいるワケか」
セイロン
「うむ、そういうことだ」
ルシアン
「だけど、本当にだいじょうぶ?
セイロンさん お店を手伝うのって初めてでしょ?」
セイロン
「ははは、ずっと側で見ておったから心得たものだよ」
リシェル
「見た目ほどラクじゃないわよぉ?」
セイロン
「う、うむ・・・」
ライ
「なーに、これからさんざん働いてもらうんだから
イヤでも、すぐに慣れるって♪」
セイロン
「ははは・・・」
ルシアン
「心配しないで? わからないことは僕が教えるからさ」
セイロン
「よろしく頼む・・・」
ライ
「それじゃ 夜の部の営業、はりきって行くぜ!」
リシェル&ルシアン
「おーっ!」
いずれまた、別れの時は訪れるであろう
だが、今しばらくの間は、そなたらと共に暮らそう
この世界で巡り会えた かけがえなき者たちと共に

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