【夜会話】モーリン(トリスVer.)

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第7話 波乱の港

トリス
「下町のみんな、無事で本当によかったわね?」
モーリン
「ああ、これというのも あの召喚師が真っ先に避難の指示を出したおかげさ・・・
なのに、あたいはカッとなって、ひどいこと言っちまった
ああっ、情けないっ!あたいはどうしていつもこうなんだろう」
トリス
「気にすることないわ それだけ、モーリンがみんなを心配していたってことじゃない
ファミィ議長だって それはわかってるわよ」
モーリン
「・・・
あの人だったら・・・信じていいのかもしれない・・・
ここで暮らすみんなのこと、任せちまってもいいのかもしれない」
トリス
「それじゃ、モーリン ひょっとして・・・?」
モーリン
「ああ、海賊連中もあんたたちのおかげで退治できたことだし
あたいも、ここらで外の世界ってもんを見て回っといたほうがいいかもな・・・
あんたたちにくっついてさ?」
モーリンが来てくれるのは大歓迎なんだけど ネスにまた、文句を言われそうよねぇ

第8話 屍人の砦

モーリン
「アメルの奇跡の力って あんなにすごいもんだったんだねえ」
トリス
「いや、あんなふうになったのは、これが初めてよ
あなたのストラと、あまり変わらないなって思ってたくらいだし」
モーリン
「ストラじゃ、病気は治せないよ。あの子の力は別物さ
ただ、あんまし多用させるのはどうかと思うけどねえ」
トリス
「え?」
モーリン
「あれだけのことすりゃ当然だけど、かなり気を消耗してる
あの子は無茶するほうだから、周りの人間が気をつけてやんないと
もっと深刻なことにもなりかねないよ よぉくおぼえといてやんな?」
聖女の奇跡の力も無制限じゃないってことね・・・

第9話 まだ見ぬ故郷

モーリン
「まさか、アメルが ああも取り乱すようなことになるなんてね」
トリス
「ええ あたしも驚いた でも、無理ないと思う
初めて、自分の意志で決めたのが、ここへの旅だったものね
張りつめていたものが いっぺんに切れて ああなちゃったんでしょうね・・・」
モーリン
「でも、ケイナはさすが年上だったねえ
平手打ちひとつであの子をおとなしくさせちまうなんてさ」
トリス
「うん、あたしにはちょっと真似できない
(さすがは、最年長ってことなのかも・・・)
ねえ、モーリン? もしもまた、あんなことになったら・・・」
モーリン
「承知してるよ あたいも、しばらくは注意しておくからさ
安心して、あんたはこれから先のことを考えとくれよ」
モーリンの言葉に甘えさせてもらって 今は、先のことを考えましょう・・・

第10話 封印の森にて

モーリン
「格闘家ってのは人間相手にあきたらなくなってくるとね
たいてい、そうじゃない相手と戦おうって気になるもんさ
牛とか、熊とか・・・あたいのオヤジなんかバカでかい鮫と戦って
「鮫殺し」って呼ばれてたっけ」
トリス
「ひゃあ・・・」
モーリン
「でも、それを言うなら 今日からあたいは「悪魔殺し」だからね
ゲンコツと蹴りが当たる相手なら、もうどんなのが来たってやっつけてやるよ!」
トリス
「あははは・・・た、頼もしいわねぇ」
モーリン
「あいよっ!このモーリンねえさんにどーんっと、任しときなって!」
なんか、変な自信つけちゃったみたいだわね モーリン・・・

第11話 処刑台の騎士

モーリン
「あれが、あんたたちの言っていた、黒の旅団の連中なんだね」
トリス
「ええ、そうよ
ここまでは、うまく目をくらましてこれたみたいだけど
今日のことで、またあたしたちは狙われることになるわね・・・
どうする、モーリン?
今ならまだ、モーリンは無関係なままでいられるのよ?」
モーリン
「はん!バカなことを言ってんじゃないよ?トリス
たしかに、あいつらはあたいが思ってたよりずっと物騒な相手さ それは認めるよ
けどね、だからってあたいは尻尾をまいて逃げたりしないよッ!見損なわないどくれ」
トリス
「モーリン・・・」
モーリン
「なぁに、あたいはもともと海賊相手に一人でケンカやってた女なんだよ?
自分のことは自分でちゃんと面倒みれるさ だから・・・
ついてくるな、なんて言わないどくれよ?頼むからさ」
トリス
「ええ・・・わかったわ、モーリン
それじゃ、これからもよろしく頼むわよ?」
モーリン
「あいよっ!」
心配するまでもなかったみたいね モーリンは・・・

第12話 絶望の先へと

モーリン
「あたいも、腕っぷしの力には、自信があったほうだけどさ
鬼になった連中の力ときたら、天井知らずってカンジだったよ
あれはやっぱり召喚術の威力によるもんなのかい?」
トリス
「うーん、それが一概にはそうとは言えないみたいなのよ
ヒョウイ召喚術ってのは第三者を宿主にして
とりつかせた召喚獣の力を使うものだけど
宿主と召喚獣の相性によって、効果にも差があるらしいのよ」
モーリン
「へえ・・・」
トリス
「もともと非力な人に力を倍にする召喚術を使った時よりも
力持ちの人にかけた時のほうが ずっと威力が高くなるってこと」
モーリン
「ふーん・・・結局のところ、もとがしっかりしてないと無意味ってことか
なんか、便利なようで不便な術だねえ」
トリス
「たしかにね・・・」
だから、ヒョウイ召喚術はあまり広まらなかったのかもしれないわね

第13話 祭りの夜

モーリン
「あたいと祭りに!?」
トリス
「うん、よかったら一緒に行こうよ
やっぱり、ファナンのお祭りだったら、地元のモーリンの案内が一番だろうし
くわしいんでしょ?」
モーリン
「ああ、もちろんだよ どーんっと任せておきなって!」
トリス
「うん、やっぱりモーリンを誘ってよかったわ
案内してくれた屋台や大道芸、どれもハズレがなかったものね」
モーリン
「ま、まあね・・・
ちっちゃな頃からあたいは、ずっとこの祭りを見てきてるから」
トリス
「あれ?」
モーリン
「ケンカだ!?」
男性
「おらおらっ!ここらで店を出すにはオレたちの許可がいるんだよッ!!」
トリス
「たしか、祭りの間はどこでも出店を出していいんじゃ?」
モーリン
「ああ、そうだよ あれはタチの悪い言いがかりさ・・・
気にくわないねぇ みんなの楽しみに水を差すなんてさぁ!」
トリス
「あっ、モーリン!?」
男性
「な、なんだてめ・・・ぐぎゃ!!」
トリス
「あちゃあ・・・」
モーリン
「ほんとにゴメンよ せっかく誘ってくれたってのに・・・
あたいがカッっとなったせいで、あんたまで兵士に取り調べられる羽目になっちまって」
トリス
「気にしないで?
それにさ、モーリンがこてんぱんにしたあのゴロツキたち
ほかの屋台にも同じことして、売り上げを取り上げてたって話じゃない
事情を知った兵士も逆に感謝してたし いいことしたんだから ねっ?」
モーリン
「ああ・・・あたいってどうして女の子らしくできないんだろ?
短気で、おおざっぱで力ばっか強くて
こんなんじゃあ かわいげもなんにもありゃしないよ・・・」
トリス
「そうかな?
モーリンが言ったこと あたしには、それほど欠点だなんて思わない」
モーリン
「え・・・?」
トリス
「たしかにモーリンは短気だけど、怒るのは筋のとおらない相手に対してだけだもん
おおざっぱでもやったことに無責任なわけじゃないもの
力が強いのだって真面目に修行を続けた成果じゃない」
モーリン
「う、うん・・・」
トリス
「それに、あたしたちはみんな知ってるわよ
モーリンが、すごく面倒見がよくて優しい女の子だってことをね?」
モーリン
「あ、う・・・」

第14話 確かな想い

モーリン
「アメルがジイさまに言った言葉、ちょっとジンときちまったよ
全てを知ったうえであれだけのことが言えるなんて
やっぱり積み重ねてきた時間の重みってもんなのかねえ」
トリス
「あたしも聖女になる前のアメルがどんな暮らしをしていたのかは知らないけどね
きっと、すごく温かな時間だったんでしょう」
モーリン
「ああ、きっとね
アメルが誰にでも優しいのは、きっとあのジイさまが
拾ったあの子のことを大切に育ててきたからだと、あたいじゃ思うよ
それを考えたら、血のつながりがないなんて大したことじゃないさ」
今のアメルがいるのは おじいさんのおかげなのね・・・

第16話 縛鎖を断つもの

モーリン
「あーあ・・・なんか安心したら腹が減ってきちまった」
トリス
「食べ物が喉を通らないくらい、心配してくれたの?」
モーリン
「ていうかね・・・心配よりも、イライラしちまってさ
あんたたちが、3人で顔を見せるまでさ ず~っと、稽古で気を紛らわしてたんだよ」
トリス
「へ!?」
モーリン
「そういうわけだから これから、シオンの大将のとこまでつきあいな
当然、あんたのおごりでね?」
トリス
「・・・はぁい」
形は違っても、心配してくれたのは同じだもんね・・・

第17話 影は歌う

モーリン
「あ~っ!腹のムシがおさまんないよっ!!」
トリス
「落ちついて、モーリン」
モーリン
「だって、悔しいじゃないのさ!?
余所から来たヤツに好き放題に、街中を引っかき回されてさ
レイムのヤツも許せないけど、もっと許せないのは・・・
あんな野郎の口車に乗せられちまった街の連中だよっ!?」
トリス
「!?」
モーリン
「本当にファナンのこと大切に思ってんのならさあ・・・
どうして、どうして逃げないで、戦おうとしないんだい!?
故郷を慕う気持ちなら どの街の奴らにだって負けないってのが
ファナンっ子の心意気だったのにさぁ・・・」
トリス
「モーリン・・・」
モーリン
「あたいは・・・逃げたりなんかするもんか!!
一人でも、最後まで戦ってやる・・・ファナン育ちの意地を見せてやるんだ!」
トリス
「一人になんかさせたりしないわよ
あたしたちも一緒よ モーリン?」
モーリン
「トリス・・・」
トリス
「見せてあげましょう?デグレアの奴らにあたしたちの心意気ってやつをね!」
モーリン
「ん・・・っ
・・・あいよっ!」
モーリンにっとてこの街は、本当に大切な場所なのね

第18話 誰がための剣

モーリン
「はあ・・・ 海賊が襲ってきた時となぁんにも変わりゃしなかったね・・・
結局、ミニスのおふくろさんに頼ることになっちまった」
トリス
「そんな風に考えなくていいんじゃない?」
モーリン
「え?」
トリス
「黒の旅団を撤退させたのは、ファミィさんの召喚術だったけど
街を守ろうとした気持ちなら、モーリンやあたしたちだって、負けてないでしょ?」
モーリン
「あ、あたりまえだろ そんなのはっ!?」
トリス
「だったら、胸を張ってたっていいんじゃないのかしら?
周りがどう見るかってことより、大切なのは自分がどう思えるかってことじゃない
だからモーリンが引け目を感じることなんかないわ」
モーリン
「うん・・・ そうかも、知れないね」
それに、モーリンが一生懸命だったことは ちゃんと、あたしも見てたんだよ?

第19話 デグレアの闇

モーリン
「あ・・・ トリス」
トリス
「どうしたのよ? デグレアから戻ってきてから、なんだか元気ないけど
やっぱり、そんな格好でいたからカゼでもひいたの?」
モーリン
「・・・・・・」
トリス
「どれどれ?」
モーリン
「きゃっ!? あわわわわわっ!?」
トリス
「ほら、なんだか熱っぽいぞ 顔だって赤いし」
モーリン
「そそっ、それはっ! 違うんだってばさ もぉ・・・っ」
トリス
「???」
モーリン
「別に、身体が変ってわけじゃないよ」
トリス
「だったら、いったいどうしたのよ?」
モーリン
「聞いても・・・笑わないどくれよ?」
トリス
「ええ」
モーリン
「こわいんだよ・・・あたい・・・」
トリス
「(!?)」
モーリン
「あたい 今までは目の前で戦う相手しか見てなかった。それでいいと思ってた
でも、気づいちまった 腕っぷしの強さとは全然、違う力ってもんがあるって・・・」
トリス
「モーリン・・・」
モーリン
「あの連中のやり方は悪意に満ちてる 殴ったって、そいつはどうにもなんない!
そう思うと、握った拳が震えちまうんだよ
あははは・・・情けないよね? あたいの取り柄ってばそれだけなのにさ」
トリス
「別に、こわくたっていいじゃない?」
モーリン
「・・・え?」
トリス
「ガレアノたちは悪意を武器に戦いを挑んでる
だけど、あたしたちが同じ武器で戦う必要はない。あたしたちなりのやり方でいいのよ
モーリンはモーリンの戦い方をすればいい 迷うことなんてないわ
もし、あいつらの悪意に負けそうになったらその時は、あたしやみんなを頼ればいい
ちゃんと、支えてあげるから?」
モーリン
「トリス・・・」
トリス
「・・・なーんてね 本当のところ言うとあたしなんか、ずっと不安続きなのよ?」
モーリン
「えっ!?」
トリス
「ホントよ?こっそり泣いちゃう夜だってあるんだから?
でも、泣いててもなんにも変わんないし だから、やせ我慢してがんばってるの」
モーリン
「そっか・・・」
トリス
「だから、モーリンも負けちゃわないで一緒に、がんばろ?」
モーリン
「・・・うん!
ありがと・・・トリス おかげで、なんだか楽になれたよ・・・」
うん・・・モーリンには、やっぱそういう元気な顔が一番似合ってるよ

第20話 知の略奪者

モーリン
「しかし、驚いたよ やけに帰りが遅いって思ってたらさ
アメルが背負われて帰ってくるんだもんね」
トリス
「あたしたちを守ろうとして、またあの光を使ってくれたの
それで、彼女の様子はどうなの?」
モーリン
「前の時とおんなじさ 消耗した気は、ストラで補給しといたよ」
トリス
「ゴメンね モーリンにまで迷惑かけちゃって」
モーリン
「なにいってんだい こんなの、あたいにとっちゃあ、苦にもなんないことだよ
ストラを使う格闘家は普段から、呼吸で自然の気をとりこむように訓練してるからね
ちょっと休めば、すぐ元気になるんだよ」
トリス
「そうなんだ」
モーリン
「心配なのは、むしろアメルのほうだよ
前にも言ったけどあの子の奇跡の力はね 自分の気を消耗して発揮されてんだよ
訓練もしたことのないあの子の身体に それが、どれだけ負担になっているのやら」
トリス
「ええ・・・」
モーリン
「まあ、でも あたいの心配しすぎなのかもしんないなあ
なんてったってアメルは天使の生まれ変わりなんだ
そのへんのところは多分、あたいたちよりうまい具合にできてるんだろうしね?」
トリス
「うん・・・きっと、そうだよね?」
でも、モーリンが心配してくれたことも 一応、気をつけるようにしておかなきゃね

第21話 メルギトスの嘲笑

トリス
「結局、最後まで戦うことしかできずに終わっちゃたよね あたしたち・・・」
モーリン
「そうだね・・・
だけど、あたいはそれを後悔するのは間違いだと思うよ
あの時は、あれしか方法がなかったんだよ 無理に黒騎士と話をしたところで
あいつはそれを聞ける状態じゃなかったよ そうだろ?」
トリス
「うん・・・」
モーリン
「あたいたちの選択は絶対に間違ってない
そのあと起きちまったことは、また別の話さ 悔しいのは、あたいも一緒だし・・・」
トリス
「モーリン・・・」
モーリン
「次は、あの悪魔たちを徹底的にぶっとばしてやるからね!
あたいたちにはさ そうする権利 あるだろ?」
トリス
「ええ・・・そうよね!」
モーリン
「そうそう、そうだよ あんたはそうやって前を向いてないとね!」
トリス
「・・・うん!」
この気持ちを力にして次は絶対、悪魔たちを倒すんだからっ!

第22話 真なる罪人(好感度・通常)

モーリン
「トリス あんた、最初に会った時に比べたら
ホントに強くなったもんだよねえ・・・」
トリス
「そ、そうかな? 自分では、なんにも変わってない気がするんだけど・・・」
モーリン
「自分のことだからね 自分じゃわかんなくて当たり前さ?
でも、あたいにはちゃんとわかるんだ
最初はなんだかのほほんとしててさ 頼りになりそうもないと思ってたのにね
今じゃ、まったくその逆に思えるんだ だから、安心して命をあずけられるんだよ」
トリス
「あははは・・・」

第22話 真なる罪人(好感度・大)

モーリン
「トリス あんた、最初に会った時に比べたら
ホントに強くなったもんだよねえ・・・」
トリス
「そ、そうかな? 自分では、なんにも変わってない気がするんだけど・・・」
モーリン
「自分のことだからね 自分じゃわかんなくて当たり前さ?
でも、あたいにはちゃんとわかるんだ
最初はなんだかのほほんとしててさ 頼りになりそうもないと思ってたのにね
今じゃ、まったくその逆に思えるんだ だから、安心して命をあずけられるんだよ」
トリス
「あははは・・・」
モーリン
「・・・よーしっ!いっちょ、気合いを入れて、メルギトスをぶっ飛ばすよっ!?」
トリス
「ええ、頼りにしてるわモーリン?」
モーリン
「あいよッ!」

エンディング(好感度・通常/大 共通)

戦いは終わった・・・
源罪の嵐によってリィンバウムに混乱と破壊をもたらそうとしたメルギトスの最後の企みは
彼女の命がけの行動によって完全に潰えたのだ・・・
禁忌の森に隠されていた忌まわしき召喚兵器たちは永遠に抹消されて
そこには、今・・・一本の巨木がそびえている
聖なる大樹
人々が、その樹のことをそう呼ぶようになってから
二度めの季節が・・・巡ろうとしていた・・・
~聖地の森~
モーリン
「・・・トリス?
なんだい、なんだい ぼーっとしちまってさ ほら、しゃきっとおしよっ♪」
(バシッ)
トリス
「げほっ!げほっ!?」
モーリン
「ありゃ・・・ちょいと強すぎた?」
トリス
「ひどいよ、モーリン いきなり背中を叩くなんて・・・」
モーリン
「ううっ、ゴメン・・・でも、あんただって悪いんだよ
さっきから、さんざん呼んでんのに、ずっとうわのそらでさあ
せっかく泊まりに来たってのに、そんなんじゃあたい、困っちまうよ」
トリス
「そっか・・・あたし、そんなにぼーっとしちゃってたんだ・・・
(たしかに、このところあまりよく眠れてないものね・・・)」
モーリン
「夕べだって、あんた うなされてたし」
トリス
「え?」
モーリン
「何度もアメルの名を呼んでたよ・・・すごく、悲しそうにさ」
トリス
「ゴメン・・・うるさかったでしょ」
モーリン
「それは、別にいいんだけどさ・・・
やっぱり、まだあの時のことは忘れられないかい?」
トリス
「うん・・・
・・・・・・」
モーリン
「ほら、またぁ! そうやって黙りこむ
しょうがないねぇ
トリス ちょいと、そこらを散歩しに行こうよ」
トリス
「散歩・・・」
モーリン
「じっとしてるから余計なことばっかり考えちまうんだよ
外の空気を吸えば ちっとは、気分もしゃっきりするさ」
トリス
「うん、そうするわ」
モーリン
「早いもんだね・・・
あれから、もう季節がふたつも巡っていったなんて・・・」
トリス
「そうね・・・」
モーリン
「あんたがここで暮らすって決めたあの日から そんなに経つんだね
そして・・・
アメルが、この樹に姿を変えちまってからさ・・・」
トリス
「聖なる大樹・・・
この樹がアメルだって知っているのは、多分あたしたちだけ・・・
あの時から、ずっと邪悪な魔力を吸収して浄化し続けているのも」
モーリン
「あたいたちは、あの時 この樹のおかげで 明日を奪われずにすんだんだ
人間のことをずっと好きでいてくれた アメルのおかげでね
本当に、いくら感謝しても足りないよ」
トリス
「ええ・・・」
モーリン
「だけどさ・・・いい加減に、そろそろ起きてほしいねえ」
トリス
「うん、あたしね あの時、たしかに聞いた気がしたの
帰ってきます、って そう言ってくれたアメルの声を・・・
それに、ネスだって言ってくれたわ
アメルは生きている この木の中で眠っているだけだって・・・
でもさ、時々・・・不安になっちゃうんだ
あれは錯覚だったんじゃないかって・・・」
モーリン
「絶対に帰ってくるさ
だって、あんたがこうやって、ここで待ってるんだもの」
トリス
「モーリン・・・」
モーリン
「信じることが あんたの一番の得意技・・・だろ?」
トリス
「うん・・・そうよね」
アメル、聞こえる?
あなたの愛したこの世界は今もこうして息づいてる
相変わらず、あたしたちは不器用な生き方しかできないみたいだけど・・・
でも、あなたは言ったよね
人間は自分自身の力だけで変われるんだって・・・
そんな人間のことが愛しいって・・・
だから、あたしも信じるわ
いつかきっと・・・誰も悲しまずにすむ未来がこの世界におとずれるって
だから・・・ずっと、ずっと この場所から、あたしたちを見守っていてね
ねえ アメル・・・
トリス
「ふわぁ・・・っ
なんか、ほっとしたら急に眠くなってきちゃった・・・」
モーリン
「ここで昼寝してったらどうだい?
あたいもつきあってやるからさ・・・
ゆっくり、身体を休めたほうがいいよ」
トリス
「そうね・・・それも悪くないかも」
モーリン
「そうだ!どうせなら眠る前に、あたいがストラをかけたげるよ
ほら、じっとして・・・」
トリス
「ん・・・
ねえ、モーリン?」
モーリン
「なんだい?」
トリス
「ファナンの街は変わりない?」
モーリン
「まあね ただ、前よりもゴロツキは減ったよ
ユエルのやつがあたいの二代目としてがんばってくれてるからね」
トリス
「そっか・・・」
モーリン
「ほい、おしまい!
ゆっくり眠って ちょっとでも、元気になっておくれよ」
それが、あたいにとって一番うれしいことなんだからさ?
モーリン “グーでパンチ”

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