【夜会話】ネスティ(トリスVer.)

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瑞姫様

第1話 流砂の谷

ネスティ
「やれやれ、こんな場所で野宿することになるとは思わなかったよ」
トリス
「仕方ないよ 下手に夜道を歩くのは危険だっていうし
それに、フォルテさんたちだけに後始末を任せるわけにはいかないでしょ?」
ネスティ
「まあ、な」
トリス
「でも、久しぶりだよね 叱られる以外で、ネスと二人で話をするの」
ネスティ
「別に僕だって、好きで君を叱りつけてるわけじゃない
あんまり君が非常識なことをするから、つい口を出してしまうんだ」
トリス
「むぅ、反省してるわよ これでも」
ネスティ
「どうだか・・・まあ、おいおい確かめさせてもらうとしよう
まだまだ、旅は始まったばかりだしな」
あーあ、結局のところ説教されちゃうのね やっぱし・・・

第2話 聖女の横顔

ネスティ
「やれやれ・・・次から次へと厄介なことが続くな
この様子では、いつになったらファナンへたどり着けるのやら」
トリス
「ねっ、ねぇっ ネス・・・」
ネスティ
「謝っても無意味だよトリス 結果は変わらない」
トリス
「うう・・・」
ネスティ
「僕に余計な気をつかうことなんか考えずに黙って休んでおけ」
トリス
「えっ?」
ネスティ
「逃げる途中で倒れでもしたら、それこそ迷惑の極みだからな」
トリス
「・・・うん」
気をつかってくれたのはネスの方ね・・・ ありがとう・・・

第3話 再会と別れ

ネスティ
「襲ってきたあいつらは 黒騎士の手のものだと思って間違いあるまい」
トリス
「でも、前と比べると一人一人の動きがばらついていたけど」
ネスティ
「おそらく、足りない人手をそこらで集めて使ったんだろう
傭兵や冒険者の中には金次第でどうとでも転ぶ者も多いからな」
トリス
「あのゼルフィルドって機械兵士も?」
ネスティ
「いや、それは違う 機械兵士はそう簡単に使えるものではない
召喚するにしろ、遺跡から発掘するにしろ 手間も費用もバカにはならないはずだ」
トリス
「ということは・・・」
ネスティ
「やつらの背後にはそれだけ力のある組織がついているということだ
そしてその組織はそれだけの価値をアメルに認めているということにもなるな」
そこまでしてアメルを狙うなんて、いったいどうして・・・?

第4話 小さな召喚師

トリス
「ねぇ、ネス・・・
どうして蒼の派閥と金の派閥は、そんなに敵視しあってるの?」
ネスティ
「蒼の派閥は召喚術を用いて、世界の真理を探究する組織だ
対する金の派閥は営利を目的とした団体 思想からして相容れるものじゃない
さらに問題なのは彼らのそうした行動が結果的に権力者と結びつくことだ・・・」
トリス
「え?」
ネスティ
「君も知っているだろう? リィンバウムで起きた戦争のほぼすべてが
心なき召喚師の浅慮によって、引き起こされものだということを
世界の覇権をかけた戦乱の時代も エルゴの王が没した後の暗黒の時代も
召喚術は戦争の道具として重宝され、多くの犠牲者を生み出した」
トリス
「そっか、だから蒼の派閥は必要以上に政治に関わるなって教えてるのね」
ネスティ
「そういうことだ
金の派閥はそうした過去の過ちを繰り返す可能性をもつ組織なんだよ
無論、それが全てだと言い切りはしないがな」
派閥同士の対立には そんな深い理由があったのか・・・

第5話 はかなき平穏

トリス
「特務部隊「黒の旅団」・・・
その名のとおり秘密裏に編成された部隊・・・
道理で、資料からでは正体をつかむことができなかったわけねって・・・
それはわかったんだけど・・・
ねぇ、ネス・・・そのデグレアってそもそも、なんのことなのかな?」
ネスティ
「・・・」
トリス
「・・・?」
ネスティ
「キミはバカか!?」
トリス
「い、いきなりなんてことを言うのよ、ひどいじゃない?」
ネスティ
「ひどいのは君の物覚えのほうだっ!
ミニスだって知っていたんだぞ? 恥ずかしいとは思わないのか!?」
トリス
「そんなこと言ったって知らないものは知らないし・・・」
ネスティ
「君の場合は知らないというよりも、知ろうとしていないというのが正確だ
・・・決めた
その質問の答えは君自身の手で調べて見つけてくるんだ」
トリス
「えーっ!?」
ネスティ
「えーっ、じゃない! 二階の書庫を調べればすぐにわかるはずだ
今後どうするかについてはそれからだ まったく、無駄な時間をとらせて・・・」
トリス
「無駄だって思うんならさっさと質問に答えてくれれば・・・」
ネスティ
「いいから、さっさと調べてこいっ!?」
トリス
「とほほ・・・」
うーっ、まさか宿題を押しつけられるハメになるなんて・・・

第6話 彼女の決意

ネスティ
「こんな形でファナンにやってくることになるとは、皮肉だな」
トリス
「そう言わないでよ ほら、怪我の功名って考えれば・・・」
ネスティ
「その言葉は、こういう時に使うべきものではなかろう?」
トリス
「うう・・・」
ネスティ
「それにしても、やはり僕達たちの考えることなど、先輩たちにはお見通しだったな」
トリス
「うん、結局 最後の最後まで迷惑かけっぱなしだった気がする・・・」
ネスティ
「借りを返そうなんてことは無理だろうが
目的を果たした上できちんとお礼を言いにいきたいものだな
それが、お二人のしてくれたことに対して 僕達が報いる最良の方法になるはずだ」
トリス
「うん、そのためにもアメルを無事に送り届けないとね」
ここから先はあたしたちがあたしたちの手で道を切り開いていくのよね

第7話 波乱の港

トリス
「海賊が召喚術を使ってくるなんて、予想もしなかったわ」
ネスティ
「志の低い召喚師の中には、金銭と引き替えにして、召喚術を伝授する者たちがいる
おそらくあの海賊達も そういった連中から術を学んだんだな」
トリス
「無責任な話よね」
ネスティ
「相応の魔力と、誓約を済ませたサモナイト石さえあれば
召喚術を発動させることは誰にでも可能だ
しかし、それを正しい形で制御するためには相応の訓練と知識が不可欠となるんだ
それを軽視すると術の暴発や召喚獣の暴走による事故を引き起こしてしまう」
トリス
「ええ・・・、あたしもそうだったからよくわかるわ」
ネスティ
「召喚術を使う者は その力の恐ろしさを忘れてはならない
それをわきまえぬ外道の召喚師たちを罰するのもまた、蒼の派閥の役目なんだよ」
あたしの受けてきた訓練ってやっぱり必要なことだったのね・・・

第8話 屍人の砦

トリス
「あのガレアノって召喚師、何者だったのかしら?
たった一人で、砦ひとつを陥落させるなんて・・・」
ネスティ
「奴の素性も気になるが それより僕が気になるのは、砦を襲った目的のほうだ
砦の兵士を殺し合いさせて、いったい何の得があるんだ?」
トリス
「まさか、面白半分でやったんじゃ・・・」
ネスティ
「その可能性も皆無とはいえないが、もっとあり得そうなのは
トライドラと敵対する国家に雇われての破壊工作行為・・・」
トリス
「それじゃ、あいつもデグレアの関係者ってことなの!?」
ネスティ
「そう断言するには証拠がなさすぎるがな
どのみち、今日の一件については、本部へも報告する必要がある
ガレアノについての情報も、調べてもらうように申請しておくよ」
もしネスの予想が事実だったら デグレアはなにを企んでいるんだろう?

第9話 まだ見ぬ故郷

ネスティ
「地図に表記されてないことが、裏目だったか
最初から、ここが禁忌の森だと知っていれば、近づかせなどしなかったのに
それとも・・・やはり、必然だということなのか・・・?」
トリス
「むー、ネスぅ? さっきから、ぼそぼそなに言ってんのよぉ?」
ネスティ
「・・・!?
いや、なんでもない ひとりごとだよ トリス」
トリス
「ふーん・・・」
ネスティ
「やれやれ・・・寝ぼけるクセは相変わらずらしいな
トリス・・・」
寝ぼけるなって言われてもちっともおぼえがないんだけど むぅー???

第10話 封印の森にて

トリス
「それじゃ、どうしても話すことはできないって言うのね」
ネスティ
「ああ、禁忌の森に関することは、派閥の極秘事項として扱われているものなんだ
それを僕の独断で昇格したばかりの君に話すことはできないよ」
トリス
「わかった・・・でも、そんな極秘事項だっていうのなら
ネスはどうしてそのことを知っているのよ?」
ネスティ
「・・・!!」
トリス
「それも、やっぱり話せないこと?」
ネスティ
「ああ、そうさ 話せないことなんだ
禁忌の森にまつわることの全ては、隠され続けなくてはならない
そうしなければならないんだ・・・」
トリス
「・・・わかったわ もう、聞かない
おやすみ!」
ネスティ
「・・・・・・」
なによ・・・そんなにあたしのこと信用できないの? ネスは・・・

第11話 処刑台の騎士

ネスティ
「やれやれ、これでまた黒の旅団に手がかりを与えることになってしまったな」
トリス
「そう言うけどさ、もしネスが言うとおりガレアノとビーニャが同類だとしたら
どっちみち、あたしたちの動きは筒抜けだったってことになるじゃない?」
ネスティ
「ふむ・・・それもそうか
どうやら、僕たちと連中の間には、よほどの巡り合わせがあるらしいな
腐れ縁ってやつだな?
厄介なことだよ 腐れ縁など、ひとつで充分だというのに」
トリス
「ねぇ、ネス その腐れ縁ってのは もしかして・・・」
ネスティ
「僕の口から言わせるつもりか? はっきりと?」
トリス
「・・・・・・」
正面から攻めてこないぶん こっちの腐れ縁のほうが厄介な気がするわね・・・

第12話 絶望の先へと

ネスティ
「これではっきりしたな
ガレアノ、ビーニャ そして、キュラーはデグレアに雇われた召喚師だ・・・」
トリス
「でも、デグレアってどうやって、あんなに恐ろしい連中を味方につけたのかしら?
そもそも、旧王国が聖王国と対立したのは召喚師をめぐる立場の違いだったんでしょ」
ネスティ
「ふむ、君にしてはよく知っていたな?」
トリス
「あのね・・・」
ネスティ
「君の言うように旧王国というのは、召喚師が権勢を握ることを恐れるあまりに
徹底的な弾圧によって排除しようとした武門の人間たちによる国家ではある
だが、召喚術を否定するためには、それをねじふせる力が必要だ
毒をもって毒を制する この意味がわかるか?」
トリス
「つまり、召喚師に対抗するために、召喚師をぶつける・・・?」
ネスティ
「ご名答だ
あいつらは、その時のためにデグレアが温存していた連中だろうな
そんな切り札を出してくるからには、今度の奴らの侵攻は・・・、
総力戦を覚悟したものといえるだろうな」
それじゃ、やっぱり戦争は避けられないってわけね・・・

第13話 祭りの夜

ネスティ
「あのな・・・今がどういう状況かわかってるのか?」
トリス
「わかってるわよ
でも、どのみち祭りが終わらないことには 身動きだってとれないじゃないのよ?」
ネスティ
「む・・・」
トリス
「なら部屋でじっとしてないで、あたしたちも祭りを楽しもうよ」
ネスティ
「だが、しかし・・・」
トリス
「いいから、いいから! たまには息抜きも必要よ」
ネスティ
「まったく・・・仕方のないヤツだ」
トリス
「へぇ、すごい賑わいぶりねぇ」
ネスティ
「モーリンが得意げに話すだけはあるな
聖王国の建国祭に比べても、華やかさでは引けを取らない祭りだよ」
トリス
「ゼラムの通りの大きさだと、ここまで派手なパレードはできないものね」
ネスティ
「建国祭で思い出したが 君がやってきてから間もない頃に
祭り見物に抜け出して ひと騒ぎおこしたことがあったな?」
トリス
「そ、そんなことあった?」
ネスティ
「まさか、忘れたとは言わせないぞ」
トリス
「えーと・・・なんだっけ・・・」
  • ケンカしたこと?
    ネスティ
    「ああ、思い出すだけで情けない。召喚師が素手でゴロツキと取っ組み合いとは」
    トリス
    「だって、あれは向こうからケンカを売ってきたんだし
    カッとなって、だからつい・・・」
    ネスティ
    「相手にした君が悪い」
    トリス
    「うう・・・」
    ネスティ
    「新品の服をボロボロにして、おかげで僕が繕うことになったんだ」
    トリス
    「悪かったわよ、あれは 今でもそう思ってる」
    ネスティ
    「まぁ、感心したのは あれだけやられ放題にされながら
    召喚術をケンカの道具にしなかったことか
    それだけは、今でも評価してるよ」
  • よっぱらったこと?
    ネスティ
    「まったく、振るまい酒だからといって、度を越して飲むからだ
    酔っぱらった君は それはもう、手がつけられなかったんだぞ」
    トリス
    「それなんだけどさ あたし、なにをしたか記憶がないのよね」
    ネスティ
    「知りたいか?
    大声で歌いまくった けたたましく笑った おまけに・・・
    熱いからといって 道ばたで着ていた服をいきなり・・・」
    トリス
    「きゃぁああっ!? わかったからっ もういいっ!
    (あうう・・・あたしったら、そんな恥ずかしいコトをしちゃったのか・・・)」
トリス
「へぇ・・・あの沖で光ってるのが 全部、船なんだぁ?」
ネスティ
「豊漁と航海の安全に感謝して、海に供え物を流してるのさ
自然の恵みに感謝するこの儀式が、本来の祭りにあたるわけだ」
トリス
「あっ、花火だ・・・」
ネスティ
「ほう、船の上から打ち上げているのか」
トリス
「きれい・・・
王都だと建物が邪魔になったけど、ここは海の上だから、すごく見やすくていいわね」
ネスティ
「なあ、トリス」
トリス
「ん・・・?」
ネスティ
「君は、変わったな
本部にいた頃は 何に関してもやる気が感じられなかったのに
今は自分から積極的にいろいろなことに関わろうとしている
ただ、僕の言うことを義務的に聞いていた時とは大違いだよ」
トリス
「ネス・・・」
ネスティ
「あとは、行動に考えがついていければ問題ないんだがな
そうすれば、僕が君の世話を焼く必要はなくなる・・・
すこしだけ・・・さびしいけどな・・・」
トリス
「・・・?」
ネスティ
「さあ、そろそろ戻ろう 明日からは、また忙しくなるぞ?」

第14話 確かな想い

ネスティ
「あの人の話には やはり納得できない部分が多すぎる」
トリス
「まだ気にしてるの そのこと?」
ネスティ
「僕はとても気になる アグラバインが、共に入った仲間とは誰なのか・・・
そして、なんのためにそこへ向かったのかが」
トリス
「ただの偶然じゃない あたしはそう思うけど」
ネスティ
「そんな簡単に片付けていい問題じゃないってわかってるのか?
あの森は、あえて地図にも記されなかった場所なんだぞ・・・
過ちへの戒めと忌まわしき因縁を封じこめた場所なんだ!
何人であろうと近づいてはいけない場所なんだぞ!?」
トリス
「戒めと、因縁?」
ネスティ
「・・・!?」
トリス
「それが、派閥に伝わる機密なの?
ネスが隠している あの森に関わる秘密なのね!?」
ネスティ
「・・・・・・」
トリス
「答えてっ! ネス!?」
ネスティ
「・・・言えないよ
知らなければ、それでいいことなんだ 知ってしまえば・・・
君はきっと苦しむ 僕が今、味わっているのと同じように・・・」
トリス
「ネス・・・?」
あたしと、ネスが苦しむって、どういうことなのよ・・・?

第16話 縛鎖を断つもの

ネスティ
「調律者が、ゲイルを作った本来の目的は
この世界の人間の力だけで、リィンバウムを守れるようにするためだったらしい
まぁ、召喚獣を利用した時点で、本来の目的からは逸脱してるようなものだがな」
トリス
「どうして、そんなことを考えたのかしらね?」
ネスティ
「そこまではわからない 彼らには、彼らなりの事情があったんだろう
ただ、いくら目的が正しくても、課程を間違えては意味がないということだ」
トリス
「答えだけ合っていても途中の式が間違ってたら点数がもらえないテストと同じね」
ネスティ
「・・・・・・」
トリス
「じょ、冗談よ! ネスってば!?」
わだかまりが解けても ネスは、やっぱりネスのままね・・・

第17話 影は歌う

トリス
「まさか、レイムさんが黒の旅団の一員だったなんて・・・」
ネスティ
「おそらく、彼は君たちとの何気ない会話から
巧みに情報を聞き出し、デグレアの本隊へと知らせてたんだろうな」
トリス
「ごめん・・・あたしの不注意のせいで・・・!」
ネスティ
「気にするな 気づかなかったのは僕たちだって同じだ
恐ろしいのは、平然とこんなやり方ができるあの男だ・・・」
トリス
「笑ってたものね・・・あの人・・・」
ネスティ
「目論みどおり、恐怖でファナンの人々はみな混乱するだろう
それが頂点に達した時 デグレアは攻めてくる 間違いなく、な」
トリス
「このまま、あいつらの思いどおりにさせてたまるものですか!」
ネスティ
「ああ、まずはこの街を守りきろう
それがきっと デグレアの野望を阻む第一歩になるはずだ」
負けるわけにはいかないのよ 絶対に!

第18話 誰がための剣

トリス
「なんとか、デグレアを追い払うことができてよかったわね」
ネスティ
「実際には、金の派閥のファミイ議長の介入が勝負を決めたわけだが
ルヴァイドたちを牽制できたことで、僕たちなりに貢献できたろう」
トリス
「最初の頃に比べると ずいぶん、まともに戦えるようになってるもんね・・・」
ネスティ
「ああ、君もずいぶんと成長したものだ・・・」
トリス
「そっ、そうかな?」
ネスティ
「だが、油断はするな トリス
デグレアの本隊を負かしたわけじゃない それに・・・
屍人使いたちが今回の戦いに姿を見せなかったのも、僕には気がかりだ・・・
敵も召喚術を使って攻めて来れば、戦いはもっと激しいものになるだろう
くれぐれも、鍛錬を怠るなよ?」
トリス
「ええ・・・」
あの三人は、どうしてこの戦いに加わってこなかったのかしら?

第19話 デグレアの闇

ネスティ
「デグレアという国そのものが、屍人使いたちに利用されていたとはな・・・
中央集権という政治のやり方を、逆手に利用されたわけだ」
トリス
「あたしもてっきり、戦争を挑んでいるのはデグレアの意志だと思ってたのに・・・」
ネスティ
「世間がそう思うのも彼らの計算のうちなんだろうな
同じ、だな・・・」
トリス
「え?」
ネスティ
「かつての僕と、今のデグレアの兵士たちはまったく同じだよ
命令されるがままに動くだけの操り人形さ そこに疑問の入りこむ余地なんてない」
トリス
「ネス・・・」
ネスティ
「違うのは・・・トリス 僕には、君がいてくれたということだ
操り糸にがんじがらめにされていた僕の心に 君は、無遠慮なまでに近づいてきて
あっけらかんとした態度で、ことごとくそれらを断ち切ってしまったんだ」
トリス
「な、なんか・・・あんまり、ほめられてないような気がするんですけど・・・?」
ネスティ
「それは、受けとる君のほうに問題があるせいじゃないのか?」
トリス
「むー・・・っ」
ネスティ
「黒騎士たちの心にも 君のその想いが伝わるといいんだがな・・・」
トリス
「それじゃ、ネス!?」
ネスティ
「ああ、裏のからくりがはっきりとした今なら 戦いではなく、和解の道もあり得るだろう
君の行動が、その道を開いたんだからな 今回ばかりは、素直に認めるよ・・・」
トリス
「(うふふ・・・)」
ネスが面と向かってあたしを褒めたのって初めてかも!?

第20話 知の略奪者

トリス
「ガレアノたちの正体が悪魔だったなんて」
ネスティ
「今までの彼らの様子を思い返せば、予想してしかるべきことだった
それができなかったのは、召喚対象である悪魔が、召喚術を行使するはずないという
先入観が、無意識にあったせいだろうな」
トリス
「血識、か・・・ それにしても、普通そんなこと考えたりはしないわよ
血液ごと、知識や記憶を奪いとるなんて」
ネスティ
「正直、恐ろしいよ 僕は・・・」
トリス
「え?」
ネスティ
「僕の身体を流れる血は一族の知識と記憶を受け継いだものだ
あいつらにして見れば さぞかし、魅力的なものなのだろうな」
トリス
「ネス・・・
大丈夫よ あいつらには、ネスに手出しなんかさせたりしない!」
ネスティ
「トリス・・・」
トリス
「だから、こわがったりなんかしないで
ネスがそんなだと なんか、あたしまでおちこんじゃうよ
ね?」
ネスティ
「やれやれ・・・我ながら情けないな
兄弟子として いや、それ以前に僕は男だというのに」
トリス
「男とか女っていうのはあんまり関係ないって あたしは思うけどな
誰だって、不安になる時はあるんだし
あたしは、そういうちょっとヘコんでるネスのことも、キライじゃないよ?
こんなこと言うと叱られちゃうかもしれないけど
なんか、ホッとするの ネスもやっぱり、普通の人なんだなーってね」
ネスティ
「トリス・・・」
トリス
「ねえ、ネス ちょっとそこに座って」
ネスティ
「え?」
トリス
「いいから、いいから ほら?」
ネスティ
「・・・?」
トリス
「えいっ♪」
ネスティ
「な・・・? トリスっ!?」
トリス
「おぼえてる? 私が、生まれのことでいじめられちゃって泣いてると・・・
ネスは、決まって こんなふうに抱いて、私の頭撫でてくれたよね」
ネスティ
「・・・・・・」
トリス
「こうしてもらってるとあたし、イヤなこと全部忘れられたんだよ」
ネスティ
「そんなことも・・・あったな・・・」
トリス
「ねえ、ネス・・・つらいことがあったら こうやって、ちゃんとあたしに話してね?」
ネスティ
「ああ・・・」
トリス
「約束、だからね・・・」
守ってもらうだけじゃなくって これからはあたしもネスのこと守ってみせる・・・

第21話 メルギトスの嘲笑

ネスティ
「どうやら、予想どおりメルギトスの言葉にやられてるようだな?」
トリス
「ネス・・・」
ネスティ
「気になるんだろう? あいつが最後に、君に言った言葉の真意が」
トリス
「うん・・・」
ネスティ
「ギブソン先輩の話ではメルギトスというのは人の心を惑わすことを得意とするらしい
下手に考えようとすると、かえって策略にはまるぞ?」
トリス
「それはわかってるわよ でも・・・」
ネスティ
「そもそも兄弟子の僕が考えてもわからないことが、劣等性の君にわかるものか」
トリス
「むぅ・・・!?」
ネスティ
「頭がイタくなっても知らんぞ」
トリス
「あのねぇ!それはいくらネスだって言い過ぎよっ!?」
ネスティ
「おや、これでもかなり控えめに言ったつもりなんだがな?」
トリス
「ネスうぅぅ~っ!!」
ネスティ
「はははは、そうそう そういう幼稚な反応が君にはふさわしいぞ?」
トリス
「また!? もう、絶対に許さないんだからあ~っ!?」
ありがと、ネス・・・また、気をつかってくれたのね・・・

第22話 真なる罪人(好感度・通常)

ネスティ
「僕は、やっぱり人間たちのついた嘘を許せそうにはないよ
過去にこだわり続けることは、愚かなのかもしれないけど」
トリス
「仕方がないと思うわ それは・・・
あまりにも長い年月をライルの一族は傷ついたまま、過ごし続けてきたんだもの
ネスはその全てを背負ってるもんね そう簡単に水に流せるわけがないもの」
ネスティ
「うん・・・」
トリス
「でもね、ネス それでもいつか・・・
その傷も、きっと癒えるんじゃないかな だって・・・」
ネスティ
「僕たちの未来は、まだこれからだから・・・
だろう?」
トリス
「ネス・・・」
ネスティ
「あの時、メルギトスに言った言葉は本心だよ
君と出会えたから 僕はこの世界を好きになれたんだ・・・
君がいてくれたから 僕は、悪魔の誘いをはねのけられたんだよ
ありがとう」
トリス
「そ、そんな・・・っ お礼だなんて、なんか照れくさいよぉ!?」
ネスティ
「・・・・・・」

第22話 真なる罪人(好感度・大)

ネスティ
「僕は、やっぱり人間たちのついた嘘を許せそうにはないよ
過去にこだわり続けることは、愚かなのかもしれないけど」
トリス
「仕方ないと思うわ それは・・・
あまりにも長い年月をライルの一族は傷ついたまま、過ごし続けてきたんだもの
ネスはその全てを背負ってるもんね そう簡単に水に流せるわけがないもの」
ネスティ
「うん・・・」
トリス
「でもね、ネス それでもいつか・・・
その傷も、癒えるんじゃないかな だって・・・」
ネスティ
「僕たちの未来は、まだこれからだから・・・
だろう?」
トリス
「ネス・・・」
ネスティ
「あの時、メルギトスに言った言葉は本心だよ
君と出会えたから 僕はこの世界を好きになれたんだ・・・
君がいてくれたから 僕は、悪魔の誘いをはねのけられたんだよ
ありがとう」
トリス
「そ、そんな・・・っ お礼だなんて、なんか照れくさいよぉ!?」
ネスティ
「・・・・・・」
トリス
「でも、あれよね
ああまで、はっきりケンカ売っちゃったからには・・・
きちんと責任とって勝たなくちゃダメよね」
ネスティ
「不安なのか?」
トリス
「うん・・・ちょっぴり・・・
調律者の一族とかいったって、あたしはもともと落ちこぼれの生徒だったし
ネスやアメルみたいに特別な力、持ってたらよかったんだけどね あはははは・・・」
ネスティ
「こわいのを、笑ってごまかそうとするのは 昔とおんなじだな
意地っ張りめ・・・」
トリス
「あ・・・?」
ネスティ
「こうして頭を撫でられてると、不安が消えるって言ってたろう?」
トリス
「そ、それは・・・っ! まだ、小さかった時の話で・・・っ!?」
ネスティ
「イヤなのか?」
トリス
「う・・・
イヤじゃ・・・ないよ・・・」
ネスティ
「なら、いい・・・」
トリス
「・・・・・・」
ネスティ
「安心していいんだ トリス
何が起きようとも 僕が必ず、君のことを守ってみせるから」
トリス
「それって・・・ネスが、あたしの兄弟子だから?」
ネスティ
「君は、本当にそうだと思っているのか?」
トリス
「・・・ううん」
ネスティ
「バカ・・・だったら、そんなこと聞くんじゃない・・・」
トリス
「うん・・・」
ネスティ
「この戦いが終わったら 改めて、旅をやり直すことにしよう
戦いの旅じゃない ちゃんとした見聞の旅を」
トリス
「ええ、そうよね」
ネスティ
「ただし、目的地は南じゃなくて、北だ
君が生れた街を 僕は、見てみたいんだ」
トリス
「え・・・」
ネスティ
「案内してくれるか?」
トリス
「うん!
約束しましょう、ネス そのためにも、絶対に勝ってみせるって!」
ネスティ
「ああ、約束だ・・・」

エンディング(好感度・通常)

戦いは終わった・・・
源罪の嵐によってリィンバウムに混乱と破壊をもたらそうとしたメルギトスの最後の企みは
彼の命がけの行動によって完全に潰えたのだ・・・
禁忌の森に隠されていた忌まわしき召喚兵器たちは永遠に抹消されて
そこには、今・・・一本の巨木がそびえている。
聖なる大樹
人々が、その樹のことをそう呼ぶようになってから
二度めの季節が・・・巡ろうとしていた・・・
~聖地の森~
アメル
「・・・トリス?
ぼうっとしてたけど どこか、身体の調子がおかしいんですか?」
トリス
「ううん、平気よ 心配しないで」
アメル
「もしかして、また ネスティのことを?」
トリス
「うん・・・」
アメル
「そうですよね
戦いは終わって 聖王国にも平和が戻ったけれど・・・
貴女やあたしにとっては、それはまだ終わっていないことなんですから」
トリス
「あの日の今日・・・ネスは、いなくなってしまったのよね
あたしたちを・・・おいてけぼりにして 一人っきりでさ」
アメル
「トリス・・・
でも、だからこそね 今日は笑顔でいないとダメだと思うの
みんなも、ネスに会いに来てくれるし だから・・・っ!」
トリス
「うん・・・わかってるよ わかってはいるんだよ だけどね・・・
だけど・・・っ」
アメル
「ねえ、トリス 一足先に、彼に挨拶をしに行きませんか?」
トリス
「え・・・」
アメル
「みんなが来るまでには まだ、すこし時間があるし・・・
あたしじゃ、やっぱりトリスを叱るのは無理だから
ネスティに・・・叱ってもらいましょ」
トリス
「うん・・・」
アメル
「早いものですね・・・
あれから、もう 季節がふたつも巡っていったなんて・・・」
トリス
「聖なる大樹・・・
この樹が、ネスだって知っているのは、多分あたしたちだけ・・・
あの時から、ずっと邪悪な魔力を吸収して浄化し続けているのも」
アメル
「だから・・・
あたしたちはこの樹の ううん、彼の護人になった・・・
いつか、この樹の中で眠りについている彼が起きるのを信じて」
トリス
「あははは・・・っ 起きるかどうかさえもわかってないのにね」
アメル
「あたしが・・・
あたしの天使の力がもっと強かったら!
ネスティを・・・助けられたかもしれないのに・・・っ」
トリス
「泣かないで、アメル あなたのせいじゃない
なにもできないのはあたしだっておなじよ それに・・・
さっき、言ったよね 今日だけは、笑顔でいなきゃダメだって」
アメル
「ごめんなさい・・・あたしまで、泣いたりしちゃって・・・
あたしたちが笑顔じゃないと、きっと彼に叱られますもんね
彼の分まで、幸せにならなくちゃ・・・」
トリス
「うん・・・そうだよね・・・」
ネス、聞こえる?
あなたのおかげで、あたしたちはこうして生きているわ・・・
ネスが言っていたとおり 人間は、やっぱり嘘つきで自分勝手だけど・・・
でも、昨日とは違う よりよい明日をめざして生きようとしている
だから、あたしも信じていいよね
いつかきっと・・・誰も悲しまずにすむ未来が この世界におとずれるって
だから・・・ずっと、ずっと この場所から、あたしたちを見守っていてくれるよね?
アメル
「戻りましょうか みんなも、じきに集まってくるだろうし
バルレル一人じゃきっと困っちゃいますもんね」
トリス
「ええ、それじゃ・・・」
ここだよ・・・
トリス
「(えっ?)」
ほら、ここさ・・・
ここに、いるんだよ
アメル
「どうしたんです?」
トリス
「この声は・・・まさか・・・っ?
ネスっ!」
アメル
「トリスっ! どこへ行くのっ!?」
トリス
「ネス・・・っ!!」
アメル
「え・・・っ 本当、に・・・っ?
あたし・・・っ 夢を見ちゃってるんですか・・・」
トリス
「夢なんかじゃない!!
ネスは・・・っ 帰ってきてくれたのよ
あたしとした約束のために 帰ってきたのよ!」
ネスティ
「ん・・・っ んん・・・っ?」
トリス
「ネスっ」
ネスティ
「やれやれ、騒々しいな まったく・・・
寝起きぐらいはそっとしておいてくれ トリス」
トリス
「あ、ゴメン・・・っ」
ネスティ
「しかし、どういう風の吹き回しなんだ
君が僕より先に起きているだなんて・・・ もしかして、これは悪い夢か?」
トリス
「夢じゃないわよっ! もし夢なら、あたし一生、ネスのこと恨むもん・・・っ!」
ネスティ
「・・・君はバカか?
どういう理屈で、僕が君に恨まれなくちゃならなくなるんだ まったく・・・」
トリス
「ネス・・・っ!!」
ネスティ
「な・・・っ なんのつもりだっ!? トリス」
トリス
「ネスなのね・・・っ 本当に、ホントにっ ネスなのね・・・っ」
ネスティ
「当たり前だろう まったく・・・僕は、ネスティだとも
わかったら・・・いい加減に離れてくれ」
トリス
「うん・・・っ」
ネスティ
「他のみんなは?」
トリス
「もうすぐ、会えるよ すぐに・・・
ずっと、あなたのこと みんなも・・・待ってたんだもの」
ネスティ
「そういうことはもっと、早く言うべきだろうに・・・!」
トリス
「うん・・・っ これからは、絶対にそうするわ」
ネスティ
「急いで戻るぞ」
トリス
「あっ、ネス!」
ネスティ
「・・・どうした?」
トリス
「肝心なこと、あなたに言い忘れてたよ・・・」
おかえり・・・

エンディング(好感度・大)

戦いは終わった・・・
源罪の嵐によってリィンバウムに混乱と破壊をもたらそうとしたメルギトスの最後の企みは
彼の命がけの行動によって完全に潰えたのだ・・・
禁忌の森に隠されていた忌まわしき召喚兵器たちは永遠に抹消されて
そこには、今・・・一本の巨木がそびえている
聖なる大樹
人々が、その樹のことをそう呼ぶようになってから
二度めの季節が・・・巡ろうとしていた・・・
~聖地の森~
アメル
「・・・トリス?
ぼうっとしてたけど どこか、身体の調子がおかしいんですか?」
トリス
「ううん、平気よ 心配しないで」
アメル
「もしかして、また ネスティのことを?」
トリス
「うん・・・」
アメル
「そうですよね
戦いは終わって 聖王国にも平和が戻ったけれど・・・
貴女やあたしにとっては、それはまだ終わっていないことなんですから
とくに・・・トリス
彼のことを誰よりも好きだった、貴女にとっては・・・」
トリス
「あの日の今日・・・ネスは、いなくなってしまったのよね
あたしたちを・・・おいてけぼりにして 一人っきりでさ」
アメル
「トリス・・・
でも、だからこそね 今日は笑顔でいないとダメだと思うの
みんなも、ネスに会いに来てくれるし だから・・・っ!」
トリス
「うん・・・わかってるよ わかってはいるんだよ だけどね・・・
だけど・・・っ」
アメル
「ねえ、トリス 一足先に、彼に挨拶をしに行きませんか?」
トリス
「え・・・」
アメル
「みんなが来るまでには まだ、すこし時間があるし・・・
あたしじゃ、やっぱりトリスを叱るのは無理だから
ネスティに・・・叱ってもらいましょ」
トリス
「うん・・・」
アメル
「早いものですね・・・
あれから、もう 季節がふたつも巡っていったなんて・・・」
トリス
「聖なる大樹・・・
この樹が、ネスだって知っているのは、多分あたしたちだけ・・・
あの時から、ずっと邪悪な魔力を吸収して 浄化しつづけているのも」
アメル
「だから・・・
あたしたちはこの樹の ううん、彼の護人になった・・・
いつか、この樹の中で眠りについている彼が起きるのを信じて」
トリス
「あははは・・・っ 起きるのかどうかさえも わかってないのにね」
アメル
「あたしが・・・
あたしの天使の力がもっと強かったら!
ネスティを・・・助けられたかもしれないのに・・・っ」
トリス
「泣かないで、アメル あなたのせいじゃない
なにもできないのは、あたしだっておなじよ それに・・・
さっき、言ったよね 今日だけは、笑顔でいなきゃダメだって」
アメル
「こめんなさい・・・あたしまで、泣いたりしちゃって・・・
あたしたちが笑顔じゃないと、きっと彼に叱られますもんね
彼の分まで、幸せにならなくちゃ・・・」
トリス
「うん・・・そうだよね・・・」
ネス、聞こえる?
あなたのおかげで、あたしたちはこうして生きているわ・・・
ネスが言っていたとおり 人間は、やっぱり嘘つきで自分勝手だけど・・・
でも、昨日とは違う よりよい明日をめざして生きようとしている
だから、あたしも信じていいよね
いつかきっと・・・誰も悲しまずにすむ未来が この世界におとずれるって
だから・・・ずっと、ずっと この場所から、あたしたちを見守っていてくれるよね?
アメル
「戻りましょうか みんなも、じきに集まってくるだろうし
レオルド一人じゃきっと困っちゃいますもんね」
トリス
「ええ、それじゃ・・・」
ここだよ・・・
トリス
「(えっ?)」
ほら、ここさ・・・ここに、いるんだよ
アメル
「どうしたんです?」 
トリス
「この声は・・・ まさか・・・っ?」
やくそく・・・したからな・・・
かえって・・・きたんだよ・・・
トリス
「ネスの声・・・っ 間違いないわっ!」
アメル
「え!?あたしには なにも・・・」
どこを、みてるんだ
きみの・・・すぐ、そばだよ・・・
トリス
「ネスっ!」
アメル
「トリスっ! どこへ行くのっ!?」
トリス
「ネス・・・っ!!」
アメル
「え・・・っ 本当、に・・・っ?
あたし・・・っ 夢を見ちゃってるんですか・・・」
トリス
「夢なんかじゃない!!
ネスは・・・っ 帰ってきてくれたのよ
あたしとした約束のために 帰ってきたのよ!」
ネスティ
「ん・・・っ んん・・・っ?」
トリス
「ネスっ」
ネスティ
「やれやれ、騒々しいな まったく・・・
寝起きぐらいはそっとしておいてくれ トリス」
トリス
「あ、ゴメン・・・っ」
ネスティ
「しかし、どういう風の吹き回しなんだ
君が僕より先に起きているだなんて・・・もしかして、これは悪い夢か?」
トリス
「夢じゃないわよっ! もし夢なら、あたし一生、ネスのこと恨むもん・・・っ!」
ネスティ
「・・・君はバカか?
どういう理屈で、僕が君に恨まれなくちゃならなくなるんだ まったく・・・」
トリス
「ネス・・・っ!!」
ネスティ
「な・・・っ!? は、はしたないぞっ トリス!
アメルも見てるだろ だいたい、今の僕は服をなくしたせいで裸なんだぞ・・・っ
誤解をっ、招くようなことは・・・!」
トリス
「好き、大好きだよっ! ネスティ・・・っ
だから、もう絶対にどこへも行かないで!
ずっと、このままあたしの側にいてね お願い・・・っ」
ネスティ
「やれやれ・・・本当に君は、昔っから甘えんぼうだな
心配するな・・・どこにも行かないさ
君は、僕にとってこの世界で一番大切な たった一人の、女の子なんだからな・・・」
トリス
「うん・・・っ」
ネスティ
「他のみんなは?」
トリス
「もうすぐ、会えるよ すぐに・・・
ずっと、あなたのこと みんなも・・・待ってたんだもの」
ネスティ
「そういうことは もっと、早く言うべきだろうに・・・!」
トリス
「うん・・・っ これからは、絶対にそうするわ」
ネスティ
「急いで戻るぞ」
トリス
「あっ、ネス!」
ネスティ
「・・・どうした?」
トリス
「肝心なこと、あなたに言い忘れてたよ・・・」
おかえり・・・
ネスティ “果たされた約束”
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