【夜会話】レシィ(トリスVer.)

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第1話 流砂の谷

レシィ
「はあ・・・」
トリス
「疲れた?」
レシィ
「あ、いえ! そんなことないですっ」
トリス
「あたしは疲れたわよ」
レシィ
「すこし・・・」
トリス
「素直でよろしい♪ あと、ありがとね?」
レシィ
「そっそんな! 僕なんか、ほとんど戦いではお役に立てなかったし・・・」
トリス
「ううん、そんなことないわよ
レシィが戦いが苦手だってのは はじめから知ってる
代わりに、夕食作るのがんばってくれたじゃない、おいしかった」
レシィ
「えっ・・・」
トリス
「あたしだけじゃないわ フォルテさんもケイナさんも、おいしいって褒めてたわよ」
レシィ
「そ、そうですかっ!? よかったぁ・・・」
レシィがいれば、野宿をしても食事の心配はしなくてよさそうね・・・

第2話 聖女の横顔

レシィ
「ロッカさんたち大丈夫でしょうか ボク、心配で・・・」
トリス
「わからないよ、正直 でも、きっと大丈夫
ロッカが言ったでしょ 「迎えに行く」って アメルに
彼は真面目だから きっと約束は守るわ だから、あたしたちもそう信じないとね」
レシィ
「そう、ですね・・・
信じてあげないといけませんよねっ?」
トリス
「ええっ」
無事でいてね みんな・・・

第3話 再会と別れ

レシィ
「行っちゃいましたね」
トリス
「ええ、だけどあたしには、止めることはできなかった」
レシィ
「しかたないと思います
それに、きっと大丈夫だとボクは思います」
トリス
「え?」
レシィ
「だって、あのお二人はアメルさんとの約束をちゃんと守ったじゃないですか
そして、今度はご主人様と約束をしていかれました・・・
だから、絶対に帰ってきてくれますよ」
トリス
「そうね・・・ あたしが約束を守ったことたしかめてもらわないと困るものね?」
その時のためにも絶対に約束を守らないとね

第4話 小さな召喚師

レシィ
「なくしたペンダントはメイトルパにいるワイバーンを封じた品だったんですねぇ」
トリス
「ワイバーンかぁ・・・ レシィは見たことあるの?」
レシィ
「とっ、とんでもないですよぉっ!?
ワイバーンは険しい山で暮らしているとても強い竜族の幻獣ですよ
そんな機会なんて ボクにあったわけないじゃないですかぁ」
トリス
「そんなにすごいの?」
レシィ
「幻獣たちの中でも特に竜族は高い知能と強じんな身体をもってますからねぇ
そんな方と誓約できたミニスさんって、正直すごいと思いますよ」
ま、負けてるかも? あたし・・・

第5話 はかなき平穏

レシィ
「あの人たち・・・ 「黒の旅団」って言ってましたっけ
囲まれてるってことに ボクはちっとも、気がつきませんでした
だから、それがわかった時には、本当にこわかったです
そんな人たちを相手にしても、ご主人さまはアメルさんを守ろうというんですね・・・」
トリス
「レシィは反対なの?」
レシィ
「ボクには・・・うまく言えません
アメルさんを助けたい だけど、そのためにあんな恐ろしい黒騎士たちを相手に・・・
ご主人様が、戦わなくちゃならなくなるのが こわくて、こわくて しかたないんです!
だって・・・ ボクにはご主人様を守れるだけの力なんてないから・・・っ」
トリス
「(レシィ?)」
レシィ
「ごめんなさ・・・ ボク・・・っく 泣くつもり、なんて うく・・・っ」
トリス
「ありがとう・・・レシィ 心配してくれて
でも、大丈夫よ あたしだって、自分の分はわきまえてるから
無茶はしないわ レシィが心配するようなことは絶対にしないから」
レシィ
「ほんと・・・ですか・・・っ?」
トリス
「ええ、約束・・・ だからもう泣かないで」
レシィ
「は、はい・・・っ」
約束を守るためには もっと、あたしがしっかりしないとね

第6話 彼女の決意

レシィ
「あううう・・・っ!」
トリス
「ほら、ガマンしなさい」
レシィ
「で、でもぉ・・・ あうっ、痛いぃぃ! 痛いですうぅぅっ!!」
トリス
「まったく、いきなり倒れた時にはなにかと思ったけど
両足がつって倒れるなんて、あなたらしいというか・・・」
レシィ
「うう、面目ないですぅ ご主人さまぁ・・・」
トリス
「まあ、追われてる途中でこうならなかっただけでも上出来かもね
がんばったわね・・・レシィ?」
レシィ
「ご主人さま・・・
・・・あうっ!?いたたたたたっ!!」
トリス
「きっちりほぐしておかないと、後々に響くからね
さ、次は左足の番よ?」
レシィ
「あ、あうぅ・・・っ ご主人さまぁ 勘弁してくださいよぉ」
しかし、これでよくメイトルパで暮らしていられたって思うわ 正直なとこ・・・

第7話 波乱の港

レシィ
「海って本当に不思議ですねえ、ご主人さま
僕たちの部族は広い草原の中で暮らしてたから、海を見るのは初めてのはずなのに
こうして波の音を聞いていると、とても懐かしい気持ちになってしまうんです
どうしてでしょう?」
トリス
「あたしも聞いた話でしかたないんだけど
生まれる前の赤ん坊はお母さんのお腹の中で海に近い水に浸かって育つんだって
そこに伝わってくる母親の鼓動の音は 波とよく似たうねりを形作るそうよ
あたしたちが波の音を聞いて懐かしく感じる理由は、そのせいなのかもしれないわね?」
レシィ
「なるほど・・・ だから、こんなに心地いい響きに聞こえるんですねぇ・・・
あふ・・・」
トリス
「あはは、いくら心地よくても、こんな場所で寝たらカゼひくわよ
部屋に戻って休みましょ?」
レシィ
「ですね・・・」
なんだか、今夜はぐっすり眠れそうな気がする・・・

第8話 屍人の砦

レシィ
「ねえ、ご主人さま パッフェルさん どこ行っちゃったんでしょうか?」
トリス
「それがね、変なのよ
あたしたちと反対側から来たレナードさんが言うには
途中で彼女と出会いはしなかったってさ
一本道の廊下よ?」
レシィ
「き、消えちゃったってことですかっ!?」
トリス
「あるいは、途中で襲われた・・・」
レシィ
「そそそ、そんなぁ!?」
トリス
「・・・ってワケないか だとしたら、騒ぎで気づくはずだもの」
レシィ
「・・・・・・」
トリス
「あの人のことだから隠し通路なんかを知っててさ
それを使ったんだと思うわよ
抜け目なさそうだし」
レシィ
「そうですよね・・・それぐらい、知ってそうですもんね」
無事だとは思うけど やっぱり、心配は心配よねぇ

第9話 まだ見ぬ故郷

レシィ
「ご主人さまぁっ! こんな所で、夜に外へ出るだなんて、やめてくださいよぉ・・・
森の悪魔たちがやって来たら、どうなさるんですか!?」
トリス
「あははは、まったくレシィは臆病ねぇ
明日はその森の周りを調査するってのに」
レシィ
「ううっ、だって・・・昼間と夜は違いますぅ」
トリス
「いいや、あれだけ木がたくさん生えてるからには、中も薄暗いはずよぉ?
あんまり関係ないんじゃないの?」
レシィ
「だだっ、だったらっ! なおさら、夜のほうが危険ですよぅ!?」
トリス
「心配ないって、ルウも言ってたじゃない?
この家の周囲には アフラーン家秘伝の魔よけが施してあって 悪魔は近づけ・・・」
(ガサガサッ)
レシィ
「ひゃあっ!?」
トリス
「・・・・・・
・・・ね、寝よっか? 明日も早いんだしっ」
レシィ
「そそっ、そうですねっ 明日も早いんだしっ!」
き、気のせいだよね? さっきのは・・・ うん・・・多分・・・

第10話 封印の森にて

レシィ
「一時はどうなることかって思いましたけど
守護者さんたちのおかげで、助かって 本当によかったですね ご主人さま?」
トリス
「ええ、本当に 危機一髪ってところだったものね」
レシィ
「だけど、あの人たち どうしてこんな所にいたんでしょうか?
地図にも載ってない場所だって、ネスティさんも言ってたのに」
トリス
「うーん、とはいえ あれだけのことができる人たちだしねえ
きっとあたしたちにはできないような方法で調べたんじゃないの」
レシィ
「ああ、なるほど それはありそうな話ですよねぇ・・・」
トリス
「どのみち、明日には説明してもらえるのよ 今はそういうことにしておきましょう」
助けてもらったって事実は変わらないんだし・・・

第11話 処刑台の騎士

レシィ
「こんなことを言うのは間違ってるのかもしれませんけど・・・
あのビーニャって人に呼ばれた召喚獣たちが ボクは、かわいそうだと思うんです
呼ばれる立場のボクたちには、仕える相手を選べないですから」
トリス
「ええ・・・」
レシィ
「ボク、思ったんです ご主人さまに召喚してもらえて、本当によかったって・・・
ご主人さまは、ボクをモノじゃなくて ヒトとして見てくれる
これって、召喚獣にとって、すごく幸せなことなんじゃないんでしょうか?」
トリス
「レシィ その考えは間違いだとあたしは思うわ」
レシィ
「え・・・?」
トリス
「特別なことなんかじゃない。本当ならそれが当たり前のはずなのよ
この家に暮らすルウを見れば、わかるよね? 彼女は召喚獣と家族みたいに暮らしてる
ミニスだって・・・ううん、カイナや先輩たち、ネスティもきっと・・・
召喚獣をモノだなんて思ったりしてない ビーニャみたいなのが間違ってるのよ」
レシィ
「ご主人さま・・・」
トリス
「だから、感謝なんかしなくたっていいのよ
これがあたしたちの当たり前の関係なのよ」
レシィ
「はい、でも・・・
やっぱり、ボクはご主人さまに呼ばれて幸せだと思いますっ」
トリス
「・・・ありがとう レシィ」
こんな当たり前のことを忘れてる召喚師たちが どれだけたくさんいるんだろう・・・

第12話 絶望の先へと

レシィ
「フォルテさんも強い人だと思っていましたけど・・・
そのお友達のシャムロックさんも やっぱり強いですよね」
トリス
「そりゃ、砦の守備隊長を任されていたくらいだものね」
レシィ
「いえ、ご主人さま ボクが言いたかったことは、そっちの強さじゃなくって・・・
心のほうの強さですよ」
トリス
「ああ、そういうことね」
レシィ
「自分の街が、あんなひどいことにされて 絶望したって不思議じゃないのに・・・
自分のやるべきことをはっきりと自覚して すぐに動き出すなんてすごいですよっ!
ああ、ボクもあの人を見習って、もっと勇気を出せるようにならなくっちゃ」
トリス
「そういうことならがんばりなさい? レシィ」
レシィ
「はいっ!」
レシイだけに限らず あたしもあの人を見習う必要があるかもしれない

第13話 祭りの夜

レシィ
「え!ボクをお祭りに連れていってくれるんですか?」
トリス
「ええ、一緒に行きましょう」
レシィ
「ありがとうございます ご主人さまっ!
それじゃ、明日のご飯の下ごしらえ、大急ぎで済ませますね」
トリス
「あらあら、明日のなら別に今やらなくたっていいじゃないの?」
レシィ
「でも、明日の朝ご飯はご主人さまのお好きな
ひと晩かけてじっくり煮込んだ、チャウダースープですよ?」
トリス
「う・・・」
レシィ
「だから、大急ぎで支度しますね」
トリス
「味のほうも、いつものままでね・・・?」
レシィ
「はいはい、ご心配なく」
レシィ
「わあ、いつもにましてすごい人手ですねえ」
トリス
「大通りいっぱいに屋台が並んでるもの
仮装行列のパレードもあるって話よ」
レシィ
「ボク、なんだかワクワクしてきちゃいました」
トリス
「さて、それまで屋台でも冷やかして時間を潰しましょうか」
レシィ
「なにか、買われるんですか?」
トリス
「そうね・・・
(たまにはレシィにもなにか買ってあげましょうか?)」
  • 好きな物を買っていいよ
    トリス
    「ねえ、あなた そんなもので本当に良かったの?」
    レシィ
    「え?」
    トリス
    「だって、包丁なんて普通の時にだって買えるでしょ?
    もっと他に、お祭りらしいものを買えばよかったのに」
    レシィ
    「でも、あのお店 今日だけ特別に来てるものなんでしょう
    だったら、お祭りらしい品ですよ」
    トリス
    「そりゃそうだけど でもねえ・・・」
    レシィ
    「モーリンさんのお家の包丁、ボクが使うにはちょっと重かったから欲しかったんですよ
    ありがとうございます ご主人さまっ」
    (包丁を手に入れた!)
    トリス
    「(まあ、本人がこれだけ喜んでるんだから いっか・・・?)」
  • 適当に選んでやるか
    トリス
    「ほら、あっちの串焼きもおいしそうよ?」
    レシィ
    「も、もういいですよぉ ご主人さまぁ・・・
    もぉ、ボク お腹いっぱいですぅ」
    トリス
    「レシィは本当に小食ねぇ
    まだ、焼き菓子とクレープとソーセージと、アイスキャンディしか食べてないのに」
    レシィ
    「それだけ食べれば充分ですって・・・」
    トリス
    「あたしなら、あと串焼きとかき氷とチョコケーキ3つはいけるのに」
    レシィ
    「・・・・・・」
レシィ
「パレード、すごかったですねぇ・・・」
トリス
「ええ、でも本当にすごいのはこれからよ」
レシィ
「・・・?」
レシィ
「うわあ・・・っ!?」
トリス
「祭りの最後には、海で花火があがるのよ モーリンが言ってた」
レシィ
「花火、ですか・・・ なんだか、メイトルパの火祭りのことを思い出しちゃいますね」
トリス
「火祭り?」
レシィ
「はい、メイトルパには「聖なる炎」というものがありまして
年のめぐりごとに 部族から部族へと 持ちまわりで守っているんです
その受け渡しの時に お祭りがあるんですよ
大きな焚き火をたいて そこから火の粉がキラキラ舞いあがって
あんな風に、とってもキレイでした・・・」
トリス
「へえ・・・」
レシィ
「でも、ボクは一人前と認めてもらえなかったから・・・
祭りの時も、遠くから見てることしかできなかったんです」
トリス
「レシィ・・・」
レシィ
「でも、今日は違います ご主人さまと一緒にお祭りに参加できて
ボク、とっても楽しかったんですっ!
絶対に今日のことは忘れませんよ、ボク
ずっと宝物にして 絶対に、忘れたりしませんから・・・」

第14話 確かな想い

レシィ
「本当はボク、かなり心配だったんです
あるはずの村がないと知った時のアメルさんの取り乱しようはすごかったですから
今度もまた 同じことになるんじゃないかって・・・」
トリス
「ええ、それはあたしも心配だったわ」
レシィ
「でも、アメルさんはわかってたんですね
おじいさんのウソが 誰のためについたものだったのかってことを」
トリス
「そうよね・・・」
レシィ
「ねえ、ご主人様 ボクは思うんです
本当に苦しかったのは アメルさんよりも
アグラバインさんだったんじゃないのかなって
ウソをつかれた人は それを知るまでは傷つきませんけど
ついたほうは、ばれるまでずっと、心の痛みに耐え続けなくちゃいけないんですもの」
トリス
「ええ、お爺さんは今 やっとその苦しみから解放されたのね
アメルの言葉で今まで負い続けた傷を癒してもらったんだから」
レシィ
「ええ・・・」
ウソをつくことは、なによりも自分を深く傷つけることになるんだもんね・・・

第16話 縛鎖を断つもの

トリス
「だけどねぇ レシィに叱られるなんて思いもしなかったわ」
レシィ
「あ、あれは・・・その・・・っ つい、勢いで・・・」
トリス
「そんなに縮こまることなんてないわよ あたし、感謝してるんだから」
レシィ
「はあ・・・」
トリス
「ずっとビクビクしてた最初の頃に比べたら レシィも成長したものねぇ」
レシィ
「そんなぁ!? ボクなんて、まだまだ臆病ですよぉ・・・」
トリス
「照れない、照れない レシィ?」
レシィ
「もぉ~っ!?」
本当に強くなったわよ レシィはね

第17話 影は歌う

レシィ
「ご主人様・・・レイムさんのこと やっぱり、気にしてますか?」
トリス
「そうね・・・
一応、これでも親しい間柄だと思ってたんだけどね・・・
でも、あの人の言ったとおりかもしれないわ
だまされたあたしのほうが馬鹿だったのかもね?」
レシィ
「そんな!?」
トリス
「あはは・・・ 人が良すぎるのも考えものだよね?」
レシィ
「そんなこと言っちゃイヤですっ!」
トリス
「え・・・?」
レシィ
「ご主人様の素晴らしいところは、誰とだって仲良くできることじゃないですか!?
なのに、御自分でそれを間違いだなんておっしゃるなんて!
ボク・・・っ 悲しいですよぉ・・・」
トリス
「レシィ・・・」
レシィ
「変わらないでください ご主人様ぁ・・・
お願いです・・・今のまま・・・優しいままで・・・
お願いですぅ・・・」
トリス
「わかったわ・・・レシィ 二度と、今みたいなことは言わないから
だから、もう泣きやんで・・・」
知らないうちに、あたしは間違った考えに染まりかけていたのかもしれない・・・

第18話 誰がための剣

レシィ
「よかったですねぇ ファナンの街が無事で」
トリス
「ええっ・・・だけど、結果だけならあれはファミィさんのお手柄よ
あたしたちがどれだけ役に立ったのか・・・」
レシィ
「役に立ったに決まってるじゃないですか!?」
トリス
「レシィ?」
レシィ
「みなさんがそれぞれ一生懸命にがんばったから、勝つことができたんです
役に立たなかった人なんて一人もいません ボクは、そう思います」
トリス
「うん・・・そうかも・・・ レシィの言うとおりよね」
レシィ
「ええ!ですからもっと自信をもってくださいな、ご主人様
ご主人様には、笑顔が一番似合っているんですから・・・ね?」
レシィがそう言ってくれるとなんか、すごく勇気づけられるわね

第19話 デグレアの闇

レシィ
「ボク、ずっとデグレアの人たちはひどいって思ってたんですけど・・・
今日のアレを見てすごく、そんな自分がイヤになりました
トライドラよりも先にデグレアの人たちがあんな姿にされていたなんて・・・」
トリス
「レシィが気に病むことはないわ
誰だって、まさかあんなことになってるとは思いもしなかったんだから・・・」
レシィ
「結局、悪いのはあのビーニャたちだったんですね」
トリス
「そう、ね・・・だけど、なにもかもがあいつらのせいだとはあたしには思えない
異変に気づけなかったデグレアの人たち 命令に従うだけを考えてしまってる黒騎士
そんなデグレアの動きになんの疑問ももってなかったあたしたちも責められるべきだわ」
レシィ
「無関心だったことがこんな事態を招いてしまったんですね」
トリス
「ええ・・・だけど、それが変だとわかった今、これ以上戦う必要なんてない
あたしは、黒騎士を説得してみせる ありのままの真実を彼に伝えれば
きっと、わかってくれると思うの」
レシィ
「ええ、ボクもそれがいいと思いますよ
ご主人様なら、きっとこの戦いを止められるはずです
ボクは、そう信じてますから!」
レシィの期待に応えられるようがんばらないとね?

第20話 知の略奪者

レシィ
「あの人たちがあれだけひどいことをして平気でいられたのは
悪魔だったからなんですね」
トリス
「そういうことになるんでしょうね、多分」
レシィ
「ねえ、ご主人さま 悪魔たちは、どうしてあんなことができるんでしょうか?」
トリス
「え?」
レシィ
「ボクには・・・わかりません・・・
人をだましたり傷つけたりしてなにが楽しいっていうんですか?
ボクには、理解なんてできません・・・っ わかりたくもない!!」
トリス
「レシィ・・・ あなたが泣くことなんてないのよ?」
レシィ
「でも・・・っ でもぉ・・・っ」
レシィをこれ以上あいつらと関わらせるのは無理なのかも・・・

第21話 メルギトスの嘲笑

トリス
「レシィ?」
レシィ
「あ・・・ご主人様・・・
また・・・悪魔たちのいいようにされちゃいましたね? あははは・・・」
トリス
「レシィ あなた・・・」
レシィ
「変なんですよ、ボク?
すごく悲しいのに すごく悔しいのに
泣けないんですよ?なんだか、からっぽになっちゃったみたいで 泣けないんです・・・」
トリス
「・・・・・・ レシィ もう、無理はやめよ?」
レシィ
「え?」
トリス
「あなたを、あたしの護衛獣から解放してあげる メイトルパに帰って」
レシィ
「あっ、ははは・・・
それって・・・ボクが、役立たずだからですか?
こんなふうにふぬけて、役立たずになったからですか?」
トリス
「ちが・・・」
レシィ
「帰りませんよ!ボクは!?
勝手に決めないで!?ボクは・・・っ ボクは!!」
トリス
「レシィっ!?」
違うわ・・・ あたしはあなたのつらい顔を 悲しむ顔を、見たくないのよ!

第22話 真なる罪人

レシィ
「悪魔たちとの戦いは今までより、もっと過酷なんでしょうね」
トリス
「そうね・・・」
レシィ
「ボク、考えたんです
自分が本当にご主人さまの護衛獣にふさわしいのかって」
トリス
「!」
レシィ
「答えは簡単でした これから先の戦いのことを考えたら・・・
弱虫のボクなんかじゃご主人さまを守ることなんてできません
もっと強くて、頼れる護衛獣がついたほうがご主人さまのためになると思いました」
トリス
「・・・・・・」
レシィ
「ボクはご主人さまにとって、一番の護衛獣じゃない・・・
悔しいけど、認めます 認めますけど・・・でも・・・っ!
ボクにとってはご主人さまが、一番なんですっ!!
他の誰にもこの場所をとられたくない!ご主人さまのお側にいたいんです・・・」
トリス
「レシィ・・・」
レシィ
「お願いです・・・ボクを最後まで貴女の護衛獣のままでいさせてください!」
トリス
「・・・わかったわ だから、顔をあげて?レシィ」
レシィ
「ご主人さま・・・っ」
トリス
「レシィ あたしはね、あなたを役立たずなんて思ったことは
優しいあなたが側にいてくれたからね あたし、つらい時でも笑えたんだよ
それは、あなただからできたことなのよ レシィ?」
レシィ
「ボクだから・・・できた、こと・・・?」
トリス
「ええ、そうよ ただ、あたしはね心配だったの
優しいあなたが、悪魔の仕打ちを見るたび心を痛めているのがわかったから・・・
あたしの側にいるせいで、つらいめにあわせちゃってるのがイヤだっただけ」
レシィ
「あ・・・」
トリス
「あなたが、そのせいで変わってしまうことがこわかったのよ・・・」
レシィ
「ご主人さま・・・ 変わったりなんかしませんよ、ボクは」
トリス
「え・・・?」
レシィ
「どれだけ泣いても落ちこんでも、ボクはボクなんです
だから・・・もう、ボクのことは心配しないでください
貴女が笑っていられるように、ボク、もっとがんばりますから!」
トリス
「うん・・・ずっと、よろしくね レシィ?」
レシィ
「はいっ!」

エンディング

レシィ
「ほら・・・きて・・・ませ・・・」
トリス
「ん・・・」
レシィ
「・・・ま・・・さまってば・・・!?」
トリス
「ん、んん・・・???」
レシィ
「・・・起きてくださいご主人さまっ!!」
トリス
「ふぁ・・・? おふぁよぉ・・・っ レシィ・・・」
レシィ
「おはようございます・・・じゃなくて!
いい加減、起こしたらすぐに目を覚ましてくださいよぉ・・・
朝食の仕度はとっくにできているんですよ アメルさんに、また叱られますよぉ?」
トリス
「へっ!?」
アメル
「もぉ・・・トリスもレシィくんもねぼすけなんだから
せっかく焼きたてのパンだったのに冷めちゃいましたよ」
レシィ
「あっ、ボクはちゃんと起きてましたよ お洗濯、すませておきましたから」
トリス
「はいはい・・・どーせ、あたしがみんな悪いんですよーだ」
ネスティ
「だからといって開きなおればいいというものではあるまい
どうだろう、アメル 寝坊の罰として朝食を抜くというのは」
アメル
「あ、なるほど・・・」
トリス
「ちょ、ちょっとっ それって、シャレになってないってば!
ねえ、アメルぅ・・・勘弁してよぉ」
アメル
「どーしようかなぁ?」
レシィ
「朝ご飯を抜かれたら ご主人さま、きっと勉強に身が入らないと思いますよ
ですから・・・ね、アメルさん ネスティさんもっ」
アメル
「ふふふっ、それじゃあ今日のところはレシィくんに免じて・・・ね」
トリス
「やりぃーっ!!」
ネスティ
「レシィに感謝しておくんだぞ トリス」
トリス
「うんっ!うんっ! ありがとね レシィっ♪」
レシィ
「いいんですよ ご主人さま、それよりいっぱい食べて、目をさましてくださいね」
ネスティ
「食事が済んだら昨日のおさらいとして試験をするからな」
トリス
「いっ!?」
ネスティ
「戦いで学んできた君の召喚術は、技術だけが先行して、理論を無視してるからな
この機会に、みっちり追いついてもらわなくては、困るんだ」
トリス
「むう・・・っ」
レシィ
「「ふぁいと」ですっ! ご主人さまっ!!」
アメル
「じゃあ、あたし お勉強が終わるまでにおいものケーキ 焼いておきますね」
ネスティ
「ありつけるかどうかは試験の点次第だがな」
トリス
「(あちゃあ・・・っ)」
レシィ
「「がっつ」ですっ! ご主人さまっ!!」
トリス
「しかし、ネスも毎日毎日、ひどいと思わない?
戦いが終わってみんなで暮らし始めてから、ずっと勉強づけなんだもの」
レシィ
「仕方がないですよ それは・・・
ネスティさんはご主人さまのために わざと厳しくしてるんですもの・・・
いつか、必ず復活してしまうはずの
メルギトスと、再び戦う時のために・・・」
トリス
「うん・・・わかってる、それは
あの最後の戦いでメルギトスは倒すことができたけど・・・
リィンバウム中にばらまかれてしまった源罪までは、消し去ることはできなかった」
レシィ
「メルギトスは人の弱い心を利用して力とする悪魔です
この世から争いがなくならない限りは完全に滅ぼすことなどできないんですよね」
トリス
「それは、今日かもしれないし 明日かもしれない
ううん・・・もう、すでに復活して新たなかん計を巡らせているのかも・・」
レシィ
「心配はわかります
だけど、そのためにボクたちは、こうして一緒に暮らしてるんじゃないですか
あいつが戻ってきても絶対負けないように
今、この時を精一杯にがんばって生きてるんでしょう」
トリス
「ええ、そうね・・・
強くならなくちゃ あたしたちが、今度こそ全てを終わらせなくちゃね」
レシィ
「勝てますよ、きっと!」
トリス
「その時には、また頼りにさせてもらうわ レシィ」
レシィ
「は、はいっ! ボクにできることはたかが知れてるかもしれないけど・・・」
精一杯頑張りますね、ご主人さま
護衛獣(獣)レシィ “勇気のありか”

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