ふぇんりる様
第2話 陽気な漂流者
- ベルフラウ
- 「はぁ・・・」
- アティ
- 「どうかしたの?気分が悪いとか?」
- ベルフラウ
- 「貴方の図太さに呆れてるんですの!
まったく、自分からすすんで海賊の仲間になるだなんて非常識すぎますわ!」 - アティ
- 「やっぱり納得できない?ベルフラウちゃん」
- ベルフラウ
- 「当たり前でしょう!?だって、もともと連中が船を襲ってこなければ・・・
私が、こんな不自由をするなんてことなかったんですもの!」 - アティ
- 「うん・・・」
- ベルフラウ
- 「でも、まあ・・・非常事態のことですし
判断を責めるつもりはありませんわ
スカ-レルでしたっけ 彼の話は、そこそこ楽しめましたし」 - アティ
- 「そっか・・・」
- ベルフラウ
- 「ふあぁ・・・っ」
- アティ
- 「ほら そろそろ眠ったら?久しぶりのベットなんだから」
- ベルフラウ
- 「でも・・・」
- アティ
- 「心配しないで いざとなったら先生がついてるから」
- ベルフラウ
- 「そ、そうね・・・貴方には使用人として その義務があるものね
信用してあげるからせいぜい尽くしなさい・・・いいわね?」 - アティ
- 「うん、そうしてくれるとうれしいな」
- 安心して・・・なにかあっても、私は約束を守るからね・・・
第3話 はぐれ者たちの島
- ベルフラウ
- 「まったく 貴方という人は・・・」
- アティ
- 「あの・・・まだ、怒ってます?」
- ベルフラウ
- 「当たり前でしょ!
余計なことに、首をつっこんで、その上 周りにまで迷惑かけて
使用人としての自覚が足りない証拠です!」 - アティ
- 「はい・・・ごめんなさい・・・」
- ベルフラウ
- 「まったく・・・生徒に注意される先生なんて、前代未聞だわ」
- 叱られちゃいました うう・・・
第4話 海から来た暴れん坊
- アティ
- 「話したいことってなにかな?」
- ベルフラウ
- 「誤解されたくないので明言しておきますわ
私の態度が悪かった理由は、ただ気分が優れなかっただけです」 - アティ
- 「気にしてないよそんなこと
うん、誰だって機嫌が悪いときはあるもの」 - ベルフラウ
- 「・・・っ
どうして・・・そう簡単にすまいしてしまうんですの・・・」 - アティ
- 「ベルフラウちゃん?」
- ベルフラウ
- 「いえ、別に・・・それでは、失礼させていただきます!」
- アティ
- 「あ・・・」
- ベルフラウちゃん・・・やっぱり、様子がおかしいです
第5話 自分の居場所
- アティ
- 「先生って呼んでくれたの初めてだよね?
ありがとう うれしかったです」 - ベルフラウ
- 「べ、別に・・・貴方を喜ばせるために言ったわけじゃ・・・」
- アティ
- 「それでね、学校のことなんですけど・・・」
- ベルフラウ
- 「始めたからには ちゃんと最後までやりなさいな?
ただし、私の授業は別にやってもらうこと それが条件ですわ
貴方は、私の先生なんですからね?」 - アティ
- 「わかりました なんとか、がんばってそうしてみますね」
- ベルフラウ
- 「うん、よろしい」
- 忙しくなりそうだけど でも、この子のためにがんばらなくちゃ!
第6話 招かざる来訪者
- ベルフラウ
- 「お姉さまって 本当に素敵ですわねぇ」
- アティ
- 「はい?」
- ベルフラウ
- 「お姉さまって言ったら アルディラお姉さまのことに決まっているじゃないの」
- アティ
- 「・・・・・・」
- ベルフラウ
- 「あの凛々しさと強さ!知的で冷静な判断力!そのうえ、美人だし・・・
ああ、私もあんな大人になりたい」 - アティ
- 「(そういうことね・・・)
ベルフラウにとって アルディラさんは、理想の女性ってことですか?」 - ベルフラウ
- 「理想ではなくて目標ですわ!
そのためには、もっと勉強しないと・・・
そういうわけですから 今後とも、しっかりとご指導頼みますわよ?」 - アティ
- 「あらあら・・・」
- なんにせよ、やる気を出してくれたのはうれいいかも?
第7話 すれ違う想い
- ベルフラウ
- 「任務や立場ってこともあったのかもしれないけど・・・
あの人が、貴方の話を素直に聞こうとしないのには、感情的な理由もあるんでしょうね」 - アティ
- 「え?」
- ベルフラウ
- 「もしかして、先生 わかってないの!?」
- アティ
- 「え、えーっと・・・」
- ベルフラウ
- 「呆れた・・・
彼女は、貴方を競争相手として、ずっと見てきたんでしょ?
しかも、最後の最後に主席の座を、貴方にとられてしまった
普通なら、根にもって当たり前ですわよ」 - アティ
- 「あ・・・」
- ベルフラウ
- 「まあ、仮にそうしたわだかまりがなくても
貴方みたい雰囲気の人間が近くにいたら、誰だって気にかかるでしょうけどね」 - アティ
- 「そう言われても 困っちゃうんですけど・・・」
- でも、本当に ベルフラウの言うとおりかもしれない
第8話 卑怯者
- ベルフラウ
- 「あら、ようやくお目覚めみたいね」
- アティ
- 「ベルフラウ・・・」
- ベルフラウ
- 「ああ、もう!起き上がったりしちゃダメじゃないの!?
しばらく安静だって、お姉さまから、きつく言いつけられているんですから・・・」 - アティ
- 「そ、そんなに具合が悪いの???」
- ベルフラウ
- 「外的要因の蓄積による身体機能各部の低下と、それにともなう昏倒、つまり・・・
頑張りすきたってことですわ」 - アティ
- 「もう・・・脅かさないでよ」
- ベルフラウ
- 「だからって、安静が必要なことには変わりありませんわよ!
過労が原因となって他の病気になる可能性だってあるんですから
しばらく、おとなしくしててもらわないと」 - アティ
- 「そんな、病気の子供じゃないんですから」
- ベルフラウ
- 「子供のほうが、まだ扱いやすいですわよ」
- アティ
- 「う・・・っ」
- ベルフラウ
- 「ご不満でしたら 今から、ラトリクスに入院なさいます?
貴方が退屈をしないよう わざわざ運んでさしあげたんですけどねえ・・・」 - アティ
- 「い、いいです!?ちゃんと、ここでおとなしくしてます」
- ベルフラウ
- 「うん、わかればよろしい」
- とほほ・・・ すっかり、お見通しにされちゃってます・・・
第9話 先生の休日
- ベルフラウ
- 「最後の最後に どっと疲れちゃった気分だわ・・・」
- アティ
- 「それでも、私には充分に楽しい一日でしたけど
帝都で過ごした休日よりも、ずっと充実してた気がします」 - ベルフラウ
- 「だけど・・・休暇には、いつか終わりが来るのよね」
- アティ
- 「・・・」
- ベルフラウ
- 「楽しいからって、いつまでもここにいるわけにはいかない そうでしょう?」
- アティ
- 「そうですね・・・」
- ベルフラウ
- 「船が直れば お姉さまやパナシェたちとはお別れだし
海賊さんたちは海に帰っていくわ 貴方にしたって
私が軍学校に入ってしまえば、家庭教師じゃなくなってしまう」 - アティ
- 「ベルフラウはきちんと、先のことまで考えてるのね・・・」
- ベルフラウ
- 「そう見える?
本当に・・・そう、見えるの?貴方は・・・っ」 - アティ
- 「・・・!」
- ベルフラウ
- 「だったら、貴方の目はふし穴ですわよッ!
わりきらなきゃ・・・本当に、帰ることができなくなってしまうじゃないっ!
う、うう・・・っ」 - アティ
- 「ごめんなさい・・・」
- ベルフラウ
- 「気になさらないで 泣いて、やつあたりだなんて私こそみっともないですわ
こんなんじゃ、いざその時になったら 大泣きしちゃうわね
もっと、強い気持ちにならないと・・・」 - アティ
- 「強いよね、貴方は・・・」
- ベルフラウ
- 「強がりだって 続けていれば、地になるものですわ」
- アティ
- 「無理してません?」
- ベルフラウ
- 「貴方に比べたらかわいいものです」
- アティ
- 「そっか・・・
でも、本当につらいと思ったら 我慢しなくたっていいと私は思いますよ
涙が出るのは 心が、それを望んでいるからなんだから
つらい時は泣いて うれしい時は笑えばいいって思う」 - ベルフラウ
- 「貴方みたいに、そう簡単にできれば苦労はしませんわよ まったく・・・
でも、今の言葉 おぼえてはおくから」 - アティ
- 「うん、そうしてくれると うれしいです・・・」
- でも、彼女の言ったとおり、いつかは別れの時は来るんだよね 絶対に・・・
第10話 もつれあう真実
- ベルフラウ
- 「命を奪いあいうことも 捨てることも認めない、か・・・
ちょっと、カッコ良かったですわよ」 - アティ
- 「そんなにからかわないでください、もう・・・」
- ベルフラウ
- 「あら、せっかくほめてあげたのに」
- アティ
- 「私はただ、周りの誰かが傷ついたり、悲しんだりするのが見たくないだけ
自分の身勝手をとおしてるだけだよ」 - ベルフラウ
- 「そうかしら?」
- アティ
- 「え?」
- ベルフラウ
- 「身勝手ってものは、まず自分のことを優先に考えることでしょう?
貴方の場合、そこが完璧に抜けてるもの
身勝手っていうのとは ちょっと違うと思うけど」 - アティ
- 「じゃあ、どう言えばいいのかな?」
- ベルフラウ
- 「そうね・・・
貴方らしい、としか言いようがないかもね」 - アティ
- 「私らしい・・・ですか?」
- ベルフラウ
- 「お人好しとか、偽善者だとか悪く言うことだったら簡単だけど
貴方のそういうトコロなんだかんだいって、私 結構、気に入ってるし
端から見ているぶんにはね」 - アティ
- 「あ、あははは・・・」
- 認めてもらったのはうれしいけど・・・なんだかなあ???
第11話 昔日の残照
- ベルフラウ
- 「貴方たちだけで封印に行くって言い出した時は 正気を疑ったわよ」
- アティ
- 「どうして?」
- ベルフラウ
- 「それは、だってあんなことがあった後だったもの・・・
もめたりしないか心配するのは当たり前ってものじゃない?」 - アティ
- 「それでも、待っててくれたんだ・・・」
- ベルフラウ
- 「まあね・・・なにかあっても、先生ならなんとかすると思ったし
実際、なんとかしちゃってるし」 - アティ
- 「封印が成功したかどうかは ちょっと微妙みたいですけどね」
- ベルフラウ
- 「護人たちの関係が修復しただけでも成果じゃない?
あんな空気が続くの耐え難かったもの それだけでも充分よ」 - そうだよね・・・ベルフラウのいうとおりですよね・・・
第12話 黄昏、来たりて
- ベルフラウ
- 「起きてて平気なの?」
- アティ
- 「だいじょうぶですよ 前と同じで、ちょっと疲れただけ
それに、ちょっと今は 眠れそうにないもの」 - ベルフラウ
- 「気持ち、わかるわ
あんな光景を見せられちゃったら、さすがに平静じゃいられないわよ・・・」 - アティ
- 「あれは・・・ひどすぎました・・・」
- ベルフラウ
- 「でも、泣こうが、わめこうが 連中はああいうことを続けていくのよね・・・
だったら、黙ってやられてなんかやるもんですか!」 - アティ
- 「貴方らしいね・・・」
- ベルフラウ
- 「なに言ってるのよ?他人事じゃなくって貴方も、そうするの!」
- アティ
- 「あ、はい・・・」
- ベルフラウ
- 「いきなりだったから、今日の失敗は大目に見てあげるけど 次はしゃんとしてよね?
不本意ではあるけど 今は、貴方と剣だけが頼みなんだから」 - アティ
- 「・・・・そうだよね」
- そう、あれるようにしなくちゃ・・・
第13話 断罪の剣
- ベルフラウ
- 「それにしてもアイツ、ほんっとうにアタマにきたわ!?
もったいつけて カッコつけて、得意げにあんな剣持ち出すなんて」 - アティ
- 「切り札のつもりなんだろうね
それを出してきたってことは 向こうも本気で勝負をかけてくるってことだから」 - ベルフラウ
- 「勝てる、わよね?先生なら・・・」
- アティ
- 「どうでしょうか
条件は五分と五分 それが、正直なところなのかも知れません」 - ベルフラウ
- 「そんな・・・」
- アティ
- 「あ、だからって負けるつもりはないですよ
約束ですしね?」 - ベルフラウ
- 「そ、そうよっ!
貴方には、私を守る義務があるんだから、負けたりしたら承知しないから!」 - アティ
- 「ええ、わかってますよ」
- 約束だけは・・・絶対にね・・・
第15話 ひとつの答え(好感度・通常)
- ベルフラウ
- 「やったじゃない これで少しは無色の奴らもこりたでしょうね」
- アティ
- 「ええ、みんなが私に力を貸してくれたおかげです」
- ベルフラウ
- 「あとは、生意気なイスラをやっつけて、紅の暴君を封印すれば、全部おしまいね?」
- アティ
- 「ええ、だけど間違いなく今までで 一番きつい戦いになるでしょうね・・・
心も身体も、全てをかけてぶつかっていかなくちゃ、きっと、彼には勝てない」 - ベルフラウ
- 「でも、負けるつもりはないんでしょ?」
- アティ
- 「ベルフラウ・・・」
- ベルフラウ
- 「負けっこないわよ! だって、私がそう決めたもの
今の貴方は一人じゃないわ みんなに支えられて、前よりもずっと強くなったんだもの
でしょ?」 - アティ
- 「ええ、そうよね!」
第15話 ひとつの答え(好感度・大)
- ベルフラウ
- 「やったじゃない これで少しは、無色の奴らもこりたでしょうね」
- アティ
- 「ええ、みんなが私に力を貸してくれたおかげです
とくに、ベルフラウ 貴方がいなかったら、きっと私は立ち上がれなかった
貴方の言葉が勇気づけてくれたから・・・
私は、本当に自分が守りたかったものを、見つけることができたんだと思うの
ありがとう・・・本当に、感謝してるよ」 - ベルフラウ
- 「べ、別にいいわよ・・・こんなことぐらいで、いちいちお礼を言わなくたって
だって、貴方はこんなでも 一応、私の先生だし・・・
す、すこしは教師の威厳ってものをもちなさいよねっ!?まったく・・・」 - アティ
- 「あははは・・・」
- ベルフラウ
- 「あとは、生意気なイスラをやっつけて、紅の暴君を封印すれば、全部おしまいね?」
- アティ
- 「ええ、だけど間違いなく 今までで、一番きつい戦いになるでしょうね・・・
心も、身体も、全てをかけてぶつかっていかなくちゃ きっと、彼には勝てない」 - ベルフラウ
- 「でも、負けるつもりはないんでしょ?」
- アティ
- 「ベルフラウ・・・」
- ベルフラウ
- 「負けっこないわよ!だって、私がそう決めたもの
今の貴方は一人じゃないわ みんなに支えられて、前よりもずっと強くなったんだもの
でしょ?」 - アティ
- 「ええ、そうよね!
それが終わったら いよいよ、この島ともお別れだね・・・」 - ベルフラウ
- 「そのことだけど・・・
もし、貴方が私のために無理して、帰ろうって思っているんだったら・・・
残ったっていいのよ?」 - アティ
- 「え・・・」
- ベルフラウ
- 「今の貴方は、もう私だけの先生じゃない 他のみんなにとっても、大切な存在だし
お給金だってあげてないもの お父様の約束に気がねして我慢する必要なんてないわ
だいじょうぶ・・・私は、一人でも、ちゃんとやっていけますから・・・」 - アティ
- 「ベルフラウ・・・
ありがとう・・・私のこと。思ってくれて・・・
だけど、そんな心配なんかしなくたっていいんだよ」 - ベルフラウ
- 「え・・・」
- アティ
- 「貴方が初めて、私を先生って呼んでくれた時、約束したよね?
なにがあっても、私はずっと貴方の先生だよ、って・・・」 - ベルフラウ
- 「!」
- アティ
- 「お金のことなんか関係ないよ なりたかったから、私は貴方の先生になったんだもの
だから、ちゃんと最後までおつきあいさせてね?
貴方は私にとって初めての生徒なんですから」 - ベルフラウ
- 「先生・・・
そ、そうよね・・・ここまで教えてもらったなら最後まで、やりとげないと
貴方も、私も・・・なんだか、すっきりしなくなっちゃうもんね!?」 - アティ
- 「ええ、そうですとも!」
- ベルフラウ
- 「それじゃあ、先生・・・最後まで、おつきあいよろしく頼みますわよ?」
- アティ
- 「どーん、と任せてください!」
エンディング(好感度・通常)
- そして・・・私たちは帰ってきた・・・
- ベルフラウ
- 「ちょっと! ねぇってば!」
- アティ
- 「あ・・・」
- ベルフラウ
- 「道のど真ん中で、ぼんやりしてたら通行の邪魔よ?」
- アティ
- 「ああっ、ごめんなさい」
- ベルフラウ
- 「で・・・ぼんやりしてた原因はいつもと同じよね
島のみんなのこと 考えてたんでしょ?」 - アティ
- 「うん・・・」
- ベルフラウ
- 「無理もないわね・・・
あの島で過ごした日々に比べたら 帝都の暮らしは、やっぱり味気ないもの
やるべきがなかったら ずっと、いたかったなって、正直、私も思うもの」 - アティ
- 「みんな、元気でやってるといいんですけど・・・」
- ベルフラウ
- 「そうね・・・
だけど、貴方はもうすぐ、みんなに会いに行けるじゃない?
学科試験も、実戦実技も、納得できる成果を出すことができましたし・・・
あとは、明日の面接だけ そしたら、家庭教師の仕事はおしまいなんですからね」 - アティ
- 「うん・・・最後まで、気を抜かずにしっかりね」
- ベルフラウ
- 「さっきまで、ぼんやりしてた貴方がそう言っても 全然説得力ありませんわよ」
- アティ
- 「う・・・っ」
- ベルフラウ
- 「ぷっ、あはははは・・・っ」
- 試験が終わったら、2人でお祝いをしましょうね 頑張った私と、貴方へのご褒美に・・・ね?
エンディング(好感度・大)
- そして・・・私たちは帰ってきた・・・
- ベルフラウ
- 「ちょっと!ねぇってば!」
- アティ
- 「あ・・・」
- ベルフラウ
- 「道のど真ん中で、ぼんやりしてたら、通行の邪魔よ?」
- アティ
- 「ああっ、ごめんなさい」
- ベルフラウ
- 「で・・・ぼんやりしてた原因はいつもと同じようね
島のみんなのこと考えてたんでしょ?」 - アティ
- 「うん・・・」
- ベルフラウ
- 「無理もないわね・・・
あの島で過ごした日々に比べたら、帝都の暮らしはやっぱり、味気ないもの
やるべきがなかったら ずっと、いたかったなって正直、私も思うもの」 - アティ
- 「みんな、元気でやってるといいんですけど・・・」
- ベルフラウ
- 「そうね・・・
だけど、貴方はもうすぐ、みんなに会いに行けるじゃない?
学科試験も、実戦実技も納得できる成果を出すことができましたし・・・
あとは、明日の面接だけそしたら、家庭教師の仕事はおしまいなんですからね」 - アティ
- 「うん・・・最後まで、気を抜かずにしっかりね」
- ベルフラウ
- 「さっきまで、ぼんやりしてた貴方がそう言っても、全然説得力ありませんわよ」
- アティ
- 「う・・・っ」
- ベルフラウ
- 「ぷっ、あはははは・・・っ
でも、こんな気持ちで試験を受けることになるなんて、思わなかったわ」 - アティ
- 「え?」
- ベルフラウ
- 「正直に言うとね 試験そのものには受かる自信があったの
先生に教わらなくても 多分、なんとかなっていた気がしてるの・・・」 - アティ
- 「だよね・・・
実際、貴方はものすごくがんばり屋さんだったし
うれしい反面、思ってたのどうして、家庭教師が必要なのかな・・・って」 - ベルフラウ
- 「私も、そう思ってた
何度も、お父さまに言ったわ 女だからって、そんなに心配しないでほしい、って・・・」 - アティ
- 「それじゃ、もしかして 最初、貴方が反抗的な態度をとっていたのは・・・」
- ベルフラウ
- 「ごめんなさい・・・やつあたりだったの・・・
あんまり悔しかったから、つい貴方のこと、使用人呼ばわりしちゃって・・・」 - アティ
- 「そっか・・・」
- ベルフラウ
- 「でも、今になって ようやく、わかったわ
お父さまが、貴方を家庭教師に選んだのは間違ってなかったって」 - アティ
- 「どうして?」
- ベルフラウ
- 「こうやって今、貴方と外で歩いていられることがその答えよ
一人で試験に取り組んでたら きっと、もっと切羽つまっていたんだろうなって思う」 - アティ
- 「あ・・・」
- ベルフラウ
- 「貴方と出会う前の私は 強い自分になりたいってそればかり、考えてた
恵まれた家の娘だから きっと、一人ではなにもできっこない・・・
そういう目で見られるのがイヤで、だから、なんでもできる自分になりたかった」 - アティ
- 「ベルフラウ・・・」
- ベルフラウ
- 「でもね、気づいたの
同じようにがんばるのなら 一人より、大勢のほうがずっとすごいことができるって
お父さまはきっと、私にそのことを教えたかった だから、貴方を呼んだのよ
自分を大きく見せることだけが、強さじゃないって」 - アティ
- 「ご当主の買いかぶりのような気もするけど・・・」
- ベルフラウ
- 「つきっきりで、家庭教師を頼んだ相手は、先生が初めてだった、って言っても?」
- アティ
- 「え!?」
- ベルフラウ
- 「それに、事実として 貴方のおかげで、私は変われたんだもの
だから、いいじゃない?」 - アティ
- 「そっか・・・」
- ベルフラウ
- 「だから・・・先生・・・
これからも、よろしくお願いしますわよ」 - アティ
- 「ええ・・・こちらこそ、よろしく!ベルフラウ・・・」
- 貴方に出会えたから、私はありのままの自分を認めることができたのよ、ありがとう先生
- 「無敵の笑顔」
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