ぶどう様/スターライト様
第12話 黄昏、来たりて(???)
- アズリア
- 「助けられたな・・・ 敵だった、貴様らに」
- アティ
- 「傷の具合はいいの?」
- アズリア
- 「手当てが良かったからな おかげで、ギャレオも命を拾うことができた
本当に感謝している」 - アティ
- 「お互い様ですよ アズリアのおかげで、私も助かったようなものだし・・・」
- アズリア
- 「・・・・・・
不思議なものだな」 - アティ
- 「え?」
- アズリア
- 「こうして、部下たちの弔いを見届ければ、怒りのひとつもわいてくるかと思ったのだが
なにも浮かばないんだ・・・ 怒りも、悲しみも・・・ なにひとつ・・・」 - アティ
- 「アズリア・・・」
- アズリア
- 「ははは・・・ どうやら、私は芯から軍人になってしまったらしい」
- アティ
- 「それは、違います!
だって・・・ だって、アズリア
気づいてないだけで 貴方は、今・・・」 - アズリア
- 「あ・・・
あ、ああ・・・っ?
うああぁぁぁぁっ!!」
第13話 断罪の剣
- アズリア
- 「全ての発端は、イスラによって引き起こされたことだったとはな・・・
それも知らず お前につっかかっていた自分が情けない」 - アティ
- 「それじゃ、イスラはやっぱり剣のことを隠していたんですね」
- アズリア
- 「ああ、知っていたのなら 今までの戦いの中で迷わず使わせていたさ
ならば、勝てたとも思えないがな・・・」 - アティ
- 「アズリア・・・」
- アズリア
- 「しかし、イスラはなぜ今になって剣を抜いたのだろう」
- アティ
- 「オルドレイクたちと合流するまで用心していた、とか?」
- アズリア
- 「それぐらいはわかる
だが、それだけなら 私を始末しにきたあの夜に使わない手はないだろう?」 - アティ
- 「それは・・・」
- アズリア
- 「使いたくとも使えぬ理由がある? だとすれば・・・」
- アティ
- 「そういう理由じゃないって、私は思います」
- アズリア
- 「え?」
- アティ
- 「イスラはきっと、貴方にはあの剣を向けたくなかったんじゃないのかな?」
- アズリア
- 「バカな・・・ 根拠はあるのか!?」
- アティ
- 「それは、ないけど・・・」
- アズリア
- 「なら、慰めでもそんな馬鹿げたことを口にするな
あの子の願いは私を殺すことなんだ そんなこと、絶対にありえん!」 - アティ
- 「でも・・・」
- 私には、イスラが本気で貴方を殺すつもりには、どうしても思えないんです・・・
第15話 ひとつの答え
- アズリア
- 「やれやれ・・・ これで、どうにかひと区切りついたようだな」
- アティ
- 「それはいいんですけど アズリア・・・」
- アズリア
- 「な、なんだ? その不満そうな目は・・・」
- アティ
- 「どうして あんな無茶したんですか?」
- アズリア
- 「う・・・ それは、そのだな・・・ なんというか・・・」
- アティ
- 「ごまかそうなんて思ってたら、本気で怒りますよ?」
- アズリア
- 「う・・・っ」
- アティ
- 「私のために戦おうとしてくれたことは、うれしかったけどさ
あんなふうに、お互いに心配をかけるようなことは、もうやめにしましょうね?
守るのも、守られるのもすぐ側にいなくちゃ、満足にできなくなるから・・・」 - アズリア
- 「そうだな・・・ 私が、軽率だった すまん・・・
しかし・・・ たかが、一度の無茶ぐらいで
無茶の常習犯のお前が、よくそこまで言うものだな・・・」 - アティ
- 「こんな時でもなかったら アズリアを叱るなんてことできないですもんね」
- アズリア
- 「な、なんだと~っ!?」
- アティ
- 「うわわっ!?
都合が悪くなると、すぐ腕力に訴えるのはよくありませんってば!?」 - アズリア
- 「まったく・・・
そんな調子では、またあいつに、足元すくわれかねないぞ・・・」 - アティ
- 「・・・イスラのことね」
- アズリア
- 「正直、今の私にはあいつの考えが、まるでわからなくなっている
どうやれば、救えるのか どんな言葉なら、あの子の心に届くことができるのか
見当もつかない・・・ 私は、あの子の姉なのにな」 - アティ
- 「アズリア・・・
悩む必要なんてないよ」 - アズリア
- 「え?」
- アティ
- 「どんな言葉でも、アズリアの真剣な思いがこもっているならきっと、イスラには届くよ」
- アズリア
- 「そう、かな・・・」
- アティ
- 「ええ、そうですとも だから、最後まであきらめちゃ、ダメです!
弟さんを、助けましょう? ひとりぼっちのままじゃ可哀想だもの・・・
一人でダメなら、私も一緒に手伝いますから・・・」 - アズリア
- 「アティ・・・
すまん・・・」 - アティ
- 「ねえ、アズリア この戦いが終わった後はどうするつもりなの?」
- アズリア
- 「あまり、考えていなかったな そういうことは・・・
ただ、間違いなく言えるのは
このまま帝国に戻れば、まず軍法会議は逃れられないということだろうな」 - アティ
- 「あ・・・」
- アズリア
- 「なにせ、任務に失敗した上に 部隊を全滅させてるんだ それなりの覚悟はしないとな」
- アティ
- 「あのね・・・
もし、アズリアがその気になってくれるのなら
このまま、私たちと一緒にこの島で暮らす、ってのはどうなのかな?」 - アズリア
- 「そうもいくまいさ それでも私は、帝国の軍人なのだからな」
- アティ
- 「アズリア・・・」
- アズリア
- 「お前の気持ちはうれしい だが、それに甘えてしまえば私は逃げたことになる」
- アティ
- 「・・・!」
- アズリア
- 「お前がお前の道を選んだように、私にも私の道がある かなえたい夢があるんだ
どれだけ困難だあっても あきらめなければ、いつかその思いは必ず届く・・・
そう教えてくれたのは アティ お前じゃないか?」 - アティ
- 「うん・・・」
- アズリア
- 「すまないな・・・」
- アティ
- 「いいのよ その気持ち、私にだってよくわかるし・・・
それでこそ、アズリアだよ 私、応援するから・・・」 - アズリア
- 「ああ、そうしてくれ」
エンディング
- そして・・・
私は、帰ってきた・・・
夢の続きを・・・
かなえるために・・・ - ギャレオ
- 「隊長、そろそろ船が出る時間です」
- アズリア
- 「わかった・・・」
- ギャレオ
- 「海を、見ていたのですか?」
- アズリア
- 「ああ、しばらくはこの景色を見ることもできなくなるからな」
- ギャレオ
- 「自分は、今でも軍法会議の決定に納得できません・・・
末端とはいえ 海戦隊では正規の部隊を率いておられたはずの隊長が
陸戦隊の・・・ しかも、聖王国国境の警備部隊に転属さるだなんて・・・
あそこは、退役間近の兵のための、閑職じゃありませんか!?」 - アズリア
- 「そう言うな、ギャレオ
護送していた魔剣を2本とも失ったうえに部隊を全滅させたんだ
軍籍を抹消それずにすんだだけ、マシだと私は思っているんだぞ」 - ギャレオ
- 「隊長・・・」
- アズリア
- 「数々の軍功を重ねたレヴィノス家の名前があればこそ、この程度ですんだのだろうな
父上や縁者たちには いずれ、正式に謝罪をしなくてはなるまい」 - ギャレオ
- 「く・・・っ
せめて、証人としてあの者を呼ぶことができたら・・・」 - アズリア
- 「そんなことをすれば あいつは、間違いなく島に帰れなくなる
そっとしておいてやりたかったんだよ あいつも・・・ あの島も・・・
お前も、それを承知で 事情聴取の時、口裏を合わせてくれたんじゃなかったのか?」 - ギャレオ
- 「それは、そうですが しかし・・・」
- アズリア
- 「どんな閑職であろうと 国を、民を守るための任務に、違いはない
恥じることなく、務めを果たしていけばいい
それが、軍人としての私の誇りなのだから
間違っていると思うか?」 - ギャレオ
- 「いえ・・・」
- アズリア
- 「なら、いいじゃないか
それより、お前こそ本当によかったのか?
私に義理立てをしてついてくる必要などなかったんだぞ?」 - ギャレオ
- 「自分が軍人として心から尊敬できるのは隊長お一人だけです!
ですから・・・」 - アズリア
- 「本当に、それだけが理由なのか?」
- ギャレオ
- 「は?」
- アズリア
- 「学生の頃から あいつは、うっかり口を滑らせる悪い癖があるんだぞ?」
- ギャレオ
- 「な・・・ッ!?!?」
- アズリア
- 「ははははっ、まあお前の口から、じかに聞かされたわけじゃあないからな・・・
悪い気はしていない それだけは、言っておくことにしよう
さあ、行くとしよう もう一度、初めからやり直すために」 - ギャレオ
- 「はッ!」
- お互いにがんばろう! それぞれが望んだ夢を叶えるために・・・
- 「想い出を力に変えて」
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