番外編・快速船

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藍空れぃん。様
-潮騒と鳥の鳴き声-
肝心なこと…あなたに…言い忘れてたよ…
おかえり…
トリス
「……
今でも、まだ夢を見ているみたいだね
こうして、また一緒に旅をすることができるなんて」
ねえ…
  • ネス?
    ネスティ
    「…君はバカか?
    まったく…僕が眠りにつく前と比べて、言うことに進歩がなさすぎだぞ」
    トリス
    「むぅ…」
    ネスティ
    「まあ…だからこそ僕がこうして側にいてやらないとダメだってことだろうがな?」
    トリス
    「えへへ…」
    ネスティ
    「だが、実際のところ月日の経つのは本当に早いものだ…」
    トリス
    「そうだね…ネスが帰ってきてみんな、本当に大騒ぎだったもんね…
    ラウル師範なんかあんまり驚きすぎてぽかんと口を開けて固まってたし…」
    ネスティ
    「つくづく不良息子だな僕は…
    ギブソン先輩たちにも迷惑をかけっぱなしだ」
    トリス
    「あのミモザ先輩が泣いちゃったもんね
    初めて見ちゃったなあ
    先輩のあんな姿…」
    ネスティ
    「ああ、だからこそ今回の任務をきちんと果たして、恩返しをしなくちゃいけない
    師範に昇格されたお二人の後任として恥ずかしくないように」
    トリス
    「ええ、そうよね
    この任務が終わったら久しぶりに、ゼラムのお屋敷に会いに行ってみましょうか?
    あの時みたいに…また、二人っきりでさ」
    ネスティ
    「ああ、そうだな…」
バルレル
「お前ら、こんなトコでなぁにやってんだよ?」
トリス
「バルレル
どうしたの?」
バルレル
「用があるのはオレじゃねえよ
あのオンナに頼まれたんだよ
用があるから、お前らを連れてこいってよ」
トリス
「用事ってなんだろ?」
≪快速船・船上≫
フォルテ
「いよう、お二人さん
ご機嫌はいかがかな?」
トリス
「うん、元気いっぱい
快調そのものだよ」
フォルテ
「そいつは良かった
いやあ、気ィ使った甲斐があるってもんだ」
トリス
「へ?」
フォルテ
「いやな、ケイナの奴がせっかく二人っきりになれたんだから、邪魔すんなっつーてな
…で、どうよ?
実際のとこ、ちっとはいいコトあったのか?」
ネスティ
「なっ、ななななっ!?」
フォルテ
「おにーさんにだけこっそり教えろって?
な?な?な…」
-殴った音-
フォルテ
「…なぐひゃっ!?」
ケイナ
「なにやってんのよ?
アンタは…」
トリス
「あははは…」
ケイナ
「船酔いが治った途端にこの調子だもの…
はあ…やんなっちゃうわ」
バルレル
「ケケッ、その割にゃあ寝込んでる間、ずっとつきそってたよなァ?」
ケイナ
「そ、それは…っ!」
トリス
「でも、こうやって二人のやりとりを見てると、なんだかホッとしちゃうなあ」
ミニス
「うんうん、やっぱりフォルテとケイナはこうでなくっちゃね」
フォルテ
「お、お前ら…っ
人の不幸で、なごむんじゃ、ねえって…」
モーリン
「自業自得だってばさ」
リューグ
「進歩がねえんだよ
ったく…」
ロッカ
「まあ、いいじゃないか
いつものことなんだし」
リューグ
「俺らにとっちゃあそうでもよ、約一名ついていけずにいる女がいるようだぜ」
ケルマ
「はあ…ねえ、貴方たちっていつも、こんな調子で旅をしてたんですの?
ファミィ・マーンといい、エクス総帥といい、どういう基準で人選したのか…
こんな面々で、無事に任務が務まるか、ああ不安すぎますわ…」
ミニス
「私としては、あなたが選ばれたことのほうがものすごーく不思議で仕方ないんだけど?」
ケルマ
「おだまりあそばせ!!
私だって、本当ならばカザミネさまと一緒に愛の旅路をさすらってたかったのに…
是非にと頼みこまれて仕方なく、貴方たちにつきあってあげたのよ
おほほほほ、せいぜいありがたく感謝をすることね、チビジャリ?」
ミニス
「別にいらないのに
こんな年増…」
ケルマ
「年増って言うな~っ!」
モーリン
「どう見ても、しっかりとけこんじまってるように、あたいには見えるけどねえ?」
リューグ
「う…」
ロッカ
「はははは…っ」
アメル
「ほらほら、みんな
おしゃべりは後にして船室に来てくださいね
パッフェルさんたち待ちくたびれちゃってあくびしてましたよ」
トリス
「あはは、ごめんごめん」
ネスティ
「それで、アメル
用事というのは?」
アメル
「はい、そろそろ目的地に着くみたいですから最後の打ち合わせをしたいんだそうです」
ネスティ
「なるほど…」
トリス
「派閥の枠を越えて特別に編成された調査チーム…
なんにせよ、これが私たちの初仕事だもの
がんばらなくちゃね?」
ネスティ
「ああ、言うまでもない」
アメル
「はりきっちゃっていきましょう!」
バルレル
「かったりぃからオレはここにいるぜ」
アメル
「それじゃ、見張り役はバルレルくんに任せておけば、安心ですね」
バルレル
「見張り…っておい、オレはそういうつもりじゃあ!」
アメル
「よろしくお願いします」
バルレル
「う…っ
まあ、いいけどよォ
別に…」
≪船室≫
パッフェル
「いやいや、どーも
お手数かけちゃってすみません、みなさん」
トリス
「気にしなくていいわよ
それより、打ち合わせだって聞いたけど
海のまっただなかにいったい、どんな遺跡があるっていうの?
もしかして、海の底へもぐっていかなくちゃいけないとか…」
メイメイ
「にゃはははははっ♪
さすがは若人、発想が相変わらずぶっ飛んでるわねえ…」
アメル
「もう、メイメイさん?
茶化さないでください
トリスは、真面目に聞いてるんですから」
メイメイ
「にゃははははっ♪
ごめん、ごめん」
ネスティ
「そこのバカ者の発言はまあ、置いておくとして…
実際の所、この船はどこへ向かってるのか教えてもらいたいな」
フォルテ
「俺の記憶が確かならここらの海域にゃあなんにもないことになってるはずだぜ」
パッフェル
「そうですねえ…確かに、表向きにはそういうことになっているんですよ、はい」
ロッカ
「表向き、ということはもしかして…」
リューグ
「またお前らが、なんか隠してるってことか?」
パッフェル
「そんな、人聞きの悪いことを言わないでくださいよぉ!?」
メイメイ
「隠してるんじゃなくて隠れていたのよねえ
この場合は…」
トリス
「隠れてた???」
パッフェル
「ええ、そうなんです
この海域には、今まで地図に示されることがないままできた、島があるんですよ
とある事情で、長い間外からの来訪を拒んできた小さな島が…」
ミニス
「もしかして、それって結界のせい?」
メイメイ
「そうそう、さすがはミニスお嬢さま
お利口さんよねえ」
ミニス
「む…っ」
モーリン
「ははは…
てことは、あれかい?
ルウん家の隣にあった禁忌の森みたいな?」
パッフェル
「そーそー、そうです♪
結界そのものは、今は失われてしまったそうですけどね」
メイメイ
「知る人ぞ知る、幻の島ってカンジなワケ?
にゃははははっ♪」
ケイナ
「そこに、目的の遺跡があるってわけね」
トリス
「あははは…っ
似たようなことって意外とあるもんだね」
アメル
「トリス…」
ネスティ
「……」
メイメイ
「この遺跡に関しちゃあクレスメント家はきっぱり無関係よん♪」
トリス
「え…」
パッフェル
「関係しているのは無色の派閥なんですよ
これが…」
ケルマ
「無色ですって!?」
トリス
「ミモザ先輩たちやカイナが戦ったって言っていた…」
フォルテ
「なるほどな…それでシャムロックやルヴァイドの旦那たちじゃあなくて
冒険者の俺やケイナに声をかけたってワケか」
パッフェル
「武闘大会の一件で巡りの大樹・自由騎士団は、有名になっちゃいましたからねえ」
ケイナ
「あ、あははは…」
パッフェル
「派閥との接触はしばらくは避けるべきだと、エクス様たちは判断したんですよ」
ロッカ
「なるほど…」
リューグ
「事情はわかったがよ
それとは別に、どうも納得できねえのは
なんで、こんな野郎が俺らの水先案内人をやってるんだ?」
ジャキーニ
「ワシとて、好きでやっとるわけじゃあないわいっ!
くうぅ、海の漢であるこのワシが、なんの因果で、デカ女たちの手下に…」
モーリン
「なんだって?」
ジャキーニ
「ひいぃぃっ!?」
パッフェル
「まあまあ、船長さん
この仕事が終われば晴れて、自由の身になれるんですから」
ケルマ
「正直、同情しますわ
あれ以来、あの女にこき使われっぱなしでつらかったでしょう」
ジャキーニ
「くうう…っ」
メイメイ
「ま、このヒゲの船長はその島に行ったことがある、数少ない人物の一人でもあるのよ
ほいでもってメイメイさんもまたその一人ってワケね?
にゃははははっ♪」
トリス
「(そういう理由でついて来たわけだったのね
むぅ…)」
アメル
「無色の派閥ってたしか、召喚術を悪用している人たちだったはずですよね…」
ネスティ
「そのとおりだ、アメル
もっとも、先だっての無色の乱において最大勢力であったセルボルト家の当主が討たれ、
最近はなりをひそめているから大規模な戦いになるようなことは、まずあり得ないさ」
アメル
「だったら…いいんですけど…」
トリス
「心配しないで、アメル
あの時のように、もう誰かを犠牲にするようなことは、絶対にさせないから…
そのためにあたしたち欠かさず、訓練をしてきたんでしょ?」
フォルテ
「ひゅーひゅー♪
言ってくれるよなあ」
-殴られて倒れる音-
ケイナ
「でも、たしかにみんな、がんばってきたものね」
訓練したのは…
  • 召喚術
    トリス
    「特に召喚術についてはものすごく、徹底的に教わったもんねえ」
    ネスティ
    「こら…どうして、そこで恨めしげに僕を見る?」
    ケルマ
    「私としては、知識もろくになかった貴方が
    あれほどの召喚術を使っていたことが驚くやら、悔しいやら危なっかしいやら
    …複雑ですわよ」
    トリス
    「あ、あははは…っ」
バルレル
「おい、オマエら!
とっとと甲板まであがってきやがれッ!
なんかしんねえが変なもんが、この先に見えやがるぞ!?」
ケイナ
「いよいよ、目的地についたみたいね?」
トリス
「あたしたちも確かめにいきましょう!」
パッフェル
「……」
メイメイ
「貴方は見に行かないの
パッフェル?」
パッフェル
「あははは…なんていうか、まだ心の準備が…」
ジャキーニ
「本当なら、あの場所はそっとしておくべきなんじゃい…」
メイメイ
「そうよね…できれば、そうしてあげたかったわよね」
パッフェル
「……」
メイメイ
「でも、これもまた星の巡りの導きかもしれない…
会えるといいわね?
もう一度…」
パッフェル
「私が…初めて、信じたいと願った人…」
忘れられた島

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