【夜会話】クノン(アティVer.)

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ふぇんりる様

第10話 もつれあう真実

クノン
「昼間より、心なしか顔色が悪いようですが どうかしましたか?」
アティ
「あ、うん・・・ちょっと、ね・・・
(本当のことなんて言えないよねさすがに・・・)」
クノン
「栄養剤でも注射しておきましょうか」
アティ
「い、いいですよ!別にそこまで疲れてるわけじゃないから」
クノン
「ダメです
患者としての貴方の発言は その多くに疑わしい部分がありすぎますから
事前にケアすることで、強制的に健康維持をしておくことが最良の手段だと思われます」
アティ
「ちょ、クノン・・・そんな、無茶な・・・」
クノン
「腕を出してください」
アティ
「い、イヤです!」
クノン
「子供みたいにダダをこねるのは却下です
さあ?」
う、ううう・・・ 心配してくれるのはうれしいけど、注射はキライです・・・

第11話 昔日の残照

クノン
「やはり、不自然です」
アティ
「なにがです?」
クノン
「この嵐のことです
ラトリクスでは、各種データに基づき、限りなく完璧に気象予測ができます
にも関わらず この嵐が起きることを予測できなかった」
アティ
「完璧って言っても 絶対ってことじゃないんでしょう?
だとしたら たまには外れたって不思議じゃないですよ」
クノン
「それはわかってます わかってますがしかし・・・
なんとなく悔しいです バカにされた気分です」
アティ
「うーん、天気を相手に腹を立てても・・・」
クノン
「釈然としないので 過去の記録を検索してみたのですが
同様の事例が一件だけ見つかりました」
アティ
「え?」
クノン
「施設の機能が一時的に停止する寸前・・・すなわち、私たちが敗北したあの日も
こうした突発的な嵐が観測されていたのです」
アティ
「・・・・・・」
クノン
「論理的に説明はできませんが 気になるのです
ただの偶然ならばよいのですが・・・」
アティ
「ですね・・・」
だけど、無関係って言い切るには ちょっとできそうにないですよね・・・

第12話 黄昏、来たりて

クノン
「最悪の結果になってしまいました」
アティ
「・・・」
クノン
「過去における 無色の派閥の行動はデータとして記録されています
間に合うかどうかはわかりませんが、今から私はそれらを解析するつもりです」
アティ
「私たちにも、なにか手伝えないかな?」
クノン
「これは、私だけでやるべき仕事なのです」
アティ
「でも・・・」
クノン
「さっきのような光景が延々と、記録されたものなのですよ?」
アティ
「!?」
クノン
「見なくてすむのならそうすべきです 特に、貴方は・・・」
アティ
「・・・・・・」
クノン
「看護人形である私には生理的な嫌悪感とは無縁です
任せてください きっと、役に立つ情報を見つけ出してみせますから」
アティ
「クノン・・・」
クノン
「どうか 今は自分の身体のことを第一に考えてください」
アティ
「わかりました・・・」
ごめんなさい、クノン 貴方だけにこんな役目押しつけて・・・

第13話 断罪の剣

クノン
「はあ・・・」
アティ
「(クノンがため息!?)
ど、どうしたの?」
クノン
「しみじみと、自己嫌悪ない間の心境を、表現してみただけのことです・・・」
アティ
「自己嫌悪?」
クノン
「イスラのことです
彼が潜伏していたとき 剣の所在を突き止めていれば 今日のようなことには・・・」
アティ
「仕方がないですよ
魔力の探知は、貴方の専門外でしょう?」
クノン
「それは、そうですが しかし・・・
私にもっと 人間に対する洞察力があったならば
彼の挙動に対して 疑いの目を向けることもできたでしょうに」
アティ
「クノン・・・」
クノン
「やはり、そういった心理的な駆け引きも学習を・・・」
アティ
「やめましょう、クノン」
クノン
「え?」
アティ
「人間の内面なんて 疑ってかかったならきりがないもの」
クノン
「ですが・・・」
アティ
「信じられるかどうか見極めて それから決めるなんて絶対できっこないの
信じたい、信じよう そういう気持ちは自然に生まれるものなんじゃないかな?」
クノン
「しかし・・・それでは裏切られた時に・・・」
アティ
「その時が来ても 今までを後悔せずにいられるかどうか
それが、信じるってことだと私は思うわ」
ただの奇麗事なのかもしれないけどね・・・

第15話 ひとつの答え

クノン
「病は気から、とミスミさまがよくおっしゃってましたが
貴方を見ていると、実感できますね 昼間よりずっと顔色もよくなっている
完治したといっても差し支えないでしょう」
アティ
「そっか・・・」
クノン
「ですが、だからといって 無茶をするのは厳禁です
適度に休んで、たまったストレスは発散する
基本ですが、やはりこれが健康でいる一番の秘訣なのです」
アティ
「へえ、クノンってそういうことも勉強してくれてるんだ?」
クノン
「当たり前です
私は、この島のみんなの健康を守る、看護師さんなのですから!」
アティ
「うん、そうだよね」
クノン
「ですから、安心して 貴方は信じる道を進んでくださればよいのです
私がいる以上、どんなひどい怪我でも、病気でも 必ず治してみせますから
仲間が傷つけられることに不安になって、心を痛める必要などないのです」
アティ
「うん、ありがとう・・・
だけど、本当にクノンも変わったよね?」
クノン
「私がですか?」
アティ
「ええ、最初に出会った時とは比べ物にならないくらい色んな顔を見せてくれる」
クノン
「あ・・・
自分でも驚いてるのです こんなにたくさんの顔が私にできたのか、と
意識してやっているわけではないのです 気づくと、自然にそうなっていて・・・
不思議です・・・」
アティ
「そういうものよ 別に、不思議じゃないわ
笑ったり、怒ったり 泣いたりするのだって
頭で考えてすることじゃない それが、感情ってものだから
それだけ、クノンがどんどん人間に近づいている証拠だって、私は思うな?」
クノン
「人間に・・・
なんだか、うれしいです そう言ってもらえると」
アティ
「クノン・・・」
クノン
「あとは、イスラを倒して 紅の暴君を封印すれば戦いも終わりですね
アティさま ひとつ、お願いをしてもよろしいですか?」
アティ
「なにかな?」
クノン
「その・・・もしよろしければですが 戦いが終わったら・・・
もっと、色々と私に教えてほしいのです!」
アティ
「え・・・」
クノン
「貴方のおかげで、私は人間の感情について知ることができました
怖い部分もあるけれど それは、とても素敵で奥が深いもので・・・
だからこそ、私はもっとそれを学びたいのです
貴方の生徒になりたい もっともっと、たくさんの教えをうけたいのです!」
アティ
「クノン・・・」
クノン
「ダメ、でしょうか・・・」
アティ
「そんなわけないでしょ?」
クノン
「それじゃあ!」
アティ
「歓迎するわ、クノン」
クノン
「は、はいっ! どうか、よろしくお願いいたします・・・
先生・・・」

エンディング

そして・・・私たちは帰ってきた・・・
まあ、正確に言えば・・・
彼女に限っては、新しくやって来たって言うべきなのかもしれません・・・
クノン
「あのー、もしもし? 聞こえてますか、先生?」
アティ
「あ・・・」
クノン
「先程から、注意力が散漫になっているようですが 具合でも、悪いのですか?」
アティ
「ごめん、ごめん!
ちょっと、ぼうっとしてただけなの」
クノン
「ぼうっとするのなら、熱があるのかもしれませんね
とりあえず、解熱剤をうっておきましょうか?」
アティ
「ち、注射は・・・っ!? あの・・っ、く、クノン!? ホントに、平気だから!?」
クノン
「遠慮しなくてもいいのに・・・」
アティ
「遠慮とかじゃなくてね 今のは、考えごとをしてたって意味で言ったのよ」
クノン
「なるほど・・・やはり、言葉の言い回しとは奥が深いものなのですね」
アティ
「あははは・・・
まあ、それを勉強するためにクノンは、私たちについて来たわけですしね」
クノン
「感情を学ぶには、人間の社会で生活するのが、最良ですから
ですが、やはり効率よくは学べないようです・・・」
アティ
「あせることないよ まだまだ、勉強は始まったばかりなんだしね」
クノン
「至らぬ身ではございますが ご指導のほど、どうかよろしくお願いいたします」
アティ
「ええ、こちらこそよろしくね
だけど、アルディラも よく、クノンの留学に賛成してくれたよね・・・」
クノン
「それはきっと、先生のことを信頼していたからでしょう
アルディラさまもですが あそこの住人たちは、みな 島の外の世界を知りません
最初に出会った人間が 無色の派閥という、特殊な存在だったこともあって
どちらかというと、恐怖すら感じているようですね
世代を経た今もなお・・・」
アティ
「・・・・・・」
クノン
「ですから、なおのこと私が、しっかりと見定めていかねばならないのです!
貴方たちがそうだったように 人間がみんな、敵であるとは限りません・・・
決めつけてしまって 狭い輪の中に閉じこもるよりも
手をとりあって、暮らしていけたほうが素敵です
そう教えてくれたのは、先生 貴方ではありませんか?」
アティ
「そっか・・・」
クノン
「ええ、そうですとも・・・」
さあ、そうと決まれば、今日も1日 張り切ってお勉強いたしましょう
「機械仕掛けの新入生」

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