【夜会話】グラッド(ライVer.)

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さと様/紅月紅呀様

第3話 ドキドキ、はじめての御使い

グラッド
「しかし、お前の親父さんってのは何者なんだ?
めっぽう強いってことは、なんとなくわかるんだが」
ライ
「ただのバカだよ あんなのは
常識がないから 平気で滅茶苦茶なことをするんだ」
グラッド
「だからって、普通 召喚術を剣で斬るか?
物理的にありえないだろう、さすがに」
ライ
「滝をまっぷたつにしたのは、何回か見たぜ
お前もやれ! って しばらくの間、特訓をさせられたんだ」
グラッド
「うへえ・・・
なんか、同じ人間とは思えないな、それ」
ライ
「言わないでくれよ オレも、時々、疑問を抱くんだからさあ」
バカの一言で片づけることができないのがムカつくよな・・・

第4話 素敵な若さま、大暴走!

グラッド
「お前が飛び出してった あのあとな・・・ 俺たちも反省したよ
しっかりしてるから ついつい、お前だけに負担かけさせてさ
ホント、悪かったな」
ライ
「い、いいんだって!? そんなことは・・・
もともと、オレが自分でそうするって決めたことなんだし」
グラッド
「まあ、お前が平気って言うのなら、無理強いはできないけどな
これだけはおぼえとけ
ミントさんもポムニットさんも そして、この俺も
お前たちのことを本当の弟や妹みたいに思ってるつもりだ
だから、遠慮するな 約束だぞ?」
ライ
「う、うん・・・」
ありがとな・・・兄貴・・・

第5話 今はもう、戻れない場所

グラッド
「はあ・・・」
ライ
「どうしたんだよ たそがれちゃってさ」
グラッド
「アロエリの姿を見ていたらな
使命ってなんなのか考えさせられて、さ
俺たち、帝国軍人は帝国の平和を守っていくことが使命だ」
ライ
「そんでもって駐在軍人である兄貴にとっては
この町の平和を守ることがそうなんだろ」
グラッド
「ああ、そしてその使命を、俺は誇りに思っている
けどな、果たして俺が同じ立場になったなら
ああまで、一途に使命を果たそうって思えるんだろうか
誇りを守るためにあそこまで真剣になれるんだろうか
ははは、ちょっと自信がない・・・」
ライ
「いいんじゃねーの? 別に真似しなくても」
グラッド
「え・・・」
ライ
「兄貴は兄貴なりにこの町のことを思ってがんばってるんだし
もしもの時のことなんて、考えなくてもいいじゃんか?
そうならないように 兄貴は、ここにいてくれるんだからさ
胸を張ってりゃあ いいんだって!」
グラッド
「そ、そうか? そうだよなっ?
よーし・・・俺は、俺なりにがんばってやるぞ!」
ライ
「うんうん」
そのほうが、ずっと 兄貴らしいぜ?

第6話 疑惑と不審の、黒いヤツ

ライ
「「旧王国」って言葉を聞いた途端、兄貴顔色が変わったよな」
グラッド
「当たり前だろう!?
「旧王国」は「帝国」の敵対国なんだぞ
武力侵攻を受けたのもそれこそ数知れない」
ライ
「でも、それってば兄貴が生まれるより前の話なんだろ?
最近は、そんなでもないって思うけど」
グラッド
「そんなことはないぞ
あの「傀儡戦争」でも「旧王国」の手引きによって
悪魔たちの軍勢が国境を越えて、侵入しようとしたんだ」
ライ
「!」
グラッド
「国境警備隊の要である「紫電」部隊が撃退に成功してなかったら
この町だって襲われていたかもしれないぞ」
ライ
「「紫電」か・・・ たしか、兄貴の憧れてた部隊だよな
帝国初の女将軍が率いているんだろ?」
グラッド
「ああ、そうさ 陸戦隊なら、誰でも一度は憧れる部隊さ
その分、編入試験も訓練内容も厳しいってことなんだけどな」
ライ
「ははは・・・」
グラッド
「なんにせよ、俺は帝国軍人の一人として
この国の人々の平和を守りたいと願っている
「旧王国」が敵対行為をとり続ける限りは戦わなきゃならない
そういうものなんだよ」
軍人の理屈からすればあの怒りようも当然ってことか・・・

第7話 お魚たずねて、秘密基地

ライ
「いつかは、はっきりと聞いておこうと思ってたんだけどさあ
グラッドの兄貴 ミントねーちゃんが好きなんだろ?」
グラッド
「ぶふっ!? ななっ、なにをっ! バカなことをっ!?
だいたい、俺がそんなそぶりを見せたことなんて・・・」
ライ
「しょっちゅうじゃん?
ミントねーちゃんと話してると、言葉使いおかしくなってるし」
グラッド
「・・・そうなのか?」
ライ
「うん、まるわかり」
グラッド
「なんてこった・・・」
ライ
「心配しなくても ミントねーちゃんは気づいてないって
ミントねーちゃん「だけ」ってほうがより正しいけどな」
グラッド
「そ、それはそれで複雑な気も・・・」
ライ
「てことは、やっぱそうなんだな?」
グラッド
「まあ、な・・・
正直、ひと目ぼれしてしまってるんだ」
ライ
「まあ、気持ちはわかんなくもないぜ
ねーちゃん、優しいしキレイだもんな」
グラッド
「だろ!?」
ライ
「ただ、たまに不可解な行動をして、面食らうこともあるけど」
グラッド
「ふふん、お前もまだまだ子供だな
そういうところがいいんじゃないか」
ライ
「ふーん・・・」
グラッド
「今の話、くれぐれもリシェルとかには秘密だぞ?
言いふらされたら それこそ、巡回にも出られん・・・」
ライ
「わかってるって! 男同士の秘密だろ?」
グラッド
「ああ、男同士の鉄よりも固い約束だ!」
けど、あの調子だと前途多難そうだよなあ 兄貴の恋も・・・

第8話 流れ三味線、はぐれ弾き

グラッド
「ともかく、みんな無事でなによりだ」
ライ
「うん、今回ばかりはもうダメかと思った
アルバやシンゲンが加勢してくれなきゃ打つ手がなかったし
それに、レンドラーのオッサンがあの状況を静観してなかったら
きっと、オレたち 確実に負けてたと思う」
グラッド
「いまいましいがそのとおりかもな
むかつくヤツだが騎士の誇りだけはもってたワケだ」
ライ
「・・・・・・」
グラッド
「どうしたんだ? 元気がないぞ?」
ライ
「グラッドの兄貴が言っていたことがようやくわかったよ
組織を敵に回すってことの恐ろしさがさ」
グラッド
「ライ・・・」
ライ
「勢いだけで、オレが守ってみせるなんて言い張ってたけどさ
甘く見てたのかもしれない・・・」
グラッド
「だからって、今さら逃げだしたいなんて考えてないよな?」
ライ
「!」
グラッド
「弱気になるのは仕方がないもんさ
恥ずかしいことなんかじゃない
ただ、その弱気に負けちまうのだけは絶対にダメだ!
負けたら、それをこの先、引きずってくことになるんだぞ?」
ライ
「・・・っ」
グラッド
「心配するなって こうすると決めたのはお前一人じゃない
俺も、ミントさんもポムニットさんだって同じ気持ちなんだぞ」
ライ
「兄貴・・・」
グラッド
「正しいと感じたことを最後まで、思いっきりやりとげるんだ
足りない部分は俺たちが全力でなんとかしてやる!」
ライ
「・・・うんっ!」
思いっきり・・・それが、オレらしいやり方なんだもんな!

第10話 想い、途切れることはなく

グラッド
「彼女が、まさか悪魔だったとはな」
ライ
「悪魔じゃねーって! 「半魔」だってば!」
グラッド
「ああ、すまん けどな・・・」
ライ
「もしかして、兄貴 ポムニットさんのこと軍に話すつもりか?」
グラッド
「ば、バカ言うなっ!?
いくらなんでもそこまで態度を急変なんてできるか
見損なうなよな?」
ライ
「う、ゴメン・・・」
グラッド
「でも、すこしばかりびびっちまってるのは正直なところかな」
ライ
「なんでだよ!? ポムニットさんはポムニットさんだろ」
グラッド
「わかってるさ 彼女は、守るべきこの町の住人だ
けどな、俺は実際に悪魔と戦ったことがあるんだよ」
ライ
「!」
グラッド
「昔、傀儡戦争の時の悪魔の残党の討伐に参加したんだ・・・
わずか数体の悪魔をいくつもの部隊でなんとか倒した
被害もすごくて、な」
ライ
「・・・・・・」
グラッド
「俺だって、彼女を信じたいと思ってる
けど、同時に悪魔の恐ろしさというのも痛感してるんだよ
だから、どうしても構えてしまうんだ
それが、彼女の心を傷つけるだろうってわかっててもな」
ライ
「兄貴・・・」
悪魔を知ってるからこそ 兄貴はわりきれずに苦しんでるんだな

第11話 うつろなるもの、来たりしもの

グラッド
「より強い兵器の開発に軍が熱心だったことは知っていたさ・・・
学究都市の研究施設が重要な警備対象であることも説明されてた
だけど・・・だけどな!?
なんで、あんなことが平然と行われていたりするんだよっ!?」
ライ
「兄貴・・・」
グラッド
「研究のためだからって人の身体をあんな風に歪めちまうなんて
やっちゃいけない!! 絶対に許されるようなことじゃないんだ!」
ライ
「うん・・・そうだよな・・・
(ジイさんの言ってたことが、なにもかも本当のことだったら
研究の素材にされた多くの召喚獣たちは きっと・・・
・・・ッ!)」
グラッド
「お前らの言うとおりだったよなあ・・・
リュームのことを軍の管理下に置くと決めていたなら
それこそ、お前らに顔向けできなくなるところだった・・・」
ライ
「でも、兄貴は結局オレたちのワガママを見逃してくれたろ?
だから、責任を感じる必要なんて全然ないって!」
グラッド
「軍人の立場としてはほめられた行為とは言えないけどな
もっとも、軍自体がほめられたもんじゃないのかもしれんが」
ライ
「・・・・・・」
グラッド
「だが、軍がどれだけろくでもないものとわかってもな・・・
軍によって守られるべき、帝国の民にはなんの非もないんだ
だから、俺はまだ駐在軍人の任務を放棄したりはしない
・・・安心したか?」
ライ
「う、うんっ!」
グラッド
「「戦う術を持たぬ者に代わり、理不尽な暴虐へと立ち向かう者」
「それこそが軍人だ」
「紫電」を率いているアズリア将軍の言葉だ
この言葉を信じて 俺は、任務を全うしようと思ってる
お前らや、町の人々を最後まで守るために!」
兄貴なら、なれるさ! みんなを守って戦える本物の軍人に・・・

第13話 思い願うこと、貫くこと

グラッド
「橋の件については報告書を出したぞ
さすがに、隠しておけることじゃなかったからな」
ライ
「仕方ないよな
実際、部分的には壊れちまったし」
グラッド
「修理の件についてはテイラーさんが対応してくれるらしい
通行に支障がないよう、大急ぎで修繕してしまうそうだ」
ライ
「じゃ、ひと安心だな
あの人は、そういう対応には骨惜しみをしないもんな」
グラッド
「事実上、この町の領主みたいなもんだしなあ・・・
そういや、お前知ってたか?
町のあちこちにある壊れかけた給水施設
廃棄されるはずだったあれを修復したのもあの人らしいぞ」
ライ
「ああ、よーく知ってる
なんせ、その施設をぶっ壊しちまった張本人ってのがクソ親父だからな」
グラッド
「なんだってぇ!?」
ライ
「聞いた話でしかオレも知らねえけど
前に、この街が皇族の別荘地候補に選ばれかけてさ
あの給水塔とかもそのために作られたものらしいんだ
ところが、なにをとち狂ったのやら
クソ親父がそれに反対して、大騒動を起こした挙句に」
グラッド
「ぶっ壊した・・・っていうのか???」
ライ
「テイラーさんはそう言って、いつもオレを責めてるよ
別荘の誘致が成功していたら、町はもっと栄えていた
大損失だ、ってね」
グラッド
「うへえ・・・」
ライ
「クソ親父が、旅に出ることになった原因のひとつには
そういう理由もあるらしいんだ
損をした関係者には今でも、恨まれてるみたいだし・・・」
グラッド
「なんていうか豪快な一家だよなお前んトコって」
ライ
「クソ親父が非常識なだけだってば!?」
今頃、どこでなにをしてるやら ったく・・・

第14話 来訪者たち、彼方より

グラッド
「やれやれ・・・とうとう本拠地ごと敵のおでまし、か
いつかはこうなるって覚悟はしていたけどきっついよなあ」
ライ
「ゴメン・・・全部、オレたちのせいだよな・・・
兄貴たちの言うことをきかずに、意地ばっか張り続けてきたから
こんな、騒ぎに・・・」
グラッド
「ま、待て待てっ!? 俺は、お前を責めてるワケじゃないぞ!?
つい、グチがこぼれただけでな・・・」
ライ
「けど・・・っ」
グラッド
「そりゃ、たしかにお前たちは、意地を張ったかもしれない
だが、そうすることを許しちまってる時点で俺だって同罪なんだ
言ってるだろ? 覚悟はしてた、ってな」
ライ
「兄貴・・・」
グラッド
「しかし、さすがにこれ以上、騒ぎが大きくなっちまうと
俺一人の力だけでは もう、かばってやれないかもしれんな」
ライ
「え・・・」
グラッド
「現に、町の人たちが「城」を見たせいで不安になってる
旅人たちの噂話になって広まるのもそう遠くないだろう」
ライ
「だよな・・・」
グラッド
「本部への報告はなんとかここまでごまかしてきたけど
正式に調査の命令が出たら、俺はそれに従わなきゃならない
軍人、だからな すまん・・・」
ライ
「いいんだって!? 兄貴には、いっぱい無理させてるんだし
感謝してるよ ホントに」
グラッド
「けどな、軍が動くにはまだ時間があるはずだ
だから、なんとしてもそれまでにこの騒ぎを終わらせるんだ!
そうすりゃ、あとは俺が始末書を書いてカタがつくはずさ」
ライ
「うん・・・」
グラッド
「しっかり頼むぜ! いつもの、お前みたいにな?」
ライ
「・・・うんっ!」
終わらせなきゃな! 無理をさせた兄貴のためにも・・・

第16話 相談イベント

第16話 相談イベントに掲載

第18話 はばたき、空へと突き抜けて

グラッド
「うん・・・これで、現在までの報告書はまとまった
あとは、警備隊が到着するまでの、時間稼ぎの方法だよなあ」
ライ
「・・・」
グラッド
「大道都市を経由するように連絡するとして 理由づけは・・・」
ライ
「寝ないのか、兄貴?」
グラッド
「ああ、やることがまだたくさん・・・って
のわあぁーっ!? び、びっくりしたっ!」
ライ
「ご、ゴメンっ 別におどかすつもりじゃなかったんだよ
ただ、なんかすげえ忙しそうだから、声かけづらくて・・・」
グラッド
「それ以前にな、こんな時間に、お前がここにいるのが問題だろ?
朝に備えて、ちゃんと休んでおかないとダメだろうが?」
ライ
「わかってるよ、でも眠れなくて・・・」
グラッド
「まあ・・・それも仕方がないか
じゃあ、せっかくだしなんか軽めの夜食でも作ってくれよ?」
ライ
「・・・うんっ!」
グラッド
「腹の底からあったまるようなもんがいいなあ」
ライ
「おう、任せとけって♪」
グラッド
「ふぅ・・・っ ごちそうさん
しっかし、相変わらずお前の作るメシはうまいよなあ」
ライ
「そういや、兄貴って ここんとこ、ウチでメシ食ってないよな
やっぱ、ゆっくりしてられないくらい忙しいのか?」
グラッド
「それもあるけどな まあ、一番の理由は安月給の中から
ちょっとばかし貯金を始めたせいなんだよ」
ライ
「貯金?」
グラッド
「軍学校の上級科の編入試験を受けてみようと思ってな
そのために必要な学費とかを、用意しているのさ」
ライ
「上級科って・・・なんでまた、急に?」
グラッド
「別に、急に決めた ことでもないさ
ほれ、お前にも何度か話したことがあるだろう?
俺の夢は、アズリア将軍の率いる「紫電」に、入ることだって」
ライ
「あ・・・」
グラッド
「今まではな、かなわぬ夢のつもりでいたんだ
ただ、願望を言ってただけで、本気で努力をしてはこなかった
でもな、望みをかなえるために必死でがんばり続けている
お前の姿を見ていて思ったんだよ
今のまんまで本当にいいのか? ってな」
ライ
「兄貴・・・」
グラッド
「できる、できないじゃなくって、やってみるそう決めたから
とりあえず、もう一度勉強を始めてみることにしたんだよ」
ライ
「そっか・・・
だけど、編入試験に合格しちまったら
グラッドの兄貴はこの村の駐在軍人をやめちまうんだよな」
グラッド
「そういうことになっちまうな」
ライ
「・・・・・・」
グラッド
「しょげた顔するなよ? 別に今すぐ、どうこうなるわけじゃないぞ
次の季節の巡りがこなけりゃ、試験は受けられないし
そもそも、合格する保証だってないんだぞ」
ライ
「するさ・・・兄貴なら、きっと合格できるよ
今まで、一所懸命に町の人たちのためにがんばってきたんだ
そのがんばりがあれば編入試験だって、突破できるって思う!」
グラッド
「ライ・・・」
ライ
「兄貴が、この町からいなくなっちまうのはさびしいけど・・・
でも、オレは兄貴のことを応援するぜ
だって、夢ってのはかなったほうが絶対にいいもんだもんな?」
グラッド
「ありがとうな・・・ライ
お前にそう言ってもらえると、なんか力がわいてくるよ
だけど、まずは目の前にある難題をなんとかしなきゃな」
ライ
「ああ、そうだな」
グラッド
「明日は、勝とうな 町の平和と、お前らの笑顔を守るために!」
ライ
「そして、兄貴の夢をかなえるために!」

エンディング

ルシアン
「ありがとうございます またお越しください」
ライ
「ギネマ鳥のオムレツにソレルクの甘辛煮込みあがったぜ!」
リシェル
「はいはい、了解! お次は海賊風焼き飯ふたつ、よろしく!」
ライ&リシェル
「つ・・・っ つかれたあぁ・・・っ」
ルシアン
「二人とも、ほんとにおつかれさま」
ライ
「おう、ルシアンもおつかれさん」
リシェル
「にしても、最近のお昼時って、戦場そのものよねえ
ちょっと前まではお客が列を作るなんてありえなかったもん」
ルシアン
「それはそうだよ! なんたって、今のライさんは
「ミュランスの星」が認めた、帝国最年少の有名料理人だもん
噂を聞いて、遠くから食べに来る人たちもいるくらいなんだよ」
リシェル
「有名料理人ねぇ・・・」
ライ
「そんなのは、他人が勝手に騒いでるだけさ
オレはただ、ずっとこの町でうまいメシを作り続けながら
もっと、みんなに 喜んでもらいたいだけそれだけでいいんだ
まあ、とにかく今はひと休みにしようぜ
夜になったら、また大忙しなんだからな」
リシェル&ルシアン
「はーい・・・」
リシェル
「そう言えば、そろそろ時間なんじゃない?」
ライ
「ああ、そうだな いつものパターンだとそろそろ・・・」
グラッド
「おぃーっす・・・」
リシェル
「ほーら、きたきた」
ルシアン
「今日はまた、一段とお疲れみたいだね グラッドさん」
グラッド
「ああ、まあな・・・ 勉強で、つい徹夜した翌日だっていうのに
泥棒を追いかけて全力疾走するはめになっちまったんだ」
リシェル
「うげげ・・・考えるだけで、息ぎれしちゃいそうだわね」
ルシアン
「試験勉強も大切だけどちゃんと休まなくちゃダメだよ?」
ライ
「ルシアンの言うとおりだぜ
試験に合格したら兄貴は、町からいなくなっちまうけど
でも、それまではこの町の平和を守る駐在軍人なんだから
いざって時に、へたれちまってるようなことだけはカンベンな?」
グラッド
「わかってるさ だから、今日もこうして
オマエ特製のいつものヤツをもらいにきたんだ」
ライ
「ああ、用意してるぜ 疲労回復、滋養強壮 特製野菜ジュース!」
グラッド
「んぐっ、んっ、んっ んんん・・・っ!」
ルシアン
「よく飲めるよね あんなの・・・」
リシェル
「一口なめただけで あたし、泣きそうになったのに・・・」
グラッド
「ぷはあぁぁーっ!! キクぅぅぅーっ!!
よぉーし・・・これでまた、午後も思いっきり働けるぞ」
ライ
「その前に、ちゃんと昼メシも食べなきゃな
今、用意してやるから ちょっと待ってくれよ」
グラッド
「おお、ありがたくごちそうになるぞ♪」
テイラー
「おい、本当に最後まで顔も見せずに行くつもりなのか?」
ケンタロウ
「ああ、親がなくとも子は育つ、ってな
アイツも、想像以上にいっちょまえに育ってやがったからなあ
オレ様がいなくたってなにも問題はねーさ」
テイラー
「だが、いくらなんでも薄情すぎやしないか?
次はいつ、戻ってこられるかも知れんというのに・・・」
ケンタロウ
「約束がよ、いまだに守れてねーんだよなあ
エリカの病気を治して 家族みんな、揃って一緒に暮らしていく
その方法を見つけるまでは、オレ様は帰れねえんだわ」
テイラー
「だが・・・」
ケンタロウ
「バカとかクソとかロクデナシってのは慣れちまったけどよ
ウソつき、って呼ばれるのだけはカンベンだからな」
テイラー
「そうか・・・」
ケンタロウ
「つーわけだからよ 悪いが、もうすこし世話を頼むわな」
テイラー
「ふん、言われずともわかっておるわ
あの人の居場所は二度と、誰にも荒らさせはせんよ
だから、とっとと約束を果たして戻ってこい!!」
ケンタロウ
「おうよッ!」
リシェル
「で、実際のところ試験は受かりそう?」
グラッド
「うーん・・・基礎体力や実技はあの戦いのおかげで
それなりに自信がついてはいるんだが
学科がなあ・・・」
ルシアン
「法律関係でしょ? 僕も苦労してるもの」
グラッド
「帝国以外の国のものまで、覚えなくちゃならないなんて
暗記の苦手な俺にはとんでもない苦痛だよ」
リシェル
「ぼやかないの! まあ、気持ちはよぉくわかるけど・・・」
ルシアン
「じゃあ、僕が使ってた暗記用のメモ、持ってきてあげようか?
家庭教師の先生が作ってくれたものだし きっと役に立つよ」
グラッド
「そりゃ、ありがたい!」
ライ
「なんつーか・・・オレには理解できない会話だよな・・・」
リシェル
「だったら、あんたも一緒に勉強する?
商売関係の法律とか知っておけば、損はしないわよぉ?」
ライ
「え、遠慮しとくっ!?」
ルシアン&グラッド
「あはははははっ!」
グラッド
「しかし・・・
これだけ、お前らに応援してもらっているんだもんな
なんとしてでも合格しなきゃな!」
リシェル
「別に不合格でもいいんだけどね」
ルシアン
「ねえさんってば!」
リシェル
「だって・・・さびしいんだもん やっぱり・・・」
グラッド
「ありがとな、リシェル
だけど、しょげる必要なんてないんだぜ?
俺が志願する赴任先は国境警備隊の「紫電」なんだからな
休暇になれば、すぐ会いにだって来られる それに・・・
たとえ、それ以外の場所に飛ばされたって 必ず、顔は出すさ」
ライ
「オレの料理を食べに・・・だろ?」
グラッド
「ああ、そうとも 軍の食事は味気ないものばかりだからな
お前の料理が恋しくなるに決まってる うん、間違いない!」
リシェル
「あははっ、それってば力説するようなこと?」
(鐘の音)
グラッド
「おっと・・・ そろそろ、任務に戻らないとな」
ルシアン
「お仕事がんばってね グラッドさん」
リシェル
「いってらっしゃい!」
グラッド
「ああ、行ってくる!」
俺は俺の夢を絶対叶えてみせるよ
お前たちが夢を叶えるための未来を守っていくことができるように

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