みずき様
第3話 ドキドキ、はじめての御使い
- ルシアン
- 「ありがとう ライさん
リビエルちゃんのこと 連れ戻してくれて」 - ライ
- 「別に、お前が礼を言うことじゃねえだろ
あのままじゃ、オレが気分悪かったからそうしたんだし」 - ルシアン
- 「それでも、お礼が言いたかったんだよ」
- ライ
- 「・・・ま、いいけどよ」
- ルシアン
- 「ライさんはお父さんが関わってるからって言ったけど
僕は知ってるよ そうじゃなくたってライさんは
リビエルちゃんのこと きっと助けてくれたって」 - ライ
- 「・・・・・」
- ルシアン
- 「だって、優しいもん」
- (ポカッ)
- ルシアン
- 「・・・あうっ!」
- ライ
- 「勝手に決めつけんな! ったく・・・」
- 面と向かって恥ずかしいことを言うなよな・・・
第4話 素敵な若さま、大暴走!
- ルシアン
- 「そっか・・・ セクター先生に叱られちゃったんだ
それじゃ、さすがのライさんも折れるよねえ・・・」 - ライ
- 「あの先生にだけはどうしても頭があがらねーんだよなあ
ガキの頃からさんざん怒られてる相手だしな
ま、お前だけはほめられてばかりいた気がするけどな」 - ルシアン
- 「そんなことないよ!
今だから・・・ バラすけどさ・・・
あの時、僕 影でいじめられていたんだよ
金持ちの子供がこんな貧乏塾に来るな、って」 - ライ
- 「な!?」
- ルシアン
- 「二人に話したらそのことで余計にいじめられるって
ひとりでガマンしていたんだよね
先生はそのことをちゃんとわかってて
こっそり、僕のこと勇気づけてくれてた
だから、負けずに最後まで通うことができたんだよ」 - ライ
- 「そうだったのか・・・」
- ルシアン
- 「でも、先生もこれで事情を知っちゃったんだよね・・・
巻きこまれたりしないよね?」 - ライ
- 「だ、だいじょうぶだって!」
- ルシアン
- 「でも、先生は昔のケガのせいで、歩くのもつらそうだし・・・」
- ライ
- 「その時は、オレとお前が、先生を守ればそれでいいさ!
だろ?」 - ルシアン
- 「うん・・・ そうだよね
僕たちが気をつけてあげないとね」 - ライ
- 「ああ!」
- ルシアンの心配ももっともだからな 気をつけないと
第5話 今はもう、戻れない場所
- ルシアン
- 「戻ってきてくれてよかったねアロエリさん」
- ライ
- 「わびのひとつもなしだけどね」
- ルシアン
- 「でも、そんなの別に気にならないやって思ってるでしょ?」
- ライ
- 「まあ、な」
- ルシアン
- 「きっと、あの人はものすごく真面目なんだろうね
だから、守護竜さんや隠れ里を守れなかったことに責任を感じて
そのぶん、必死にあの子を守ろうとしてるんだって思うよ」 - ライ
- 「けど、いくら必死になったって、空回りじゃ意味がねえ
周りとの摩擦で火をふいて、燃えつきて消し炭になっちまう」 - ルシアン
- 「心配だよね・・・」
- ライ
- 「だいじょうぶさ 多分、な?
それがわかったからあいつは、ここに戻ってきたんだ
そうそう何度も同じバカをやらかしはしないだろうしな」 - ルシアン
- 「うん、そうだね それに・・・
そうなりかけたら今度は、僕たちが止めてあげればいい
だよね?」 - ライ
- 「ま、そーいうこった」
- そうならないのが一番なんだけどな
第6話 疑惑と不審の、黒いヤツ
- ルシアン
- 「ルヴァイドさんたちの剣さばき、やっぱりすごかったよね」
- ライ
- 「ああ、とんでもない強さだったよな
型にとらわれないのも いかにも実践的だし」 - ルシアン
- 「やっぱり、僕もそういうのを意識したほうがいいのかな
いつだって必死だから稽古してる型を出せた試しもないし・・・」 - ライ
- 「まあ、たしかに 実践じゃ型どおりにはいかねーけどさ
でも、結果的に型と同じになるってことは結構あるもんだぜ?」 - ルシアン
- 「それは、そうだけど」
- ライ
- 「変にあせらなくたって基礎の稽古は、ちゃんとお前を強くしてるさ
無駄じゃねーよ」 - ルシアン
- 「うん・・・」
- ライ
- 「納得がいかないんならアルバに色々と聞いてみたらどうだ?」
- ルシアン
- 「え?」
- ライ
- 「見習いでも、あいつは「自由騎士団」の候補生なんだしな
クソ親父の理不尽指導を受けてるオレよりも
理にかなった技術を身につけてるはずさ」 - ルシアン
- 「そうだね・・・ うん、わかったよ!」
- 年も近いし、ついでにうち解けてくれりゃあいいんだけどな
第7話 お魚たずねて、秘密基地
- ライ
- 「ルシアンとこの親父さんも、たしか機界の召喚師だったよな?」
- ルシアン
- 「うん、そうだよ だから、ねえさんも機界の召喚師なんだ
僕だけが、機界の術と相性が悪かったみたい」 - ライ
- 「それなら、同じ属性の召喚師に教わればよかったのに」
- ルシアン
- 「そういうわけにはいかないんだよ 「金の派閥」では
家ごとに、利権をめぐって対立しているような状況だからね
その家ごとの召喚術の秘伝を、他人に教えることはないんだ」 - ライ
- 「料理人が味の秘密を隠しているのと同じようなもんか?」
- ルシアン
- 「そういうこと
どうしても習いたいのなら、その家の養子になればいいんだけど
そこまでして 僕は召喚師になりたいワケじゃなかったし」 - ライ
- 「なるほどな・・・」
- ルシアン
- 「ねえさんは、きっとあんまり話してないと思うけどね
召喚師たちの世界って形式や、駆け引きとか色々大変なんだよ
もし、素質があっても 僕の性格じゃ、うまく立ち回れないと思う
そこで勝ち残ってきた父さんは、ある意味すごいって思うし
父さんを毛嫌いしてても、責任は果たしてるねえさんも
どっちも本当に強いんだって、僕は思っているんだ」 - ライ
- 「ルシアン・・・」
- 召喚師は召喚師でそれなりの苦労があるんだな・・・
第8話 流れ三味線、はぐれ弾き
- ルシアン
- 「アルバが来てくれて本当によかったよね
ポムニットさんがつかまっちゃった時 僕は取り乱すだけで
なにもできずにオロオロしていただけだったもん」 - ライ
- 「オレだって同じさ 頭の中ぐちゃぐちゃで真っ白になってた
はは、情けねーよな」 - ルシアン
- 「ライさん・・・」
- ライ
- 「けど、次からはもうあんな失敗は絶対にしねえからな?」
- ルシアン
- 「うん、そうだね あんな思いはもう絶対したくないもん
そのためにも、もっと強くならなくちゃ!
ポムニットさんもミントさんも、それにねえさんだって
どんなに勇ましくても女の人なんだもんね
男の僕が、しっかり守ってあげなくちゃ!」 - ライ
- 「おう、その意気だ!」
- 頼りにしてるぜ ルシアン?
第10話 想い、途切れることはなく
- ライ
- 「(昼間、あんなことがあったばかりだしな
今はまだ、そっとしておいてやろう・・・)」
第11話 うつろなるもの、来たりしもの
- ルシアン
- 「僕はね、先生のことすごい人だなあってずっと思ってたんだ
色んなこと知ってていつも落ち着いていて思いやりがあってさ
ライさんと同じくらいに、ずっとあこがれていたんだ
でも、それは僕が勝手に思いこんでた幻想だったんだね」 - ライ
- 「ルシアン・・・」
- ルシアン
- 「先生は完璧なんだから、間違ったりしないし取り乱したりしない
バカだよね・・・ そんなこと、絶対ありっこないのに
一人で決めつけて勝手にそう思って落ちこんで・・・」 - ライ
- 「なら、オレだってお前と同罪だよ」
- ルシアン
- 「え?」
- ライ
- 「先生だったら どんな時にだって味方になってくれる
そう思いこんで ずっと甘えてばかりいたんだからな」 - ルシアン
- 「ライさん・・・」
- ライ
- 「なあ、ルシアン 先生のあの姿を見てどう思った?」
- ルシアン
- 「こわかったよ・・・ 機械まみれの身体は不気味だと思ったし
何よりも、闘ってる先生の顔が恐ろしくてたまらなかったんだ
復讐することだけに必死な姿は、まるで鬼みたいだったし」 - ライ
- 「そうだな・・・ でも、それも先生の顔の一つなんだ
だから、こわくても目を背けちゃダメなんだとオレは思うんだよ」 - ルシアン
- 「!」
- ライ
- 「オレたちは、今まで自分に都合のいい先生の姿だけ見てたんだ
でも、これからはそれだけじゃダメだ! 先生のことを・・・
あの人を助けるにはあるがままの全てを認めなきゃダメだ!」 - ルシアン
- 「あるがまま・・・ 全てを・・・」
- ライ
- 「約束しようぜ ルシアン?
これから先、先生がどれだけ迷い続けて間違ったとしても
オレたちは、絶対に目をそらしたりしない
まっすぐに向き合って 最後には必ず、先生の目を覚まさせる!」 - ルシアン
- 「うん、約束するよ! ライさん
先生が僕たちに教えてくれた事を、今度は僕たちが伝えようよ
僕たちが過ごしてきた時間は、うつろなものじゃないって!」 - ライ
- 「ああ、そうとも!」
- それがオレたちなりの先生への恩返しになるはずなんだから!
第13話 思い願うこと、貫くこと
- ライ
- 「なあ、ルシアン ひとつ気になってたんだけどよ
お前、あの橋を壊されそうになったことに、なんで
あんなにもムキになって、怒ったりしたんだ?」 - ルシアン
- 「あ、うん・・・ だって、町のみんなが困るじゃない?」
- ライ
- 「そりゃまあ、そうだけどな」
- ルシアン
- 「それに、僕 父さんから聞いたことがあるんだよ
あの橋をかけるのには大勢の人が、たくさん苦労したんだって
そして、橋が造られたおかげで、小さな村しかなかった土地に
このトレイユの町が誕生したんだって」 - ライ
- 「へえ・・・」
- ルシアン
- 「父さんは言ってたよ 当たり前のようにそこにあるものは全部
必要とされたからこそずっとそこに在り続けられたんだって
それが人の手によって作り出されたものならなおさらだ、ってね」 - ライ
- 「あの橋も、そういうもののひとつだっていうことになるな」
- ルシアン
- 「うん、だからこそ だからこそそれを身勝手な都合で
壊そうとしてるのがどうしても、僕には許せなかったんだ」 - ライ
- 「なるほどな・・・」
- ルシアン
- 「・・・なんてね すごく偉そうなこと言っちゃったけど
本当は、もっと別の理由でイヤだったのかもしれないね」 - ライ
- 「え?」
- ルシアン
- 「この橋は、帝都へと続く、大切な道だから・・・
離れて暮らしてる母さんのいる帝都に続く道だから」 - ライ
- 「(そういや、こいつら 家の事情で・・・
母さんと離れ離れに、暮らしていたんだっけか・・・)」 - ルシアン
- 「滅多に会うことができなくても、この橋のずっと先には
母さんがいる そう思って、ずっと過ごしてきたから
そのつながりを壊されるみたいで我慢できなかった
ははっ、それだけのことかもしれないね」 - ライ
- 「ルシアン・・・」
- ルシアン
- 「情けないかな?」
- ライ
- 「いや、そんなこと全然ねえよ
絶対に、な・・・」 - 母さん、か・・・
第14話 来訪者たち、彼方より
- ライ
- 「結局、ギアンは エニシアをだまして利用していたんだな」
- ルシアン
- 「そう、なのかな?」
- ライ
- 「なんだよ、ルシアン 納得いかない顔して
どう見ても、悪いのはギアンのヤツだろうが」 - ルシアン
- 「それはわかってるよ ウソをついていたのは本当のことだし
でも僕は、彼女がだまされていたことに気づいていたような
そんな気がするんだ」 - ライ
- 「おいおい、おかしなことを言うなって
だまされてるって気づけば、誰だって怒るに・・・」 - ルシアン
- 「わかってても、それができずにいる人だっているんだよ?
ライさんや ねえさんみたいに、思っていることを
はっきりと言う勇気が出せずにいる人だっているんだよ?」 - ライ
- 「エニシアも そうだっていうのか?」
- ルシアン
- 「彼女は、疑うことがこわかったんだと思う
その相手が、自分にとって大事な人ならなおさらだよ
疑うことで、その人が自分から離れていってしまったら・・・
そんなのって つらすぎるもの」 - ライ
- 「かもな・・・
けど、エニシアは 自分から、それを確かめにやって来た
オマエの言ったことが 当っているとしたら
ものすごく、勇気がいることだったのかもしれないな」 - ルシアン
- 「うん、すごいって思う 本当に・・・」
- なんとかして 報いてあげたいよな 彼女の勇気に・・・
第16話 相談イベント
第18話 はばたき、空へと突き抜けて
- ルシアン
- 「でも、びっくりしたよ 小石が当たる音がして窓の外をのぞいたら
ライさんが 手をふってるんだもん」 - ライ
- 「悪いな・・・ 無理につきあわせてよ」
- ルシアン
- 「ううん・・・ 僕も眠れずにいたから気にしなくていいよ
ライさん みたいに、平然としてられたらいいのにね」 - ライ
- 「そうでもねーよ・・・」
- ルシアン
- 「え?」
- ライ
- 「オレだって、やっぱ びびってるって
なんせ、竜になろうとしてるような相手と戦うんだからな」 - ルシアン
- 「そうなんだ・・・」
- ライ
- 「オマエは、やたらオレのことすごいってほめてくれるけどさ
結構、はったりだけで乗り切ってるんだぜ? これでもさ・・・」 - ルシアン
- 「だとしても、やっぱりライさんは すごいって思うよ
本当に弱い人は 自分からそういうこと言ったりしないもの」 - ライ
- 「たははは・・・」
- ルシアン
- 「僕はね・・・ 弱い自分が、イヤでたまらなかったんだ
ううん、弱いって認めてしまうことができなかったんだよ」 - ライ
- 「・・・・・・」
- ルシアン
- 「強い人は、そんなこと思いもしないんだってずっと思ってた
自分の弱さを認めずにいるから、強いんだと思っていたんだよ」 - ライ
- 「ルシアン・・・」
- ルシアン
- 「でも、違っていたんだね
弱さと向きあわなきゃ 強くなんかなれない
だって、弱い部分もおぎなっていく気持ちが強さなんだから
武術や召喚術や 生まれもった能力は強さではあるけど
強いってことは また違うものなんだと僕は思ってるんだ
うまく言えないけど 僕がほしかった強さはそういうもので
それを、きっと ライさんは もってるんだと思う
僕がライさんに憧れていた理由は、きっとそこにあったんだよ」 - ライ
- 「そっか・・・」
- ルシアン
- 「ライさんは 強いよ
当たり前のように自分では思ってるかもしれないけど
いつも強く生きてる 他人に曲げられずに自分を貫いてる
僕も、そんなふうに生きてみたいんだ」 - ライ
- 「わりと、しんどいぜ?」
- ルシアン
- 「覚悟はしてるよ それに・・・
かなえたい夢だってできたから、きっとがんばれると思う」 - ライ
- 「夢?」
- ルシアン
- 「うん、僕は将来 自由騎士になりたい」
- ライ
- 「そいつはまた・・・ 思いきった夢だよな
親父さんが聞いたら血相変えちまうぞ?」 - ルシアン
- 「ちゃんと話しあって許してもらうよ
どうしてもダメなら 家を飛び出しちゃうかもしれないけどね」 - ライ
- 「そういうトコまで 真似すんなって」
- ルシアン
- 「うん、だけど そのくらい本気で考えてるんだよ
この戦いの中で見てきたことを、無駄にしたくないんだ
この世界の法律では守ってはもらえないはぐれ召喚獣たちや
本当に助けを必要としてる人たちの力になってあげたい
強く生きられるよう 一緒に、がんばっていきたいんだ」 - ライ
- 「いいんじゃないか? オレは応援するぜ」
- ルシアン
- 「ライさん・・・」
- ライ
- 「よっしゃ、オマエの夢のためにも、明日は絶対に勝とうぜ!」
- ルシアン
- 「うん、みんなが笑顔で暮らせるようにね!」
エンディング
- ルシアン
- 「ありがとうございます また、お越しください」
- ライ
- 「ギネマ鳥のオムレツにソレルクの甘辛煮込みあがったぜ!」
- リシェル
- 「はいはい、了解! お次は海賊風焼き飯ふたつ、よろしく!」
- ミルリーフ
- 「果物畑のパンケーキ 盛り付けできたよ」
- ライ
- 「上出来、上出来 仕上げもできるか?」
- ミルリーフ
- 「クリームとチョコを半分ずつに、ナッツを散らすんだったよね
まかせてっ♪」 - ライ&リシェル
- 「つ・・・っ つかれたあぁ・・・っ」
- ルシアン
- 「二人とも、ほんとにおつかれさま」
- ライ
- 「おう、ルシアンもおつかれさん
ミルリーフもな?」 - ミルリーフ
- 「えへへっ♪」
- リシェル
- 「にしても、最近のお昼時って、戦場そのものよねえ
ちょっと前まではお客が列を作るなんてありえなかったもん」 - ルシアン
- 「それはそうだよ! なんたって、今のライさんは
「ミュランスの星」が認めた、帝国最年少の有名料理人だもの
噂を聞いて、遠くから食べに来る人たちもいるくらいなんだよ」 - リシェル
- 「有名料理人ねぇ・・・」
- ライ
- 「そんなのは、他人が勝手に騒いでるだけさ
オレはただ、ずっとこの町でうまいメシを作り続けながら
もっと、みんなに喜んでもらいたいだけ それだけでいいんだ」 - ミルリーフ
- 「それじゃ、ぐるめのオジサンとの約束はどうするの?
本格的に料理の修行にきなさいって、手紙で誘われてるでしょ?」 - ライ
- 「ジイさんには悪いけど もうしばらく、待ってもらうつもりさ
あの騒ぎで壊れた町を元どおりにするために働いてる人たちに
うまいメシを食べて もっと、がんばってもらいたいからな」 - ミルリーフ
- 「そっか・・・」
- ライ
- 「まあ、とにかく今はひと休みにしようぜ
夜になったら、また大忙しなんだからな」 - リシェル&ルシアン
- 「はーい・・・」
- ルシアン
- 「せりゃあぁぁっ!!」
- ライ
- 「よし、ここまでだ!」
- ルシアン
- 「手合わせ、ありがとうございました!
ごめんね、せっかくの休憩時間だったのに」 - ライ
- 「誘ったのはオレだぜ 気にすんなって
それに、最近は 剣より包丁ばっかり振るってるし
たまには、こうしてカンを取り戻しておかなきゃな」 - ルシアン
- 「だけど、やっぱりライさんにはかなわないなあ
久しぶりだってのに 結局、また一本もとれなかったし」 - ライ
- 「そうでもないぜ? 充分、ひやひやさせられたしな」
- ルシアン
- 「ホントに?」
- ライ
- 「ああ、この調子で修行を積まれたら 次あたりには
マジで、一本とられちまうかもな?」 - ルシアン
- 「よーし・・・」
- ライ
- 「ま、そうならないためにも、オレも稽古を再開するさ
簡単にやられたら シャクだしな?」 - ルシアン
- 「だったら、僕はそれよりもっと練習をして
強くなるだけさ」 - ライ
- 「お、言いやがったな コイツめ!」
- ルシアン
- 「あはははははっ!」
- ライ
- 「さて、汗を流したら 飲み物でひと息いれようぜ
リシェルたちが買い物から戻ったら すぐ仕込みだしな」 - ルシアン
- 「うん!」
- テイラー
- 「おい、本当に最後まで顔も見せずに行くつもりなのか?」
- ケンタロウ
- 「ああ、親がなくとも子は育つ、ってな
アイツも、想像以上にいっちょまえに育ってやがったからなあ
オレ様がいなくたってなにも問題はねーさ」 - テイラー
- 「だが、いくらなんでも薄情すぎやしないか?
次はいつ、戻ってこられるかも知れんというのに・・・」 - ケンタロウ
- 「約束がよ、いまだに守れてねーんだよなあ
エリカの病気を治して 家族みんな、揃って一緒に暮らしていく
その方法を見つけるまでは、オレ様は帰れねえんだわ」 - テイラー
- 「だが・・・」
- ケンタロウ
- 「バカとかクソとかロクデナシってのは慣れちまったけどよ
ウソつき、って呼ばれるのだけはカンベンだからな」 - テイラー
- 「そうか・・・」
- ケンタロウ
- 「つーわけだからよ 悪いが、もうすこし世話を頼むわな」
- テイラー
- 「ふん、言われずともわかっておるわ
あの人の居場所は二度と、誰にも荒らさせはせんよ
だから、とっとと約束を果たして戻ってこい!!」 - ケンタロウ
- 「おうよッ!」
- ライ
- 「けど、ちょっと前じゃ想像もできなかったぜ
ミルリーフとリシェルだけで散歩しがてら
買い物にいかせても 安心して、待っていられるなんてな」 - ルシアン
- 「それだけ、平和になったってことだね
亜人たちが、無事にメイトルパへと帰ることができて
役目を終えた「船」が また「隠れ里」として活動をはじめて
あれから、もう半月も経ったんだね」 - ライ
- 「ああ、早いもんだな
まあ、ミルリーフは 結局、こちらに入りびたりだから
リビエルあたりは しょっちゅう文句言ってくるけどな」 - ルシアン
- 「あはは、大変だ」
- ライ
- 「でも、当分はまあ 好きにさせてやるつもりだよ
あいつは、駆け足で子供から大人になっちまったんだ
本人も納得してるし 仕方のないことなんだろうけどな
もっといろいろ 子供らしい遊びをさせてやったり
楽しい思い出とか作ってやりたいんだ」 - ルシアン
- 「そうだね・・・
ラウスブルグでは あの子は、守護竜でいなくちゃならない
でも、ここでなら そんな肩書きなんて考えなくてもいい
ライさんや僕たちが、甘えさせてあげられるもんね」 - ライ
- 「いつかは、アイツも守護竜として独り立ちしていくことになる
別れの時、お互いが笑顔でいられるように
めいっぱい、今を楽しまなくちゃな」 - ルシアン
- 「うん・・・ 似たようなこと 僕も最近、考えてる
いずれは、この町とお別れしなくちゃならないからね」 - ライ
- 「てことは・・・ 親父さんと、話がついたのか?
自由騎士団に参加するってこと」 - ルシアン
- 「ううん、まだ許してはもらっていないんだ
でも、僕も絶対譲るつもりはないからね
アルバとの約束も守りたいし・・・」 - ライ
- 「もしかして、オマエ ホントに家出とか考えてたり・・・」
- ルシアン
- 「しないよ、そんなの だって、それって逃げるみたいだし
結論からいうとね お互いに妥協することになったんだ
とりあえず、僕は軍学校に進学するよ ちゃんと卒業して
それから、改めてその先のことは決める、ってね」 - ライ
- 「そっか・・・」
- ルシアン
- 「父さんは言うんだ 夢や理想を追うのは素晴らしいけど
現実と戦いながら それを勝ちとるのは難しいんだって
自分も、そうした苦い思いを味わってきたって・・・」 - ライ
- 「・・・・・・」
- ルシアン
- 「軍学校で学びながら もう一度、確かめてみようと思うんだ
この気持ちが、現実に負けないくらい、強いものなのかどうか」 - ライ
- 「やっぱさ・・・ オマエ、ものすごく強くなったよ」
- ルシアン
- 「そうかな???」
- ライ
- 「ああ、このオレが保証してやるよ
がんばれよ、ルシアン 応援してるからな?」 - ルシアン
- 「・・・うんっ」
- ミルリーフ
- 「たっだいまーっ♪」
- ライ
- 「お!ご苦労さん! 運ぶの手伝うから ちょっと待ってろよ
さて、と・・・ 行くか、ルシアン?」 - ルシアン
- 「うん、はりきってがんばろう!」
- 僕が強くなれたのはね きっと、すぐ近くで貴方を見てきたからだと思うんだ
ありがとう、ライさん そして、これからもよろしくね
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