我が身、朽ち果てる日まで

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不断様
我が身、朽ち果てる日まで ~Ironlike Proffession~
(ガチャッ!)
セクター
「・・・・・・
・・・・・・
アクチュエーターの交換用チューブもこいつで最後か
動力炉の耐久値も限界寸前、全力で戦闘を行ったなら
今度こそ、爆散してしまいかねない、か
いいさ・・・
どのみち、この身体には、未来など意味のないものなのだから」
フェア
「そんなことないよ!
先生にはそうでもわたしたちには大切なことだよ
わたしたち、まだ先生には側にいてほしいんだもの」
セクター
「フェアくん・・」
フェア
「ダメもとで様子を見に来てよかったよ
なんとか、手遅れになる前につかまえることができたもの」
セクター
「手遅れだよ すでに、ね
復讐を遂げようと 志半ばで倒れようと 次の戦いで確実に
私の機能は停止する そう、死ぬことになる
これはもう、けして避けられない運命だ」
フェア
「そんなことないよ!
戦いをやめればいい そしたら、先生は死なずにすむもの」
セクター
「バカなことを・・・」
フェア
「バカはどっちよ!?
死ぬのがわかってて それでも、戦おうとするなんて・・・
死にたいって言ってるのと同じじゃない!?」
セクター
「そうとも・・・ 私は死にたいんだよ
機械の体となってよみがえった時からずっと、ね・・・」
フェア
「!?」
セクター
「私は、帝国軍の諜報部に属する軍人だったのだ」
フェア
「諜報部?」
セクター
「他国での情報収集や流言の操作、果ては強奪や暗殺・・・
表沙汰にはできない国の汚い仕事を担う特殊な軍人だよ」
フェア
「・・・っ」
セクター
「当然、危険も大きい 私もまた、任務の際 瀕死の重傷を負い
軍籍に名も残されるまま、死んでゆくはずだった・・・
しかし、私には死による安息は与えられなかった
学究都市ベルゼンの実験施設に強化兵士の実験体として運ばれ
融機式の強化兵士として、改造されてしまったんだ」
フェア
「それを行ったのが あの、教授・・・」
セクター
「強化兵士となった私は もはや、人間ではなく兵器として扱われた
それは耐え難い日々の連続だったよ・・・
本来ならば、消されるはずの自我を、なぜか私は保っていた
プロテクトにより外部へと意志を示すことはできなかったけれど
心の奥底で、私は苦痛の悲鳴をあげ続けていたんだ
事故でプロテクトが破壊された、あの日までね・・・」
フェア
「事故?」
セクター
「詳細は知らない ただ、私が知っているのは
数体の強化兵士が暴走して、施設を破壊したことと
混乱に乗じて施設を脱走した者が二人存在したこと
一人は私、そしてもう一人が・・・」
ゲック
「左様、わしじゃよ」
フェア
「教授!?」
セクター
「貴様、どうしてここに・・・」
ローレット
「教授の手がけた機体には全て、固有の認識コードが存在します
その気になれば 貴方の居場所など簡単にわかりますわ」
セクター
「く・・・ッ!」
ローレット
「妙な気を起こすのはおやめなさいな!!
今の貴方の反応速度では、確実に私の弾はよけられなくてよ!」
セクター
「かまわんさ・・・」
ローレット
「な!?」
セクター
「命など惜しくない 遠からず、失ってしまうのだからな
本当に恐ろしいのは 私が私である意味を見失うことだ
偽りの日々の中で うつろなまま、朽ち果てるのならば
俺は俺の意志を貫く! それが破滅へと続く道であろうとも
全て、俺が決めるッ! これ以上は、誰にも翻弄させないッ!!」
フェア
「先生・・・」
ゲック
「己の死に方は己自身で選ぶ そうすることで
己の生を意味づけて満足するつもりか?」
セクター
「・・・・・・」
ゲック
「虚しいものだな」
セクター
「貴様に言われる筋合いはない」
ゲック
「・・・あるとも
わしもまた、貴様と似た過ちを犯そうとしたのじゃからな」
セクター
「な!?」
ゲック
「ゆえに、わしはおぬしの考えを否定しようとは思わん
復讐がしたいなら この命、くれてやっても構わぬ
それだけのことをわしはしたのだからな」
ローレット
「教授・・・」
ゲック
「じゃが、その前に どうしてもひとつ
やっておかねばならぬことがある
そのために、わしは城を抜けだして来たのじゃからな」
フェア
「なんなのよ、そのやっておかなきゃならないことって」
ゲック
「特殊披験体V-118融機強化式特務兵士セクターよ・・・
おぬしの修復だ」
フェア
「!?」
セクター
「バカな!? そんな戯れ言、どう信じろと言うんだッ!?
自分をつけ狙う相手の命を、わざわざ救いにくるなんて・・・
正気とは思えん!!」
ゲック
「そうとも、わしはとうの昔からすでに正常ではないのだよ
それは貴様が誰より身にしみて知ってることではないのか?」
セクター
「・・・っ」
ゲック
「ローレットの言ったとおり、今の状況でおぬしの勝ちはない
本懐を遂げたいのなら あえて、この狂人にだまされてみぬか?」
セクター
「・・・・・・」
フェア
「教授の言葉、信じてみようよ、先生?」
セクター
「フェアくん・・・」
フェア
「先生のことが邪魔で始末したいって思ってるだけなら
わざわざ、この人が出向く必要なんてない そうでしょ?
やりようは、他にいくらでもあるもの」
ゲック
「よいのか、娘? もしかすると、わしはこの男に手を加えて
貴様たちを攻撃する手駒に変えるのかもしれんのだぞ?」
フェア
「そう思ってるんならわざわざ、そんなこといわないわよね?
それにもし、あなたがそんな真似をしたらその時は・・・
先生だけじゃなくてわたしが、絶対に承知しないから」
ゲック
「くくく・・・っ くはははははははっ
本当に愉快な娘よ 単純明快、極まりない」
フェア
「悪かったわね・・・」
ゲック
「さあ、どうする?」
セクター
「受けよう・・・ だが、貴様を信じたわけではない
教え子の言葉を信じる それだけのことだ」
ゲック
「構わぬさ、それでも」
(カチャカチャ)
セクター
「・・・・・・」
ゲック
「よく修理してあるが やはり、素人の手によるものじゃな
稼働し続けていたこと自体が奇跡 いや・・・
ひとえに、こやつの生きることへの執念によるものか・・・」
フェア
「でも、先生は死ぬことはこわくないって・・・」
ゲック
「本気でそう言える人間など、どこを捜してもおらんよ
むしろ、そうした言葉を口にしようとする人間ほど
死ぬのがこわいのさ
わし自身、そうであるようにな」
フェア
「じゃあ、復讐されても構わないってのは」
ゲック
「こわいが、仕方がない そう思っておるだけのことじゃよ
この男の人生をねじ曲げてしまったのは、たしかに
このわしなのじゃからな」
フェア
「なんで・・・
なんで、先生にこんなことしたりしたの?」
ゲック
「死なせたくなかった それだけのことさ」
フェア
「え?」
ゲック
「戯言と思って聞き流しても一向に構わん
強化兵士の実験に夢中だったわしはあるきっかけから
己のしてきたことの異常さへと気づいた
じゃが、後悔して悔い改めるのにはあまりに遅すぎた
築きあげた実績という名の罪は、あまりにも大きく、重く・・・
逃げだすことなど夢のまた夢だとそう思っておった」
フェア
「・・・・・・」
ゲック
「良心の呵責に苦しんだわしは、せめてものつぐないとして
血塗られたその技術を失われてゆく命のため用いようとしたのだ」
フェア
「じゃあ、先生を改造したのも・・・」
ゲック
「今にして思えばじつに身勝手な自己満足じゃった
奪った生命の帳尻をあわせるためだけに強引に命を救った
機械兵士に用いられている生体部品の技術を応用して、ひそかに
消去するはずの自我をプロテクトの中へとおしこめて、な
いずれ時が来たら封印をとき、解放するそのつもりでな」
フェア
「でも・・・ 先生は、事故によって意志を取り戻した」
ゲック
「施設が襲撃されたのは予期せぬ事態じゃった
無色か、旧王国か 犯人は定かではないが
あれ以来、強化兵士の研究は滞ったままだと伝え聞いておる
局長のわしを含めた研究者の大半が生死不明となったからな」
フェア
「先生は、教授が逃げたって言ってたよ」
ゲック
「ああ、わしは逃げた 全てをかなぐり捨てて自分のためだけにな
見捨てたんじゃよ こやつや、多くの者たちをな・・・
恨まれるのが当然 そう言った理由がわかったか?」
フェア
「うん・・・」
ゲック
「許されぬことじゃ 誰より、わしが一番ようわかっておる
じゃがな・・・ それでも、見過ごすことはできぬのだ
許してもらえずとも わしは、つぐないを続けるしかない
召喚術にまつわる形で運命をねじ曲げられた多くの存在たちを
ほうってはおけぬ 欺瞞であろうともな」
フェア
「教授・・・」
ゲック
「さて、年寄りの戯れ言はしまいだ
こやつの修復も終わったからな」
セクター
「・・・・・・」
  • 仲間不参入時
    ゲック
    「内部調整が終わればやがて、自然と目を覚ますであろう
    その前に、わしは退散させてもらう
    そやつの復讐で命を奪われればすむほどわしの罪は軽くない
    最後の最後までつぐないを続けていかねばな・・・」
    フェア
    「ありがとう、教授」
    ゲック
    「礼を言われるようなことはしとらんわい」
    フェア
    「あなたにしたらそうなのかもしれないけど
    わたしからしたらお礼を言わずにはいられないよ
    わたしたちの先生を助けてくれたんだもの」
    ゲック
    「ふん・・・ なんにせよ、昨日は完全に復調させた
    復讐を続けるにせよ あきらめて、静かに暮らすにせよ
    好きにすればいい そう伝えておけ」
    フェア
    「うん・・・」
    ゲック
    「引きあげじゃ ローレット」
    ローレット
    「教授の仰せのままに」
  • 仲間参入時
    セクター
    「どうやら・・・ 申し出は、嘘ではなかったらしいな」
    ローレット
    「当たり前ですわよ 教授は、嘘なんかつきません!」
    セクター
    「ならば・・・
    約束どおり、ここで貴様を殺しても問題ないということだ」
    ゲック
    「・・・・・・」
    フェア
    「やめてよ、先生!? いくらなんだってそれはないわよ
    教授は、先生を助けてくれたんだよ!?」
    ゲック
    「下がっておれ、娘よ」
    フェア
    「だけど・・・」
    ゲック
    「下がれッ!!」
    セクター
    「いい覚悟だ・・・」
    ローレット
    「させませんわ!!」
    セクター
    「さっきの言葉をそのまま返すぞ 妙な気は起こすな
    後づけで戦闘能力を与えられた貴様と兵器であるこの俺
    万全の状態で戦えば結果がどうなるかは予測できるだろう」
    ローレット
    「たとえ破壊されてもここは引きませんわ」
    ゲック
    「よせ、ローレット」
    ローレット
    「お叱りを受けようと こればかりはけしてゆずれません!!
    アプセットもミリネージもグランバルドも
    教授を守るために全力を尽くしました
    長女である私がそれに習うのは当然のこと!」
    ゲック
    「ローレット・・・」
    ローレット
    「貴方にとっては教授は復讐すべき相手なのかもしれない
    けれど、捨てられたスクラップから命をもらった私たちには
    教授は親も同然 なによりも大切な守るべき存在です!」
    セクター
    「!」
    フェア
    「先生と同じだよ その子も・・・
    自分の意志を貫くために、命なんて惜しくないって
    そうやって、必死に強がってるんだよ」
    ローレット
    「・・・っ」
    セクター
    「強がり、か・・・
    銃をおろせ ローレット
    今は、貴様に免じてそいつを殺すのはやめにしておく」
    ローレット
    「あ・・・っ」
    フェア
    「わ、わわっ!? しっかりしてよっ!」
    セクター
    「こうなることは充分予測できたはずだ
    にも関わらず、なぜ馬鹿正直に、貴様は俺を修復したんだ?
    自分の命を狙う者につぐないをする必要などなかろうに」
    ゲック
    「聞いておったのなら説明も必要あるまい
    つぐないは、わしの自己満足でしかない それだけのこと
    復讐をするしないとは それはまた別の話よ」
    セクター
    「・・・・・・」
    ゲック
    「どいつもこいつも 世話の焼ける子供ばかりよ・・・
    ほれ、ローレット しゃきっとせい? ひきあげじゃ!」
    ローレット
    「あ、はい・・・」
    (バシュウゥ・・!)
    セクター
    「君が言ったとおりかもしれないな」
    フェア
    「え?」
    セクター
    「私はただ、確実に近づいてくる死に抗うためだけに
    強がりを続けていただけかもしれない
    復讐という大義名分に逃げることによって」
    フェア
    「それじゃあ・・・」
    セクター
    「許すことはできない 簡単に恨みを捨てることなどできない
    だが、そうした感情に翻弄されて、刹那的に生きていくことは
    もう、終わりにする それだけは約束するよ
    うつろな心を満たすものは、憎しみである必要はないのだと
    そう教えてくれた君たちのためにも」
    フェア
    「セクター先生・・・」
    セクター
    「私の助けが必要な時はいつでも声をかけてくれればいい
    忌まわしいこの身体が大切なものを守るため役立つというのならば
    これほど、うれしいことはないのだから」
    フェア
    「・・・うんっ!」
    セクターが仲間に加わった!

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