紫蘭様/Sin様
第3話 ドキドキ、はじめての御使い
- リビエル
- 「こちらの方角に逃げてくることになったのは
御子さまのタマゴを追いかけたからなんですけれど
なぜ、こちらに向けて逃がしたかについては考えてませんでした
でも、なにやら聞きかじった話から推測すると・・・」 - ライ
- 「意図的っぽいよな しかも、クソ親父の悪意ばりばりの」
- リビエル
- 「そ、それはともかく
方角が定まっている以上 他の御使いたちも御使いたちも
タマゴを追いかけてじきに、集まってくるはずですわ」 - ライ
- 「なら、それまではお前たちのことを守ってやるよ
それでいいんだろ?」 - リビエル
- 「不本意ですけれど まあ、そういうことになりますわね
頼りにしてますわよ? い・ち・お・う・は」 - ライ
- 「ったく・・・ それが、人にものを頼む態度かよ?」
- リビエル
- 「あら、お望みでしたら
思いっきり、かわいくお願いしてあげたって構いませんわよ?」 - ライ
- 「う・・・」
- それはそれで なんか、見たくない気がする・・・
第4話 素敵な若さま、大暴走!
- リビエル
- 「貴方が、怒って飛び出していった時
正直、やっぱりって思いましたわ
人間と召喚獣が仲良くやっていくのは無理なんだって」 - ライ
- 「悪りぃ・・・」
- リビエル
- 「謝ることないですわ だって、当たり前ですもの
それが可能ならば 私たちが隠れ里を作って
こそこそと暮らす必要もないでしょう」 - ライ
- 「・・・・・」
- リビエル
- 「だけど・・・ 貴方は戻ってきた
御子さまの非を責めることよりも、まず先に自分の非を認めた
ちょっとだけ感心しましたわ」 - ライ
- 「え?」
- リビエル
- 「人間を信用する気にはやっぱりなれないけど
貴方個人と、その友人たちに限ってならば信用してもいい
それが、私の出した結論ですわ
あ・く・ま・で! 当座の仮決定にして猶予処分ですけど!」 - ライ
- 「あ、ははは・・・」
- ま、すこしは信頼してもらえたってことだよな???
第5話 今はもう、戻れない場所
- リビエル
- 「それにしても 戦いの中のどさくさであったとはいえ・・・
ずいぶんとまあ 偉そうに、御子さまに命令したものね?」 - ライ
- 「う・・・っ」
- リビエル
- 「まあ、結果としてアロエリはそれで命を救われたのですから
今回のところは不問としてさしあげましょう」 - ライ
- 「お、おう・・・」
- リビエル
- 「でも、不思議ですわね
私たちの見積もりでは 御子さまが力を完全に使いこなすためには
今しばらくの時が必要だったはずなのに」 - ライ
- 「そうなのか?」
- リビエル
- 「ええ、そうですとも
でなければ、いくらアロエリが先走ったところで
強引に御子さまを連れて行けるはずないですもの
非常に不可解ですわ」 - ライ
- 「うーん、てことは いわゆるアレかな?
オレたちの信頼関係が奇跡を起こした、とか」 - リビエル
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「・・・・・・」
- リビエル
- 「それはそれで非常に不愉快ですわ」
- ライ
- 「ぐうぅ・・・っ」
- ま、実際のところは運が良かっただけってことなんだろうな
第6話 疑惑と不審の、黒いヤツ
- リビエル
- 「不愉快ですわ・・・
手が届かない位置の背中がかゆいくらいに不愉快ですわ!」 - ライ
- 「なにが、そんなに不愉快なんだよ?」
- リビエル
- 「あの少年剣士の治療ができなかったことに決まっています!」
- ライ
- 「でも、セイロンがきちんと説明してただろ?
自然治癒させたほうが剣士のアルバにとっていいんだって」 - リビエル
- 「それはわかっていますわ でも・・・
なんだか、私の治癒の奇跡の力が弱いって否定されたみたいで
不愉快なんですっ!」 - ライ
- 「考えすぎだって
実際、オレたちは何度も、リビエルにケガを治してもらってるし」 - リビエル
- 「それはまあ・・・ 事実ですけど・・・」
- ライ
- 「けど、なんでそこまでムキになるんだ?」
- リビエル
- 「・・・認められたいの」
- ライ
- 「え?」
- リビエル
- 「本当はね、私はまだ御使いとして正式には認められていないの
御子さまが成竜として独り立ちされるまでにもっと力をつけたら
その時、正式な御使いとなるはずだったの
だけど、こんな事態になったから・・・」 - ライ
- 「そうだったのか」
- リビエル
- 「自分が未熟なことはよく承知していますわ
けど、こんな時だから一日でも早く、立派な御使いになりたいの
ううん、ならなくちゃいけないんですの!」 - ライ
- 「リビエル・・・」
- だから、こいつは必死で背伸びしようとしてるんだな・・・
第7話 お魚たずねて、秘密基地
- リビエル
- 「ミリネージのやつ 思い出しても、まだムカムカしますわ!」
- ライ
- 「なんか、あいつは他の機械人形と雰囲気違ってたよな・・・
芝居がかかってるっていうか、どこか毒があるっていうか」 - リビエル
- 「鋭いですわね
あの機械人形三姉妹は本来、演劇のための機械人形らしいの」 - ライ
- 「そうなのか!?」
- リビエル
- 「ええ、そうよ 搭載してる武装は全部 後づけのものなの
だから身体のパーツ構成が不自然でしょう?」 - ライ
- 「たしかに・・・」
- リビエル
- 「教授がスクラップから修復をしたというなら納得はできますわ」
- ライ
- 「だから、手が武器だったり、話し方が変だったりするのか」
- リビエル
- 「そういうことですわね
末娘のミリネージは表情だけなら、一番豊かなんですけど
性格的には一番ダメダメですわね」 - ライ
- 「でも、笑わせる感覚は人間にものすごく近いものがあったよな
デコ天使・・・っ ぷ、くくくく・・っ」 - リビエル
- 「失礼ですわよぉっ!? むきいぃぃーっ!!」
- わ、悪かったって! だから、噛みつくのはやめてくれぇ~っ!?
第8話 流れ三味線、はぐれ弾き
- ライ
- 「暗殺者か・・・
あいつらは、なんかオッサンとは仲が悪いみたいだったけど?」 - リビエル
- 「それはそうですわ
暗殺者は敵の元締めであるクラストフ直属の兵隊なんですもの
「剣の軍団」や「鋼の軍団」とは指揮系統が違うの」 - ライ
- 「それで、あんな卑怯な真似をしたのか・・・」
- リビエル
- 「それは思い違いね」
- ライ
- 「え?」
- リビエル
- 「「将軍」や「教授」のやり方のほうが例外なんですのよ
あの暗殺者たちこそが本来の敵の姿だって考えるべきなの」 - ライ
- 「!」
- リビエル
- 「まあ、勘違いも仕方がないとは思いますわ
貴方たちは「ラウスブルグ」での戦いを知らないもの
あいつらの狡猾で卑劣なやり口をね」 - ライ
- 「・・・っ」
- リビエル
- 「ごめんなさい おどかすつもりじゃなかったんですけど」
- ライ
- 「かまわねーよ むしろ、きちんと知っておかなきゃ
いざって時に立ち向かえなくなっちまうしさ」 - リビエル
- 「・・・ですわね
ついでにもうひとつ話しておきますわ
さっきの戦いの時 一瞬だけ、悪魔の気配を感じたの」 - ライ
- 「悪魔?」
- リビエル
- 「私の勘違いかもしれないですけど
用心に越したことはないと思いますわ」 - ライ
- 「ったく・・・ 次から次へとまあやってくれるぜ
だからって、オレは簡単にあきらめたりしねえけどなっ!!
あーっはっはっは!
はぁ・・・っ」 - リビエル
- 「カラ元気もそこまでいったら立派ですわよ
ま、それが貴方の取り柄みたいなものなんですけど・・・」 - こうなったら やれるとこまでやるだけだっ!!
第10話 想い、途切れることはなく
- リビエル
- 「私たち天使にとって悪魔は天敵ですわ」
- ライ
- 「!」
- リビエル
- 「けっして相容れない 互いの存在を賭けて滅ぼしあう宿敵
それが、霊界における絶対の摂理・・・」 - ライ
- 「リビエル・・・ まさか、おまえ!?」
- リビエル
- 「でも、これは相手が「悪魔」の場合のお話ですわ
「半魔」についてはあてはまらないの
・・・安心しました?」 - ライ
- 「お、おどかすなよな?」
- リビエル
- 「彼女のことをどうこうするつもりは私にはありませんわ
周りに害を与えているわけでもないですし
でも、天使の全てが私と同じ判断をするわけではないの
悪魔に関わるものは全て滅ぼすべきだと考える天使もいます
人間の世であってもおそらく、それは同じことでしょう
だからこそ、彼女は必死に素性を隠していたのでしょうね」 - ライ
- 「なるほどな」
- リビエル
- 「それに・・・ 「半魔」の大半はむしろ被害者だから」
- ライ
- 「え?」
- リビエル
- 「望まれて授かった者は多くはない
あとは、言わずとも察してください」 - ・・・・・・
第11話 うつろなるもの、来たりしもの
- ライ
- 「さっきは、どうしてあんな無茶をしたんだ?」
- リビエル
- 「だって、あいつはっ! あいつが、なにもかもの原因なんだもの!
なのに、見逃すなんてこと、どうしても我慢できなくて・・・」 - ライ
- 「お前の言いたいことも まあ、わかるつもりさ
けどな、もしもあいつが本気で報復をしていたとしたら
こうして、ここで話すこともできなくなってたかもしれねえぞ?」 - リビエル
- 「う・・・
ごめんなさい・・・」 - ライ
- 「まあ、いいさ 次から気をつけてくれればよ
それよりも、問題はアイツが反撃に使った不思議な光のことだ
なにか、心当たりはないのかよ?」 - リビエル
- 「残念ですけど、説明しようがないですわ
放たれた召喚術を受け止めるのではなく それ以前の段階で
召喚獣もろとも消去してしまうなんてことあり得ないですもの」 - ライ
- 「だよな」
- リビエル
- 「ただ、もしかしたらですけれど・・・
あれは「送還術」と呼ばれてたものかも知れない・・・」 - ライ
- 「「送還術」???」
- リビエル
- 「貴方が知らないのも無理ありませんわね
「送還術」はもともと「召喚術」の原型となった古い術で
「召喚術」の体系にとりこまれることで失われてしまったの」 - ライ
- 「へえ・・・」
- リビエル
- 「正式な術法も謎のまま だから、あくまで私の想像でしかないのよ」
- ライ
- 「「ラウスブルグ」とかと同じ、古き秘術のひとつってことか?」
- リビエル
- 「そう考えても、間違いではないですわね
先代さまの知識を紐解ければ、はっきりするのでしょうけど」 - ライ
- 「現実問題として、まず不可能だろうなあ」
- リビエル
- 「そういうことですわね」
- 対処のしようがない以上、用心するしかねえってことか
第13話 思い願うこと、貫くこと
選択不可
第14話 来訪者たち、彼方より
- リビエル
- 「まさか、ギアンが幽角獣の「響界種」だったなんて
上が大火事で下が大水なくらい驚きましたわよ」 - ライ
- 「それなんだけどさ やっぱ、とてつもなく大変なことなのか?」
- リビエル
- 「んもぉ・・・っ 当たり前でしょう!?
聖獣の、それもよりにもよって幽角獣の力なんですのよ!」 - ライ
- 「???」
- リビエル
- 「はあ、わかりましたわ わかりやすく説明してさしあげますわよ
悪魔のふりまく源罪で幻獣が変化したものが魔獣だとしたら
聖獣は、天使の祝福によって幻獣が変化した存在ですの」 - ライ
- 「それで、天使の系譜がどうのこうとか言ってたってワケか・・・」
- リビエル
- 「ええ、そうですわ
妖精、聖霊、聖獣 これらの種族はみな天使の系譜に連なり
妖霊、悪霊、魔獣 これらは悪魔の系譜に連なった存在なの
どちらでもないのが精霊ってところね」 - ライ
- 「???」
- リビエル
- 「わからない部分は聞き流していただいて結構ですわよ・・・
ともかく、聖獣は天使に近しい能力をもっているの
中でも、幽角獣は強力な癒しの奇跡を用いることができる
完全に命の火が消えぬ限りは、どんなケガも病気も癒してしまう」 - ライ
- 「それって、つまり不死身だってことじゃないのかよ!?」
- リビエル
- 「やっと、事の重大さがわかったようですわね
まあ、対抗する方法もないことはないけれど」 - ライ
- 「どんな方法だ?」
- リビエル
- 「彼らの命ともいえる魔力の源である角をへし折ってしまうの
そうすれば、幽角獣は力を失い、そのまま息絶えてしまうわ」 - ライ
- 「!?」
- リビエル
- 「もっとも「響界種」のあいつに、同じ方法が通じるかどうかは
わからないですけどね」 - ライ
- 「・・・・・・」
- ギアンを倒すためには殺すしかない、ってことなのかよ・・・
第16話 相談イベント
第18話 はばたき、空へと突き抜けて
- リビエル
- 「こんなにも遅くに、いったい、どこへ行ってらしたの?」
- ライ
- 「リビエル・・・ お前こそ、なんで屋根の上なんかに?」
- リビエル
- 「月光浴ですわ
月の光はね、マナをたっぷり含んでいるの
サプレスの住人にとっては、陽の光より大切な恵みですのよ」 - ライ
- 「へえ・・・」
- リビエル
- 「明日の決戦に備えて万全の準備をするのは当然のことですわ
・・・って、質問をしたのは、私のほうなんですのよっ!?
さあ、答えなさい?」 - ライ
- 「わかった、わかった ちゃんと話すからおちつけって
寝てるみんなが起きちまうだろ?」 - リビエル
- 「あ・・・っ」
- ライ
- 「オレの部屋まで来いよ どのみち、オマエとは話がしたかったしさ」
- リビエル
- 「え、ええ・・・」
- ライ
- 「ほれ、飲めよ あったまるぜ」
- リビエル
- 「いいにおい・・・ これって、いったいなんですの?」
- ライ
- 「オレ特製のホットチョコだよ
チョコレートをあっためたミルクで溶かしてから
バターをちょっぴり入れて、マシュマロを浮かべてみたんだ
飲んでみろよ?」 - リビエル
- 「うん・・・
おいしい・・・ これ、ものすごくおいしいですわ♪」 - ライ
- 「そりゃそーだろ なんせ、オマエの好物ばかりなんだからな」
- リビエル
- 「そういえば そうですわね
ちゃんと私の好み おぼえていてくれましたのね」 - ライ
- 「別に、オマエだけに限った話じゃねーさ
ここにいる連中の食べ物の好みは全部 頭の中に入ってるよ
台所をあずかる者として、当然のことさ」 - リビエル
- 「そうですわね・・・ 別に、特別なことじゃないですものね」
- ライ
- 「だけど、こいつはオマエのために考えた新作レシピだからな
特別といえば、まあ特別ではあるよな」 - リビエル
- 「そうなんですの!?」
- ライ
- 「甘いものに関してはオマエが一番、好みがうるさいからさ
文句が言えないもんを一度くらいは、出してやりたくってな」 - リビエル
- 「たしかに、これなら文句のつけようなんかありませんわね
美味しくて、それにあたたかくて・・・」 - ライ
- 「へへっ、その言葉が聞きたかったんだよな♪」
- リビエル
- 「だけど、貴方のおいしいお料理が食べられるのも
もうすぐ・・・ できなくなってしまいますわね」 - ライ
- 「リビエル・・・」
- リビエル
- 「さっき、貴方を呼び止めた本当の理由はね・・・
無理を承知で頼みたいことがあったからなの」 - ライ
- 「・・・言ってみろよ?」
- リビエル
- 「ライ 貴方に、御使いの一人になってほしいの
私たちの仲間として御子さまの側にいてあげてほしいの!」 - ライ
- 「・・・・・・」
- リビエル
- 「ごめんなさい・・・ 困らせるようなことを言ったりして・・・
本当はね、ちゃんとわかってるんですの
貴方が、一番 貴方らしいままでいられる場所は
私たちの側ではなく 今いる、この場所だっていうことは」 - ライ
- 「リビエル・・・」
- リビエル
- 「でも・・・ でもね・・・
このまま、お別れするのは、わたし・・・っ わたくしは・・・っ」 - ライ
- 「ったく・・・ 勝手に結論づけて泣くんじゃねーよ
二度と会えないなんて オレが、いつ言った?」 - リビエル
- 「え・・・」
- ライ
- 「話があるって言ったのは、そのことなんだよ
ラウスブルグを取り戻しても、別にオマエたちは
「船」としてじゃなく「隠れ里」として使うつもりなんだよな?」 - リビエル
- 「そのつもり・・・ですけど・・・」
- ライ
- 「よーし、なら全然問題ねーじゃんかよ
同じ世界にいるならいつだって、会いにいけるもんな♪」 - リビエル
- 「え? え・・・っ?? えええぇ~っ???
もしかして、貴方 会いに来るつもりでいたんですのっ!?」 - ライ
- 「あったり前だろーが これっきりだなんて考えたこともねーよ」
- リビエル
- 「あは、ははは・・・っ
よかった・・・っ」 - ライ
- 「戦いが終わったって オレたちのつきあいは終わらねーんだ
だから、勝手におしまいにすんなよ?」 - リビエル
- 「う、うん・・・っ」
- ライ
- 「なんだかんだ言ってオマエら、生活能力低そうだしな・・・
たまにはメシ作りにいってやらなきゃ 心配でかなわねーよ」 - リビエル
- 「あ、貴方の方こそ危なっかしくて目がはなせませんわ!?
ほっといたら、また大変なことに、首をつっこみそうですし」 - ライ
- 「その時は、オマエらに助けてくれって、相談しにいくだけさ
・・・いいよな?」 - リビエル
- 「もぉ・・・っ 仕方ありませんわねえ
た・だ・し! その時は迷わずすぐにくるんですのよ?
もし、おかしな遠慮なんかしたら・・・
生まれ変わってもまだ続くほど、お説教してあげるんだから!」 - ライ
- 「うへぇ・・・ 考えただけで、気が遠くなりそうだぜ
まあ、なんにせよ まずは勝たなくちゃな」 - リビエル
- 「ですわね・・・
頼りにしてますわよ?」 - ライ
- 「ああ、お互いにな?」
エンディング
- ルシアン
- 「ありがとうございます また、お越しください」
- ライ
- 「ギネマ鳥のオムレツにソレルクの甘辛煮込みあがったぜ!」
- リシェル
- 「はいはい、了解! お次は海賊風焼き飯ふたつ、よろしく!」
- リューム
- 「おい、イモの皮むき終わらせたぜ?」
- ライ
- 「おう、ご苦労さん。それじゃ、次は皿洗いよろしく頼むわ」
- リューム
- 「うへぇ、ホント竜使いの荒い親だな」
- ライ
- 「立ってるヤツは竜でも使うんだよ 文句あっか?」
- リューム
- 「・・・やるケドよ」
- ライ&リシェル
- 「つ・・・っ、つかれたあぁ・・・っ」
- ルシアン
- 「二人とも、ほんとにおつかれさま」
- ライ
- 「おう、ルシアンもおつかれさん」
- リューム
- 「・・・コホンッ!」
- ライ
- 「リュームもな?」
- リシェル
- 「にしても、最近のお昼時って、戦場そのものよねえ
ちょっと前まではお客が列を作るなんてありえなかったもん」 - ルシアン
- 「それはそうだよ! なんたって、今のライさんは
「ミュランスの星」が認めた、帝国最年少の有名料理人だもの
噂を聞いて、遠くから食べに来る人たちもいるくらいなんだよ」 - リシェル
- 「有名料理人ねぇ・・・」
- ライ
- 「そんなのは、他人が勝手に騒いでるだけさ
オレはただ、ずっとこの町でうまいメシを作り続けながら
もっと、みんなに喜んでもらいたいだけ それだけでいいんだ」 - リューム
- 「だからって、儲け話を片っ端から断るかよ?
帝都に店を構えるとか 宮廷のお抱えになる話だってあったのによ」 - ライ
- 「絶対、ムリ無理! ガラじゃねーって
それによ・・・母さん、ひとりぼっちにさせたくねーしな」 - リューム
- 「あ・・・」
- ライ
- 「オマエらと別れるのもつまんねーし、だからこれでいいんだよ!
まあ、とにかく今はひと休みにしようぜ
夜になったら、また大忙しなんだからな」 - リシェル&ルシアン
- 「はーい・・・」
- リビエル
- 「結構なことじゃない 閑古鳥が鳴いてるよりよっぽどいいですわ」
- ライ
- 「ちぇっ、なんだよ 他人事だと思って」
- リビエル
- 「ぼやかない ぼやかない
帳簿とにらめっこしながら、うんうんうなり続けていた
あの頃に比べたら ずっと、やりがいはあるんでしょう?」 - ライ
- 「まあ、そりゃな」
- リビエル
- 「でも、ちょっぴりさびしい気もしますわねぇ」
- ライ
- 「え?」
- リビエル
- 「貴方も、お店も有名になって 忙しくなって
素人の私たちには手伝ってあげられなくなっちゃった
ううん、それ以前に貴方のお料理を口にする機会そのものも
減っちゃって・・・」 - ライ
- 「・・・・・・」
- リビエル
- 「な、なんですの? その目は・・・」
- ライ
- 「毎日のように休憩時間を狙ってやってきては
ちゃっかりとお茶を楽しんでるお前がそれを言うか?」 - リビエル
- 「・・・うぐっ!?」
- リューム
- 「まったくだぜ! どうせなら、昼時に手伝いにこいっての」
- リビエル
- 「わ、私はですね 御使いの一人として御子さまのご様子を
うかがいにきているだけで、別に下心や他意は・・・」 - ライ&リューム
- 「・・・・・・」
- リビエル
- 「うう・・・っ ごめんなさい」
- ライ
- 「うんうん、素直に認めりゃいいんだ
けどよ、そんなにも今の「隠れ里」はヒマなのか?
セイロンも龍姫さま捜しの旅に出ちまって 当面の間は
お前とアロエリでまとめてかなくちゃならないんだろ?」 - リビエル
- 「ええ、だけど住人たちの多くはこの前の一件で
幻獣界に帰っていくことができたから
もめごともないまま いたって平和なの
人間に追われてきたはぐれ召喚獣たちを受け入れることは
たまに・・・ ありますけどね」 - ライ
- 「そっか・・・」
- リューム
- 「仕方がねえって こればっかりはさ」
- ライ
- 「結局、あの戦いが終わっても変わりはしない、か・・・」
- リビエル
- 「それは違いますわ!」
- ライ
- 「え?」
- リビエル
- 「大きな流れはたしかに、変わってないのかもしれない
でも、すくなくとも 私たちは、ちゃんと変わることができた
過ちを認めあえば歩み寄れることを証明したんだもの」 - ライ
- 「うん・・・」
- リビエル
- 「小さな一歩でしかないのかもしれない でもね・・・
結局、それを積み重ねていくことでしか
変化はないんだって 私は、そう思ってる
力ずくで強引に変えようとして歪んでしまうより
そのほうが、きっと先代さまも喜んでくれると思うから」 - リューム
- 「・・・だな?」
- ライ
- 「ああ、そうだな 世の中に向かってすねてみせたって
なんにも変わらない だったら、前向きな気持ちで・・・」 - リビエル
- 「楽しんで、生きていかなくっちゃ♪ ・・・でしょう?」
- ライ
- 「そーゆーこった!
よし、それじゃあ難しい話はこのへんにしといて・・・
おやつにするか?」 - リューム&リビエル
- 「さんせーっ♪」
- テイラー
- 「おい、本当に最後まで顔も見せずに行くつもりなのか?」
- ケンタロウ
- 「ああ、親がなくとも子は育つ、ってな
アイツも、想像以上にいっちょまえに育ってやがったからなあ
オレ様がいなくたってなにも問題はねーさ」 - テイラー
- 「だが、いくらなんでも薄情すぎやしないか?
次はいつ、戻ってこられるかも知れんというのに・・・」 - ケンタロウ
- 「約束がよ、いまだに守れてねーんだよなあ
エリカの病気を治して家族みんな、揃って一緒に暮らしていく
その方法を見つけるまでは、オレ様は帰れねえんだわ」 - テイラー
- 「だが・・・」
- ケンタロウ
- 「バカとかクソとかロクデナシってのは慣れちまったけどよ
ウソつき、って呼ばれるのだけはカンベンだからな」 - テイラー
- 「そうか・・・」
- ケンタロウ
- 「つーわけだからよ 悪いが、もうすこし世話を頼むわな」
- テイラー
- 「ふん、言われずともわかっておるわ
あの人の居場所は二度と、誰にも荒らさせはせんよ
だから、とっとと約束を果たして戻ってこい!!」 - ケンタロウ
- 「おうよッ!」
- リビエル
- 「で・・・
なんで、私が厨房に立ってるわけですの!?」 - ライ
- 「いや、いい機会だし簡単なデザートでも教えてやろうかなと」
- リビエル
- 「ヒポスが逆立ちしてみせるくらい、無謀すぎますわ!?
大体、天使の私が料理をおぼえたって将来的には・・・」 - ライ
- 「こっちの世界にいる限りは、必要だろ?」
- リビエル
- 「う・・・っ」
- ライ
- 「それにさ、オマエ 甘い物には結構うるさめだし
きちんとおぼえたら 案外、いいトコいくかもしれねーぞ?」 - リビエル
- 「・・・本当ですの?」
- ライ
- 「ああ、それに たまにはオレも自前のじゃなくて
他人の作った菓子とか食べてみたいしさ」 - リビエル
- 「そ・・・ そういうことでしたら まあ、いいですけど」
- ライ
- 「よし、それじゃあ 手始めに教えるのはオレの十八番・・・
特製パンケーキだ!」 - リビエル
- 「ちょちょいのちょいでおぼえてみせますわ♪」
- 貴方たちと出会って、私、たくさんのことを学んで成長しましたわ
でもね、まだまだ全然足りないから・・・だから、もっともっと、すぐ側で勉強させてね
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