紫蘭様
第5話 今はもう、戻れない場所
- ライ
- 「どうしたんだよ? わざわざ、お前から会いに来るなんて」
- アロエリ
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「てっきり、このまま知らん顔でいるのかと思ってたぜ」
- アロエリ
- 「み、みくびるなッ!?
オレだって、自分が愚かだったことぐらいわかっているぞッ!」 - ライ
- 「なら、それでいいよ 無理に謝らなくても」
- アロエリ
- 「そ、そういうワケにはいくものかッ!?
きちんと謝罪せねば、オレの気がすまぬ!」 - ライ
- 「だから、いいって」
- アロエリ
- 「よくないッ!」
- ライ
- 「いいってば!」
- アロエリ
- 「謝らせろッ!」
- ライ
- 「いいってば!」
- アロエリ
- 「よくないッ!」
- ライ
- 「しつこいぞ!?」
- ライ&アロエリ
- 「はぁ、はぁ、はぁっ はぁ・・・っ」
- ライ
- 「この・・・っ 石頭め・・・っ」
- アロエリ
- 「そっちこそ・・・っ」
- ライ
- 「なあ、アロエリ」
- アロエリ
- 「・・・なんだ?」
- ライ
- 「貸し借りとかそういうのは関係なしでいいからさ
オレたちにもコーラルを守らせてくれよ」 - アロエリ
- 「え・・・」
- ライ
- 「あいつを拾って色々と面倒なことも増えちまったけど
それなりに、毎日楽しく過ごしてる
オレたちにとってはあいつはもう、家族みたいなもんなんだ」 - アロエリ
- 「ライ・・・ お前・・・」
- ライ
- 「人間がどうしても信用できないのなら そのままでもいい
だから・・・」 - アロエリ
- 「お断りだッ!」
- ライ
- 「アロエリ・・・」
- アロエリ
- 「信用もできぬ相手とねぐらを共にできるか
だから・・・ その、なんだ・・・
とりあえず、今だけは信用してやるッ!!」 - ライ
- 「え?」
- アロエリ
- 「とりあえずだからな!」
- (バサッ バサッ バサッ バサッ)
- ライ
- 「はは、あはは・・・っ」
- とりあえず・・・問題解決だよな?
第6話 疑惑と不審の、黒いヤツ
- ライ
- 「でも、意外だったぜ アロエリがアルバを止めるなんてさ
おまえの性格なら むしろイケイケってけしかけそうなのに」 - アロエリ
- 「それでは、まるでオレが、ボアレス族みたいじゃないか!
興奮したら止まらないあの連中ほど、オレは無分別ではないッ!」 - ライ
- 「へいへい、悪かったよ
(充分、突っ走ってると思うんだけどな・・・)」 - アロエリ
- 「オレがあいつを止めたのは、戦士たる魂を感じとったからだ」
- ライ
- 「戦士たる魂?」
- アロエリ
- 「ああ、そうだ 見習いとはいえど、あの少年剣士には
戦士として必要な素養が、しっかりと備わっていた
おそらくは、偉大な勇者が、すぐ身近にいたんだろうな」 - ライ
- 「その勇者の影響を受けたってことか」
- アロエリ
- 「だとすれば、あいつもやがて勇者と呼ばれるようになるかもな
つくづく、ニンゲンにしておくには惜しい」 - ライ
- 「ははは・・・」
- 今の話を聞いたらアルバは、いったいどんな顔をするかな?
第7話 お魚たずねて、秘密基地
- アロエリ
- 「どうも、後手後手に回ってしまってるな
まあ、計画をひとつ潰せただけでもよしとすべきなのだが」 - ライ
- 「今回の目的は戦うことじゃなかっただろ
あくまで、偶然の産物みたいなもんで・・・」 - アロエリ
- 「甘いッ!!
こうしている間にも敵は着々と次の手を用意しているのだぞ
ぼやぼやしていて取り返しがつかなくなったらどうする!」 - ライ
- 「そりゃまあ そうだけどさ」
- アロエリ
- 「こんな時、兄者がいてくれたなら、どれほど心強いことか・・・
貴様なんかよりも 的確な判断を下しているだろうに」 - ライ
- 「・・・・・・」
- アロエリ
- 「な、なんだ? なにをジロジロと見ているんだ???」
- ライ
- 「なんだかんだ言ってオレを、こきおろしてくれるけどさ・・・
要は、すこしでも早く兄さんに会いたいだけなんじゃないのか?」 - アロエリ
- 「な・・・ッ!?」
- ライ
- 「ほら見ろ、図星だ」
- アロエリ
- 「ば、バカ者ッ!? くだらない言いがかりをつけるなッ!?
オレはただ、今後のことを心配しているからこそ・・・」 - ライ
- 「素直じゃねえなあ 別に、恥ずかしがることじゃねえだろ?」
- アロエリ
- 「う、うるさぁーいッ!」
- ライ
- 「行っちまったよ・・・」
- でもまあ、合流を急いだほうがいいのは たしかだよな・・・
第8話 流れ三味線、はぐれ弾き
- ライ
- 「どういうことだよ? ポムニットさんをここに近づけるなって」
- アロエリ
- 「戦う力のない者を 戦場に立たせるべきではない
今日のことで、お前もよくわかっただろう
あれが、敵の本性だ 今までのやり方こそがぬるすぎだったんだ」 - ライ
- 「それは・・・」
- アロエリ
- 「足手まといになるだけですむならいい だがな・・・
取り返しのつかぬことになった時、お前に責任がとれるのか?」 - ライ
- 「・・・っ」
- アロエリ
- 「とれるはずがあるまい オレだって、同じだ
だからこそ、彼女にはここで手をひかせるべきだろう」 - ライ
- 「わかってる・・・ でも、やっぱオレには強制はできねーよ
どうするか決めるのはポムニットさん自身じゃなきゃダメだ
オレはそう思う」 - アロエリ
- 「バカか、貴様ッ!? それでは、なんの意味もないだろうが!!
お前の口から言わねば彼女は、残ると言うに決まっているッ!!」 - ライ
- 「オレだって、ホントは無理にでも止めてーよ でもさ・・・
オレも、おまえだって自分の意志で決めてここにいるんだ
ポムニットさんだけの気持ちを無視するのは納得できねえ・・・」 - アロエリ
- 「それで、彼女が命を落としたとしてもか?」
- ライ
- 「・・・・・・」
- アロエリ
- 「ふんっ、もういい! 勝手にしろッ!」
- 正しいのはアロエリだ けど、オレは・・・
第10話 想い、途切れることはなく
- アロエリ
- 「オレなんかに構っていてもいいのか?
ポムニットのこと まだ、解決してはいないのだろう?」 - ライ
- 「ポムニットさんにはリシェルとルシアンがついててくれてる
だから、オレはおまえについていてやろうかなってさ」 - アロエリ
- 「いらぬ世話だ」
- ライ
- 「そうか?
どう見ても、おまえ 落ちこんでるようにしか見えねーぞ?」 - アロエリ
- 「あ、当たり前だッ!?
いくら決別を決めたといっても、そう簡単に心の整理がつくか!
ずっと・・・っ 尊敬していた・・・ん だぞ・・・っ」 - ライ
- 「お、おいっ!?」
- アロエリ
- 「兄さまが、御使いになったから・・・っ 戦士、だったから
わたしも、戦士にっ なったんだ・・・っ!
おんなじゃ、無理って いわれ、たから・・・ 意地、はって・・・っ
おとこにも、負けない つよくなって・・・っ だから・・・っ
うう・・・っ、うっ うえええぇぇぇっ!」 - ライ
- 「な、泣くなよっ!? おまえ、ちょっと!?」
- アロエリ
- 「うわああぁぁんっ!! にいさまっ、どうして うわああぁぁっ!!」
- ライ
- 「アロエリ・・・」
- アロエリ
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「・・・・・・」
- アロエリ
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「え?」
- アロエリ
- 「お、お前が・・・ 悪いんだからな・・・
泣くつもり、なんてなかったのに・・・
あんなとこ 見られたくなかったのに・・・」 - ライ
- 「うあ、わ・・・ 悪かったよ・・・」
- アロエリ
- 「ふん!
・・・ありがとう」 - ライ
- 「え?」
- アロエリ
- 「なんでもないっ!!」
- ライ
- 「・・・・・・」
- 泣いたり、怒ったり 忙しいヤツだよなあ ったく・・・
第11話 うつろなるもの、来たりしもの
- アロエリ
- 「ニンゲンに召喚された同胞が、ああした実験に用いられることは
郷の者たちから何度か聞かされてはいた」 - ライ
- 「・・・・・・」
- アロエリ
- 「ことに幻獣界の住人はニンゲンより強い肉体をもっているからな
研究のための素材 消耗品としての労働力 殺し合うための兵士
はるかな昔から重宝されていたらしい」 - ライ
- 「知らなかった、じゃ すまねえよな・・・
実際、町外れの農園で働いている召喚獣たちがいるってことも
オレは、当たり前だと思ってたんだし・・・」 - アロエリ
- 「ライ・・・」
- ライ
- 「コーラルにもさ 言われたことがあったんだよ
いやがってる召喚獣をどうして、人は帰してやらないのか、って
でも、そうしなくちゃ今のオレたちの生活は成り立たなくなる
だから、オレは・・・」 - アロエリ
- 「そのとおりだな
ニンゲンは召喚術の力におぼれ、それが当然だと思い続けてきた
際限なき欲望を満たすために、他の世界から様々なものを奪った
他の世界へと寄生することによって、安易に繁栄してきたのだ!」 - ライ
- 「・・・っ!」
- アロエリ
- 「だがな・・・ それは、貴様だけの罪ではあるまい?」
- ライ
- 「・・・え?」
- アロエリ
- 「最初に犯した間違いが時を経て、深き溝へと変わってしまった
時は巻き戻せぬし 失われた同胞たちは二度と帰らぬだろう
だがな・・・
ライよ 貴様は今を生きている
ここから先を変えていけるだけの時と命を持ってるんだぞ!?
今、貴様は罪を知った その苦さへと苦しんで報いをすでに受けた
ならば、次は改めろ!
できることが限られていようとも、なにもしないよりはいい
それだけでもいいんだ」 - ライ
- 「・・・・・・
わかったぜ、アロエリ 約束するさ・・・
できる限りのことを精一杯、改めるってな」 - アロエリ
- 「うむ・・・」
- ライ
- 「それと、ありがとな 元気づけてくれて」
- アロエリ
- 「な・・・っ!? そんなつもりなんかカケラもないッ!?
オレはただ、貴様のふぬけたツラが気にさわったから・・・
怒鳴りつけてやろうと思っただけだッ!!!」 - ライ
- 「へいへい、そーですか」
- アロエリ
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「だけど・・・
それでも、クラウレは復讐しなけりゃ、気がすまないんだろうな」 - アロエリ
- 「ああ、愚かなことだ
大水を防ぐ堤のために 山の木の全てを刈れば 山津波を招くだけ
兄者は、きっとそれを忘れてしまったんだ」 - ライ
- 「・・・・・・」
- (アロエリ)
本当にバカだよ・・・ にいさまは・・・
第13話 思い願うこと、貫くこと
選択不可
第14話 来訪者たち、彼方より
- アロエリ
- 「母に会いたい・・・
姫の願いが、まさかそれだけのことだったなんて・・・
これでは、とても憎みきれないじゃないか・・・ッ」 - ライ
- 「アロエリ・・・」
- アロエリ
- 「この世界に来てから生まれた世代であるオレにだって
故郷に帰りたいと願う同胞の気持ちは痛いほどにわかる
追われ、迫害されて逃げてくる姿ばかりを見続けてきたから
そんな彼らの願いを どうしても、オレは否定しきれないんだ
オレは、御使いなのに なのに・・・ッ」 - ライ
- 「いいんじゃねーか 別に、それでも」
- アロエリ
- 「え?」
- ライ
- 「否定できないんなら それでいいじゃんかよ 立場を気にしてさ
無理に苦しんでまで気持ちをねじ曲げる必要なんかねーよ」 - アロエリ
- 「ならば・・・ 貴様は、オレに裏切れというのかッ!?
兄者と同じく裏切って あちら側につけばいいとでもいうのか!?」 - ライ
- 「そうしたいんなら そうすりゃいいさ
でも、それができないから、オマエはオレに当たってるんだろ?」 - アロエリ
- 「・・・ッ!?
そうか・・・ やつあたり、なんだな これは・・・
すまない・・・」 - ライ
- 「いいさ、むしゃくしゃする時は、誰にだってあるもんだからな
怒鳴って、少しは気が晴れるなら、いつでも相手になってやるぜ」 - アロエリ
- 「う、うるさいぞ!? 変な気をまわすなッ! バカ・・・っ」
- ライ
- 「オマエがためらってる理由も、ギアンだろ?」
- アロエリ
- 「では、貴様も同じか?」
- ライ
- 「まあな、オレだってエニシアたちのことは助けてやりたいんだ
でも、ギアンがなにかたくらんでいる現状じゃ 信用はしてやれねーよ
せめて、アイツの狙いだけでも、知る方法があればなあ」 - アロエリ
- 「兄者なら、それを知っているのかもしれないな・・・」
- ライ
- 「クラウレが?」
- アロエリ
- 「ああ、兄者が御使いの立場を捨てて、ギアンの腹心になったのも
おそらく、そのあたりに理由があると、オレは思っているんだ」 - ライ
- 「なるほどな・・・
でも、そうだとしても聞きだすのは・・・」 - アロエリ
- 「難題に違いあるまいな」
- ライ&アロエリ
- 「はぁ・・・っ」
- でも、それが唯一の突破口になるのかもしれない・・・
第16話 相談イベント
第18話 はばたき、空へと突き抜けて
- アロエリ
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「そんな格好でいるとカゼひいちまうぜ?」
- アロエリ
- 「鍛え方が違うのだ いらぬ心配をするな」
- ライ
- 「へいへい・・・」
- アロエリ
- 「よく、オレがここにいることがわかったな?」
- ライ
- 「なんだかんだいって つき合いもそれなりに長くなってるからな
部屋にいないんなら多分、ここだろうって思ったんだよ」 - アロエリ
- 「そうか・・・」
- ライ
- 「休まなくていいのか?」
- アロエリ
- 「気持ちが途切れてしまいそうなのがこわくてな
それに、どうしても夜明けを見ておきたくなったんだよ」 - ライ
- 「夜明け、か・・・」
- アロエリ
- 「夜が明ける寸前 世界は蒼くて深い影に沈んでいく・・・
だが、明けの光明が差した、その瞬間に
影は魔性の力を奪われ 世界は、黄金色の力に満たされていく
その一瞬の情景が オレは、たまらなく気に入ってるんだ
新たな活力が身体中にみなぎってくるような気がするんだ・・・」 - ライ
- 「へえ・・・
オマエ、意外と詩人っぽいことも言えるんだな」 - アロエリ
- 「ふん、どうせ似合わないって言うんだろ?」
- ライ
- 「バカ、その反対だよ」
- アロエリ
- 「え?」
- ライ
- 「そっちのほうが なんか、オレには自然に感じるぜ
怒鳴りつけられているより、ずっといいしな?」 - アロエリ
- 「か・・・っ からかうなッ!?」
- ライ
- 「ちぇっ、たまにほめてやったのに またこれだよ」
- アロエリ
- 「・・・っ」
- (風の音)
- アロエリ
- 「明日で、全てが終わるのだな」
- ライ
- 「ああ、そうさ
結末がどう転ぶのかは出たとこ勝負だけどな」 - アロエリ
- 「そんなこと、笑ってよく言えるものだな? まったく・・・」
- ライ
- 「笑いとばさなきゃ やってられないって 普通はさ・・・」
- アロエリ
- 「え?」
- ライ
- 「オレだって、結構不安ってことさ」
- アロエリ
- 「あ・・・」
- ライ
- 「眠れないんだよ みっともない話だって思うけど
明日のこと考えると どうしても、じっとしてられねーんだ」 - アロエリ
- 「・・・こわいのか?」
- ライ
- 「よく、わかんねーよ そりゃまあ、たしかに不安もあるけどさ
すぐにでも、ギアンをぶん殴ってやりたい気もしてるんだよなあ
とにかく、どうにも落ち着かないんだよ」 - アロエリ
- 「呆れたヤツだな まったく・・・」
- ライ
- 「おかげで、目が冴えて眠れやしねーよ」
- アロエリ
- 「ならば、オレのように眠らないでいればいい
無理に寝ようとして疲れるくらいなら そのほうがマシだ」 - ライ
- 「んじゃ、そうすっかな よっと・・・」
- アロエリ
- 「そこで、どうしてオレの隣に座るんだ?」
- ライ
- 「せっかくだしさ オレも、夜明けを見ておこうかなって
もしかしたら、これが最後になるってこともあるし、それ以前に
オマエと一緒に見る機会なんて、きっと最初で最後だぜ?」 - アロエリ
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「なあ、オマエさ この戦いが終わったらどうするんだよ?
やっぱ、メイトルパに帰っちまうのか?」 - アロエリ
- 「バカなことを聞くな オレは御使いだぞ
新たな守護竜さまのもとで、今までどおりお仕えするだけだ
それに、本音を言えば オレはあまり、幻獣界に執着はないのだ」 - ライ
- 「そうなのか?」
- アロエリ
- 「オレは「隠れ里」で生まれ育った世代だからな
古老の話を聞くことで部族のしきたりなどは学んではいるけれど
メイトルパそのものに郷愁を感じてはいない
召喚されてきた同胞の悲しみは、痛いほどに見てきたがな・・・」 - ライ
- 「そっか・・・」
- アロエリ
- 「多分、オレはずっと御使いのまま一生を終えるのだろうな
つがいとなって巣を作ることも まず、なかろう」 - ライ
- 「つがいって???」
- アロエリ
- 「母親になって、子を育むということだ」
- ライ
- 「なんでだよ? 別にあきらめることないじゃんか?」
- アロエリ
- 「あ、相手がいなくては無理だろうがッ!?
そもそも、戦士の道を選んだ時点で、オレは女を捨てているんだ
そういう幸せを望むこと自体が・・・」 - ライ
- 「別に間違っていないと オレは思うけどなあ
好きだって気持ちは理屈じゃ縛れないし どうにもならない
クソ親父が昔、酔った勢いでほざいてた言葉なんだけどさ・・・
今になって思うと わりとマジに語ってた気がするんだよなあ」 - アロエリ
- 「・・・・・・」
- ライ
- 「まあ、ホントがどうかオレにはまだ、よくわかんねーんだけど
そういう時がきたらイヤでも気づくもんじゃねーのかな?」 - アロエリ
- 「・・・っ」
- ライ
- 「ん、どうかしたか?」
- アロエリ
- 「な・・・ッ なんでもないッ!!」
- ライ
- 「なんで怒鳴るんだよ? ったく、ふぇ・・・っ
ふぇっくしょいッ!!」 - アロエリ
- 「ひゃっ!?」
- ライ
- 「やべ・・・っ 上着くらい、持ってきときゃよかったぜ」
- アロエリ
- 「バカがカゼをひいたらバカの上塗りだろうが まったく・・・
ほら、こっちへ来てオレの羽根にくるまれ」 - ライ
- 「わりぃな・・・」
- アロエリ
- 「戦いに支障が出たら困るから、仕方なくこうしてるんだぞ?」
- ライ
- 「わかってるって うははっ、すっげえあったかいな♪」
- アロエリ
- 「・・・・・・」
エンディング
- ルシアン
- 「ありがとうございます また、お越しください」
- ライ
- 「ギネマ鳥のオムレツにソレルクの甘辛煮込みあがったぜ!」
- リシェル
- 「はいはい、了解! お次は海賊風焼き飯ふたつ、よろしく!」
- コーラル
- 「6番のテーブル デザート、まだきてないみたいだよ」
- ライ
- 「リベルのシャーベット たしかまだ、作り置き残ってたよな?」
- コーラル
- 「氷室の中だよね? ボク、とってくるよ」
- ライ
- 「おお、よろしくな!」
- ライ&リシェル
- 「つ・・・っ つかれたあぁ・・・っ」
- ルシアン
- 「二人とも、ほんとにおつかれさま」
- ライ
- 「おう、ルシアンもおつかれさん
コーラルもな?」 - コーラル
- 「たいしたことしてないから」
- リシェル
- 「にしても、最近のお昼時って、戦場そのものよねえ
ちょっと前まではお客が列を作るなんてありえなかったもん」 - ルシアン
- 「原因は多分、父さんの事業のせいかもね
壊れた区画を修復するついでに、大規模な拡張工事を行って
トレイユを、町から都市へと昇格させるつもりらしいんだ」 - ライ
- 「ああ、それでやたらと肉体系のお客とかが増えてるのか!」
- リシェル
- 「なんか、イヤだなあ そういう計画ってさ
あたしたちの知ってる町が、なくなっちゃうみたいで・・・」 - ルシアン
- 「心配ないよ、ねえさん 工事してるのは、例の農園の跡地だもの」
- ライ
- 「暴動以来、閉鎖されちまってたんだよな」
- ルシアン
- 「うん、あの広い土地を新しい居住区画として開発するみたいだよ
僕たちの暮らしてる今の場所は、あくまで補修をするだけ
ちゃんと、父さんも考えてるんだよ?」 - リシェル
- 「ふーん・・・ なら、いいけどね」
- ライ
- 「まあ、とにかく今はひと休みにしようぜ
夜になったら、また大忙しなんだからな」 - リシェル&ルシアン
- 「はーい・・・」
- ライ
- 「あううぅぅ・・・っ」
- アロエリ
- 「やれやれ・・・ わざわざ様子を見にやってきてやれば
そのふぬけきったザマはなんだ?」 - ライ
- 「んなこといったってしょうがねーだろ?
昼時の混雑が終わってやっと、休憩に入ったトコなんだし・・・」 - アロエリ
- 「しかし、忙しいぶん もうかってもいるのだろう?
ヒマをもてあますより ずっと、よいことだ」 - ライ
- 「そうは言うけどな モノには限度ってもんがあるぜ
休日返上で、朝から晩まで働きっぱなしだったら
へろへろになるのが当たり前だっての」 - アロエリ
- 「情けない・・・ 少し前の貴様だったら宿屋の運営に加えて
戦いまでこなしていたというのに・・・
やはり、身体がなまっているのではないか?」 - ライ
- 「うるへー・・・って たしかに、あらためてそう言われてみると
ここんとこ、町の外に出てない気がするなあ」 - アロエリ
- 「・・・よし ならば、今から外に出かけるとしよう!」
- ライ
- 「げ!?」
- アロエリ
- 「よい風に吹かれれば貴様の、さえないその表情も
すこしは、しゃきっとするだろうからな!」 - (バサッ バサッ バサッ バサッ)
- ライ
- 「こ、こら・・・っ!? 襟をつかんで、強引に引っ張るなーっ!?」
- ライ&アロエリ
- 「・・・・・・」
- アロエリ
- 「・・・どうだ? 無理矢理でも、来てよかっただろう?」
- ライ
- 「ああ、そうだな・・・ 外の風にあたるだけで
こんなにも疲れがとれるなんて思いもしなかったよ」 - アロエリ
- 「風には、凝り固まった悪いモノを吹き飛ばす力があるんだ
水は洗い流し 火は焼きつくし 土はのみこむことで
邪悪なモノを清めるとフバースの呪い師がそう言っていた」 - ライ
- 「ふーん・・・ ま、難しいことはともかくとして
ありがとな、アロエリ おかげで、元気でたぜ」 - アロエリ
- 「別に・・・ 無知な貴様を見かねただけだ」
- ライ
- 「ちぇっ、相変わらず素直じゃねーよな」
- アロエリ
- 「なにか言ったか?」
- ライ
- 「いや、空耳だろ?」
- (ザアァ・・・)
- ライ
- 「あのさ・・・」
- アロエリ
- 「なんだ?」
- ライ
- 「どうして、アロエリはこっちの世界に戻ってきたんだ?」
- クラウレ生存時
- ライ
- 「クラウレたちと一緒にメイトルパに残ってもよかったのにさ」
- クラウレ死亡時
- ライ
- 「カサスさんみたいにメイトルパに残ってもよかったのにさ」
- アロエリ
- 「なにかと思えばそんなことか
何度も言っただろう オレは「御使い」だと
御子さまやリビエルを放りだして、自分だけのんびりとできるか」
- クラウレ死亡時
- アロエリ
- 「それに、オレが今帰ってしまったら
この世界で生を終えた にいさまの魂を送ってやれなくなる・・・
だから、これでよかったんだ」 - ライ
- 「そっか・・・」
- ライ
- 「だけど、それでもちょっと心配だぜ」
- アロエリ
- 「だから、なにが?」
- ライ
- 「ほら、前にオマエが言ってた、巣作りとかのことだよ
あっちの世界なら同族もいっぱいいただろうから
きっと、アロエリを幸せにしてくれる相手だって
見つかったんじゃないかって思うんだけどなあ」 - アロエリ
- 「い、いらぬ世話だぞッ!! まったく・・・
まあ、もし仮にどうしても巣作りがしたくなった時は
こちらの世界でつがいの相手を見つけるさ」 - ライ
- 「それって・・・ 人間と一緒になるってことか!?」
- アロエリ
- 「そこまで驚くこともないだろう
メイトルパの亜人は原初の「ヒト」が生き抜く力を求めて
幻獣や聖獣らと結びつくことで生誕した種族なのだしな」 - ライ
- 「じゃあ、亜人も「響界種」ってことなのか?」
- アロエリ
- 「そういった考え方そのものがないのだ メイトルパにはな
もしも、ギアンがメイトルパで産まれ育っていたのなら
あのようなことにはならなかっただろう
たとえ話をしても意味のないことではあるのだがな」 - ライ
- 「そうだな・・・」
- アロエリ
- 「ともかく、驚く必要はないことは理解できたか?」
- ライ
- 「いや、オレが驚いたのはそこじゃなくて
あれほど、人間を嫌っていたオマエがそう言ったからさ」 - アロエリ
- 「ニンゲンにも色々いることがわかったからな
吐き気がするような不快な連中もいるが その反対に
心から尊敬したり信用できる人物もちゃんといるんだ」 - ライ
- 「へえ、アロエリにそんなこと言わせるなんてスゴイよな
いったい、どこのどいつのことだ?」 - アロエリ
- 「・の・・に・・・〔声:目の前に〕」
- ライ
- 「?」
- アロエリ
- 「・・・てよ・・・・っ〔声:気づいてよ バカっ〕」
- ライ
- 「なんだよ? もったいぶらないではっきり言えってば」
- アロエリ
- 「・・・っ、ううぅっ! うるさぁーいッ!!
貴様のようなガキではないってことだけはたしかだッ!!」 - ライ
- 「な、なんだとーっ!?」
- テイラー
- 「おい、本当に最後まで顔も見せずに行くつもりなのか?」
- ケンタロウ
- 「ああ、親がなくとも子は育つ、ってな
アイツも、想像以上にいっちょまえに育ってやがったからなあ
オレ様がいなくたってなにも問題はねーさ」 - テイラー
- 「だが、いくらなんでも薄情すぎやしないか?
次はいつ、戻ってこられるかも知れんというのに・・・」 - ケンタロウ
- 「約束がよ、いまだに守れてねーんだよなあ
エリカの病気を治して家族みんな、揃って一緒に暮らしていく
その方法を見つけるまでは、オレ様は帰れねえんだわ」 - テイラー
- 「だが・・・」
- ケンタロウ
- 「バカとかクソとかロクデナシってのは慣れちまったけどよ
ウソつき、って呼ばれるのだけはカンベンだからな」 - テイラー
- 「そうか・・・」
- ケンタロウ
- 「つーわけだからよ 悪いが、もうすこし世話を頼むわな」
- テイラー
- 「ふん、言われずともわかっておるわ
あの人の居場所は二度と、誰にも荒らさせはせんよ
だから、とっとと約束を果たして戻ってこい!!」 - ケンタロウ
- 「おうよッ!」
- アロエリ
- 「・・・おい?」
- ライ
- 「・・・・・・」
- アロエリ
- 「いい加減に機嫌をなおせ その・・・
オレが、今のは悪かった・・・」 - ライ
- 「・・・・・・」
- アロエリ
- 「おいってば!?
・・・あ」 - ライ
- 「すぅ・・・っ くぅ・・・っ」
- アロエリ
- 「眠ってしまったのか
まだ、話すことはたくさんあったのに 困ったヤツめ・・・
・・・らーららー らーらー、らーらら らららーらーららー
らーららー・・・」 - 今はまだこれでいい
こうして同じ世界で同じ時を過ごせるのなら
だけど・・・ いつか私が、もっと勇気を出せるようになった、その時には・・・
ほんの少しだけ 意識してくれるかな・・・
ねえ、ライ?
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