【夜会話】アロエリ(ライVer.)

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紫蘭様

第5話 今はもう、戻れない場所

ライ
「どうしたんだよ? わざわざ、お前から会いに来るなんて」
アロエリ
「・・・・・・」
ライ
「てっきり、このまま知らん顔でいるのかと思ってたぜ」
アロエリ
「み、みくびるなッ!?
オレだって、自分が愚かだったことぐらいわかっているぞッ!」
ライ
「なら、それでいいよ 無理に謝らなくても」
アロエリ
「そ、そういうワケにはいくものかッ!?
きちんと謝罪せねば、オレの気がすまぬ!」
ライ
「だから、いいって」
アロエリ
「よくないッ!」
ライ
「いいってば!」
アロエリ
「謝らせろッ!」
ライ
「いいってば!」
アロエリ
「よくないッ!」
ライ
「しつこいぞ!?」
ライ&アロエリ
「はぁ、はぁ、はぁっ はぁ・・・っ」
ライ
「この・・・っ 石頭め・・・っ」
アロエリ
「そっちこそ・・・っ」
ライ
「なあ、アロエリ」
アロエリ
「・・・なんだ?」
ライ
「貸し借りとかそういうのは関係なしでいいからさ
オレたちにもコーラルを守らせてくれよ」
アロエリ
「え・・・」
ライ
「あいつを拾って色々と面倒なことも増えちまったけど
それなりに、毎日楽しく過ごしてる
オレたちにとってはあいつはもう、家族みたいなもんなんだ」
アロエリ
「ライ・・・ お前・・・」
ライ
「人間がどうしても信用できないのなら そのままでもいい
だから・・・」
アロエリ
「お断りだッ!」
ライ
「アロエリ・・・」
アロエリ
「信用もできぬ相手とねぐらを共にできるか
だから・・・ その、なんだ・・・
とりあえず、今だけは信用してやるッ!!」
ライ
「え?」
アロエリ
「とりあえずだからな!」
(バサッ バサッ バサッ バサッ)
ライ
「はは、あはは・・・っ」
とりあえず・・・問題解決だよな?

第6話 疑惑と不審の、黒いヤツ

ライ
「でも、意外だったぜ アロエリがアルバを止めるなんてさ
おまえの性格なら むしろイケイケってけしかけそうなのに」
アロエリ
「それでは、まるでオレが、ボアレス族みたいじゃないか!
興奮したら止まらないあの連中ほど、オレは無分別ではないッ!」
ライ
「へいへい、悪かったよ
(充分、突っ走ってると思うんだけどな・・・)」
アロエリ
「オレがあいつを止めたのは、戦士たる魂を感じとったからだ」
ライ
「戦士たる魂?」
アロエリ
「ああ、そうだ 見習いとはいえど、あの少年剣士には
戦士として必要な素養が、しっかりと備わっていた
おそらくは、偉大な勇者が、すぐ身近にいたんだろうな」
ライ
「その勇者の影響を受けたってことか」
アロエリ
「だとすれば、あいつもやがて勇者と呼ばれるようになるかもな
つくづく、ニンゲンにしておくには惜しい」
ライ
「ははは・・・」
今の話を聞いたらアルバは、いったいどんな顔をするかな?

第7話 お魚たずねて、秘密基地

アロエリ
「どうも、後手後手に回ってしまってるな
まあ、計画をひとつ潰せただけでもよしとすべきなのだが」
ライ
「今回の目的は戦うことじゃなかっただろ
あくまで、偶然の産物みたいなもんで・・・」
アロエリ
「甘いッ!!
こうしている間にも敵は着々と次の手を用意しているのだぞ
ぼやぼやしていて取り返しがつかなくなったらどうする!」
ライ
「そりゃまあ そうだけどさ」
アロエリ
「こんな時、兄者がいてくれたなら、どれほど心強いことか・・・
貴様なんかよりも 的確な判断を下しているだろうに」
ライ
「・・・・・・」
アロエリ
「な、なんだ?  なにをジロジロと見ているんだ???」
ライ
「なんだかんだ言ってオレを、こきおろしてくれるけどさ・・・
要は、すこしでも早く兄さんに会いたいだけなんじゃないのか?」
アロエリ
「な・・・ッ!?」
ライ
「ほら見ろ、図星だ」
アロエリ
「ば、バカ者ッ!? くだらない言いがかりをつけるなッ!?
オレはただ、今後のことを心配しているからこそ・・・」
ライ
「素直じゃねえなあ 別に、恥ずかしがることじゃねえだろ?」
アロエリ
「う、うるさぁーいッ!」
ライ
「行っちまったよ・・・」
でもまあ、合流を急いだほうがいいのは たしかだよな・・・

第8話 流れ三味線、はぐれ弾き

ライ
「どういうことだよ? ポムニットさんをここに近づけるなって」
アロエリ
「戦う力のない者を 戦場に立たせるべきではない
今日のことで、お前もよくわかっただろう
あれが、敵の本性だ 今までのやり方こそがぬるすぎだったんだ」
ライ
「それは・・・」
アロエリ
「足手まといになるだけですむならいい だがな・・・
取り返しのつかぬことになった時、お前に責任がとれるのか?」
ライ
「・・・っ」
アロエリ
「とれるはずがあるまい オレだって、同じだ
だからこそ、彼女にはここで手をひかせるべきだろう」
ライ
「わかってる・・・ でも、やっぱオレには強制はできねーよ
どうするか決めるのはポムニットさん自身じゃなきゃダメだ
オレはそう思う」
アロエリ
「バカか、貴様ッ!? それでは、なんの意味もないだろうが!!
お前の口から言わねば彼女は、残ると言うに決まっているッ!!」
ライ
「オレだって、ホントは無理にでも止めてーよ でもさ・・・
オレも、おまえだって自分の意志で決めてここにいるんだ
ポムニットさんだけの気持ちを無視するのは納得できねえ・・・」
アロエリ
「それで、彼女が命を落としたとしてもか?」
ライ
「・・・・・・」
アロエリ
「ふんっ、もういい! 勝手にしろッ!」
正しいのはアロエリだ けど、オレは・・・

第10話 想い、途切れることはなく

アロエリ
「オレなんかに構っていてもいいのか?
ポムニットのこと まだ、解決してはいないのだろう?」
ライ
「ポムニットさんにはリシェルとルシアンがついててくれてる
だから、オレはおまえについていてやろうかなってさ」
アロエリ
「いらぬ世話だ」
ライ
「そうか?
どう見ても、おまえ 落ちこんでるようにしか見えねーぞ?」
アロエリ
「あ、当たり前だッ!?
いくら決別を決めたといっても、そう簡単に心の整理がつくか!
ずっと・・・っ 尊敬していた・・・ん だぞ・・・っ」
ライ
「お、おいっ!?」
アロエリ
「兄さまが、御使いになったから・・・っ 戦士、だったから
わたしも、戦士にっ なったんだ・・・っ!
おんなじゃ、無理って いわれ、たから・・・ 意地、はって・・・っ
おとこにも、負けない つよくなって・・・っ だから・・・っ
うう・・・っ、うっ うえええぇぇぇっ!」
ライ
「な、泣くなよっ!? おまえ、ちょっと!?」
アロエリ
「うわああぁぁんっ!! にいさまっ、どうして うわああぁぁっ!!」
ライ
「アロエリ・・・」
アロエリ
「・・・・・・」
ライ
「・・・・・・」
アロエリ
「・・・・・・」
ライ
「え?」
アロエリ
「お、お前が・・・ 悪いんだからな・・・
泣くつもり、なんてなかったのに・・・
あんなとこ 見られたくなかったのに・・・」
ライ
「うあ、わ・・・ 悪かったよ・・・」
アロエリ
「ふん!
・・・ありがとう」
ライ
「え?」
アロエリ
「なんでもないっ!!」
ライ
「・・・・・・」
泣いたり、怒ったり 忙しいヤツだよなあ ったく・・・

第11話 うつろなるもの、来たりしもの

アロエリ
「ニンゲンに召喚された同胞が、ああした実験に用いられることは
郷の者たちから何度か聞かされてはいた」
ライ
「・・・・・・」
アロエリ
「ことに幻獣界の住人はニンゲンより強い肉体をもっているからな
研究のための素材 消耗品としての労働力 殺し合うための兵士
はるかな昔から重宝されていたらしい」
ライ
「知らなかった、じゃ すまねえよな・・・
実際、町外れの農園で働いている召喚獣たちがいるってことも
オレは、当たり前だと思ってたんだし・・・」
アロエリ
「ライ・・・」
ライ
「コーラルにもさ 言われたことがあったんだよ
いやがってる召喚獣をどうして、人は帰してやらないのか、って
でも、そうしなくちゃ今のオレたちの生活は成り立たなくなる
だから、オレは・・・」
アロエリ
「そのとおりだな
ニンゲンは召喚術の力におぼれ、それが当然だと思い続けてきた
際限なき欲望を満たすために、他の世界から様々なものを奪った
他の世界へと寄生することによって、安易に繁栄してきたのだ!」
ライ
「・・・っ!」
アロエリ
「だがな・・・ それは、貴様だけの罪ではあるまい?」
ライ
「・・・え?」
アロエリ
「最初に犯した間違いが時を経て、深き溝へと変わってしまった
時は巻き戻せぬし 失われた同胞たちは二度と帰らぬだろう
だがな・・・
ライよ 貴様は今を生きている
ここから先を変えていけるだけの時と命を持ってるんだぞ!?
今、貴様は罪を知った その苦さへと苦しんで報いをすでに受けた
ならば、次は改めろ!
できることが限られていようとも、なにもしないよりはいい
それだけでもいいんだ」
ライ
「・・・・・・
わかったぜ、アロエリ 約束するさ・・・
できる限りのことを精一杯、改めるってな」
アロエリ
「うむ・・・」
ライ
「それと、ありがとな 元気づけてくれて」
アロエリ
「な・・・っ!? そんなつもりなんかカケラもないッ!?
オレはただ、貴様のふぬけたツラが気にさわったから・・・
怒鳴りつけてやろうと思っただけだッ!!!」
ライ
「へいへい、そーですか」
アロエリ
「・・・・・・」
ライ
「だけど・・・
それでも、クラウレは復讐しなけりゃ、気がすまないんだろうな」
アロエリ
「ああ、愚かなことだ
大水を防ぐ堤のために 山の木の全てを刈れば 山津波を招くだけ
兄者は、きっとそれを忘れてしまったんだ」
ライ
「・・・・・・」
(アロエリ)
本当にバカだよ・・・ にいさまは・・・

第13話 思い願うこと、貫くこと

選択不可

第14話 来訪者たち、彼方より

アロエリ
「母に会いたい・・・
姫の願いが、まさかそれだけのことだったなんて・・・
これでは、とても憎みきれないじゃないか・・・ッ」
ライ
「アロエリ・・・」
アロエリ
「この世界に来てから生まれた世代であるオレにだって
故郷に帰りたいと願う同胞の気持ちは痛いほどにわかる
追われ、迫害されて逃げてくる姿ばかりを見続けてきたから
そんな彼らの願いを どうしても、オレは否定しきれないんだ
オレは、御使いなのに なのに・・・ッ」
ライ
「いいんじゃねーか 別に、それでも」
アロエリ
「え?」
ライ
「否定できないんなら それでいいじゃんかよ 立場を気にしてさ
無理に苦しんでまで気持ちをねじ曲げる必要なんかねーよ」
アロエリ
「ならば・・・ 貴様は、オレに裏切れというのかッ!?
兄者と同じく裏切って あちら側につけばいいとでもいうのか!?」
ライ
「そうしたいんなら そうすりゃいいさ
でも、それができないから、オマエはオレに当たってるんだろ?」
アロエリ
「・・・ッ!?
そうか・・・ やつあたり、なんだな これは・・・
すまない・・・」
ライ
「いいさ、むしゃくしゃする時は、誰にだってあるもんだからな
怒鳴って、少しは気が晴れるなら、いつでも相手になってやるぜ」
アロエリ
「う、うるさいぞ!? 変な気をまわすなッ! バカ・・・っ」
ライ
「オマエがためらってる理由も、ギアンだろ?」
アロエリ
「では、貴様も同じか?」
ライ
「まあな、オレだってエニシアたちのことは助けてやりたいんだ
でも、ギアンがなにかたくらんでいる現状じゃ 信用はしてやれねーよ
せめて、アイツの狙いだけでも、知る方法があればなあ」
アロエリ
「兄者なら、それを知っているのかもしれないな・・・」
ライ
「クラウレが?」
アロエリ
「ああ、兄者が御使いの立場を捨てて、ギアンの腹心になったのも
おそらく、そのあたりに理由があると、オレは思っているんだ」
ライ
「なるほどな・・・
でも、そうだとしても聞きだすのは・・・」
アロエリ
「難題に違いあるまいな」
ライ&アロエリ
「はぁ・・・っ」
でも、それが唯一の突破口になるのかもしれない・・・

第16話 相談イベント

第16話 相談イベントに掲載

第18話 はばたき、空へと突き抜けて

アロエリ
「・・・・・・」
ライ
「そんな格好でいるとカゼひいちまうぜ?」
アロエリ
「鍛え方が違うのだ いらぬ心配をするな」
ライ
「へいへい・・・」
アロエリ
「よく、オレがここにいることがわかったな?」
ライ
「なんだかんだいって つき合いもそれなりに長くなってるからな
部屋にいないんなら多分、ここだろうって思ったんだよ」
アロエリ
「そうか・・・」
ライ
「休まなくていいのか?」
アロエリ
「気持ちが途切れてしまいそうなのがこわくてな
それに、どうしても夜明けを見ておきたくなったんだよ」
ライ
「夜明け、か・・・」
アロエリ
「夜が明ける寸前 世界は蒼くて深い影に沈んでいく・・・
だが、明けの光明が差した、その瞬間に
影は魔性の力を奪われ 世界は、黄金色の力に満たされていく
その一瞬の情景が オレは、たまらなく気に入ってるんだ
新たな活力が身体中にみなぎってくるような気がするんだ・・・」
ライ
「へえ・・・
オマエ、意外と詩人っぽいことも言えるんだな」
アロエリ
「ふん、どうせ似合わないって言うんだろ?」
ライ
「バカ、その反対だよ」
アロエリ
「え?」
ライ
「そっちのほうが なんか、オレには自然に感じるぜ
怒鳴りつけられているより、ずっといいしな?」
アロエリ
「か・・・っ からかうなッ!?」
ライ
「ちぇっ、たまにほめてやったのに またこれだよ」
アロエリ
「・・・っ」
(風の音)
アロエリ
「明日で、全てが終わるのだな」
ライ
「ああ、そうさ
結末がどう転ぶのかは出たとこ勝負だけどな」
アロエリ
「そんなこと、笑ってよく言えるものだな? まったく・・・」
ライ
「笑いとばさなきゃ やってられないって 普通はさ・・・」
アロエリ
「え?」
ライ
「オレだって、結構不安ってことさ」
アロエリ
「あ・・・」
ライ
「眠れないんだよ みっともない話だって思うけど
明日のこと考えると どうしても、じっとしてられねーんだ」
アロエリ
「・・・こわいのか?」
ライ
「よく、わかんねーよ そりゃまあ、たしかに不安もあるけどさ
すぐにでも、ギアンをぶん殴ってやりたい気もしてるんだよなあ
とにかく、どうにも落ち着かないんだよ」
アロエリ
「呆れたヤツだな まったく・・・」
ライ
「おかげで、目が冴えて眠れやしねーよ」
アロエリ
「ならば、オレのように眠らないでいればいい
無理に寝ようとして疲れるくらいなら そのほうがマシだ」
ライ
「んじゃ、そうすっかな よっと・・・」
アロエリ
「そこで、どうしてオレの隣に座るんだ?」
ライ
「せっかくだしさ オレも、夜明けを見ておこうかなって
もしかしたら、これが最後になるってこともあるし、それ以前に
オマエと一緒に見る機会なんて、きっと最初で最後だぜ?」
アロエリ
「・・・・・・」
ライ
「なあ、オマエさ この戦いが終わったらどうするんだよ?
やっぱ、メイトルパに帰っちまうのか?」
アロエリ
「バカなことを聞くな オレは御使いだぞ
新たな守護竜さまのもとで、今までどおりお仕えするだけだ
それに、本音を言えば オレはあまり、幻獣界に執着はないのだ」
ライ
「そうなのか?」
アロエリ
「オレは「隠れ里」で生まれ育った世代だからな
古老の話を聞くことで部族のしきたりなどは学んではいるけれど
メイトルパそのものに郷愁を感じてはいない
召喚されてきた同胞の悲しみは、痛いほどに見てきたがな・・・」
ライ
「そっか・・・」
アロエリ
「多分、オレはずっと御使いのまま一生を終えるのだろうな
つがいとなって巣を作ることも まず、なかろう」
ライ
「つがいって???」
アロエリ
「母親になって、子を育むということだ」
ライ
「なんでだよ? 別にあきらめることないじゃんか?」
アロエリ
「あ、相手がいなくては無理だろうがッ!?
そもそも、戦士の道を選んだ時点で、オレは女を捨てているんだ
そういう幸せを望むこと自体が・・・」
ライ
「別に間違っていないと オレは思うけどなあ
好きだって気持ちは理屈じゃ縛れないし どうにもならない
クソ親父が昔、酔った勢いでほざいてた言葉なんだけどさ・・・
今になって思うと わりとマジに語ってた気がするんだよなあ」
アロエリ
「・・・・・・」
ライ
「まあ、ホントがどうかオレにはまだ、よくわかんねーんだけど
そういう時がきたらイヤでも気づくもんじゃねーのかな?」
アロエリ
「・・・っ」
ライ
「ん、どうかしたか?」
アロエリ
「な・・・ッ なんでもないッ!!」
ライ
「なんで怒鳴るんだよ? ったく、ふぇ・・・っ
ふぇっくしょいッ!!」
アロエリ
「ひゃっ!?」
ライ
「やべ・・・っ 上着くらい、持ってきときゃよかったぜ」
アロエリ
「バカがカゼをひいたらバカの上塗りだろうが まったく・・・
ほら、こっちへ来てオレの羽根にくるまれ」
ライ
「わりぃな・・・」
アロエリ
「戦いに支障が出たら困るから、仕方なくこうしてるんだぞ?」
ライ
「わかってるって うははっ、すっげえあったかいな♪」
アロエリ
「・・・・・・」

エンディング

ルシアン
「ありがとうございます また、お越しください」
ライ
「ギネマ鳥のオムレツにソレルクの甘辛煮込みあがったぜ!」
リシェル
「はいはい、了解! お次は海賊風焼き飯ふたつ、よろしく!」
コーラル
「6番のテーブル デザート、まだきてないみたいだよ」
ライ
「リベルのシャーベット たしかまだ、作り置き残ってたよな?」
コーラル
「氷室の中だよね? ボク、とってくるよ」
ライ
「おお、よろしくな!」
ライ&リシェル
「つ・・・っ つかれたあぁ・・・っ」
ルシアン
「二人とも、ほんとにおつかれさま」
ライ
「おう、ルシアンもおつかれさん
コーラルもな?」
コーラル
「たいしたことしてないから」
リシェル
「にしても、最近のお昼時って、戦場そのものよねえ
ちょっと前まではお客が列を作るなんてありえなかったもん」
ルシアン
「原因は多分、父さんの事業のせいかもね
壊れた区画を修復するついでに、大規模な拡張工事を行って
トレイユを、町から都市へと昇格させるつもりらしいんだ」
ライ
「ああ、それでやたらと肉体系のお客とかが増えてるのか!」
リシェル
「なんか、イヤだなあ そういう計画ってさ
あたしたちの知ってる町が、なくなっちゃうみたいで・・・」
ルシアン
「心配ないよ、ねえさん 工事してるのは、例の農園の跡地だもの」
ライ
「暴動以来、閉鎖されちまってたんだよな」
ルシアン
「うん、あの広い土地を新しい居住区画として開発するみたいだよ
僕たちの暮らしてる今の場所は、あくまで補修をするだけ
ちゃんと、父さんも考えてるんだよ?」
リシェル
「ふーん・・・ なら、いいけどね」
ライ
「まあ、とにかく今はひと休みにしようぜ
夜になったら、また大忙しなんだからな」
リシェル&ルシアン
「はーい・・・」
ライ
「あううぅぅ・・・っ」
アロエリ
「やれやれ・・・ わざわざ様子を見にやってきてやれば
そのふぬけきったザマはなんだ?」
ライ
「んなこといったってしょうがねーだろ?
昼時の混雑が終わってやっと、休憩に入ったトコなんだし・・・」
アロエリ
「しかし、忙しいぶん もうかってもいるのだろう?
ヒマをもてあますより ずっと、よいことだ」
ライ
「そうは言うけどな モノには限度ってもんがあるぜ
休日返上で、朝から晩まで働きっぱなしだったら
へろへろになるのが当たり前だっての」
アロエリ
「情けない・・・ 少し前の貴様だったら宿屋の運営に加えて
戦いまでこなしていたというのに・・・
やはり、身体がなまっているのではないか?」
ライ
「うるへー・・・って たしかに、あらためてそう言われてみると
ここんとこ、町の外に出てない気がするなあ」
アロエリ
「・・・よし ならば、今から外に出かけるとしよう!」
ライ
「げ!?」
アロエリ
「よい風に吹かれれば貴様の、さえないその表情も
すこしは、しゃきっとするだろうからな!」
(バサッ バサッ バサッ バサッ)
ライ
「こ、こら・・・っ!?  襟をつかんで、強引に引っ張るなーっ!?」
ライ&アロエリ
「・・・・・・」
アロエリ
「・・・どうだ? 無理矢理でも、来てよかっただろう?」
ライ
「ああ、そうだな・・・ 外の風にあたるだけで
こんなにも疲れがとれるなんて思いもしなかったよ」
アロエリ
「風には、凝り固まった悪いモノを吹き飛ばす力があるんだ
水は洗い流し 火は焼きつくし 土はのみこむことで
邪悪なモノを清めるとフバースの呪い師がそう言っていた」
ライ
「ふーん・・・ ま、難しいことはともかくとして
ありがとな、アロエリ おかげで、元気でたぜ」
アロエリ
「別に・・・ 無知な貴様を見かねただけだ」
ライ
「ちぇっ、相変わらず素直じゃねーよな」
アロエリ
「なにか言ったか?」
ライ
「いや、空耳だろ?」
(ザアァ・・・)
ライ
「あのさ・・・」
アロエリ
「なんだ?」
ライ
「どうして、アロエリはこっちの世界に戻ってきたんだ?」
  • クラウレ生存時
    ライ
    「クラウレたちと一緒にメイトルパに残ってもよかったのにさ」
  • クラウレ死亡時
    ライ
    「カサスさんみたいにメイトルパに残ってもよかったのにさ」
アロエリ
「なにかと思えばそんなことか
何度も言っただろう オレは「御使い」だと
御子さまやリビエルを放りだして、自分だけのんびりとできるか」
  • クラウレ死亡時
    アロエリ
    「それに、オレが今帰ってしまったら
    この世界で生を終えた にいさまの魂を送ってやれなくなる・・・
    だから、これでよかったんだ」
    ライ
    「そっか・・・」
ライ
「だけど、それでもちょっと心配だぜ」
アロエリ
「だから、なにが?」
ライ
「ほら、前にオマエが言ってた、巣作りとかのことだよ
あっちの世界なら同族もいっぱいいただろうから
きっと、アロエリを幸せにしてくれる相手だって
見つかったんじゃないかって思うんだけどなあ」
アロエリ
「い、いらぬ世話だぞッ!! まったく・・・
まあ、もし仮にどうしても巣作りがしたくなった時は
こちらの世界でつがいの相手を見つけるさ」
ライ
「それって・・・ 人間と一緒になるってことか!?」
アロエリ
「そこまで驚くこともないだろう
メイトルパの亜人は原初の「ヒト」が生き抜く力を求めて
幻獣や聖獣らと結びつくことで生誕した種族なのだしな」
ライ
「じゃあ、亜人も「響界種」ってことなのか?」
アロエリ
「そういった考え方そのものがないのだ メイトルパにはな
もしも、ギアンがメイトルパで産まれ育っていたのなら
あのようなことにはならなかっただろう
たとえ話をしても意味のないことではあるのだがな」
ライ
「そうだな・・・」
アロエリ
「ともかく、驚く必要はないことは理解できたか?」
ライ
「いや、オレが驚いたのはそこじゃなくて
あれほど、人間を嫌っていたオマエがそう言ったからさ」
アロエリ
「ニンゲンにも色々いることがわかったからな
吐き気がするような不快な連中もいるが その反対に
心から尊敬したり信用できる人物もちゃんといるんだ」
ライ
「へえ、アロエリにそんなこと言わせるなんてスゴイよな
いったい、どこのどいつのことだ?」
アロエリ
「・の・・に・・・〔声:目の前に〕」
ライ
「?」
アロエリ
「・・・てよ・・・・っ〔声:気づいてよ バカっ〕」
ライ
「なんだよ? もったいぶらないではっきり言えってば」
アロエリ
「・・・っ、ううぅっ! うるさぁーいッ!!
貴様のようなガキではないってことだけはたしかだッ!!」
ライ
「な、なんだとーっ!?」
テイラー
「おい、本当に最後まで顔も見せずに行くつもりなのか?」
ケンタロウ
「ああ、親がなくとも子は育つ、ってな
アイツも、想像以上にいっちょまえに育ってやがったからなあ
オレ様がいなくたってなにも問題はねーさ」
テイラー
「だが、いくらなんでも薄情すぎやしないか?
次はいつ、戻ってこられるかも知れんというのに・・・」
ケンタロウ
「約束がよ、いまだに守れてねーんだよなあ
エリカの病気を治して家族みんな、揃って一緒に暮らしていく
その方法を見つけるまでは、オレ様は帰れねえんだわ」
テイラー
「だが・・・」
ケンタロウ
「バカとかクソとかロクデナシってのは慣れちまったけどよ
ウソつき、って呼ばれるのだけはカンベンだからな」
テイラー
「そうか・・・」
ケンタロウ
「つーわけだからよ 悪いが、もうすこし世話を頼むわな」
テイラー
「ふん、言われずともわかっておるわ
あの人の居場所は二度と、誰にも荒らさせはせんよ
だから、とっとと約束を果たして戻ってこい!!」
ケンタロウ
「おうよッ!」
アロエリ
「・・・おい?」
ライ
「・・・・・・」
アロエリ
「いい加減に機嫌をなおせ その・・・
オレが、今のは悪かった・・・」
ライ
「・・・・・・」
アロエリ
「おいってば!?
・・・あ」
ライ
「すぅ・・・っ くぅ・・・っ」
アロエリ
「眠ってしまったのか
まだ、話すことはたくさんあったのに 困ったヤツめ・・・
・・・らーららー らーらー、らーらら らららーらーららー
らーららー・・・」
今はまだこれでいい
こうして同じ世界で同じ時を過ごせるのなら
だけど・・・ いつか私が、もっと勇気を出せるようになった、その時には・・・
ほんの少しだけ 意識してくれるかな・・・
ねえ、ライ?

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