この微笑みに感謝をこめて

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不断様
この微笑みに感謝をこめて ~Thank You for Your smile~
(ポムニット)
 寄らないで!! 近寄ったら、きっと貴方も死んじゃう!
わたしは他人の命を吸い取ってしまう悪魔の娘なのよ!?
(ケンタロウ)
 知るかよ、そんなこと オレ様からしてみりゃ
テメエは、ただのべそかいてる小娘だ
どうにもできない力に振り回されて、他人を傷つけたくなくて
さびしがり屋のくせにひとりぼっちのままやせガマンしている
ちっぽけな小娘だよ
(ポムニット)
 だけど、お母さんは私の呪われた能力ちからのせいで・・・
(ケンタロウ)
 おふくろさんがそう言って、テメエを責めたりしたのか?
(ポムニット)
 ・・・!
(ケンタロウ)
 ついてこいよ? オレ様が、テメエに教えてやるぜ
力にふり回されずに生きていくための方法 それともうひとつ
独りで生きてちゃ絶対 味わえない、幸福しあわせっていうもんをな!
ポムニット
「・・・・・・」
フェア
「ここにいたのね ポムニットさん」
ポムニット
「フェアさん・・・
わたくしなりに思いつく限りの方法で
元の姿に戻れないか試していたんですよ
残念ながら・・・ ご覧のとおりですけど」
フェア
「そんな・・・」
ポムニット
「仕方がないんです 約束、破っちゃた罰なんですから」
フェア
「約束って?」
ポムニット
「それを説明するにはまず、わたくしの生い立ちについて
話さなくてはいけないでしょうね・・・」
ポムニット
「昔、旧王国のとある村がはぐれとなった悪魔に襲われて滅びました
住人のほとんどが死に絶えた惨劇の中 ただ一人、奇跡的に
生き残った娘がいたけれど・・・
彼女は、命を拾った代償として悪魔の子を身ごもっていました」
フェア
「!?」
ポムニット
「わたくしの母です そして、産まれたのがこのわたくし・・・
にも関わらず、母はわたくしを大切に育ててくれました
色んな土地を転々としながら、貧しくはあったけれども
母と過ごした日々はわたくしにとって幸せな時間でした
ですが・・・ それも、終わってしまったんです
わたくしの身体に半魔としての証が現れたせいで」
フェア
「証って・・・」
ポムニット
「この角ですよ
初めのうちは髪と帽子で必死に隠してましたけど
どんどん育っていくばかりだったから
バレちゃったんです 馴染みはじめていたある村で・・・
あははは・・・ みんな、こわがって逃げちゃいました
仕方ないですよね? 誰だって、悪魔はこわいですもの」
フェア
「・・・・・・」
ポムニット
「その日のうちにわたくしたちは村を出ました
迷惑をかけるのはイヤだったから でも・・・
村の人たちはそれじゃ、許してくれなかった
わたくしを滅ぼそうと武器を手にして、追いかけてきたんです」
フェア
「なによ、それ!! なんでそんなことするのよ!?
ポムニットさんがなにかしたワケじゃないじゃない!!」
ポムニット
「でも・・・
結局、最後にはひどいことしちゃいましたから・・・」
フェア
「・・・え?」
ポムニット
「殺されたくないって必死に思った挙げ句 わたくし・・・っ
半魔としての能力ちからに目覚めて、暴走してしまったんです!」
フェア
「!」
ポムニット
「わたくしのこの手は頑丈の剣も、簡単にへし折ってしまう
わたくしがこの足で蹴れば、大地は揺れ 真っ二つに裂ける
でも・・・ なによりも、本当におぞましいことは
わたくしのこの角が傷つけられた身体を癒すために・・・
周りの生き物の命を無差別に吸い取ってしまうこと!!
母は、わたくしに命を吸いつくされて、死んでしまったんです!
傷ついたわたくしを看病してくれたのに なのに・・・っ」
フェア
「そんなのって・・・」
ポムニット
「わたくしは逃げました 今みたいに、人間ひとの姿に戻れなくなって
山の奥に隠れて、一人 震えていたんです
峠の魔物と呼ばれて追っ手の人たちも何度もやってきて
その人たちまで・・・ わたくしは・・・」
フェア
「ポムニットさん・・・」
ポムニット
「どうしたらいいのかわからなくなってしまいかけていた時
出会ったんですよ
フェアさん 貴方のお父さんに」
フェア
「父さんが・・・ どうして・・・」
ポムニット
「多分、冒険者としてわたくしを退治しに来たんでしょうね
くたびれもうけだってぼやいてましたから」
フェア
「わ、笑って済むようなことじゃないよっ!?」
ポムニット
「いいんですよ 現にほら、わたくしは無事なんですし」
フェア
「たしかに・・・ そうだけど・・・」
ポムニット
「あの人に連れられて山を下りたわたくしはある女性の助けで能力ちからを封印してもらい
なんとか、人間ひとの姿に戻してもらえました
そうして、今に至るというわけなんです」
フェア
「そうだったんだ・・・
うう・・・ ダメ親父め、なんで黙ってたのよ・・・」
ポムニット
「お父さんのこと 責めないであげてくださいまし
わたくしのことを気遣ってくれたからだと思いますし」
フェア
「・・・・・・」
ポムニット
「でも、その気遣いも結局は、無駄にしてしまいましたね」
フェア
「え?」
ポムニット
「わたくしにかけられた封印は、あくまでも急場しのぎのもの
もしも、わたくしが半魔としての能力ちからを心から欲したなら
封印が砕け散って 二度と、かけ直しはできない、と・・・
だから、絶対にそれだけは望んではいけないって」
フェア
「それは・・・ さっきの約束・・・」
ポムニット
「ええ、そうです
わかっていたくせに わたくし、その約束を破っちゃったんです
バカですよね? あはは・・・」
フェア
「そんなこと 言わないで!!」
ポムニット
「フェアさん・・・」
フェア
「わたしは、ちゃんとわかってるよ!
獣皇からリシェルを守りたい一心で
ポムニットさんが半魔の能力を使ったってことを!!」
ポムニット
「・・・・・・」
フェア
「バカなんかじゃない! 誰が、どう言ったってわたしは・・・
ポムニットさんのこと笑ったりしない! 笑わせたりしない!」
ポムニット
「ありがとうございます フェアさん
そう言ってもらえて わたくし、充分に報われた気がします
ですが・・・ 現実は、現実です
人間ひとの姿に戻れなくなってしまった以上
わたくしは、もう ここにいることはできません・・・」
フェア
「!?」
ポムニット
「魔物を雇っていたとしれたら、旦那さまに迷惑がかかりますし
それに・・・ こわいんです・・・
昔のように、また能力ちからを暴走させてしまったら・・・」
フェア
「その時は、わたしが止めて・・・」
ポムニット
「そんな貴方の命まで奪ってしまうかもしれないんですよッ!?
そしたら、わたくしはきっと今度こそ本当に狂ってしまうッ!?」
フェア
「・・・っ」
ポムニット
「貴方だけじゃない! おじょうさまやおぼっちゃま
旦那さまやグラッドさん ミントさん
わたくしの大切な人たちを、もう一人も失いたくない・・・
幸せをくれた人たちを巻き添えには・・・っ したくない・・・っ」
フェア
「どうすればいいの いったい・・・
わたしは・・・なにもしてあげられないの!?」
・・・
  • できっこないよ・・・
    フェア
    「できっこないよ・・・ わたしには、なにもしてあげられない
    無責任な言葉だけじゃポムニットさんの抱えている苦しみを
    消してあげることなんかできない・・・」
    ポムニット
    「泣かないでください フェアさん
    わたくしは幸せでした とっても、とっても幸せでした・・・」
    フェア
    「ポムニットさん・・・」
    ポムニット
    「最後にひとつだけワガママ、きいてくださいまし
    おじょうさまとおぼっちゃまに伝えてください
    ずっと、だましていて こわがらせてしまって
    ごめんなさい・・・ッ」
    フェア
    「ポムニットさんっ!?」
    フェア
    「・・・・・・」
    リシェル
    「ねえ、ポムニットはどこにいるのよ!?」
    フェア
    「リシェル・・・」
    リシェル
    「あたし、あの子に今すぐ謝らなくちゃいけないのっ!?
    バケモノだなんてひどいこと言って傷つけて・・・
    謝りたいのよ!? ねえ・・・っ」
    フェア
    「・・・・・・
    もう 手遅れだよ・・・」
    リシェル
    「・・・え!?」
    (ルシアン)
     それっきり・・・ ポムニットさんは僕たちの前から
    姿を消して・・・しまったんだ・・・
  • 納得できないよ・・・
    フェア
    「納得できないよ・・・
    ポムニットさんがいなくなるなんて絶対にイヤ!!
    半魔だってなんだって
    ポムニットさんはわたしたちにとって大切な人だよ!!」
    ポムニット
    「フェアさん・・・」
    フェア
    「あきらめないで!! あきらめて、逃げたりしちゃダメだよ!!
    ポムニットさんの居場所はここでしょ?
    リシェルやルシアンやわたしたちと、ずっと一緒に暮らしてきた
    ここを捨てちゃったらどこにいくの!?」
    ポムニット
    「・・・・・・」
    フェア
    「また、ひとりぼっちに戻っても平気なの!?」
    ポムニット
    「平気なんかじゃ・・・ありませんよ・・・っ
    でも、それ以外にもう選ぶ道がないんです!
    おじょうさまは・・・ わたくしの、この姿をご覧になって・・・
    バケモノ、って言われたんですよ?」
    フェア
    「あ・・・」
    ポムニット
    「今までと同じ日々にはきっと、もう戻れはしないんです・・・
    なら、いっそ・・・」
    リシェル
    「さっさと尻尾をまいてベソかきながら、逃げ出すっていうのね?」
    ポムニット
    「おじょうさま・・・」
    リシェル
    「生憎だけどね そんなの、あたしは絶対に許さないわ
    これは、あんたが使えるブロンクス家の娘としての命令よ!」
    ポムニット
    「お許しください・・・
    今のわたくしは、もうご命令に従うことなどできません・・・」
    リシェル
    「あたしが、あんたをバケモノだ、って言ったから?」
    ポムニット
    「!?」
    リシェル
    「近寄らないでって言ったから?」
    フェア
    「ちょっと リシェル・・・」
    リシェル
    「いいから、すこし黙ってて!!
    だから、あたしに愛想がつきたの?
    アタマにきたから、もう仕えたくはないってこと?」
    ポムニット
    「そんなこと・・・ でも、わたくしはおじょうさまに
    嫌われて・・・」
    リシェル
    「勝手に決めんなッ!!
    あたし、そんなこと面と向かって言ったおぼえないわよ!?」
    ポムニット
    「で、ですが・・・っ」
    リシェル
    「たしかに・・・ そうとられても仕方ないくらいに
    あたしは、あんたにひどいことを言ったわ
    取り乱したからって それだけじゃすまないくらいの言葉で
    あんたのことを傷つけてしまったって思ってる
    許してなんて、とても言えないくらい・・・」
    ポムニット
    「おじょうさま・・・」
    リシェル
    「でもね・・・ それでもね・・・ あたしは・・・
    あんたをどこにも行かせたくなんかないんだもん!!」
    ポムニット
    「ですが・・・
    わたくしは、もう人間ひととして生きていくことが・・・」
    リシェル
    「できないなんて言わせないわよ!
    今まで、ずっとそうして暮らしてきたんだもの!
    あたしは信じてる だから、命だって賭けられる・・・」
    ポムニット
    「どうか近寄らないでくださいまし!?
    わたくしに近寄ればおじょうさまの命が吸いとられ・・・」
    リシェル
    「命賭けてるって言ったでしょ?
    それに、これはあたしがあんたにしてあげられる
    たったひとつのつぐないだから」
    ポムニット
    「・・・ッ!!」
    ルシアン
    「逃げちゃダメだよ ポムニットさん」
    ポムニット
    「おぼっちゃま・・・」
    ルシアン
    「ねえさんは、自分がしてしまった過ちの大きさに気づいて
    それでも、逃げずに自分でこうするって決めたんだ・・・
    だから、お願い 逃げ出さないで
    ねえさんからも この町からも そして・・・自分自身の、本当の気持ちからも・・・」
    ポムニット
    「わたくしの・・・ 本当の気持ち・・・
    ・・・っ!?」
    リシェル
    「ポムニット・・・」
    ポムニット
    「やめてください!? おねがいだから、もう これ以上は・・・
    おじょうさまの命を奪うなんて、わたし イヤだよぉ・・・っ」
    リシェル
    「だったら、自分でなんとかしなさい ポムニット?」
    ポムニット
    「え・・・」
    リシェル
    「あたしのことをそんなにも大切に思ってくれてるなら
    あんたの意志で半魔の魔力を、抑えこんじゃいなさい」
    ポムニット
    「で、でも・・・っ 失敗、したら・・・っ」
    リシェル
    「弱気になってたらね できるものもできなくなっちゃうわよ!?」
    ポムニット
    「え、ううぅ・・・っ」
    リシェル
    「心配しなくていいの
    あんたの失敗くらい もう慣れっこだもの
    例え、ホントに命をとられちゃたって
    あたしは、あんたをキライになったりはしないから・・・」
    ポムニット
    「あ・・・っ!?」
    (リシェル)
     ごめんね・・・ ポムニット・・・ ひどいこと言って
    でもね・・・
    大好きだよ・・・っ
    ポムニット
    「・・・・・・
    戻れた・・・
    封印がなくても わたし、元の姿に戻れた・・・!?」
    ルシアン
    「やったーっ!!」
    フェア
    「これで、もう ポムニットさんはどこにもいかない
    行く必要なんかどこにもない!」
    ルシアン
    「うんっ!」
    リシェル
    「ひっく・・・ っく、う、っく・・・」
    ポムニット
    「おじょうさま・・・」
    リシェル
    「よかった・・・ よかったよぉ・・・
    ごめん、ごめんねえ ポムニットお・・・っ」
    ポムニット
    「泣かないでください リシェルおじょうさま
    あやまらなくてはいけないのはわたくしのほうです」
    (ケンタロウ)
     いいか、ポムニット? 半魔の能力ちからも、本当はテメエの一部なんだ
    目覚めたばかりだから 今はまだ、うまく扱えないでいるだけで
    いつかは、きっと 自分の意志で使えるようになっていく
    封印は、あくまでそれまでのお守りみたいなもんさ
    (ポムニット)
     だけど、わたし・・・ こわくて・・・
    (ケンタロウ)
     甘ったれんな!!
    望んで得たものじゃなくても、その能力ちからはテメエのものなんだ
    捨てられねーんだよ だったら、覚悟決めてつきあうっきゃねえ
    (ポムニット)
     え、ううぅ・・・っ
    (ケンタロウ)
     なーに、心配すんなよ
    封印よりも、もっと効き目のあるものを見つけりゃいいんだ
    命を賭けても守りたい 自分だけの宝物を、な
    (ポムニット)
     たから、もの・・・?
    (ケンタロウ)
     ああ、そうさ
    そいつが見つかりゃこわいものなんてなくなっちまう
    不可能だって可能にできる、そんな勇気がわいてくるはずさ
    オレ様みたいに、な?
    (ポムニット)
     わたくし、ようやく見つけることができた気がします・・・
    貴方が教えてくれた自分だけの宝物を
    命を賭けても守りたい大切なものを・・・

    ポムニットが戦列に加わった!

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