終わりなき誓い

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藍空れぃん。様
アティ
「少しは、落ちつきました?」
アズリア
「ああ…お前にこんな姿を見せるのは、一度でたくさんだと思っていたのだがな」
アティ
「卒業前の、最後の訓練試合の時のことですね…」
アズリア
「最後の最後まで全力を出そうとしないお前に、ついに私が腹を立てたんだ
手加減抜きの一撃を真っ向からぶつけたにも関わらず…
それをかわしたお前は、武器を捨て試合を放棄したんだ」
アティ
「だって、あのときはアズリアの気迫に圧倒されちゃって
あのまま続けてたら本当に殺されるって思ったから、つい」
アズリア
「そうしてやるつもりだったからな」
アティ
「わ!?
本気だったんですか」
アズリア
「そうでなかったら悔し泣きなんかしたりするものか」
アティ
「あの時は、本当に困っちゃいましたよ
怒鳴りつけるばかりで貴方、ちっとも許してくれないんだもの」
アズリア
「お前を負かさなければ首席の座をとれないと必死だったからな
実際、そのとおりだったのが、余計に腹立たしい!」
アティ
「あ、ははは…」
アズリア
「だが、こうなった今となっては、それもどうでもいいことだ」
アティ
「アズリア…」
アズリア
「私の父が率いていた部隊は、陸戦隊の選抜部隊でな
その任務は、召喚術を利用した破壊活動を取り締まることだった」
アティ
「それって…」
アズリア
「ああ…父は、無色の派閥に敵対していた
それゆえに、奴らの憎悪を一身に受けることとなり
その巻き添えになってしまったのが、イスラだったんだ…」
アティ
「!?」
アズリア
「お前ならわかるはずだ
古き召喚術の中には術者の命を触媒として厄災をもたらす呪いがあることを」
アティ
「召喚呪詛…まさか、イスラは!?」
アズリア
「病魔の呪いだ
生まれた時からあの子の身体は病魔にさいなまれ続けている
しかも、死ねない
絶息寸前のところで息を吹き返してしまう
自ら命を絶とうとしても、結果は同じことだった…
呪いが解けない限り永遠に、苦痛の日々を生き続けなくてはならんのだ…」
アティ
「そんな…」
アズリア
「卒業して、久しぶりに戻った実家で、元気になったイスラを見た時は、驚いたものだ
ベッドから出られずにいた子が、1年足らずで、軍務省の選抜試験を通過して…
軍属になったと聞いた時には、うれしくてたまらなかった」
アティ
「アズリア…」
アズリア
「なのに…っ!」
アティ
「全ては、無色の派閥がもたらしたもの…」
アズリア
「わかっていたんだ!
あり得ないことだと!
そんな都合のいい話があるはずがないと!
古き呪いを無効とする術は、古き知識を持つ者たちのところにしかあり得ない…
イスラは、そのために無色の派閥を頼った
そして、あの子をそこまで追いつめてしまった原因は、この私にあるんだ…」
イスラ
「そのとおりだよ」
アティ
「!?」
イスラ
「貴方が言ったとおりさ
僕は、呪いの苦しみから逃れるためにこっちへついたんだ」
アズリア
「イスラ…」
アティ
「どうして、ここに」
イスラ
「つけ損なった始末をきちんとつけたくてね
オルドレイク様に無理言って、こうして出向いてきたんだよ
姉さんを殺してあげるためにね」
アズリア
「あ…」
イスラ
「恨み言のひとつでも言ってやろうかなんて思ってたけど…必要ないよね?
ちゃんと、姉さんは自覚してるんだからさ」
-剣を抜く音-
アティ
「…っ」
イスラ
「邪魔しないでよ
アティ
これは、僕たち姉弟の問題なんだからさ
他人の家庭の事情に口を出すなんて偽善どころか、下世話の極みってもんだよ」
アティ
「どうして、イスラ?
貴方だって、本当はわかってるんでしょう
アズリアは貴方のことを思って軍人になったってこと
貴方の居場所を奪うためじゃないわ
ただ、貴方の負担を減らしたくて…」
イスラ
「動機なんてもの結果の前に、なんの意味もあるもんか!」
アティ
「!?」
イスラ
「他人に、僕のなにがわかるっていうのさ?
毎日のように死の発作に襲われて、今度こそ死ぬかも知れないっておびえ続けて…
満足に眠ることだってできなくなってしまう
そういう恐怖を、君は味わったことある?
手厚く看病をしてくれていた者たちが本当は、自分の死を願ってやまない
それを知った時の絶望が、どれほどかわかるっていうの?」
アズリア
「イスラ…」
イスラ
「他人なんて信用できない
助けがくるなんて期待しない
人は言葉でいくらでも本心を偽れるんだもの
だから、僕は僕の決めたことだけしか信じない
結果以外のものに価値があるなんて絶対に認めない!」
アティ
「そんなのって…」
イスラ
「気安い哀れみは侮辱と同じだよ?
そういう言葉が僕にとってはたまらなく不愉快なんだ…ッ!」
-召喚術-
アティ
「くうっ!?」
イスラ
「ほら、剣を抜けよ?
武器を手にして僕と戦えよ?
じゃないと、死ぬよ?
君も、姉さんも僕が殺しちゃうよ?」
-剣に手を掛ける音-
アティ
「く…っ」
アズリア
「やめてくれ!」
アティ
「アズリア?」
アズリア
「いいんだ…私は、あの子に殺されたっていいんだ…」
アティ
「な…っ!?」
アズリア
「お前の言うとおりだ
私は、私の視点だけでお前を見ていた
お前の気持ちを知ろうとしなかった
相手の気持ちを無視して押しつける優しさなど、独善だ
その結果が、お前をここまで追いこんでしまったんだろう?」
イスラ
「……」
アズリア
「これは、報いだ
お前を傷つけたことに気づきもしなかった私への報いなんだ
覚悟はできている」
イスラ
「そう、なんだ…
それじゃあ…お望みどおりに殺してあげるよ!」
アズリア
「…っ!」
-剣がぶつかる音-
アティ
「いい加減になさい!!
殺すとか、死ぬとかそんな言葉、簡単に口にしていいものじゃないの…
そこに、どれだけの重いものがこめられているのか…
貴方は、本当にわかったうえで口にしているの!?」
答えて…
  • イスラ!?
    アティ
    「答えて、イスラ!?」
    -剣が離れ、イスラが飛び退いた音-
    イスラ
    「ぐっ!?」
    アティ
    「どうしてなの…貴方だって、本当はわかってるはずなのに
    間近に死を感じながらそれでも、必死に命をつないできた貴方なら
    生きていられることの価値が、わからないはずがないのに!?
    なのに、どうしてそれを踏みにじって笑えるのよ!?」
    イスラ
    「く…っ」
  • アズリア!?
    -剣が離れ、イスラが飛び退いた音-
    アティ
    「答えて…アズリア!?」
    アズリア
    「わ、私は…」
    アティ
    「なんのために、貴方はあの涙を流したの?
    奪われた命の尊さを知ってたから、貴方は部下たちを見送るって決めたんでしょう!」
    アズリア
    「!」
    アティ
    「その貴方が、報いだと生きる権利を、簡単に手放しちゃうの?
    貴方を信じた者たちの心を踏みにじって逃げてしまうの!?」
    アズリア
    「あ、あ…っ」
アティ
「結果が全てだって言うなら、望んだ答えが出るまで、続ければいいじゃない…
全てを壊さなくたっていくらでも、やり直すことはできるんです
あきらめない限り答えは、いくらでも変えていけるんです!」
アズリア
「アティ…」
イスラ
「子供じみた理屈を偉そうに…
出ろッ!!」
-無色の派閥兵士が出て来る-
イスラ
「二度とそんな口が叩けないように永遠に黙らせてやるよッ!」
<バトル VSイスラ>
イスラ
「さっきまでの殊勝な態度は、やっぱり口だけだったんだ?」
アズリア
「違うわ、イスラ
お前に対する私の気持ちは、なにも変わってはいない
ただ、私は私なりの答えを見つけると決めたんだ
お前の答えに全てをゆだねるのではなく自分で、納得できる答えを見つけだす
そのためには、まだ死ねないんだ」
イスラ
「……
まあ、いいさ
そのうち、いやでも思い知ることになるよ
この世の中にはどうしようもない現実というものがあるってことをね!
あははははっ!
あはははははは!!」
アズリア
「アティ
私は、決めたぞ
お前たちと共に無色の派閥と戦うと」
アティ
「アズリア…」
アズリア
「なくしてしまったものの多くは、二度と戻らないものなのかもしれない…
だけど、まだ奪われたものの全てが失われてしまったわけではないのだから
私は、それを取り戻すために戦いたいんだ
あきらめたりなんかしたくないんだ!」
アティ
「うん…」
アズリア
「私は、誓うぞ…
どれだけ迷い、苦しむことになっても、この望みだけは、絶対にあきらめないと!!」

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