夕焼け空様/不断様/藍空れぃん。様
リューム
- リューム
- 「多分・・・ここに来るって思ってたぜ」
- フェア
- 「わたしも、ここで待っててくれると思ってた」
- リューム
- 「で、ふっきれたか?」
- フェア
- 「正直に言うとね まだ、迷ってる
でも、動かなきゃ始まらないってのはわかったつもり
しりごみしてる場合じゃなさそうだもんね?」 - リューム
- 「ケッ、言われる前に気づけっつーの!
一応、オマエはオレの保護者なんだからな?」 - フェア
- 「うん、そうだね・・・」
- リューム
- 「なあ・・・なんで、オマエはオレを受け入れた?」
- フェア
- 「え?」
- リューム
- 「素性もしれず誰かに狙われていて おまけに・・・
生意気ばっか言ってる厄介者を、どうして守ってこれたんだ?」 - フェア
- 「なんでかな・・・言葉にしようとするとうまく言えないね
でも、気がついたらそれが当たり前だった
あなたのいない毎日が今じゃもう、考えられないくらいにね」 - リューム
- 「なんだよ・・・わかってんじゃねえか
それが、答えだよ」 - フェア
- 「そっか・・・やっぱり、そうだね」
- リューム
- 「ああ、そうさ
ほれ、わかったならさっさと他の連中を安心させてやれ!」 - フェア
- 「そうだね・・・
ありがと・・・リューム・・・」 - リューム
- 「ったく・・・世話の焼ける保護者だぜ」
ミルリーフ
- ミルリーフ
- 「きっと…ここに来るって思ってたよ」
- フェア
- 「わたしも、ここで待っててくれると思ってた」
- ミルリーフ
- 「答えは見つかった?」
- フェア
- 「正直に言うとね
まだ、迷ってる
でも、動かなきゃ始まらないってのはわかったつもり
戻ってくるって約束もしたからね」 - ミルリーフ
- 「うん、守ってくれたね
だから、今度は…話してきかせて?
ミルリーフに
ママのこと、助けてあげたいから…」 - フェア
- 「うん…」
- ミルリーフ
- 「ママは、どうしてミルリーフを育ててくれたの?」
- フェア
- 「え?」
- ミルリーフ
- 「ミルリーフはママの本当の子供じゃないのに
すぐに泣いちゃうし悪い人たちにだって狙われていたのに
どうして優しいの?
今までずっと、守ってくれてきたの?」 - フェア
- 「なんでかな…言葉にしようとするとうまく言えないね
でも、気がついたらそれが当たり前だった
あなたのいない毎日が今じゃもう、考えられないくらいにね」 - ミルリーフ
- 「ありがとう、ママ
ミルリーフすごくうれしいよ
ミルリーフもママとおんなじだよ
それに…みんなも、きっとそうだって思う」 - フェア
- 「あ…」
- ミルリーフ
- 「それが、答えじゃないのかな?」
- フェア
- 「そっか…やっぱり、そうだね」
- ミルリーフ
- 「うん、きっとそうなんだよ!」
- フェア
- 「ありがと…ミルリーフ…あなたのおかげよ
わたしはもう迷ったりしないから…」 - ミルリーフ
- 「うんっ♪」
コーラル
- コーラル
- 「きっと・・・ ここに来るって思ってた・・・」
- フェア
- 「わたしも、ここで待っててくれると思ってた」
- コーラル
- 「答え、見つかった?」
- フェア
- 「正直に言うとね まだ、迷ってる
でも、動かなきゃ始まらないってのはわかったつもり
間違いに気づいたらすぐに正さないとね?」 - コーラル
- 「うん、当然かと
じゃあ、次は話してくれる番・・・だよね?」 - フェア
- 「うん・・・」
- コーラル
- 「素朴な疑問・・・
どうして、貴方はボクを、拾ったの?」 - フェア
- 「え?」
- コーラル
- 「身元不明、挙動不審 そのうえ、敵にまで狙われていて・・・
見捨てても、当然なのに、どうして守ってくれたの?」 - フェア
- 「なんでかな・・・ 言葉にしようとするとうまく言えないね
でも、気がついたらそれが当たり前だった
あなたのいない毎日が今じゃもう、考えられないくらいにね」 - コーラル
- 「ほら・・・ 貴方は、とっくに見つけてる・・・
わかってなくてもわかっているんだよ だって・・・
ボクが、その証拠!」 - フェア
- 「コーラル・・・
そっか・・・ やっぱり、そうだね」 - コーラル
- 「うん、だから心配しないで?
みんなも、きっとわかってくれてる」 - フェア
- 「そうだね・・・
ありがと・・・ コーラル・・・」 - コーラル
- 「お礼、いらない だって・・・
ボク、お母さんの子供なんだから!」
リシェル
- リシェル
- 「・・・っく、ひっく う、ううう・・・っ
!?」 - フェア
- 「こんなところにいたの
まったく・・・ ずいぶん捜したよ」 - リシェル
- 「あ、あんたこそ!? なに、もたもたしてたのよッ!?
黙ったまんまで部屋に閉じこもっていじけてたくせして
おかげで、みんな調子が狂っちゃったじゃない!?」 - フェア
- 「だったら、なんで さっきみたく、呼びに来なかったんのよ?
いつもみたいに なんで、怒鳴りつけなかったのよ!?」 - リシェル
- 「そんなの、できっこないじゃない!?
本気で落ち込んでいるあんたに、そんなことできないわよッ!?」 - フェア
- 「!?」
- リシェル
- 「みくび、らないでよ あたしは、ちゃんとわかってる・・・っ
あんたが、どれだけ苦しんでる、のか こわがってる、のか
あたしが・・・っ だれより、いちばんっ わかってる・・・っ」 - フェア
- 「リシェル・・・」
- リシェル
- 「なんでよぉっ!? なんで、あんたばかりそうなのよぉっ!?
ひどいじゃない!? 不公平じゃない!? う、ううぅ・・・っ。
うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 - フェア
- 「・・・落ち着いた?」
- リシェル
- 「う、ん・・・っ」
- フェア
- 「まったく、どうしてリシェルが泣くのよ
おかげで、わたし 泣き言なんか言えなくなっちゃったよ?」 - リシェル
- 「ゴメン・・・
でも・・・ イヤだったんだもん」 - フェア
- 「わたしが「響界種」だったことが?」
- リシェル
- 「違うわよっ!? そんなの、ちっとも気にしてないわよ
ただ、あんたがそれを変に気にして そのせいで・・・
どっかに行っちゃうのだけは、絶対にイヤだったんだもん」 - リシェル
- 「あたしは、ずっとあんたに甘えてた
あんた、優しいから 無茶なこと言っても実行しちゃうから
頼りっぱなしだった お姉さんぶってるクセして・・・
ちっとも、助けてあげてない・・・」 - フェア
- 「そんなことないよ?
リシェルは、充分助けてくれてるよ」 - リシェル
- 「でも・・・っ」
- フェア
- 「今だって、わたしの代わりに泣いてくれた
わたしが不安だったこと全部、先回りしてさ
関係ないって言ってくれた
こわがらなくてもいいって、わたしに教えてくれた」 - リシェル
- 「フェア・・・」
- フェア
- 「心配しないで わたしは、どこにもいかないわよ
わたしの居場所はここだけなの
いるべき場所であり いたい場所なの」 - リシェル
- 「・・・ホントに?」
- フェア
- 「確認しなくたってちゃんと知ってるでしょ?
わたしが、ウソつくの大嫌いだって、ね」 - リシェル
- 「・・・うんっ!」
ルシアン
- ルシアン
- 「びっくりしたよ
まさか、僕のところにフェアさんがたずねてくるなんて」 - フェア
- 「そんなにおかしい?」
- ルシアン
- 「ああ、そういう意味じゃなくてね、ほら
ねえさんが出かけてるから、てっきり一緒にいるのかなあって」 - フェア
- 「そっか、リシェルは留守にしてるんだ」
- ルシアン
- 「急ぎの用事なら、僕 捜してくるけど?」
- フェア
- 「ううん、いいのよ まとめてすむならって思っただけで
もともと、わたしはあなたに話を聞いてほしかったんだ」 - ルシアン
- 「僕に?」
- ルシアン
- 「じゃあ、やっぱり本当だったんだね
フェアさんが、「響界種」だったっていう話は・・・」 - フェア
- 「やっぱ、みんなも気がついてたんだ?」
- ルシアン
- 「セイロンさんからそれとなく、説明はしてもらってたんだ
ねえさんは、ムキになって否定してたけど」 - フェア
- 「まあ、あの子が戸惑うのも無理はないかなぁ
わたしだって、今でも混乱してるんだし」 - ルシアン
- 「信じられない?」
- フェア
- 「られない、じゃなくて たくない、って気分なんだけどね
正直、困ってる・・・」 - ルシアン
- 「え?」
- フェア
- 「このトレイユの町で地道に働きながらまっとうに生きる
そのつもりだったよ だけど、それはもう無理だって思ってる
「響界種」のわたしにそんなマトモな暮らしできっこ・・・」 - ルシアン
- 「そんなことないよ!? それって間違ってる!
「人間」ならよくって「響界種」だからダメ そんな考え方なんて
そんなの、全然 フェアさんらしくないよっ!!」 - フェア
- 「!」
- ルシアン
- 「だって、そうでしょ? いつものフェアさんだったら
そんな納得のいかないこと、絶対に認めたりしないじゃない!?」 - フェア
- 「あ・・・
そうだよ・・・ たしかに、今まではそうだった・・・
でも、だからってこんな時まで、強くはいられないよっ!?
わたしだって、普通の女の子なんだよっ!?」 - ルシアン
- 「フェアさん・・・」
- フェア
- 「こわいのよ・・・っ みんなに、きらわれて 仲間はずれにされて
ひとりぼっちに、されちゃったら、わ・・・わたし・・・っ」 - ルシアン
- 「・・・・・・
だいじょうぶだよ もし、そうなったなら
その時は、僕が絶対にフェアさんを守ってみせる!!」 - フェア
- 「え・・・」
- ルシアン
- 「僕には特別な力もないし、泣き虫で弱虫だけど・・・
でも、守ってみせる! だって、だって・・・
そのために、ずっと強くなろうと努力してきたんだから!!」 - フェア
- 「ルシ・・・アン・・・」
- ルシアン
- 「だから泣かないで、フェアさん 心配しないで
ひとりぼっちになんてさせないから、ね?」 - フェア
- 「う、うん・・・っ」
グラッド
- グラッド
- 「そうか・・・
こうして、じかに話されちまったら信じるしかないな
お前が「響界種」だったなんてなあ」 - フェア
- 「・・・・・・」
- グラッド
- 「だとしたら、まず礼を言わなくちゃいかんだろうな」
- フェア
- 「え?」
- グラッド
- 「トレイユを守る駐在軍人として感謝いたします!
本官、ならびに町の住人の命を救ってくださって
本当に、ありがとうございましたッ!!」 - フェア
- 「や、やめてよ!? そんな、大げさなことしてないってば!?」
- グラッド
- 「いや、こういうことはきちんと形式に則っておかないと・・・」
- フェア
- 「いいんだってば! わたしと、お兄ちゃんの仲でしょ?」
- グラッド
- 「まあ・・・ それもそうだよな?」
- フェア
- 「まったく・・・」
- グラッド
- 「それで、お前はどうするつもりだ?
やっぱ、ギアンの誘いを受けるのか?」 - フェア
- 「ううん、それはなんか違うって思ってる」
- グラッド
- 「なら、悩むことなんてないじゃないか」
- フェア
- 「そんなに単純なことじゃないよ!?
わたしはここにいたい でも、周りのみんなに迷惑が・・・」 - グラッド
- 「迷惑になるなんて誰が、お前に言った?」
- フェア
- 「え・・・」
- グラッド
- 「お前が一人でそう思い込んでる それだけだろ」
- フェア
- 「でも、普通に考えたら絶対に・・・」
- グラッド
- 「たしかにな
でも、そういう場合 真っ先に関わるのは駐在軍人の俺だ
なんとかしてやるよ だから、余計なこと心配すんなって!」 - フェア
- 「お兄ちゃん・・・」
- グラッド
- 「厄介事だったら慣れっこだしな それに・・・
俺とお前の仲だろ?」 - フェア
- 「で、でも・・・っ それじゃあ、ずっとお兄ちゃんに・・・」
- グラッド
- 「いいんだよ、それで
迷惑なんて考えるから悩んだりするんだよ
素直に甘えとけよ? 俺は、お前の兄ちゃんなんだからさ」 - フェア
- 「う・・・っ、うううっ うわあああぁぁっ!!
お兄、ちゃん・・・っ グラッド兄ちゃんっ!
うわああぁぁん!!」 - グラッド
- 「よくガマンしたな でも、泣きたい時は泣いてもいいんだ
いつだって、俺はお前の味方だからな」 - フェア
- 「う・・・ん・・・っ」
ミント
- ミント
- 「いらっしゃーい フェアちゃん
今、お茶もってくから座って、座って?」 - フェア
- 「ミントお姉ちゃん わたしがくることわかってたの?」
- ミント
- 「もちろんだよ
・・・ってウソウソ、ホントはね
オヤカタが気づいて 知らせてくれたの」 - フェア
- 「オヤカタが・・・」
- オヤカタ
- 「ムイムイッ!」
- ミント
- 「私はちっとも気づいていなかったけど
このコは、最初から君が何者なのか知ってたみたいね」 - フェア
- 「てことは、やっぱお姉ちゃんも、もう知ってるんだよね?」
- ミント
- 「うん・・・だけど ちゃんと、貴方から話してほしいな」
- フェア
- 「わかってる わたし、そのつもりでここに来たんだから」
- ミント
- 「あなたが「響界種」か うーん、やっぱりピンとこないなあ」
- フェア
- 「わたしだってそうだよ でも、ホントのことだから困ってる・・・」
- ミント
- 「どうして?」
- フェア
- 「みんながどう思うか それが、こわいの
嫌われたりしたらどうしよう、って考えちゃうから」 - ミント
- 「なるほど・・・
ねえ、おぼえてる?
私が、この町にやって来た日のこと」 - フェア
- 「忘れっこないよ あの日のことは」
- ミント
- 「びっくりしたよ 扉を開けたら貴方たちがいて
泥のおだんごで顔を真っ黒にされちゃって・・・」 - フェア
- 「追い返すつもりだった、あの時は
空き家だったここは わたしたちの遊び場だったから
なのに、お姉ちゃん 怒るんじゃなくて笑いだすんだもん」 - ミント
- 「でも、そのおかげで貴方たちとは、すぐに仲良くなれたよね
荷物を整理する時も 畑を作る時も、いつもお手伝いしてくれた」 - フェア
- 「友達になってあげる! とか、エラそうなこと言ってたなぁ」
- ミント
- 「でも、その言葉が私には、ものすごくうれしかったんだよ」
- フェア
- 「え?」
- ミント
- 「ほら、私よそ者で しかも「蒼の派閥」の召喚師じゃない?
来たばかりの頃は町の人たちとあんまりなじめなかったんだ」 - フェア
- 「ウソだぁ!?」
- ミント
- 「ウソじゃないよ こっそり、めそめそ泣いたりしてたし
でも、貴方たちが毎日のように遊びにきてくれたから
がんばらなきゃって自分に言い聞かせてこれたんだよ」 - フェア
- 「そうだったの・・・」
- ミント
- 「私が、ここにいるのはフェアちゃん、貴方たちのおかげなの
仲良くなれてよかったなあって今でも思ってる
貴方が「響界種」でもそれは変わらない」 - フェア
- 「あ・・・」
- ミント
- 「フェアちゃんはフェアちゃん そうでしょ?」
- フェア
- 「お姉ちゃん・・・」
- ミント
- 「まだ、こわいかな?」
- フェア
- 「・・・ううん もう、へっちゃら!
ありがとう ミントお姉ちゃん」 - ミント
- 「じゃあ、一緒に みんなのとこに行きましょうか?」
- フェア
- 「うんっ!」
リビエル
- リビエル
- 「あ・・・」
- フェア
- 「元気?」
- リビエル
- 「・・・・・・っ
バカバカバカバカっ! 貴方、どれだけみんなに心配かけさせたか
ちっとも、全然 カケラもわかってないでしょ!?」 - フェア
- 「ぐ・・・っ」
- リビエル
- 「深刻な顔して、部屋に閉じこもったっきり不安にさせといて
なにが「元気」よ ふざけるにも、ほどがありますわよっ!?
どうしたらいいのか真剣に考えていたのがバカみたい・・・っ
泣いたりして・・・ ホント、バカそのものじゃないの・・・っ」 - フェア
- 「悪かったわよ、ゴメン 心配かけて・・・
ちゃんと反省するから だから、リビエル
話を聞いてよ? そのために、わたしはここに来たんだから」 - リビエル
- 「まあ・・・ そういうことでしたら 仕方ありませんわね
お説教は後回しにして 聞いてさしあげますわ」 - リビエル
- 「そうでしたの・・・ だとしたら、悩むのも当然かもしれない
ごめんなさい・・・ 怒鳴りつけたりして」 - フェア
- 「いいんのよ あなたが言ったとおりだったんだしさ
叱られて当然だよ むしろ、おかげですっきりしたわ
ありがとう」 - リビエル
- 「うふふっ、怒鳴って感謝されるだなんて へんてこですわね?」
- フェア
- 「あははっ、そうかも」
- リビエル
- 「それで、貴方はどうするつもり?」
- フェア
- 「はっきりした答えは まだ、出せないよ 迷ってる・・・」
- リビエル
- 「想いは・・・至源なり・・・」
- フェア
- 「え?」
- リビエル
- 「始原の界の意思は、想いにて界を成し 生命を育みたもう
故に、万物は想い 万事もまた、想い
想いこそ、始原なり 世の理の輪を回すのは
至源にして、無限の想いの力なり・・・
「エルゴ碑文」という古い伝承の一節ですわ
わかりやすく言えばね 想いは、全てを変えてしまうということ」 - フェア
- 「想いが、全てを・・・」
- リビエル
- 「答えを探しているから貴方は迷っているの そうじゃなくて
かなえたい想いを答えにしなさいな」 - フェア
- 「!」
- リビエル
- 「強く望めば、きっとそれは現実になる
大変かもしれないけど それでも、貴方が努力し続けるなら・・・
私は、それをかなえる手助けをしてあげる
それが、天使の本分というものだしね?」 - リビエル
- 「リビエル・・・」
- リビエル
- 「どう、ちょっとはお役にたてた?」
- フェア
- 「ちょっとどころか すごく、助けになってくれたよ
ありがとう、リビエル
あなたのおかげでわたし、もう迷わずにすみそう!」 - リビエル
- 「うん、上出来ですわよ」
セイロン
- フェア
- 「ねえ、セイロン あなたは最初から気づいてたの?
わたしが、その・・・ 「響界種」だってこと」 - セイロン
- 「ああ、前もって話は聞いておったよ」
- フェア
- 「前もって???」
- セイロン
- 「おやおや、すっかり忘れているようだな
我は、そなたの父君と会っておるのだぞ?」 - フェア
- 「あーっ!?」
- セイロン
- 「そなたの父君が先代の守護竜をたずねられたそもそもの理由はな
至竜の生き血を求めてのことだったのだよ」 - フェア
- 「生き血って・・・ なんで、そんなものを」
- セイロン
- 「幽角獣の角と同様に、至竜の血も万病に効く秘薬になるのだよ
授かった「響界種」の能力が強すぎるせいで 愛娘が苦しんでいる
救うために、生き血をどうか、わけてほしい
父君はそう言ったのだ」 - フェア
- 「エリカのために・・・」
- セイロン
- 「対価として、父君は先代の望みをかなえてくれたのだよ」
- フェア
- 「なんで、そのことを黙ってたのよ!?」
- セイロン
- 「話せば、店主殿の出生の秘密に触れてしまう」
- フェア
- 「あ・・・」
- セイロン
- 「それに、半信半疑でもあったからな
腕輪の封印とやらは そなたの能力を押さえ込んでおった
親心がさせたのだろう そう思うと、余計に言い出せなかった
すまなかったな」 - フェア
- 「・・・いいよ どのみち、いつかはこうなってたんだし
あなたを責めるのはスジ違いだよね、うん」 - セイロン
- 「強いな、そなたは」
- フェア
- 「そうでもないよ? 今だって、みんなに会うのがこわいし
油断してると・・・ 泣いちゃいそうでさ あ、あはは・・・っ」 - (セイロンがフェアを抱きしめる)
- フェア
- 「あ・・・」
- セイロン
- 「心配するな・・・ そなたは、けして孤独にはならぬ
たくさんの仲間がいる そして、我も・・・」 - フェア
- 「セイ・・・ロン・・・」
- セイロン
- 「そなたは、我らを身内と言ってくれた
ならば、我らにとっても、そなたは大切な身内だ
身内を守るためなら 迷いなどあるものか
だから・・・ フェア
そなたは、我が守る 命にかけても!」 - フェア
- 「うん、ありがとう セイロン・・・」
アロエリ
- アロエリ
- 「前の時とは、立場が正反対みたいだな?」
- フェア
- 「ああ、そういえばクラウレのことでもめた時も
ここで、あなたを見つけたんだっけ」 - アロエリ
- 「ああ、あの時はもう最悪だった・・・
まあ、過ぎたことはどうでもいいことだ
それよりも、今は貴様のことが問題だ」 - フェア
- 「うん・・・」
- アロエリ
- 「そうか、貴様もまた「響界種」だったか」
- フェア
- 「アロエリからすればあんまり、いい印象じゃないでしょ?
敵であるギアンの同類ってことだし」 - アロエリ
- 「・・・・・・」
- (ドカッ!)
- フェア
- 「あいたっ!?」
- アロエリ
- 「バカ者め、それを偏見というんだ!
貴様もギアンもたしかに「響界種」という点では同じだ
しかし、それならばエニシアやポムニットだって同じだろう?
オレは、少なくともアイツらを憎んだりしてはいないぞ?」 - フェア
- 「た、たしかに・・・」
- アロエリ
- 「別々のものをまとめてひとくくりにするからおかしくなるんだ
なんのために名前があると思っている?」 - フェア
- 「え・・・」
- アロエリ
- 「「ギアン」は敵で「響界種」だがな
「響界種」が敵だというつもりはない 同じように・・・
なにより先に、貴様は「フェア」だろうがッ!?」 - フェア
- 「!?」
- アロエリ
- 「貴様が貴様だからここにいる連中は共に戦ってきたんだ
貴様自身が、貴様であろうとすることをやめない限りは
なにも変わらない そうじゃないのか?」 - フェア
- 「ぷっ、くくく・・・っ あははははははっ!!
そうだよね? うん、あなたの言うとおりなんだよね
わたしはわたしなんだ なにがどうなったって それは変わらない」 - アロエリ
- 「そんな簡単なことを忘れるから、貴様はバカ者なんだ
情けない・・・」 - フェア
- 「うん、そうだよね みっともないなぁ」
- アロエリ
- 「まあ、それもまた貴様らしさだがな」
ポムニット
- ポムニット
- 「お部屋でじっとしているのは、もうあきちゃいましたか?」
- フェア
- 「ポムニットさん・・・」
- ポムニット
- 「でしたら、ちょっとわたくしにつきあってくださいませんか?
すこし、お話したいことがあるんですよ」 - フェア
- 「うん、わたしもポムニットさんに話したいことがある」
- ポムニット
- 「じゃあ、決まりですね」
- ポムニット
- 「じゃあ、やっぱり おじょうさまたちを助けてくれたのは
フェアさんだったんですねえ」 - フェア
- 「わたしじゃないよ 母さんが、助けてくれただけ・・・」
- ポムニット
- 「それでも、貴方がいなかったら、奇跡は起こらなかったはず
ありがとうございます 本当に感謝してますよ」 - フェア
- 「うん、でもね・・・ これで、みんなにもバレちゃったよね
わたしは「響界種」で人間じゃないって」 - ポムニット
- 「ええ、そうですね わたくしとおんなじ「響界種」です
でも、それだけのことですよね?」 - フェア
- 「それだけ、って・・・」
- ポムニット
- 「そう言ったのはフェアさんじゃないですか?」
- フェア
- 「!?」
- ポムニット
- 「半魔であると知られて わたくし、ここから逃げようとしました
みなさんに迷惑をかけたり、傷つけることがこわくて
でもね・・・ 本当に一番こわくてたまらなかったのは
大好きな人たちに仲間はずれにされることだったんです」 - フェア
- 「同じだ・・・ 今の、わたしと・・・」
- ポムニット
- 「貴方に怒られて 引き止めてもらえてうれしかった・・・
だから、今度は わたくしが、貴方を叱ってあげます!
逃げちゃダメです! 貴方の居場所はここにあるんですから!
それに・・・ わたくしは、貴方にここにいてほしい
みなさんも、きっとそう思ってるはずです だから・・・
どうか、信じてあげてくださいまし!?
もしも、それができないというのでしたら・・・
わたくしを引き止めた責任、今すぐとってくださいまし!?」 - フェア
- 「ポムニットさん・・・」
- ポムニット
- 「えうっ、うう・・・っ ううう・・・っ」
- フェア
- 「泣かないでよ わかったから、わたし わかったから」
- ポムニット
- 「どこにも・・・っ いか、ない・・・っ です・・・か?」
- フェア
- 「うん、いかないよ ここが、わたしの居場所なんだから
ここにいたいの だから、そうする!
それでいいんだよね ポムニットさん?」 - ポムニット
- 「は、はい・・・っ!
それでいいんです ええ、それだけでいいんです・・・」
シンゲン
- シンゲン
- 「おや、岩戸は開いたようですね」
- フェア
- 「え?」
- シンゲン
- 「鬼妖界に伝わる昔話のことですよ
お天道さまがお月さまにからかわれて
すねて、洞窟に閉じこもったから夜ばっかり続いて
みんなが、大層困ったってお話です」 - フェア
- 「・・・」
- シンゲン
- 「旅芸人が洞窟の前でにぎやかに歌って踊ってみせるとね
もともと、明るいお天道さまは、ついつられてしまって
岩戸を開けて一緒になって騒いでるうちに
自分がすねていたことも、けろりと忘れたそうですよ」 - フェア
- 「もしかして・・・ その旅芸人の役をやりたかったとか?」
- シンゲン
- 「いえいえ、自分にはそこまでの芸はございませんよ
岩戸をぶったぎって引きずり出すくらいがせいぜいですね」 - フェア
- 「!?」
- シンゲン
- 「でもまあ、御主人は出てきてくれましたし
それでいいじゃございませんか?」 - フェア
- 「う、うん・・・」
- シンゲン
- 「それで、悩みごとは解決したんですか?」
- フェア
- 「正直に言うとね まだ、迷ってる
でも、閉じこもってもなんともならないってことだけはわかった」 - シンゲン
- 「なるほどね・・・
だったら、それでもういいじゃありませんか」 - フェア
- 「え?」
- シンゲン
- 「悩んだままでもいいってことですよ」
- フェア
- 「でも・・・」
- シンゲン
- 「答えは、あとからついてくるもの
御主人は、今までずっとそうしてきたじゃないですか?」 - フェア
- 「あ・・・・」
- シンゲン
- 「やりたいようにやればいいんです 夢中になっていれば
悩んでいたことさえけろりと忘れるかもしれないんですし」 - フェア
- 「シンゲン・・・」
- シンゲン
- 「まあ、なんであれ 自分は、貴方のことを気に入ってますし
とことん、ついていくつもりですから 楽しめるうちはね」 - フェア
- 「そっか・・・ なら、楽しめるようにしていかないとね?」
- シンゲン
- 「ええ、是非そう願いたいですな」
- フェア
- 「だけど、どうしてわたしをそんなに買ってくれてるの?
無茶ばかりしてる世間知らずな子供なのに・・・」 - シンゲン
- 「無茶さえできない世慣れた大人よりはずっとマシですよ
それに・・・」 - フェア
- 「それに?」
- シンゲン
- 「ゴハンを炊くのが上手ですから♪」
- フェア
- 「あ、あのねぇーっ!?」
- シンゲン
- 「いやいや、ホント 重要ですから、これ
お嫁にもらうのなら必須条件ですよ」 - フェア
- 「え・・・」
- シンゲン
- 「言ったでしょ? 自分は、貴方のこと気に入ってるって」
- フェア
- 「えっ? えっ??? えええぇぇーっ!?」
- シンゲン
- 「ぷ・・・っ、くくっ あはははははっ!!」
- フェア
- 「か・・・っ からかうなんてっ ひどいよぉっ!?
もう、知らないっ!!」 - (ギィィ・・・バタン)
- シンゲン
- 「やれやれ・・・ たしかに、御主人はまだまだ子供ですな
冗談ですますのも駆け引きのひとつ なんですがね・・・」
アカネ
- アカネ
- 「おっ、ようやく 出てきたな?」
- フェア
- 「あははは・・・ うん、心配かけてゴメンね」
- アカネ
- 「どっちかっつーと そのセリフはさあ あたしより先に
つきあいの古い連中に、言うべきじゃないの?」 - フェア
- 「それは、もちろんわかってるけど でも・・・」
- アカネ
- 「・・・こわいんだ?」
- フェア
- 「うん・・・」
- アカネ
- 「まあ、せっかくのご指名みたいだしさ
あたしでよけりゃ話してごらんよ?」 - フェア
- 「じつわね・・・」
- アカネ
- 「ふーん・・・ やっぱ、その手の悩みごとだったわけかあ」
- フェア
- 「気づいてたの?」
- アカネ
- 「そりゃあ 気づくっしょ?
あたしも、目の前で奇跡ってのを見てるワケだしさ
ああいうのは、何度見ても、慣れるもんじゃないけどね」 - フェア
- 「何度、って・・・ アカネは、他にも見たことあるの!?」
- アカネ
- 「うん、あるよ そういう友達、やたら多いんだよねえ」
- フェア
- 「友達なんだ・・・」
- アカネ
- 「そ、友達だよ
ぴかーって光ったり やたら不死身だったり 無敵なんだけどさあ
それでけのこと みんな、気のいい連中 一緒にいて楽しいし
だから、長いことつきあっていられるんだろうなあ・・・」 - フェア
- 「・・・・・・」
- アカネ
- 「もう、わかったよね?」
- フェア
- 「・・・うんっ!」
- アカネ
- 「人のつながりなんか 結局は、好きか嫌いかそれだけなんだよね
理由なんか後づけだし 難しく考えても、なるようにしかならない」 - フェア
- 「だよね」
- アカネ
- 「自信もちなって! あたしは、店長のこと嫌いじゃないしさ」
- フェア
- 「ありがとう、アカネ わたし、難しく考えすぎてたんだね?」
- アカネ
- 「そーゆーこと♪」
セクター
- セクター
- 「いらっしゃい フェアくん」
- フェア
- 「あの、先生・・・ わたし・・・」
- セクター
- 「みなまで言わずとも まあ、大体のところは察してるつもりだよ」
- フェア
- 「わたし・・・っ!?」
- セクター
- 「急くことはないよ ちゃんと座って落ち着きなさい
お茶でも飲みながらゆっくりと話をしよう」 - セクター
- 「そうか、君はやはり「響界種」だったか」
- フェア
- 「わたし、なんだかワケがわかんなくなっちゃって・・・
みんながこのことを知ったら、どんな顔するかって思うと
こわくて・・・」 - セクター
- 「本当にそっくりだね」
- フェア
- 「え?」
- セクター
- 「融機兵士であることを隠していた時の私とね」
- フェア
- 「あ・・・」
- セクター
- 「私も、ずいぶんと悩んだりしたものだよ
正体がバレた時にはどうなってしまうのか
まして、私の存在は軍にとっての機密で 汚点でもあるからね
抹殺される可能性もないとはいえないし
でもね、今にして思い返してみると
本当に苦しかったのは 隠し続けるという行為そのものだったんだ」 - フェア
- 「!」
- セクター
- 「他人をあざむくことはできても、自分は絶対いつわれないからね
罪悪感は消せない 心は傷を負うばかりでいつか裂けてしまう」 - フェア
- 「先生・・・」
- セクター
- 「それでも、私には隠すしかなかった でもね・・・
フェアくん 君はそうじゃない
今日までずっと この町で暮らしてきた日々がある
たくさんの人とのつながりがある そうだろう?」 - フェア
- 「うん・・・」
- セクター
- 「こわいのはわかる 私だってそうだった
でも、君から勇気をもらって、ようやく私は、私になれた
君はね、とっくに証明しているんだよ
人が人を想う気持ちは どんな空白も埋めてくれるということを
私が、その証人だ」 - フェア
- 「・・・うんっ!」
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