ここのつ様
第4話
- ディラン
- 「ファング。」
- ファング
- 「よお、ディラン。もしかして、誰かと待ち合わせか?
だとしたら、オレ、ジャマしちまってるな。」 - ディラン
- 「いや、そんなんじゃないよ。気にしないでくれ。
そうだ、ファング。聞きたい事があったんだ。
どうして、ローングランドを離れて、俺達に力を貸す気になったんだ?」 - ファング
- 「そーだな。一言で言えば、放っとけなくなったんだよな。
一緒に行動して改めて分かったが、お前らかなりヤバイ状況だぜ。
帝国の皇子と、セレスティアの王女。この二人を帝国が放っとくはずがない。
そう考えると、ローングランドに戻ってる場合じゃないって思ってな。」 - ディラン
- 「俺達と一緒にいれば君にまで危険が及ぶかもしれない。
それでもいいのか?」 - ファング
- 「おいおい、この片翼のファング様をなめるなよ。
危険とスリルは大歓迎だぜ。」 - ディラン
- 「そうか、ありがとう。ファング。
君が力を貸してくれる事、すごく心強い。
これから、よろしく頼む。」 - ファング
- 「ああ、こっちこそな。」
- ファング
- 「お前の事が、放っておけないだけさ。」
第5話
- ディラン
- 「ファング。」
- ファング
- 「よお、ディラン。まだ起きてたのか?」
- ディラン
- 「ファングこそ。」
- ファング
- 「オレは、見張りの交代の時間なんだ。
あんな事があったからな。これまで以上に、見張りを強化してるんだ。
もうアークランドを召喚獣だらけにされるのはゴメンだぜ。」 - ディラン
- 「だったら、俺も一緒に行こう。」
- ファング
- 「いいっていいって。
ここは翼のあるオレらに任せとけよ。」 - ディラン
- 「でも、ローングランドに頼りっぱなしは良くない。だから・・・。」
- ファング
- 「ディラン。これは、オレたちの仕事なんだ。
あんたは、あんたにしかできない事をやってくれればいい。」 - ディラン
- 「俺にしかできないこと?」
- ファング
- 「そうだ。それが何なのかは、頭の悪いオレには分からないけどな。
じゃあな、早く寝るんだぜ。」 - ディラン
- 「俺にしか、できない事・・・か。そんなものがあるんだろうか?」
- ファング
- 「あんたにしかできない事があるんだぜ。」
第6話
- ディラン
- 「ファング。」
- ファング
- 「おいおい、早く寝た方がいいんじゃねえか
明日は大変だぜ。」 - ディラン
- 「ああ、分かってるよ。すぐに寝るつもりだ。」
- ファング
- 「それにしても、ディラン。
お前って、スゲー奴だよな。オレ、正直驚いたぜ。」 - ディラン
- 「え?」
- ファング
- 「王都に潜入して情報を集めて、あんな計画を立てちまうんだから。
しかも、みんなを説得しその気にさせちまった。
本当に大したもんだよ。」 - ディラン
- 「おだてたって何も出ないぞ。ファング。」
- ファング
- 「おだててんじゃねーよ。本当にそう思うんだ。
お前には、人の上に立つ、素質ってゆーか何かがな。
だからこそ、オレはお前の作戦に乗ったんだ。
明日は、一緒に大暴れしてやろうぜ。
帝国の連中に一泡も二泡も吹かせてやるんだ。」 - ディラン
- 「ああ、頼りにしてるよ。ファング。」
- ファング
- 「お前になら、俺の命、預けられるぜ。」
第7話
- ディラン
- 「ファング。」
- ファング
- 「よっ、国王様。夜ふかしは体に毒だぜ。」
- ディラン
- 「やめてくれよ、ファング。
まだ引き受けるかどうか決めてないんだから。」 - ファング
- 「悪い悪い、つい、調子にのっちまった。
だけどよ、そんな、固っ苦しく考えなくていーんだぜ。
別に国王だからって、何もかも決めなきゃならないわけじゃない。
みんなで決めて、みんなで行動すりゃいい。
これまでとなんら変わらないじゃないか。」 - ディラン
- 「そう言われると、そうかもしれないな。」
- ファング
- 「だろ?相談だったら、いくらでも受けつけるからよ。
みんなで一緒に、がんばってこーぜ。
おっと、オレも寝なきゃな。明日から忙しそうだし。
じゃーな、いい返事を待ってるぜ。」 - ディラン
- 「(ありがとう、ファング。おかげで、決心がついたよ)」
- ファング
- 「ま、気楽にいこうぜ、王様。」
第8話
- ディラン
- 「ファング。」
- ファング
- 「ひゃ~~~、さみ~~~。
ディラン、よくこんな寒いとこいられるよな。
ううう、オレに残された片羽根が、凍ってもげちまいそうだぜ。」 - ディラン
- 「ファング、こんなこと聞いて気を悪くしたら謝るけど・・・。」
- ファング
- 「オレの左の羽根はどうしたか? だろ。」
- ディラン
- 「事故か何かなのか?」
- ファング
- 「違うよ。召喚戦争の時、帝国の奴に斬り落とされたのさ。」
- ディラン
- 「えええっ!そんな、その時代なら、ファングはまだ子供じゃないか!」
- ファング
- 「ああ、子供さ。でも、そんな子供のオレにも、
容赦なく刀は振り下ろされた。」 - ディラン
- 「すまない、ファング。聞くべきじゃなかった。」
- ファング
- 「いいって、そのうち自分から話すつもりだったしな。
こんなだから、最初は満足に飛べずに、みんなにバカにされたさ。
でも、必死になって鍛えて、
今じゃローングランドで一番速く飛べるんだぜ。」 - ディラン
- 「それはスゴイな。感心するよ。」
- ファング
- 「どんな絶望からも、必ず這い上がれる。
それが、オレがこの片羽根から学んだ事さ。
じゃーな、ディラン。カゼひく前に、宿に戻るんだぜ。」 - ディラン
- 「(どんな絶望からも、必ず這い上がれる
いい事を教わった気がする。ありがとう、ファング)」 - ファング
- 「どんな困難でも、跳ね除けてやろうぜ。」
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