【夜会話】ザイツ(ファラVer.)

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第7話

ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「まだ、起きていたのか。ファラ王女。
女王になるかどうか、悩んでいるのか?」
ファラ
「ザイツさんはどう思います?私なんかが女王になって大丈夫でしょうか?」
ザイツ
「そうだな、軍人としての見解を言わせてもらおう。
今の帝国、皇帝グロッケンに対抗するには、あなたでは、あまりにも頼りなさすぎるだろう。」
ファラ
「そうですよね、やっぱり。」
ザイツ
「しかし、それでも俺はあなたに女王になって欲しいと思う。」
ファラ
「えっ!?どうしてですか?」
ザイツ
「俺を、帝国という呪縛から解き放ってくれた、ファラ王女。
俺は、あなたの下で戦いたいのだ。」
ファラ
「ザイツ…さん。」
ザイツ
「すまないな、おかしな事を言ったかもしれん。」
ファラ
「いいえ、ザイツさんにそう言ってもらえるなんて。私、すごく心強いです。」
ザイツ
「よく考えて、返事をする事だ。
失礼する。」
ファラ
「(ありがとうございます。私、決心がつきました)」
ザイツ
「あなたのために、戦わせてくれ。」

第8話

ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「ファラ女王。まだ、起きていたのか。」
ファラ
「ザイツさんも、眠らないんですか?」
ザイツ
「俺は、グラナードの事を考えていた。
まさか、あんな方法で召喚獣を定着させるとはな。
しかも、ノイン王子を洗脳し利用しているとは…。」
ファラ
「お兄様を洗脳したのは、あのグラナードという男なんでしょうか?」
ザイツ
「ああ、おそらく間違いないだろう。
そんな小細工ができるのは、あの男以外にありえない。
恥ずべき行為だ。元帝国の将軍として、俺は激しく嫌悪する。
俺が謝ってすむ事ではないが、本当にすまない。ファラ女王。」
ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「しかし、希望はある。
先の戦いの時、ノイン王子は自分を取り戻しかけていた。次は、ラディウスにジャマはさせない。
この俺が、必ずノイン王子を助けよう。
王国のため、そして、ファラ女王、あなたのために。」
ファラ
「ありがとう…、ありがとう、ザイツさん。」
ザイツ
「俺にできる事ならば、何でもしよう。」

第9話

ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「ファラ女王か。」
ファラ
「ザイツさん、大丈夫ですか?高い所、苦手みたいでしたけど…。」
ザイツ
「ああ、大分慣れた。心配してくれて感謝する。
しかし、あなたには情けないところを見られてしまった。」
ファラ
「そんなの気にしなくてもいいですよ。」
ザイツ
「いや、そういうわけにもいくまい。
もし、こういった高い場所にいる時に敵に襲われたら、大変だからな。」
ファラ
「だったら、そういう時は私がザイツさんを守ってあげますよ。」
ザイツ
「えっ!?」
ファラ
「守られっぱなしは申しわけないと思うし…。
それに、仲間なんですから助け合わないと。」
ザイツ
「フフフ、武人として生きてきたが、そんな事を言われたのは初めてだ。」
ファラ
「あ、すみません。気を悪くしちゃいましたか?」
ザイツ
「いや、そんな事はない。むしろ、うれしく思っている。
その時は、頼む。そう言うべきなのだろうな。」
ファラ
「はい、任せてください。ザイツさん。」
ザイツ
「俺を守ると言ったのは、あなたが初めてだ。」

第10話

ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「だいぶ、高い所にも慣れたようだ。
考え事をする余裕ができたのだからな。」
ファラ
「何を考えてたんですか?」
ザイツ
「帝国が、何のためにマナの門を破壊したかだ。
その意図が、まるで想像がつかない。」
ファラ
「確かにそうですよね。」
ザイツ
「少なくとも、帝国の民が望んでいる事ではないな。」
ファラ
「えっ?」
ザイツ
「意外かもしれないが、帝国の民のほとんどは戦いを望んでいない。
陛下が恐ろしくて口には出せないだろうが、王国との和平を望んでいるはずだ。
ファラ女王、身勝手な頼みではあるが聞いてくれ。
もし、戦いに勝利した後は帝国の民を苦しめないで欲しいのだ。」
ファラ
「そんなの、当たり前じゃないですか。
誰も悲しい思いをしない世界を、私は目指してるんです。」
ザイツ
「ありがとう、ファラ女王。
あなたのような方の下で戦える事を、俺は誇りに思う。」
ザイツ
「あなたなら帝国を変える事ができる。」

第11話

ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「ファラ女王。まだ、起きていたのだな。
良かった、これで礼が言える。」
ファラ
「礼?」
ザイツ
「帝国の脱走兵を、快く受け入れてくれたこと、感謝している。
追い返されたり捕虜にされたりしても、文句は言えない身なのにな。」
ファラ
「そんな事ありません。
みんな、自分の国の間違いを認めて、来てくれたんです。
それって、すごく勇気のある決断だと思います。
そんな彼らを、追い返したりなんかできません。」
ザイツ
「あなたは本当に優しい方だ。
あなたの下には、これからもたくさんの兵がついていく事だろう。
これまで、人の上に立つ者に必要なのは、圧倒的なまでの力だと俺は思ってきた。
だが、それは間違っていたようだ。
あなたのような方に、出会えて良かった。」
ファラ
「ザイツ…さん。」
ザイツ
「脱走兵達の活躍は期待していてくれ。
自分達の祖国の間違いを正すため、全力で戦うだろう。もちろん、この俺もそうだがな。」
※ザイツ去る
ファラ
「私も、ザイツさんと出会えて良かったです。」
ザイツ
「あなたは優しく、本当に強い方だ。」

第12話

ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「ファラ女王、まだ起きていたのだな。」
ファラ
「ザイツさん、今日は本当にごめんなさい。
勝手に、城を飛び出したりしてしまって。」
ザイツ
「いや、いくら帝国のワナが心配だったとはいえ、
ノイン王子の情報を前に足踏みをした俺も悪かった。こちらこそ、謝ろう。
ときに、ファラ女王。兄であるノイン王子が戻ってきたからには…。
やはり、国王の座をゆずり渡すつもりなのか?」
ファラ
「はい、最初からそのつもりでしたから。」
ザイツ
「そう…か。」
ファラ
「お兄様が国王になると、何か良くない事があるんですか?」
ザイツ
「いや、そんな事はない。
王国の民の士気を上げるためにも、ノイン王子が国王となるのが一番だろう。
ただ、この俺が少し残念に思っただけだ。
できれば、これからもあなたの下で、戦い続けたかったから。」
ファラ
「えっ…。」
ザイツ
「フッ、忘れてくれ。おかしな事を言ったな。
誰が国王となろうと、この国のために戦うと誓った気持ちは変わらない。
これからも、全力を尽くす事を約束しよう。」
ザイツ
「これからも、あなたの為に力を尽くそう。」

第13話

ファラ
「ザイツ…さん。」
ザイツ
「ここにいたのか、ファラ女王。」
ファラ
「ごめんなさい。勝手にお城を出てしまって。」
ザイツ
「仕方ないだろう。あんな事があったのだからな。」
ファラ
「本当に、優しいお兄様だったの。
いつだって、私の事を心配してくれてね。
それは、最後まで変わらなかった。
私を安心させようと、ムリして笑顔まで見せてくれて…。」
ザイツ
「それは、少し違うと思う。」
ファラ
「えっ?」
ザイツ
「あなたの兄、ノイン王子が見せた笑顔、あれは、本物だったと思う。
あの時、ノイン王子は満足していたんじゃないだろうか?
大切な妹であるあなたを、守れた事に。」
ファラ
「お兄…様。」
ザイツ
「俺には、その気持ちがよく分かる。
あなたを守りたいという気持ちは、俺も同じだからな。
ファラ女王がここにいる事は、しばらくみんなには黙っていよう。
気持ちの整理がついたら、戻ってくるといい。」
※ザイツ、背を向けて数歩移動
ザイツ
「あなたを信じ、俺はいつまでも待っている。」
※ザイツ去る
ファラ
「ありがとう、ザイツさん。」
ザイツ
「俺もあなたを、守りたい。」

第14話

ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「ファラ女王も、さぞや驚いたのだろうな。
ラディウスの正体が、ディラン皇子の双子の弟だという事に。」
ファラ
「はい、想像もしてませんでした。
ザイツさんは、知ってたんですか?」
ザイツ
「知っていたら、こんなに驚いてはいない。
皇子が双子だったなどと、聞いた事もなかった。」
ファラ
「そうなんですか。」
ザイツ
「知っていたのは、王宮のごく一部だけ…。
それ以外には、ずっと秘密にされてきたのだろう。」
ファラ
「でも、それって可哀相な事ですね。
まるで、自分の存在を認められていないみたいで。」
ザイツ
「あなたは本当に優しい方だ。
その優しさが、ラディウスの心に通じれば良いのだが…。
フン、俺らしくもないな。こんな事を考えるなんて。
あなたと一緒にいて、俺も少し優しい心を持つようになったのかもな。」
ファラ
「ううん、ザイツさんは最初から優しい人でしたよ。」
ザイツ
「フフフ、帝国の将軍として恐れられていた俺が、そんな事を言われるとは。
でも、悪くない気分だ。」
ザイツ
「あなたがこの俺を変えてくれたんだな。」

第15話

ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「眠れないようだな、ファラ女王。」
ファラ
「明日の戦いで、すべてが終わります。
私たちにとっては、負けられない戦い。
そう思うと…、不安で不安でたまらなくなるんです。
こんなんじゃ、ダメですよね。私が女王なんだから、しっかりしなくちゃなのに。」
ザイツ
「そんな事はない、未来を背負った戦いだ。不安になるのは当然だ。
もちろん、この俺もな。」
ファラ
「えっ、ザイツさんが!?」
ザイツ
「俺の心も、決して鉄でできているわけではないからな。
だけど、それは恥じる事ではないと俺は思う。
この不安は、絶対に負けられないという強い想い。
その、裏返しなのだからな。」
ファラ
「…そうですね。」
ザイツ
「あなたの言うとおり、この戦いが最後となるだろう。
だから、これだけは言っておきたい。
俺に、意義のある戦場を与えてくれた事、心から感謝している。
ありがとう、ファラ女王。」
ザイツ
「あなたの為に戦える事が、俺の誇りだ。」

第16話

ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「ついに、終わったな。ファラ女王。
思えば、厳しい戦いの連続だったが、ついに勝利を手にした。
心からの賛辞を、あなたに送りたい。」
ファラ
「ザイツさん、あなたが力を貸してくれたおかげです。
そうじゃなかったら、とてもこんなところまでこられませんでした。
ありがとう、ザイツさん。」
ザイツ
「俺には、もったいない言葉だな。」
ファラ
「ザイツさんは、やっぱり帝国に残るんですよね。
ディランが、新しい帝国を作る手助けをするんですよね。」
ザイツ
「本来ならば、そうすべきなのだろうな。
しかし、恥を覚悟であなたに頼みたい。
このまま、王国へ連れていってもらえないか?
ファラ女王、俺はあなたに忠誠を誓った。
これからも、それを貫きたいと思う。
あなたの側にいる事が、今の俺の願いなのだ。」
ファラ
「ザイツさんがそう言ってくれるなら、私は大歓迎です。
これからも、私に力を貸してくださいね。」
ザイツ
「感謝する、ファラ女王よ。」
ザイツ
「あなたの側にいる事が、俺の願いだ。」

第17話

ファラ
「ザイツさん。」
ザイツ
「帝国の次は、女神クラヴィスか。
なかなか、戦いから解放してはもらえないな。」
ファラ
「でも、私は思うんです。これは、運命じゃないかって。
かつて、女神クラヴィスと争った女神ファーライトの魂が、私には宿っています。
そんな私が、再びクラヴィスと対決する事になったのだから。」
ザイツ
「俺は、そうは思わない。」
ファラ
「えっ?」
ザイツ
「ファラ女王、あなたは平和を愛し、戦争を終わらせようと全力で闘った。
あなたのその強い想いと、すべての民に対する愛がここに導いたのだと思う。
女神ファーライトの魂が宿っている事、それを重荷に思う必要はない。
あなたはあなたの信念で、最後の戦いを迎える。それだけの事なのだから。」
ファラ
「ザイツ…さん。」
ザイツ
「皇帝の野望を満足させるためだけに戦っていたこの俺に、
人々を守るための戦場を与えてくれた事を、心から感謝している。
だからこそ、明日は生涯最高の働きをお見せしよう。
この俺が心を許したただひとりの女性であるあなたのために。」
ファラ
「ザイツさんに、そんな事を言ってもらえるなんて、とてもうれしいです。
最後の戦いを終わらせて、一緒に戻ってきましょう。必ず。」
ザイツ
「ああ、必ず。」
ザイツ
「俺が心を許せるのは、あなただけだ。」

エンディング

ザイツ
「ファラ女王、ただ今、帝国より戻った。
手紙は、ディラン皇帝に確かに渡した。
ファラ女王の提案する、エルドガ要塞の非武装化、ディラン皇帝も賛成だそうだ。」
ファラ
「ゆくゆくは、両国の民が自由に行き来できるようにしたいと思っています。」
ザイツ
「いずれ、そうなるだろう。素晴らしい事だと思う。」
ファラ
「でも、ザイツさん。大丈夫でしたか?」
ザイツ
「何がだ?」
ファラ
「ザイツさんは帝国に戻らず私の手助けをしてくれています。
その事で、何か言われたりしませんでしたか?」
ザイツ
「フフフ、古参の大臣やかつての部下達からは戻ってくるよう説得された。
争いが終わり、反逆者でなくなった今、帝国でその力を使うべきだとな。
確かに、新皇帝の力になりたいという気持ちはある。
だが、王国を離れることはできない。
俺、ザイツ・エンドージはファラ女王、あなたを愛してしまったのだからな。」
ファラ
「ザイツさん…。」
ザイツ
「愛する女性のためならば、俺は誰よりも強くあろう。ファラ女王。」

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