第1話
- ディラン
- 「ファラじゃないか。」
- ファラ
- 「主役がいなくなっちゃダメだよ。ディラン。」
- ディラン
- 「食べ過ぎたみたいなんだ。少し休んだら戻るよ。」
- ファラ
- 「そっか、私もちょっと休んでこっと。
何だかウソみたい。明日でディランがいなくなっちゃうなんて。
ホント、ウソだったらいいんだけどな。
帝国になんて帰らずに、ずっとずっとセレスティアにいればいいのに。」
- ディラン
- 「ファラ…。」
- ファラ
- 「でも、仕方ないものね。ディランは帝国の皇子様なんだから。
やっと、人質の交換が終わって、自分の国に帰れるんだから。
私がおかしなこと言ったら、困っちゃうよね。」
- ディラン
- 「ファラ、正直な気持ちを言うよ。俺は、帰りたくなんかない。
ずっと、このセレスティアにいたいと思っている。」
- ファラ
- 「えっ!」
- ディラン
- 「だけど、それでもやっぱり俺は帝国に戻らなくちゃならない。
この国で学んだ大切な事を、みんなに伝えるために。」
- ファラ
- 「ディラン。」
- ディラン
- 「ファラ、見ててくれ。俺は、帝国をセレスティアのような国にしてみせる。
ランカスタの民も含めて、みんなが仲良く暮らせる国に。」
- ファラ
- 「ディランなら、きっとできるよ。私、応援してるから。
応援…してるからね。ずっと。」
- ファラ
- 「ディラン、応援してるよ。」
第2話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディランが外に行くのが見えたから。」
- ディラン
- 「ファラも、眠れないのか?」
- ファラ
- 「…うん。
目を閉じると、あの時の光景が浮かんでしまって…。
ねえ、ディラン。これが夢だったら、どんなにかいいのにね。
目が覚めたら、セレスティア城の私の部屋のベッドの上で…。
着替えて階段を下りていくと、朝食の準備ができていて…。
お父様と、ディラン。あなたが待ってくれているの。
これまでずっと、そうだったみたいに…。」
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「大丈夫、分かってるから。こんなこと言ってもどうしようもないって…。
だけど…だけど…。」
- ディラン
- 「ファラ。俺は約束するよ。
帝国の皇子としてとかじゃない。罪滅ぼしとかそんな事のためじゃない。
ひとりの人間として、ファラ、君を守る。
こんな言葉じゃ、気休めにもならないかもしれないけど…。」
- ファラ
- 「ううん、ありがとう。勇気が出るよ。
ねえ、ディラン。私、お父様の言葉通り生きるわ。
どんなことになっても、負けないでがんばる。だって私はお父様の娘なんだもん。
だけど…今夜だけは泣いてもいいよね。
今夜だけは…。」
- ディラン
- 「ああ、もちろんだよ。」
- ファラ
- 「ディラン…。
ディラーン!」
- ディラン
- 「(ファラ。俺は約束するよ。絶対に、君を守る!)」
- ファラ
- 「今夜だけは、泣いてもいいよね。」
第3話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン。何をしているの?」
- ディラン
- 「いや、ちょっとね。夜の街を、見ていたんだ。」
- ファラ
- 「キレイよね。明かりがキラキラしてまるで星みたい。
まだ、私が小さなころ、お父様と一緒に来た事があるの。
その時もね、こうやって夜の街を見たの。
お父様と一緒に、キレイだねって…。」
- ディラン
- 「…ファラ。」
- ファラ
- 「ダメだね、いつまでも泣いてちゃ。
これからいろいろとやらなくちゃいけない事があるんだから。
まずは、ここの掃除ね。だって、どこもかしこもホコリだらけなんだもの。
ディランの部屋もそうだったでしょ?」
- ディラン
- 「まあな。だけど、『特別室』に比べれば全然、居心地はいいよ。」
- ファラ
- 「ねえ、その『特別室』ってどんな部屋なの?
ルーガさんも言ってたし、何か気になるな。」
- ディラン
- 「いや、そんな気にするような所じゃないよ。
それ以前に、部屋ですらないんじゃないかな?」
- ファラ
- 「ますます気になる。明日、ルーガさんに頼んで入らせてもらおうかな?」
- ディラン
- 「(『特別室』がどんなとこか分かったら、びっくりするんだろうな。
でも、良かった。ファラが少しだけ元気になって。)」
- ファラ
- 「明日から忙しくなりそうだね。」
第4話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン。まだ眠らないの?」
- ディラン
- 「ああ、ここに飛ばされてきた後、少し眠りすぎたかな?」
- ファラ
- 「私も。でも、本当に不思議だったよね。
神殿からここまで、一瞬で飛んできちゃうなんて。」
- ディラン
- 「ファラ。あの宝珠、持ってるか?」
- ファラ
- 「うん、持ってるよ。」
- ディラン
- 「別に光ったりしないよな。」
- ファラ
- 「私も、あれから何度も試したけどダメだったの。
ソティナさんにも頼まれたし、とりあえずお守りみたいに、肌身離さず持ってるつもりだよ。
毎日、お願いしたら願いがかなったりするかな?
どうか、王国と帝国も仲良く暮らせる日が来ますように。
お兄様が、昔の優しいお兄様に戻ってくれますように。
どうか、ディランがずっと側にいてくれますように。」
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディランがずっと側にいてくれますように………。」
第5話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「怪我人、思ったより少なかったそうね。」
- ディラン
- 「ああ、ルーガがうまく指揮して黄金宮にみんなを避難させたからな。」
- ファラ
- 「だけど、ディランにあんな許婚がいたなんて驚いたな。」
- ディラン
- 「最初に聞かされた時は俺も驚いたよ。」
- ファラ
- 「どうするの? ディラン。
このままエルナディータさんと結婚しちゃうの?」
- ディラン
- 「そんなはずないだろ? 今はそれどころじゃないんだから。」
- ファラ
- 「じゃあ、戦いが終わったら結婚しちゃうのね。」
- ディラン
- 「それもないよ。
彼女には悪いけど、俺は親が勝手に決めた人と結婚なんてできない。
結婚相手ぐらい、自分で探したいからな。」
- ファラ
- 「その時は、私も立候補しちゃおうかな?」
- ディラン
- 「えっ!?」
- ファラ
- 「フフフ、冗談よ。…今はまだ…ね。」
- ファラ
- 「今はまだ、冗談だけどね………。」
第6話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン。まだ眠らないの?」
- ディラン
- 「ああ、明日の作戦のことを考えてたら、どうも寝つけなくて。」
- ファラ
- 「明日、うまくいくかな?」
- ディラン
- 「やるしかない。負けは許されないんだ。」
- ファラ
- 「…ねえ、ディラン。ひとつだけ、約束して。」
- ディラン
- 「約束?」
- ファラ
- 「お願いだから、ムリはしないでね。
王都を取り戻せても、ディランがいなくなったら、どうしようもないんだからね。
命と引きかえに勝つとか、そんなの、絶対にダメだからね。
それで、王都と城が取り戻せたとしても、ちっともうれしくないよ。」
- ディラン
- 「…ファラ。分かったよ。約束する。
俺は、絶対にいなくなったりしない。
だから、安心してくれ。」
- ファラ
- 「ディラン。」
- ファラ
- 「ディラン、いなくなったりしたら嫌だよ。」
第7話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「考え事するなら、きっとここだろうなって思ったの。
その様子だと、まだ返事は決まってないみたいだね。」
- ディラン
- 「そう簡単には、結論を出せないよ。」
- ファラ
- 「私、ディランに大変な事をお願いしちゃったね。
でも、ディランしかできる人はいないって思ったの。
きっと、お父様だって同じ意見だと思うよ。」
- ディラン
- 「陛下が?」
- ファラ
- 「うん、絶対そうだよ。
ディラン。私、なんでも協力するから!
だから、セレスティアの国王になって。
いい返事、期待してるね。」
- ディラン
- 「(ファラ、そこまで俺を信頼してくれてるんだな
その気持ちには、応えなくちゃな)」
- ファラ
- 「ディランなら、立派な王様になれるよ。」
第8話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン、なかなか宿屋に戻ってこないからどうしたのかと思って。」
- ディラン
- 「ごめん、いろいろと考えてたんだ。
あの3人の魔人の事とか、マナの門の事とかを。」
- ファラ
- 「せっかく、こんな遠くまで来たのに、召喚実験阻止できなかったね。」
- ディラン
- 「ああ、残念だったよ。
だけど、ひとつだけ希望が見えた事もある。
それは、ノイン王子の事だ。」
- ファラ
- 「えっ?」
- ディラン
- 「俺達と戦った後、王子は本当の自分を取り戻しかけていた。
ノイン王子にかけられた洗脳を解く事ができれば…。」
- ファラ
- 「本当のお兄様に、戻ってくれるかもしれないのね。
お父様を襲ったのも、すべて洗脳されていたせいなのね。
良かった。本当に良かったわ。」
- ディラン
- 「(ノイン王子。次に会ったら、必ずあなたを助ける
セレスティアの国王には、あなたがなるべきなんだ)」
- ファラ
- 「ディラン、お兄様を助けて………。」
第9話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「眠らないの?ハインライン様の背中、フカフカして気持ちいいよ。」
- ディラン
- 「うん、あんまりにも驚きすぎて、まだ眠くならないんだ。
神竜ハインラインが、ルーンハイムにいたなんて。
しかも今、俺達はその背中に乗って空を飛んでるなんて。 」
- ファラ
- 「そうだよね。びっくりだよね。」
- ディラン
- 「ハインラインのウロコから3人の女神が生まれた。」
- ファラ
- 「そして、ルーンハイムにマナを満たし、生命と秩序を創った。」
- ディラン
- 「広く言えば、ハインラインは俺達の親なのかもしれないな。」
- ファラ
- 「フフフ、本当にそうだね。ハインライン様は私達の大きなお父さんだね。」
- ディラン
- 「喜んでいる場合じゃないけれど、
今の俺達って、ものすごく幸運なのかもしれないな。」
- ファラ
- 「うん、そう考えると眠るのがもったいなく思えてきたよ。
私もディランと一緒にもうちょっとだけ起きてよ。
せっかく、大きなお父さんの背中にいるんだもんね。」
- ファラ
- 「もうちょっと起きていようね。」
第10話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン。眠らないの?」
- ディラン
- 「ああ、ちょっとあくり~んの事を考えていたんだ。
あの子、一体何者なんだろう?」
- ファラ
- 「あくり~んって、3女神のひとりの名前よね。もしかして、女神なのかな?」
- ディラン
- 「さすがにそれはないだろう。女神があんな小さな女の子だなんて。」
- ファラ
- 「それじゃ、宝珠の力で呼ばれたどこかの世界の召喚獣?」
- ディラン
- 「そうだな、そんな気がする。だけど、マナの門を直してしまうなんて、
普通の召喚獣には不可能だ。あの子の正体は、やっぱりナゾだな。」
- ファラ
- 「ディラン。そんなに難しく考えなくてもいいと思うの。
あの子は、マナの門を直してみんなを助けてくれたとってもいい子。
それだけで、十分だと思うな。」
- ディラン
- 「ファラ…、すっかりあの子の事、気に入ったみたいだな。」
- ファラ
- 「うん、だってあくり~んちゃん、とっても可愛いんだもん♥
私の事、おねーたまおねーたまって、慕ってくれるし。
私、あんな妹がずっと欲しかったんだ。」
- ディラン
- 「可愛ければそれで良し…か。
これじゃ、ムームーと初めて会った時と同じだな。」
- ファラ
- 「えへへ。」
- ディラン
- 「まあ、悪い子じゃないのは確かだし、しばらく一緒にいて様子を見よう。」
- ファラ
- 「うん。」
- ファラ
- 「あくり~んちゃんって、本当の妹みたいね。」
第11話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン。何やってるの?」
- ディラン
- 「俺達のやっていること、正しいのかなって考えてたんだ。」
- ファラ
- 「え?」
- ディラン
- 「俺達は今、帝国と戦っている。その戦いによって家族を奪われた帝国の民もいる。
彼らは悲しみの中、俺を憎むんだろうか?」
- ファラ
- 「ディラン…。」
- ディラン
- 「それは、どうしようもない事だって分かってる。だけど…な。」
- ファラ
- 「ごめんね。私が、ディランに王様なんて押しつけちゃったから。
本当に、ごめん…ね。」
- ディラン
- 「ファラのせいじゃないよ。だから、謝る事なんかないんだ。」
- ファラ
- 「でもね、ディラン。ディランが王様として帝国と戦っている事で、
救われている人も、たくさんいるの。その事だけは、忘れないで。
それに、今、ディランを憎んでる帝国の人がいたとしても、
すべてが終わって、世界が平和になったら、分かってくれると思うの。
きっとよ。」
- ディラン
- 「…ありがとう、ファラ。少し、元気が出たよ。
ファラ、俺、がんばるよ。今はどんなに憎まれても、戦い続ける。
それが、みんなのためなんだから。」
- ファラ
- 「ありがとう、ディラン。」
- ファラ
- 「私もディランに、救われたんだから。」
第12話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン。今日は、ごめんなさい。
みんなに内緒で、勝手に古城に向かっちゃって…。
別に気にしなくてもいいよ。こうやって、ノイン王子を無事に救出できたんだから。
明日、ノイン王子は大変だろうな。話さなくちゃならない事がたくさんだから。
帝国が休戦協定を破ったこと。王都が一度、制圧されたこと。」
- ファラ
- 「お父様がなくなった事も、明日、話さなくちゃ。」
- ディラン
- 「…そうか。まだ、話してなかったな。」
- ファラ
- 「ねえ、ディラン。私、何て話せばいいの?あの時のこと。
私、とても言えない。絶対に言えない。」
- ディラン
- 「ファラ、ありのままを話すんだ。」
- ファラ
- 「でも…。」
- ディラン
- 「いいから、ありのままを話すんだ!
陛下は、城に攻め込んできた帝国兵に斬られ、お亡くなりになった。
そう、話すんだ。それが、真実なんだ。
分かったな、ファラ。」
- ファラ
- 「…うん。分かったわ。それが、真実なんだね。それで、いいんだよね。」
- ディラン
- 「ああ、それでいいんだ。」
- ファラ
- 「ありがとう、ディラン。私、そうするよ。」
- ディラン
- 「(俺は、間違ってない。そうですよね、陛下)」
- ファラ
- 「ディラン、それが真実なんだよね?」
第13話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「お兄様の体を埋める時、私、何だか夢を見ているようだったの。
でも、夢じゃないの。お父様の時と同じで、これは現実のこと。
何をしたって、夢にはなってくれない。」
- ディラン
- 「ファラ…。」
- ファラ
- 「どうして、こんな事になっちゃったのかな?
やっと、元のお兄様に戻ってくれたのに。
セレスティア城に、帰ってきてくれたのに。それなのに、どうして…。
神様なんていないんだよ。女神なんてウソだったのよ。
もし、神様や女神様がいたら、お兄様を守ってくれたはずだもの。
こんな事になんか、ならなかったはずだもの。
ね、ディランだってそう思うでしょ?」
- ディラン
- 「ファラ!
泣いていいんだ。ファラ。思い切り泣いていいんだ。
だから、そんな顔をしないでくれ。」
- ファラ
- 「ディラン…。
ディラーーーン!」
- ファラ
- 「ディラン、私もう……ダメかも……。」
第14話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン。やっばり、起きてたんだね。
あんな、びっくりする事が、あったんだもん。
眠れないのが普通だよね。」
- ディラン
- 「ああ、そのとりだと。
俺に、双子の弟がいたなんて。
しかも、あんなにそっくりの。」
- ファラ
- 「ディランとあの人は、そっくりなんかじゃないよ。」
- ディラン
- 「えっ?」
- ファラ
- 「ディランとあの人が、そっくりなはずないよ。
あんなにも簡単に、父親に剣を振るえる人と、同じなはずない。」
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン、お願いだから負けないでね。
私の前から、いなくなったりしないでね。」
- ディラン
- 「ああ、大丈夫だ。
俺は負けない。絶対に。
この戦いに勝って、ルーンハイムに平和を取り戻すんだ。」
- ファラ
- 「ディランまで、いないなったりしないよね?」
第15話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「帝国との決戦。
とうとう、明日だね。」
- ディラン
- 「長かったけど、ここまできたんだ。」
- ファラ
- 「ディラン、これまで本当にありがとう。
ディランがいなかったら、セレスティアはなくなったままだったよ。
それに、私の命だって。」
- ディラン
- 「お礼を、言うのは俺の方だ。
俺は、陛下やファラと知り合えたから、大切な事に気付いた。
それに、ファラが一緒だから、これまでがんばってこられたんだと思う。
本当に、ありがとう。」
- ファラ
- 「そんな、ディランがそう思ってくれてたなんて。
私なんか、お荷物かなって、心配してたの。
だから、すごくうれしい。」
- ディラン
- 「前にも言った。
この戦いには君の力が必要だって。」
- ファラ
- 「王国の民のため、ランカスタの民のため、
そして、帝国の民のためにも。
絶対に、勝ちましょ。」
- ファラ
- 「ディランがいてくれれば、何も怖くないよ。」
第16話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン、良かったね。
戦いに勝って。こうやって自分の国に戻ってこられて。」
- ディラン
- 「でも、何たが知らない国に来たみたいな感じだよ。
人質交換のため、小さなころにこの国を出たからな。
俺にとっての故郷はセレスティア王国。
そんな、気がするよ。」
- ファラ
- 「ねえ、ディラン。
私、考えたんだけどね。
帝国と王国がひとつの国になっちやうってのはどうだろ?」
- ディラン
- 「えっ!?」
- ファラ
- 「そうすれば、これからもずっと、争いは起きないと思うの。
平和な未来のために、そうするのが一番のような気がする…。
ううん、本当は私がディランと離れたくないだけ。
だって私、ディランの事が…。」
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ごめんね、ディラン。おかしな事を言っちやって。」
- ディラン
- 「いいや、ちっともおかしな事じゃないよ。
帝国と王国がひとつになる。
それこそが、最高の未来なのかもしれない。
とても難しい事とは思うけど、前向きに考えていかないか?
俺だって…ファラと離れたく…ないから。」
- ファラ
- 「ディラン。」
- ファラ
- 「ディランと離れるなんて、つらいな。」
第17話
- ディラン
- 「ファラ。」
- ファラ
- 「ディラン、何だかとんでもない事になっちゃったね。
女神クラヴィスが復活して、オヴァドがルーンハイムに衝突しようとしてて。
私の中に、女神ファーライトの魂が宿ってるなんて。」
- ディラン
- 「そうだな、本当に驚いたよ。」
- ファラ
- 「ね、ディラン。
こうやってディランと話してる私は、どっちなのかな?
ファラなのかな?
それとも、女神ファーライトなのかな?
ディランと一緒に泣いたり笑ったりして、ここまできた私…。
ディランの事が大好きな私は、どっちなのかな?」
- ディラン
- 「ファラ…。」
- ファラ
- 「ごめんね。
何だか、不安になっちゃっただけなの。
自分が、本当の自分じゃないかもって思ったら…。」
- ディラン
- 「ファラ、よく聞くんだ。
たとえ、女神ファーライトの魂が宿ってたとしたって、ファラはファラだ。
優しくて、思いやりがあってだけど少し泣き虫で、それでもがんばり屋。
そんな、俺の大好きなファラなんだよ。」
- ファラ
- 「ディラン…。」
- ディラン
- 「クラヴィスを倒し、今度こそルーンハイムに平和を取り戻そう。
そしたら、俺達の未来を作っていこう。
約束だ。ファラ。」
- ファラ
- 「うん。」
- ファラ
- 「ディランの事を好きな気持ちは、本物だから。」
エンディング
- ファラ
- 「やっと、一段落ついたね。ディラン。」
- ディラン
- 「ああ、そうだな。忙しさで目が回るかと思ったよ。」
- ファラ
- 「だけど、こんな事になるなんて思ってなかったな。
王国と帝国が、ひとつの国になるなんて。」
- ディラン
- 「両国の民が賛同してくれたからできた事だ。」
- ファラ
- 「みんな、もう憎しみあっていても仕方がないって分かってくれたんだね。
でも国が一緒になったことで、まだ混乱があるみたいだし。がんばっていかないとね。」
- ディラン
- 「なあ、ファラ。本当に、良かったのか?」
- ファラ
- 「何が?」
- ディラン
- 「女神ファーライトとして、ファスティアナに戻らず…、
この世界、ルーンハイムに戻ってくる事にして。」
- ファラ
- 「行って欲しくないって言ったのはディランでしょ?」
- ディラン
- 「確かにそうだけど、もしかしたらとんでもない事を頼んだのかもって…。」
- ファラ
- 「フフフ、いーんだよ。私、すっごくうれしかったから。
前にも言ったとおり、私は転生して人間になったの。
だから、人間としてこの大好きなルーンハイムで暮らしたいの。
それに、もし私がファスティアナに行ったら…。
ディランと、離れ離れになっちゃうじゃない。
そんなの、絶対嫌なんだ。
大好きなディランがいない世界なんて、そんなのつまんないもん。」
- ディラン
- 「ファラ…。」
- ファラ
- 「これからも、ずっと一緒だね。ディラン。」
タイトルとURLをコピーしました
コメント