【夜会話】ネスティ(マグナVer.)

当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

第1話 流砂の谷

ネスティ
「やれやれ、こんな場所で野宿することになるとは思わなかったよ」
マグナ
「仕方ないさ 下手に夜道を歩くのは危険だっていうし
それに、フォルテさんたちだけに後始末を任せるわけにはいかなかっただろ?」
ネスティ
「まあ、な」
マグナ
「でも、久しぶりだよな 叱られる以外で、ネスと二人で話をするの」
ネスティ
「別に僕だって、好きで君を叱りつけてるわけじゃない
あんまり君が非常識なことをするから、つい口を出してしまうんだ」
マグナ
「うう、わかってるよ これでも」
ネスティ
「どうだか・・・まあ、おいおい確かめさせてもらうとしよう
まだまだ、旅は始まったばかりだしな」
あーあ、結局のところ説教されちまうのな やっぱし・・・

第2話 聖女の横顔

ネスティ
「やれやれ・・・次から次へと厄介なことが続くな
この様子では、いつになったらファナンへたどり着けるのやら」
マグナ
「あ、あのっ ネス・・・」
ネスティ
「謝っても無意味だよマグナ 結果は変わらない」
マグナ
「うう・・・」
ネスティ
「僕に余計な気をつかうことなんか考えずに黙って休んでおけ」
マグナ
「え?」
ネスティ
「逃げる途中で倒れでもしたら、それこそ迷惑の極みだからな」
マグナ
「・・・うん」
気をつかってくれてるのは、ネスの方だ ありがとう・・・

第3話 再会と別れ

ネスティ
「襲ってきたあいつらは 黒騎士の手のものだと思って間違いあるまい」
マグナ
「でも、前と比べると一人一人の動きがばらついていたけど」
ネスティ
「おそらく、足りない人手をそこらで集めて使ったんだろう
傭兵や冒険者の中には金次第でどうとでも転ぶ者も多いからな」
マグナ
「あのゼルフィルドって機械兵士も?」
ネスティ
「いや、それは違う 機械兵士はそう簡単に使えるものではない
召喚するにしろ、遺跡から発掘するにしろ 手間も費用もバカにはならないはずだ」
マグナ
「ということは・・・」
ネスティ
「やつらの背後にはそれだけ力のある組織がついているということだ
そしてその組織はそれだけの価値をアメルに認めているということにもなるな」
そこまでしてアメルを狙うなんて、いったいどうして・・・?

第4話 小さな召喚師

マグナ
「なあ、ネス・・・
どうして蒼の派閥と金の派閥は、そんなに敵視しあってるんだ?」
ネスティ
「蒼の派閥は召喚術を用いて、世界の真理を探究する組織だ
対する金の派閥は営利を目的とした団体 思想からして相容れるものじゃない
さらに問題なのは彼らのそうした行動が結果的に権力者と結びつくことだ・・・」
マグナ
「え?」
ネスティ
「君も知っているだろう? リィンバウムで起きた戦争のほぼすべてが
心なき召喚師の浅慮によって、引き起こされものだということを
世界の覇権をかけた戦乱の時代も エルゴの王が没した後の暗黒の時代も
召喚術は戦争の道具として重宝され、多くの犠牲者を生み出した」
マグナ
「そうか、だから蒼の派閥は必要以上に政治に関わるなって教えてるのか・・・」
ネスティ
「そういうことだ
金の派閥はそうした過去の過ちを繰り返す可能性をもつ組織なんだよ
無論、それが全てだと言い切りはしないがな」
派閥同士の対立には そんな深い理由があったのか・・・

第5話 はかなき平穏

マグナ
「特務部隊「黒の旅団」・・・
その名のとおり秘密裏に編成された部隊・・・
道理で、資料からでは正体をつかむことができなかったわけか
って・・・それは分かったんだけど・・・
なあ、ネス・・・そのデグレアってそもそも、なんのことなんだ?」
ネスティ
「・・・」
マグナ
「・・・?」
ネスティ
「キミはバカか!?」
マグナ
「い、いきなりなんてことを言うんだよ ひどいじゃないか?」
ネスティ
「ひどいのは君の物覚えのほうだっ!
ミニスだって知っていたんだぞ? 恥ずかしいとは思わないのか!?」
マグナ
「そんなこと言ったって知らないものは知らないし・・・」
ネスティ
「君の場合は知らないというよりも、知ろうとしていないというのが正確だ
・・・決めた
その質問の答えは君自身の手で調べて見つけてくるんだ」
マグナ
「えーっ!?」
ネスティ
「えーっ、じゃない! 二階の書庫を調べればすぐにわかるはずだ
今後どうするかについてはそれからだ まったく、無駄な時間をとらせて・・・」
マグナ
「無駄だって思うんならさっさと質問に答えてくれれば・・・」
ネスティ
「いいから、さっさと調べてこいっ!?」
マグナ
「とほほ・・・」
うーっ、まさか宿題を押しつけられるハメになるなんてなあ・・・

第6話 彼女の決意

ネスティ
「こんな形でファナンにやってくることになるとは、皮肉だな」
マグナ
「そう言うなってば ほら、怪我の功名って考えれば・・・」
ネスティ
「その言葉は、こういう時に使うべきものではなかろう?」
マグナ
「うう・・・」
ネスティ
「それにしても、やはり僕たちの考えることなど、先輩たちにはお見通しだったな」
マグナ
「うん、結局 最後の最後まで迷惑かけっぱなしだった気がする・・・」
ネスティ
「借りを返そうなんてことは無理だろうが
目的を果たした上できちんとお礼を言いにいきたいものだな
それが、お二人のしてくれたことに対して 僕達が報いる最良の方法になるはずだ」
マグナ
「うん、そのためにもアメルを無事に送り届けないとな」
ここから先は俺たちが俺たちの手で道を切り開いていくんだ!

第7話 波乱の港

マグナ
「海賊が召喚術を使ってくるなんて、予想もしなかったよ」
ネスティ
「志の低い召喚師の中には、金銭と引き替えにして、召喚術を伝授する者たちがいる
おそらくあの海賊達も そういった連中から術を学んだんだな」
マグナ
「無責任な話だなあ」
ネスティ
「相応の魔力と、誓約を済ませたサモナイト石さえあれば
召喚術を発動させることは誰にでも可能だ
しかし、それを正しい形で制御するためには相応の訓練と知識が不可欠となるんだ
それを軽視すると術の暴発や召喚獣の暴走による事故を引き起こしてしまう」
マグナ
「うん・・・俺もそうだったからよくわかるよ・・・」
ネスティ
「召喚術を使う者は その力の恐ろしさを忘れてはならない
それをわきまえぬ外道の召喚師たちを罰するのもまた、蒼の派閥の役目なんだよ」
そう考えると俺の受けてきた訓練ってやっぱり必要なことだったんだな・・・

第8話 屍人の砦

マグナ
「あのガレアノって召喚師、何者だったんだろう?
たった一人で、砦ひとつを陥落させるなんて・・・」
ネスティ
「奴の素性も気になるが それより僕が気になるのは、砦を襲った目的のほうだ
砦の兵士を殺し合いさせて、いったい何の得があるんだ?」
マグナ
「まさか、面白半分でやったんじゃ・・・」
ネスティ
「その可能性も皆無とはいえないが、もっとあり得そうなのは
トライドラと敵対する国家に雇われての破壊工作行為・・・」
マグナ
「それじゃ、あいつもデグレアの関係者ってことか!?」
ネスティ
「そう断言するには証拠がなさすぎるがな
どのみち、今日の一件については、本部へも報告する必要がある
ガレアノについての情報も、調べてもらうように申請しておくよ」
もしネスの予想が事実だったら デグレアはなにを企んでいるんだろうか?

第9話 まだ見ぬ故郷

ネスティ
「地図に表記されてないことが、裏目だったか
最初から、ここが禁忌の森だと知っていれば、近づかせなどしなかったのに
それとも・・・やはり、必然だということなのか・・・?」
マグナ
「んー、ネスぅ? さっきから、ぼそぼそなに言ってんだよぉ?」
ネスティ
「・・・!?
いや、なんでもない ひとりごとだよ マグナ」
マグナ
「ふーん・・・」
ネスティ
「やれやれ・・・寝ぼけるクセは相変わらずらしいな
マグナ・・・」
寝ぼけるなって言われてもちっともおぼえがないんだけど うーん???

第10話 封印の森にて

マグナ
「それじゃ、どうしても話すことはできないんだな・・・」
ネスティ
「ああ、禁忌の森に関することは、派閥の極秘事項として扱われているものなんだ
それを僕の独断で昇格したばかりの君に話すことはできないよ」
マグナ
「わかったよ・・・でも、そんな極秘事項だっていうのなら
ネスはどうしてそのことを知っているんだ?」
ネスティ
「・・・!!」
マグナ
「それも、やっぱり話せないことなのか?」
ネスティ
「ああ、そうさ 話せないことなんだ
禁忌の森にまつわることの全ては、隠され続けなくてはならない
そうしなければならないんだ・・・」
マグナ
「・・・わかった もう、聞かないよ
おやすみ!」
ネスティ
「・・・・・・」
なんだよ・・・そんなに俺のことが信用できないのかよ? ネスは・・・

第11話 処刑台の騎士

ネスティ
「やれやれ、これでまた黒の旅団に手がかりを与えることになってしまったな」
マグナ
「そう言うけどさ、もしネスが言うとおりガレアノとビーニャが同類だとしたら
どっちみち、俺たちの動きはあいつらに筒抜けだったってことになるじゃないか?」
ネスティ
「ふむ・・・それもそうか
どうやら、僕たちと連中の間には、よほどの巡り合わせがあるらしいな
腐れ縁ってやつだな?
厄介なことだよ 腐れ縁など、ひとつで充分だというのに」
マグナ
「なあ、ネス その腐れ縁ってのは もしかして・・・」
ネスティ
「僕の口から言わせるつもりか? はっきりと?」
マグナ
「・・・・・・」
正面から攻めてこないぶん こっちの腐れ縁のほうが厄介な気がしてきたぞ・・・

第12話 絶望の先へと

ネスティ
「これではっきりしたな
ガレアノ、ビーニャ そして、キュラーはデグレアに雇われた召喚師だ・・・」
マグナ
「だけど、デグレアってどうやって、あんな恐ろしい連中を味方につけたんだろう?
そもそも、旧王国が聖王国と対立したのは召喚師をめぐる立場の違いだったんだろ?」
ネスティ
「ふむ、君にしてはよく知っていたな?」
マグナ
「あのな・・・」
ネスティ
「君の言うように旧王国というのは、召喚師が権勢を握ることを恐れるあまりに
徹底的な弾圧によって排除しようとした武門の人間たちによる国家ではある
だが、召喚術を否定するためには、それをねじふせる力が必要だ
毒をもって毒を制する この意味がわかるか?」
マグナ
「つまり、召喚師に対抗するために、召喚師をぶつける・・・?」
ネスティ
「ご名答だ
あいつらは、その時のためにデグレアが温存していた連中だろうな
そんな切り札を出してくるからには、今度の奴らの侵攻は・・・、
総力戦を覚悟したものといえるだろうな」
それじゃ、やっぱり戦争は避けられないってことか・・・

第13話 祭りの夜

ネスティ
「あのな・・・今がどういう状況かわかってるのか?」
マグナ
「わかってるよ
でも、どのみち祭りが終わらないことには 身動きだってとれないじゃないか?」
ネスティ
「む・・・」
マグナ
「なら部屋でじっとしていないで、俺たちも祭りを楽しもうぜ」
ネスティ
「だが、しかし・・・」
マグナ
「いいから、いいから! たまには息抜きも必要だって」
ネスティ
「まったく・・・仕方のないヤツだ」
マグナ
「ひゃあ、すごい賑わいぶりだなあ」
ネスティ
「モーリンが得意げに話すだけはあるな
聖王国の建国祭に比べても、華やかさでは引けを取らない祭りだよ」
マグナ
「ゼラムの通りの大きさだと、ここまで派手なパレードはできないもんな」
ネスティ
「建国祭で思い出したが 君がやってきてから間もない頃に
祭り見物に抜け出して ひと騒ぎおこしたことがあったな?」
マグナ
「そ、そんなことあったっけ?」
ネスティ
「まさか、忘れたとは言わせないぞ」
マグナ
「えーと・・・」
  • ケンカしたこと?
    ネスティ
    「ああ、思い出すだけで情けない。召喚師が素手でゴロツキと取っ組み合いとは」
    マグナ
    「だって、あれは向こうからケンカを売ってきたんだし
    カッとなって、だからつい・・・」
    ネスティ
    「相手にした君が悪い」
    マグナ
    「うう・・・」
    ネスティ
    「新品の服をボロボロにして、おかげで僕が繕うことになったんだ」
    マグナ
    「悪かったよ、あれは 今でもそう思ってる」
    ネスティ
    「まぁ、感心したのは あれだけやられ放題にされながら
    召喚術をケンカの道具にしなかったことか
    それだけは、今でも評価してるよ」
    マグナ
    「ははは・・・」
  • よっぱらったこと?
    ネスティ
    「まったく、振るまい酒だからといって、度を越して飲むからだ
    酔っぱらった君は それはもう、手がつけられなかったんだぞ」
    マグナ
    「それなんだけどさ 俺、なにをしたか記憶がないんだけど・・・」
    ネスティ
    「知りたいか?
    大声で歌いまくった けたたましく笑った おまけに・・・
    熱いからといって 道ばたで着ていた服をいきなり・・・」
    マグナ
    「わあああっ!? わかったからっ もういいって!
    (お酒は大人になってから・・・ってのは、正しいのかもしれないな)」
マグナ
「へぇ・・・あの沖で光ってるのが 全部、船なんだ?」
ネスティ
「豊漁と航海の安全に感謝して、海に供え物を流してるのさ
自然の恵みに感謝するこの儀式が、本来の祭りにあたるわけだ」
マグナ
「あっ、花火だ・・・」
ネスティ
「ほう、船の上から打ち上げているのか」
マグナ
「きれいだなあ
王都だと建物が邪魔になったけど、ここは海の上だから、すごく見やすくていいや」
ネスティ
「なあ、マグナ」
マグナ
「ん・・・?」
ネスティ
「君は、変わったな」
マグナ
「えっ?ネス 変わったって・・・」
ネスティ
「本部にいた頃は 何に関してもやる気が感じられなかったのに
今は自分から積極的にいろいろなことに関わろうとしている
ただ、僕の言うことを義務的に聞いていた時とは大違いだよ」
マグナ
「ネス・・・」
ネスティ
「あとは、行動に考えがついていければ問題ないんだがな
そうすれば、僕が君の世話を焼く必要はなくなる・・・
すこしだけ・・・さびしいけどな・・・」
マグナ
「・・・?」
ネスティ
「さあ、そろそろ戻ろう 明日からは、また忙しくなるぞ?」

第14話 確かな想い

ネスティ
「あの人の話には やはり納得できない部分が多すぎる」
マグナ
「まだ気にしてるのか そのこと?」
ネスティ
「僕はとても気になる アグラバインが、共に入った仲間とは誰なのか・・・
そして、なんのためにそこへ向かったのかが」
マグナ
「ただの偶然だと、俺は思うんだけどなあ」
ネスティ
「そんな簡単に片付けていい問題じゃないってわかってるのか?
あの森は、あえて地図にも記されなかった場所なんだぞ・・・
過ちへの戒めと忌まわしき因縁を封じこめた場所なんだ!
何人であろうと近づいてはいけない場所なんだぞ!?」
マグナ
「戒めと、因縁?」
ネスティ
「・・・!?」
マグナ
「それが、派閥に伝わる機密なのか?
ネスが隠している あの森に関わる秘密なのか!?」
ネスティ
「・・・・・・」
マグナ
「答えてくれよっ! ネスっ!?」
ネスティ
「・・・言えないよ
知らなければ、それでいいことなんだ 知ってしまえば・・・
君はきっと苦しむ 僕が今、味わっているのと同じように・・・」
マグナ
「ネス・・・?」
俺や、ネスが苦しむって、どういうことなんだ・・・?

第16話 縛鎖を断つもの

ネスティ
「調律者が、ゲイルを作った本来の目的は
この世界の人間の力だけで、リィンバウムを守れるようにするためだったらしい
まぁ、召喚獣を利用した時点で、本来の目的からは逸脱してるようなものだがな」
マグナ
「どうして、そんなことを考えたんだろう?」
ネスティ
「そこまではわからない 彼らには、彼らなりの事情があったんだろう
ただ、いくら目的が正しくても、課程を間違えては意味がないということだ」
マグナ
「答えだけあっていても途中の式が違ってたら点が貰えないテストと同じだな?」
ネスティ
「・・・・・・」
マグナ
「じょ、冗談だってば! おーいっ!?」
わだかまりが解けても ネスは、やっぱりネスのままか・・・

第17話 影は歌う

マグナ
「まさか、レイムさんが黒の旅団の一員だったなんて・・・」
ネスティ
「おそらく、彼は君たちとの何気ない会話から
巧みに情報を聞き出し、デグレアの本隊へと知らせてたんだろうな」
マグナ
「ごめん・・・俺が、不注意だったばっかりに・・・!」
ネスティ
「気にするな 気づかなかったのは僕たちだって同じだ
恐ろしいのは、平然とこんなやり方ができるあの男だ・・・」
マグナ
「笑ってたもんな・・・あの人・・・」
ネスティ
「目論みどおり、恐怖でファナンの人々はみな混乱するだろう
それが頂点に達した時 デグレアは攻めてくる 間違いなく、な」
マグナ
「このまま、やつらの思いどおりにさせてたまるもんか!」
ネスティ
「ああ、まずはこの街を守りきろう
それがきっと デグレアの野望を阻む第一歩になるはずだ」
負けるわけにはいかないんだ 絶対に!

第18話 誰がための剣

マグナ
「なんとか、デグレアを追い払うことができてよかったよ」
ネスティ
「実際には、金の派閥のファミイ議長の介入が勝負を決めたわけだが
ルヴァイドたちを牽制できたことで、僕たちなりに貢献できたろう」
マグナ
「最初の頃に比べると ずいぶん、まともに戦えるようになってるもんな・・・」
ネスティ
「ああ、君もずいぶんと成長したものだ・・・」
マグナ
「そ、そうかなあ?」
ネスティ
「だが、油断はするな マグナ
デグレアの本隊を負かしたわけじゃない それに・・・
屍人使いたちが今回の戦いに姿を見せなかったのも、僕には気がかりだ・・・
敵も召喚術を使って攻めて来れば、戦いはもっと激しいものになるだろう
くれぐれも、鍛錬を怠るなよ?」
マグナ
「うん・・・」
あの三人は、どうしてこの戦いに加わってこなかったんだろう?

第19話 デグレアの闇

ネスティ
「デグレアという国そのものが、屍人使いたちに利用されていたとはな・・・
中央集権という政治のやり方を、逆手に利用されたわけだ」
マグナ
「うん、俺もてっきり 戦争を挑んでいるのはデグレアの意志だと思ってたのに・・・」
ネスティ
「世間がそう思うのも彼らの計算のうちなんだろうな
同じ、だな・・・」
マグナ
「え?」
ネスティ
「かつての僕と、今のデグレアの兵士たちはまったく同じだよ
命令されるがままに動くだけの操り人形さ そこに疑問の入りこむ余地なんてない」
マグナ
「ネス・・・」
ネスティ
「違うのは・・・マグナ 僕には、君がいてくれたということだ
操り糸にがんじがらめにされていた僕の心に 君は、無遠慮なまでに近づいてきて
あっけらかんとした態度で、ことごとくそれらを断ち切ってしまったんだ」
マグナ
「な、なんか・・・あんまり、ほめられてないような気がするけど・・・?」
ネスティ
「それは、受けとる君のほうに問題があるせいじゃないのか?」
マグナ
「うう・・・っ」
ネスティ
「黒騎士たちの心にも 君のその想いが伝わるといいんだがな・・・」
マグナ
「それじゃ、ネス!?」
ネスティ
「ああ、裏のからくりがはっきりとした今なら 戦いではなく、和解の道もあり得るだろう
君の行動が、その道を開いたんだからな 今回ばかりは、素直に認めるよ・・・」
マグナ
「(あははは・・・)」
ネスが面と向かって俺を認めてくれたのは初めてかも!?

第20話 知の略奪者

マグナ
「ガレアノたちの正体が悪魔だったなんて」
ネスティ
「今までの彼らの様子を思い返せば、予想してしかるべきことだった
それができなかったのは、召喚対象である悪魔が、召喚術を行使するはずないという
先入観が、無意識にあったせいだろうな」
マグナ
「血識、か・・・ それにしても、普通そんなこと考えたりはしないよな
血液ごと、知識や記憶を奪いとるなんて」
ネスティ
「正直、恐ろしいよ 僕は・・・」
マグナ
「え?」
ネスティ
「僕の身体を流れる血は一族の知識と記憶を受け継いだものだ
あいつらにして見れば さぞかし、魅力的なものなのだろうな」
マグナ
「ネス・・・
大丈夫だよ あいつらには、ネスに手出しなんかさせたりするもんか!」
ネスティ
「マグナ・・・」
マグナ
「だから、こわがったりなんかしないでくれよ
ネスがそんなだと なんか、俺まで元気がなくなっちゃうからさ
な?」
守ってもらうだけじゃなくって これからは俺もネスのこと守ってみせるよ・・・

第21話 メルギトスの嘲笑

ネスティ
「どうやら、予想どおりメルギトスの言葉にやられてるようだな?」
マグナ
「ネス・・・」
ネスティ
「気になるんだろう? あいつが最後に、君に言った言葉の真意が」
マグナ
「うん・・・」
ネスティ
「ギブソン先輩の話ではメルギトスというのは人の心を惑わすことを得意とするらしい
下手に考えようとすると、かえって策略にはまるぞ?」
マグナ
「それはわかってるよ でも・・・」
ネスティ
「そもそも兄弟子の僕が考えてもわからないことが、劣等性の君にわかるものか」
マグナ
「な・・・!?」
ネスティ
「頭がイタくなっても知らんぞ」
マグナ
「ひどいっ!それはいくらネスだって言い過ぎだぞっ!?」
ネスティ
「おや、これでもかなり控えめに言ったつもりなんだがな?」
マグナ
「ネスうぅぅ~っ!!」
ネスティ
「はははは、そうそう そういう幼稚な反応が君にはふさわしいぞ?」
マグナ
「また!? もう、絶対に許さないからなあ~っ!?」
ありがと、ネス・・・また、気をつかってくれて・・・

第22話 真なる罪人(好感度・通常)

ネスティ
「僕は、やっぱり人間たちのついた嘘を許せそうにはないよ
過去にこだわり続けることは、愚かなのかもしれないけど」
マグナ
「仕方がないと思うよ それは・・・
あまりにも長い年月をライルの一族は傷ついたまま、過ごし続けてきたんだ
ネスはその全てを背負ってるんだもんな そう簡単に水に流せるわけがないさ」
ネスティ
「うん・・・」
マグナ
「でもさ、ネス それでも、いつかはさ
その傷も、きっと癒えると俺は思うよ だって・・・」
ネスティ
「僕たちの未来は、まだこれからだから・・・
だろう?」
マグナ
「ネス・・・」
ネスティ
「あの時、メルギトスに言った言葉は本心だよ
君と出会えたから 僕はこの世界を好きになれたんだ・・・
君がいてくれたから 僕は、悪魔の誘いをはねのけられたんだよ
ありがとう」
マグナ
「そ、そんな・・・っ お礼だなんて、なんか照れくさいってば!?」
ネスティ
「・・・・・・」

エンディング(好感度・通常)

戦いは終わった・・・
源罪の嵐によってリィンバウムに混乱と破壊をもたらそうとしたメルギトスの最後の企みは
彼の命がけの行動によって完全に潰えたのだ・・・
禁忌の森に隠されていた忌まわしき召喚兵器たちは永遠に抹消されて
そこには、今・・・一本の巨木がそびえている
聖なる大樹
人々が、その樹のことをそう呼ぶようになってから
二度めの季節が・・・巡ろうとしていた・・・
~聖地の森~
アメル
「・・・マグナ?
ぼうっとしてたけど どこか、身体の調子がおかしいんですか?」
マグナ
「ううん、平気だよ 心配しないで」
アメル
「もしかして、また ネスティのことを?」
マグナ
「うん・・・」
アメル
「そうですよね
戦いは終わって 聖王国にも平和が戻ったけれど・・・
貴方やあたしにとっては、それはまだ終わっていないことなんですから」
マグナ
「あの日の今日・・・ネスは、いなくなってしまったんだよな
俺たちを・・・おいてけぼりにして 一人っきりでさ」
アメル
「マグナ・・・
でも、だからこそね 今日は笑顔でいないとダメだと思うの
みんなも、ネスに会いに来てくれるし だから・・・っ!」
マグナ
「うん・・・わかってるよ わかってはいるんだけどさ・・・
だけど・・・っ」
アメル
「ねえ、マグナ 一足先に、彼に挨拶をしに行きませんか?」
マグナ
「え、でも・・・」
アメル
「みんなが来るまでには まだ、すこし時間があるし・・・
あたしじゃ、やっぱりマグナを叱るのは無理だから
ネスティに・・・叱ってもらいましょ」
マグナ
「うん・・・」
~聖なる大樹~
アメル
「早いものですね・・・
あれから、もう 季節がふたつも巡っていったなんて・・・」
マグナ
「聖なる大樹・・・
この樹が、ネスだって知っているのは、多分俺たちだけ・・・
あの時から、ずっと邪悪な魔力を吸収して 浄化し続けているのも」
アメル
「だから・・・
あたしたちはこの樹の ううん、彼の護人になった・・・
いつか、この樹の中で眠りについている彼が 起きるのを信じて」
マグナ
「はははは・・・っ 起きるかどうかさえもわかってないのにな」
アメル
「あたしが・・・
あたしの天使の力がもっと強かったら!
ネスティを・・・助けられたかもしれないのに・・・っ」
マグナ
「泣かないで、アメル 君のせいじゃないさ
なにもできないのは俺だっておんなじだよ それに・・・
さっき、言ったよね 今日だけは、笑顔でいなきゃダメだって」
アメル
「こめんなさい・・・あたしまで、泣いたりしちゃって・・・
あたしたちが笑顔じゃないと、きっと彼に叱られますもんね
彼の分まで、幸せにならなくちゃ・・・」
マグナ
「うん・・・」
聞こえるかい、ネス
君のおかげで、俺たちはこうして生きているよ・・・
ネスが言っていたとおり 人間は、やっぱり嘘つきで自分勝手だけど・・・
でも、昨日とは違うよりよい明日をめざして生きてるんだ
だから、俺は信じるよ
いつかきっと・・・誰も悲しまずにすむ未来が この世界におとずれるって
だから・・・ずっと、ずっと この場所から、俺たちを見守っていてくれるかい?
なあ ネス・・・
アメル
「戻りましょうか みんなも、じきに集まってくるだろうし
レオルド一人じゃきっと困っちゃいますもんね」
マグナ
「うん、それじゃ・・・」
ここだよ・・・
マグナ
「(えっ?)」
ほら、ここさ・・・ここに、いるんだよ
アメル
「どうしたんです?」
マグナ
「この声は・・・ まさか・・・っ?
ネスっ!」
アメル
「マグナっ! どこへ行くのっ!?」
マグナ
「ネス・・・っ!!」
アメル
「え・・・っ 本当、に・・・っ?
あたし・・・っ 夢を見ちゃってるんですか・・・」
マグナ
「夢なんかじゃない!!
ネスは・・・っ 帰ってきてくれたんだ
俺とした約束のために 帰ってきたんだよ!」
ネスティ
「ん・・・っ んん・・・っ?」
マグナ
「ネスっ」
ネスティ
「やれやれ、騒々しいな まったく・・・
寝起きぐらいはそっとしておいてくれ マグナ」
マグナ
「あ、ゴメン・・・っ」
ネスティ
「しかし、どういう風の吹き回しなんだ
君が僕より先に起きているだなんて・・・もしかして、これは悪い夢か?」
マグナ
「夢じゃないよっ! もし夢だったら、俺っ 一生、ネスのこと恨むから・・・っ!」
ネスティ
「・・・君はバカか?
どういう理屈で、僕が君に恨まれなくちゃならなくなるんだ まったく・・・」
マグナ
「ネス・・・っ!!」
ネスティ
「な・・・っ なんのつもりだっ!? マグナ」
マグナ
「ネスだよな・・・っ 本当に、ホントにっ ネスなんだよなっ!」
ネスティ
「当たり前だろう まったく・・・ 僕は、ネスティだとも
わかったら・・・ いい加減に離れてくれ」
マグナ
「うん・・・っ」
ネスティ
「他のみんなは?」
マグナ
「もうすぐ、会えるよ すぐに・・・
ずっと、君のことをみんなも・・・待ってたから・・・」
ネスティ
「そういうことは もっと、早く言うべきだろうに・・・!」
マグナ
「うん・・・っ これからは、絶対にそうするよっ」
ネスティ
「急いで戻るぞ」
マグナ
「あっ、ネス!」
ネスティ
「・・・どうした?」
マグナ
「ひとつだけ、まだ言ってないことがあったんだよ・・・」
おかえり・・・
ネスティ “果たされた約束”

コメント

タイトルとURLをコピーしました